デボンレックス

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:The_kitties_take_it_easy_(2399069687).jpg

ただ可愛いだけじゃなくて、個性的なネコが好きな方にはピッタリの品種かも?今回は、ちょっと不思議な外見をしているデボンレックスをご紹介します。
個性的な外見を持つ品種は他にも存在しますが、デボンレックスもその内のひとつ。セルカークレックスと同様、巻き毛の被毛をまとっていますが、セルカークレックスのようにモフモフした感じでなく、ボリュームは控えめです。
まだまだ日本での知名度は低めのネコですが、実はたくさんの秘密がつまっています。早速その秘密を探りに行きましょう!

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~基本情報~

原産国 イギリス

体重 :3~5kg

時代は1960年代、ある日のこと。イギリスのデボン州に住むベルリ・コックスという女性が、近所で偶然巻き毛のネコを発見します。彼女は捕獲を試みましたが、あっけなく失敗。その後、近所の公園に住み着いていたネコが子どもを産んでいたことに気づき、様子を見て見ると、なんとその中に巻き毛の被毛を持つ子ネコがいました。

ベルリ・コックスは、その子ネコに「カーリー」と名づけ、自ら育てることに。実は巻き毛ネコが誕生したのはカーリーが初めてではなく、約10年前の1950年代にコーニッシュレックスという巻き毛ネコが発見されていたようで、彼女も最初はカーリーのことを「もしかして、この子はコーニッシュレックスなのでは?」と考えていたそうです。

それならば!と早速コーニッシュレックスのブリーダーにお願いし、交配を開始します。ですが生まれてきたのは、全てストレート被毛の子ネコのみ。「両親が巻き毛なのに、1匹もその遺伝子を受け継がなかったのはなぜだろう?」不思議に思ったベル・コックスはあることに気づきます。

それは、カーリーはコーニッシュレックスから巻き毛の遺伝を受け継いだのでなく、それとは別の突然変異で巻き毛になったということです。つまりコーニッシュレックスはコーニッシュレックスで、カーリーはカーリーでそれぞれ違う過程で巻き毛になったため、「お互い異なる巻き毛遺伝子持っていた」ということになります。

カーリーがコーニッシュレックスではないことが判明したものの、ブリーディングは継続されることになりました。ところが、似たような巻き毛ネコがなかなか見つからず、ブリーディングは思った以上に進みません。そんなとき、遺伝学者のアドバイスを受け、計画的近親交配でなんとか数を増やすことに成功します。その後、異例の早さで1960年代に「GCCF」で正式に品種登録されることも決定。

しかし、正式に品種登録されたのもつかの間、1970年にカーリーは交通事故によって命を落としてしまいました。ですがその間、カーリーはたくさんの子どもを遺し、今現在でもブリーディングは続いています。ちなみにアメリカでは1979年に、「CFA」で品種登録が認められました。

出典:https://pixabay.com/images/id-2740865/

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デボンレックスのQ&A

デボンレックスの名前の由来は?

イギリスの「デボン州」で誕生したことから、地名をとり、巻き毛という意味の「レックス」を組み合わせて、デボンレックスと名づけられました。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Saucer-eyed_Devon_Rex.jpg


デボンレックスのカラーバリエーションは?

■ボディカラーの種類

ブルー、ブラック、ホワイト、レッド、クリーム、ラベンダー、チョコレート、シナモン、フォーンがあります。

■模様や配色の種類

・ソリッドカラー
顔や体、脚やしっぽなど体全体が単色

・タビー
全体的にしま模様や斑点(はんてん)模様がある

・シルバー&ゴールデン
毛先のみに色がつき、根本は白色もしくは淡い色の構成

・スモーク&シェーデッド
オーバーコートの先端1/2に色がつき、残りの1/2は白色の構成

・パーティーカラー
2色の毛色がランダムに入っている

・キャリコ&バイカラー
体の1/2、もしくは1/3が白色で残りは2色以上の毛色構成

・タビー&ホワイト
体の1/2、もしくは1/3が白色で残りはしま模様や斑点模様の構成

・ポインテッド
頭や耳、脚やしっぽなど体の一部に色がついている

・ポインテッド&ホワイト
体の一部に色がついていて、白色が混ざっている

■アイカラーの種類

サファイアブルー、ブルー、イエロー、ゴールド、アクア、グリーン、ヘーゼル、オレンジ、カッパー、オッドアイがあります。

■毛種

デボンレックスは短毛種(たんもうしゅ)のみです。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Devonrex.JPG


デボンレックスの外見はどんな感じ?

幅広で小さい頭、たまご型の大きな目。小顔ですが耳は大きく、体型はセミフォーリン。顔と耳のアンバランスさがあいまって、「エイリアンキャット」という面白いニックネームもついています。筋肉質&スレンダーボディのデボンレックスですが、何といっても一番の特徴は「被毛が巻き毛」であることです。

まるでビロードのような手触り。そんな風に例えられるデボンレックスの巻き毛ですが、実はカールが弱めで、どちらかというと緩いウェーブがかかったような見た目をしています。

デボンレックスのような巻き毛ネコは、皮脂の分泌量が多く、他の品種と比べてこまめなお手入れが必要になる場合もあるんだとか。そのため子ネコのうちに、シャンプーとブラッシングに慣れさせるのがオススメです。

ですが、あまりにもブラッシングをし過ぎてしまうと、大切な巻き毛のカールが取れてしまうこともあるので、被毛のお手入れは少しずつ様子を見ながら行なうのがベストです。基本的には1週間に数回のブラッシングから試してみてください。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Devon_Rex_Izzy.jpg


デボンレックスの耳が大きいのはどうして?

結論からいうと、はっきりとした理由は現在でも不明です。デボンレックスは計画的近親交配で数を増やしていったため、例えばペルシャやブリティッシュ・ショートヘアといった他のネコの血は混ざっていません。ただ、近親交配は見た目に特徴が出やすい場合もあるので、もしかるすると、近親交配が影響した可能性はあります。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Rackartuss_Hiawatha_-DRX_a_09_22-_male_EX1_CAP_PR.JPG


デボンレックスを購入するにはどれくらいかかるの?

デボンレックスは日本だとまだまだ珍しい存在なので、ペットショップで見かけることはほとんどありません。ブリーダーやキャッテリーから購入するのがスタンダートです。価格は20~45万円ほどで、他の品種より高額に設定されている場合が多いといえるでしょう。

ブリーダーやキャッテリーでは、どんな環境で育ってきたのか?両親はどんなネコなのか?このようなポイントを確認できるのが長所です。またブリーダーの人柄によって信頼度が変わるため、予約してから見学に行くことをオススメします。

同じブリーダーでも「キャッテリー」の場合はまた別で、名乗るには血統書発行団体である「CAF」、「TICA」の認定が必要になります。そんなキャッテリーで育てられたネコは、一般ブリーダー元で購入するより、高額になるケースが多く見られます。

ちなみに値段に幅が出てしまう条件について何点か紹介します。

・子ネコであること
・血統が優秀であること
・珍しいカラーや模様を持っていること

他に条件はあるものの、特に上記条件に当てはまると高額になるようです。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:DevonRexKittens.jpg


デボンレックスの性格や特徴をもっと詳しく知りたい!

①好奇心旺盛で元気いっぱい!

「いたずら好きな妖精」とも呼ばれるデボンレックスは、とにかく活発で冒険心が強い性格です。飼い主さんが仕事中や勉強中でも、好奇心旺盛なので何をしているのか気になってしまい、肩に乗りながら様子を見ることもあるんだとか。そのため、ネコとコミュニケーションを取りながら、たくさん遊びたい!という方にはピッタリの品種です。

②退屈になるのは苦手、遊ぶことが大好き!

のんびりまったりと過ごすより、アクティブに動き回ることを好むので、退屈になるのを嫌います。飼い主さんがなかなか構ってくれないと、自分からいたずらを仕掛けて「遊びたい!」アピールをする場面も。四六時中一緒にいるのは難しいかも知れませんが、できるだけ、コミュニケーションの時間を作ってあげてくださいね。

③人懐っこくて、まるでイヌのような一面も?

デボンレックスには、他のネコではあまり見られない感情表現方法があります。それは嬉しいとき、「しっぽを振り振りして感情を表す。」というものです。ネコがしっぽを振る光景はさほど珍しくありませんが、「嬉しい!という感情を素直に表わすため、しっぽを振る。」というのがポイントです。

その光景がイヌみたいなので、別名「プードルキャット」なんて呼ばれることも。それ以外にも、移動する飼い主さんの後を追いかけていったりなどと、愛情表現がストレートなので見ていて飽きないネコといえるでしょう。

④アレルギーの出にくいネコ

デボンレックスは「ネコアレルギー」が出にくい品種といわれています。このようなネコを「ハイポアレジェニック・キャット」と呼びますが、他にも「ロシアンブルー」や「サイベリアン」などもハイポアレジェニック・キャットの仲間です。デボンレックスの場合被毛が巻き毛なので、アレルギーの原因物質となる抜け毛が少なく、結果アレルギーが出にくいとのこと。

ですが、アレルギー症状が出るかどうかは個人差があるため、絶対に大丈夫!とはいい切れません。あくまでも「他のネコと比べたらアレルギーが出にくい。」といった感じなので、ネコアレルギーの自覚症状がある方は、飼育する前に一度病院で相談することをオススメします。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Devonrexheater.jpeg


デボンレックスのかかりやすい病気ってなに?

デボンレックスのかかりやすい病気は、「肥大型心筋症(ひだいがたしんきんしょう)」、「皮膚炎(ひふえん)」、「脱臼(だっきゅう)」、そして病名と異なりますが、「輸血による拒絶反応(きょぜつはんのう)」を起こす可能性があります。

①肥大型心筋症

心臓の筋肉が厚くなり、それによって心臓の収縮が上手くいかなくなってしまう病気です。遺伝が原因で発症することが多いため、具体的な予防法はまだ見つかっていません。

発病後、目立った症状が出ない場合もあるため、気づいた時には血栓症(けっせんしょう)を併発していることもあり、最悪の場合死に至るケースもあります。では、病気を早期発見するためにはどうすれば良いのでしょうか?結論としては定期健康診断を受けるのが重要になります。

肥大型心筋症はまだ画期的な治療法がないので完治は難しいですが、早ければ早いほど対症療法(たいしょうりょうほう)によって病気の進行を遅らせることは可能です。

②皮膚炎

外見のQ&Aでもご紹介しましたが、デボンレックスは他のネコと比べて皮脂の分泌量が多く、そのため皮脂を放置してしまうと「真菌症(しんきんしょう)」や「脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)」といった皮膚病を発症する可能性があります。こまめなブラッシングやシャンプーにより予防できる病気なので、是非しっかりしたお手入れを心掛けてくださいね。

③脱臼

骨と骨をつなぎ合わせる関節部分が、本来の位置から外れてしまった状態です。脱臼自体はケガが原因で発症することもありますが、デボンレックスの場合、関節の形成不全で脱臼を引き起こす場合も。関節の形成不全は遺伝性疾患のため、今のところ予防が難しいといわれていますが、脱臼の治療方法は存在します。

ですが、体質や早期発見によって選べる方法が異なるので、もし飼っている子が「歩き方がおかしい」、「後ろ脚を引きずるようにして歩いている」、「足の長さに左右差がある」このような状態になっていたら、早めに動物病院を受診してください。

④急性拒絶反応

デボンレックスはネコにしては珍しく、B型もしくはAB型の血液を持つ個体がいます。万が一、BやAB型のネコが事故や病気などで輸血が必要になった際、BやAB型以外の血が混じってしまうと急性拒絶反応を起こす可能性があり、最悪の場合死に至るケースもあります。そのため、前もって飼い猫の血液を検査し、型を把握しておいた方が良いでしょう。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:DevonRexCat.JPG


デボンレックスの寿命は?

デボンレックスの寿命は10~15年といわれています。一般的なネコの寿命は12~16年なので、やや短めといえるでしょう。ですが病気や怪我にならないよう、気をつけてお世話をしてあげれば、長生きする場合もあります。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:DRX_Jesterex_Milky_Way_(6741161947).jpg

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参考文献

まるごとわかる猫種大図鑑 監修:CFA公認審査員 早田由貴子

世界中で愛される美しすぎる猫図鑑 監修 今泉忠明

The Cat Fancier’s Association, Inc.
https://cfa.org/devon-rex/

猫との暮らし大百科
https://www.anicom-sompo.co.jp/nekonoshiori/

みんなの猫図鑑
https://www.min-nekozukan.com/

Pet Smile news forネコちゃん
http://psnews.jp/cat/

子猫のへや
https://www.konekono-heya.com/sitemap.html

ねこちゃんホンポ
https://nekochan.jp/

公益社団法人 埼玉県獣医師会
https://www.saitama-vma.org/topics/猫の遺伝性疾患について/

アイキャッチ画像
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Devon_rex_izzy_2.jpg