ブルドッグ

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皆さんはブルドッグと聞いたとき、どんなイヌを思い浮かべますか?
トゲトゲのついた首輪をしている凶暴そうなイヌ?それともテレビでチンパンジーと一緒にお散歩していたイヌ?はたまた、調味料のソース?なんて方もいるかも知れませんね!
一度見たら忘れられない風貌の怖そうな顔をしたブルドッグ。
でも実はブルドッグには意外な性格、そしてブルドッグならではのある困ったこともあるんです。その秘密を一緒に覗いてみませんか?

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~基本情報~

原産国 イギリス

体高 36~38cm

体重 オス:23kg メス:18kg

現在では愛嬌たっぷりの顔がペットとして人気のあるブルドッグですが、もともとブルドッグの祖先は雄牛(おうし)と戦うための闘犬(とうけん)として活躍していた犬だったといわれています。

イギリスでは屠殺(とさつ)する雄牛と犬を戦わせ、その光景を見て楽しむ競技、通称「ブル(雄牛)・ベイティング(咬みつく)」が13世紀頃から始まっていたと考えられており、19世紀に入ると貴族から庶民まで楽しめる娯楽となっていきました。

ところがその残酷な競技性が問題視されるようになり、1853年には動物愛護の観点からブル・ベイティングは法律で禁止となります。

ブルドッグたちは主に闘犬用として飼育されていたため、ブル・ベイティングが禁じられた際、存在価値がないとみなされ一時は絶滅の危機に追いやられていたそうです。

ですがこの状況をなんとかしようと、一部の愛好家やブリーダーの手によりブルドッグをペット用として飼えるよう試行錯誤しながら交配を重ねます。その結果、闘犬の特徴でもある闘争心や強い攻撃性をなくし、ブルドッグは優しくて穏やかな性格のイヌに生まれ変わることができました。 見た目は怖そうなブルドッグですが、穏やかな性格とのギャップもあってか、今では世界各地で人気のある犬種として名を広めています。

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ブルドッグのQ&A

ブルドッグの名前の由来は?

ブルドッグのブルは日本語で「雄牛」という意味が、ベイティングには咬みつくという意味があります。雄牛に咬みついて痛めつけるための闘犬(とうけん)として開発されたため、ブルドッグという名前がついたそうです。

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ブルドッグのカラーバリエーションは?

ホワイト、レッド、フォーン(金色がかったブラウン)、ファロー(淡いイエロー)、ブリンドル(霜降りに似たしま模様)、パイド(白地に1~2色のまだら模様が入る)などがあります。

ブルドッグは何グループ?

JKC(ジャパンケネルクラブ)やFCI(国際畜犬協会)のルールに従った分け方の場合、「第2グループ」になります。

番犬や警察犬、また人間と一緒に作業を行なう「使役犬(しえきけん)」として活躍しているイヌが所属しています。

第2グループの犬種は、番犬としての役割を担うことが多いため、大きくて強靭(きょうじん)、そしてたくましい体をもつ犬が多いのが特徴的です。

基本的に警戒心(けいかいしん)が強く、攻撃性も強い性格の持ち主ですが、自分の家族や飼い主に対しては愛情深く接し、従順で忠誠心(ちゅうせいしん)が高い一面もあります。 そのため飼育の際は、飼い主さんが第一位のリーダーであることを認識させる必要がありますが、しっかりと信頼関係を築ければ、とても頼りがいのあるパートナーになってくれることでしょう。

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ブルドッグの外見はどんな感じ?

なんといっても特徴的なのは、鼻ぺちゃ&丸く折れた耳、皮膚がたるんでしわしわ&ダブダブになった愛嬌たっぷりの顔です。体にも皮膚のたるみが見られますが、顔ほどではありません。

コロコロした丸っこい体型に加えこのたるみのせいで、ぱっと見「おデブちゃん??」と誤解されやすいのですが、触ってみると意外にも筋肉質でがっしり体型なのです。ですがブルドッグは短足なので、肥満になると足腰に負担がかかってしまう恐れがあります。皮膚のたるみで気づきにくいかも知れませんが、体重管理には十分注意しましょう。

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ブルドッグの顔はなぜたるんでいるの?

基本情報でもご紹介したとおり、ブルドッグはもともと闘犬として活躍していました。闘犬は戦いを有利にするため、品種改良されることがあります。ブルドッグも例外ではありません。

雄牛に咬みつく際、マズルの長いボルゾイのような長頭種(ちょうとうしゅ)だと鼻が押しつぶされて呼吸がしづらくなり、長い時間咬みつくことができません。

一方、マズルの短い鼻ぺちゃの短頭種(たんとうしゅ)なら鼻が押しつぶされないので、長時間咬みついていられます。つまり、雄牛に長時間咬みついていられるようブルドッグは改良され、その結果鼻が短くなり、顔の皮膚もたるんでいったという訳です。

出典:https://unsplash.com/photos/ghzd07lZOIc

ブルドッグマークのソースはなぜ「ブルドック」なの?

「ブルドッグ」と聞いて、ブルドックソースを思い浮かべた方も多いのではないでしょうか?そもそもなぜソースのラベルにブルドッグが採用されたのかというと、ソースの発祥地である当時のイギリスではブルドッグが家庭犬として人気を集めていました。

これを知った当時の食料品卸商三澤屋商店(のちのブルドックソース株式会社)は、このソースもブルドッグのようにたくさんの人に愛され親しんでもらいたい!という気持ちを込めてブルドックソースと名づけたそうです。 ちなみにお気づきの方もいると思いますが、よく見ると「ブルドッグソース」ではなく、あえてグの濁点をとり「ブルドックソース」と名づけたのは、濁音が続くと語感が悪い。という理由で濁点をつけなかったといわれています。

ブルドッグは自然分娩が難しいって本当?

本当です。ではブルドッグのお母さんが赤ちゃんを産むときどうするのかというと、「帝王切開(ていおうせっかい)」というお腹と子宮を切開して赤ちゃんを取り出す方法でお産を行ないます。全体の90%以上が帝王切開にてお産をするため、ブルドッグの出産には獣医師をはじめとする専門家の協力が必要です。では一体なぜ、ブルドッグは自然分娩が難しいのかというと、理由は大きく分けて2つあります。

①ブルドッグの骨盤は小さく、産道(赤ちゃんの通り道)も狭いため赤ちゃんが出てくるのがとても難しい。

②赤ちゃんの頭は産道よりも大きすぎるので、自然分娩だとお母さんの負担がかかりすぎる。

以上の理由により、ブルドッグは自然分娩が難しいといわれています。でも実は100%自然分娩が不可能。という訳ではありません。とても珍しい話ですが、何らかの理由でブルドッグのお産を自然分娩で行なうケースもゼロではないそうです。

しかし、ブルドッグが自然分娩を行なうと、お母さんはとても長い時間痛みに耐えなくてはならず、体力も消耗し、最悪の場合母子ともに死んでしまう可能性もあるのです。ブルドッグのお母さんの気持ちを考えるなら、少しでもお産を楽にできる方を選んであげたいですね。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Miniature_Australian_Bulldogs.jpg

ブルドッグを購入するにはどれくらいかかるの?

ブルドッグはペットショップだと20~30万円、ブリーダーから購入する場合は50万円前後かかります。なかには100~200万円の値段がつけられるブルドッグもいるそうです。購入を検討する際、お気に入りの子が見つかったら、一度見学に行くのが良いでしょう。

さらに、ブリーダーには上段資格をもつ「シリアスブリーダー」と呼ばれている方たちがいます。日本には約2万犬舎があるといわれていますが、そのなかでもシリアスブリーダーはわずか5%にも満たないそうです。そのため一般ブリーダーから購入するよりも、シリアスブリーダーから購入する方が高額になります。

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ブルドッグの性格や特徴は?

①ちょっと怖い顔?でも性格は温厚!

元闘犬、そして独特な顔つきから一見凶暴そうなブルドッグですが、実は穏やかな性格の持ち主です。子どもにも優しく、飼い主さんには甘えん坊な一面を見せてくれます。また、楽しそうな顔や怒られて反省しているときの顔など、いろいろな表情を見せてくれるので感情豊かな犬種といえるでしょう。

出典:https://unsplash.com/photos/L3QaPU8ByLY

②飼い主さんには忠実だけど、ときに頑固な一面も?

表情豊かで、飼い主さんにも甘えん坊な一面を見せてくれるブルドッグですが、なにかの拍子でかたくなに頑固な態度を見せることがあります。好みじゃないエサを出されたり、基本ブルドッグは運動が苦手なので、ときには散歩の途中で飽きて動かなくなってしまうことも。

状況によっては、ブルドッグのいうことを聞いてあげた方が良い場合もあるかも知れませんが、しつけの段階でこれを繰り返すと、将来ワガママで手がつけられない子になってしまう可能性があります。ダダをこねても「ダメなものはダメ!」と心を鬼にして接することも必要です。

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③しつけは子イヌのときから行ないましょう!

まずはじめに、イヌには「社会化期(しゃかいかき)」という時期があります。生後3週~12週齢がイヌの社会化期といわれており、この時期に行なうしつけは今後愛犬と楽しく暮らしていくためにも必ず必要なトレーニングといえるでしょう。

⑴トイレトレーニング

トイレは指定の場所で上手にできたとき、褒めて覚えさせましょう。

⑵甘噛みをやめさせる

子イヌのときは良いのですが、成犬で甘噛みされるとケガのもとになってしまいます。

人の手の代わりに噛んでも良いおもちゃを与え、もし飼い主さんの手を甘噛みしてきたら怒鳴らず低い声で「痛い」と一喝(いっかつ)した方が良いでしょう。

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⑶人に触られることに慣れされる

体調不良になったときはどうしても動物病院へ行かなければなりません。そのとき知らない人に体を触られても暴れないよう、普段から飼い主さんがたくさん愛犬とスキンシップをとって、人との触れ合いに慣れさせるのがベストです。

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⑷クレートに入っても怖くないことを覚えさせる

動物病院に行くとき、あるいは災害が起きたときはどうしてもクレートの中へ愛犬に入ってもらう必要があります。ブルドッグは中型犬なので、飼い主さんが抱っこしつつクレートに入れることも可能ですが、嫌がって噛みつく場合があります。ですので、なるべく自分から入ってくれるようしつけるのが大切です。飼い主さんの指示で上手に入ってくれたら、おやつのご褒美をあげて、クレートの中は怖くないんだ!と認識させるのがコツです。

散歩はイヌを飼うにあたって、必要不可欠なことです。そのため生後3ヶ月頃までは飼い主さんが抱っこして外に連れ出すことから始めてみましょう。少しずつ外の世界に慣れてきたら、リードを繋いで自分の足で歩いてもらうことを覚えさせます。歩くときもただ引っ張れば良いのではなく、最初は飼い主さんが愛犬の歩調にあわせてあげることからスタートさせるのがベストです。

その他「コマンドトレーニング(お座りや待てといった指示に従わせること)」や「お留守番に慣れてもらう」といったことも大切なのですが、社会化期が過ぎてからでも覚えさせることができますので、子イヌのうちにやるべきことから始めていきましょう。

ブルドッグに必要な運動量やお手入れ方法は?

イヌは犬種を問わず、散歩を必要とする動物です。犬種によって散歩時間や回数は異なりますが、ブルドッグは時間を分けて10分を1回ずつ、合計20分の散歩が必要です。

ブルドッグの被毛は短いので、獣毛(じゅうもう)ブラシを使ってブラッシングを行ない、固く絞ったタオルで体や顔周りのしわを中心に丁寧に拭いてあげましょう。できれば毎日行なうのがベストですが、短毛なので週1回でも大丈夫です。シャンプーは月1~2回の頻度で行ないましょう。

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ブルドッグのかかりやすい病気ってなに?

ブルドッグに限らず、ほとんどの犬種でイヌは人間よりも体毛が多く、その分皮膚がデリケートなため「皮膚病(ひふびょう)」になりやすいといわれています。

また顔の作りから眼球が人間よりも前に出ていることも多いため、目を怪我してしまう、もしくは遺伝的な理由が原因で「眼疾患(がんしっかん)」にもなりすいです。

上記の特徴を踏まえた上で、ここではブルドッグが注意したい病気について詳しく見ていきましょう。

まずブルドッグは皮膚病である「皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)」、眼疾患である「チェリーアイ」、そして「鼻腔狭窄(びくうきょうさく)」にかかりやすいといわれています。

①皮膚糸状菌症

皮膚糸状菌症とは「糸状菌」というカビの1種が皮膚に侵入し、炎症を引き起こす病気です。特に目や耳、口など比較的皮膚の柔らかい部分に発症しやすいといわれています。またブルドッグの場合、顔周りの皮膚がたるんでいるため他の犬種よりも感染率が高いようです。具体的な症状はかゆみや脱毛、フケや赤い発疹(ほっしん)が見られます。

治療法は飲み薬やかゆみ止めが使われることが多いのですが、状況に応じて抗菌(こうきん)作用のある薬用シャンプーも使用します。ブルドッグのお手入れ方法は?の見出しでもご紹介したとおり、皮膚のたるみがある部分は特にこまめに拭いてあげると良いでしょう。食事の後や散歩から帰ってきた後も拭いてあげると、なお良しです。

②チェリーアイ

イヌは目頭の内側に第三眼瞼腺(だいさんがんけんせん)という部位があります。ひと言でいうなら人間にはない第三の瞼(まぶた)ということです。この第三眼瞼腺が外側に飛び出して赤く腫れあがってしまう病気です。見た目がさくらんぼのように見えるためチェリーアイと呼ばれていますが、正式には第三眼瞼腺脱出といいます。

目頭が真っ赤に腫れてしまうので、飼い主さんもすぐ異変に気付きやすい病気ですが、チェリーアイになる原因としては先天性(せんてんせい)のものだったり、目のケガがきっかけで発症することが多いです。基本的には点眼薬と飲み薬で治療しますが、症状がひどい場合は外科手術を行なうケースもあります。

③鼻腔狭窄

主に短頭種がかかりやすい病気です。短頭種は頭蓋骨の幅に比べて鼻の長さが極端に短いため、長頭種よりも鼻腔が狭いのが特徴です。そのため鼻腔狭窄をはじめとする呼吸器系の病気にかかりやすいといわれています。

原因は先天的な場合が多いため、残念ながら今のところ予防方法はありません。また他にも感染症やアレルギーなど鼻粘膜の炎症がきっかけで発症することもあります。日常生活で特に支障がなければしばらく様子を見ますが、もし重症化した際は鼻腔を広げる手術を行ないます。

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ブルドッグの寿命は?

ブルドッグの寿命は8~10年といわれています。小型犬~大型犬までを含めたイヌ全体の平均寿命はおよそ14年なので、平均より短いといえるでしょう。

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参考文献

よくわかる犬種図鑑ベスト185 動物ジャーナリスト藤原直太朗

まるごとわかる犬種大図鑑 監修 若山動物院院長 若山正之

AMERICAN KENNEL CLUB
https://www.akc.org/dog-breeds/bulldog/

THE KENNEL CLUB
https://www.thekennelclub.org.uk/search/breeds-a-to-z/breeds/utility/bulldog/

JAPAN KENNEL CLUB
https://www.jkc.or.jp/archives/world_dogs/2711

犬との暮らし大百科
https://www.anicom-sompo.co.jp/inu/

みんなの犬図鑑
https://www.min-inuzukan.com/

Pet Smile news forワンちゃん
https://psnews.jp/dog/

子犬のへや
https://www.koinuno-heya.com/

わんちゃんホンポ
https://wanchan.jp/

アイキャッチ画像
https://unsplash.com/photos/viklGGAWECc