ボブキャット
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あなたはボブキャットという、体の割に短いしっぽが特徴のネコ科動物を知っていますか? ボブキャットは北アメリカに生息するヤマネコの仲間で、体の大きさはペットの猫の2~3倍もあります。 彼らは絶滅が心配される動物が多い中、今でも生息数を増やしていると考えられているたくましい動物でもあります。 この記事でボブキャットにはどんな特徴や秘密があるのか、一緒にその暮らしをのぞいていきましょう!
ボブキャット 基本情報
哺乳綱(ほにゅうこう)食肉目-ネコ科
体長 65~105cm 体重 4.1~15.3Kg
ボブキャットは北アメリカに生息するヤマネコの1種で、体の大きさはイエネコの2~3倍ほどあります。体の色は赤みがかった茶色かくすんだ褐色で、全身に黒色の斑点模様(はんてんもよう)が入ります。最大の特徴はしっぽが短いことで、その長さは通常20cm以下だといわれています。また三角形の耳の先端に黒くて短い房毛(ふさげ)が生えること、頬に長く伸びる頬毛が生えることもボブキャットの特徴といえます。
ボブキャットの繁殖期は年に1回で、春に出産の時期を迎えることが多いようです。オスは生後12~18カ月ほど、メスは12カ月ほどで性成熟(せいせいじゅく)を迎えて、繁殖ができるようになります。メスの妊娠期間(にんしんきかん)は60~70日ほどで、1回の出産で1~4頭の赤ちゃんを産みます。ボブキャットの赤ちゃんは生後2~3カ月ほどで離乳し、生後9~24カ月たつと独り立ちしていきます。
ボブキャット Q&A
ボブキャットの名前の由来は何?
ところでボブキャットという、聞きなれない名前にはどんな由来があるのでしょうか? ボブキャットという名前の由来はその短いしっぽにあり、「しっぽが短い(Bob tail・ボブテイル)猫(Cat・キャット)」ということで“ボブキャット”という名前が付けられました。
ボブキャットの学名は「Lynx rufus」で、“Lynx”にはオオヤマネコという意味が、“rufus”には赤みがかったという意味があります。英語では「Bobcat(ボブキャット)」「Red lynx(レッドリンクス)」と呼ばれていて、日本では別名の「アカオオヤマネコ」と呼ばれることもあります。
ボブキャットはどうしてそこに住んでいるの?
ボブキャットはカナダとアメリカ、メキシコにかけた北アメリカの広い範囲に生息しています。
ボブキャットは環境への適応力が非常に高く、身を隠せる場所さえあればどのような環境でも暮らせると考えられています。どうやら森林や草原だけでなく、砂漠や半砂漠、海岸、湿地帯でも問題なく生活し、雪が降る地域でも暮らせるようです。
ボブキャットがなぜ北アメリカに生息しているのか、詳しい理由はわかりませんでした。しかし北アメリカには同じネコ科動物のピューマやカナダオオヤマネコなどが生息していることを考えると、アメリカにはネコ科動物にとって生息しやすい条件が揃っているのかもしれません。
ボブキャットは何を食べているの?
ボブキャットは肉食性の動物で、主に小動物(ウサギやネズミ、リスなど)や鳥類(ライチョウ、シチメンチョウ、ウズラなど)とその卵、魚やカエル、ザリガニなどを食べて暮らしています。ボブキャットは非常に優秀なハンターで、1回のジャンプで3mほど跳び、時には自分よりもはるかに体が大きいシカやヒツジといった動物を捕まえることもあります。
ボブキャットの狩りは主に夜行われますが、生息地や個体によっては昼夜問わず狩りをすることもあります。また主に狩りをする場所は地上ですが、木登りをして木の上にいる獲物を捕まえたり、水面にいる水鳥を捕まえたりすることもあります。
動物園ではボブキャットのエサとして馬肉や鶏肉、レバーやヒヨコなどを与えているようです。
ボブキャットはどんな性格なの?
ボブキャットは用心深くて警戒心(けいかいしん)が強く、繊細(せんさい)な性格だといわれています。
そのため北アメリカには数多くのボブキャットが生息しているものの、普通に生活をしていると観察をすることはおろかその姿を見かけることすらほとんどないようです。
ただしボブキャットは身の危険を感じた時、飢えている時はひどく獰猛(どうもう)になる傾向があるようです。
ボブキャットはなぜしっぽが短いの?
ボブキャットといえば名前の由来にもなっている短いしっぽが特徴的ですが、なぜ彼らのしっぽは短いのでしょうか?今回さまざまな情報を調べましたが、残念ながらボブキャットのしっぽが短い理由ははっきりとわかりませんでした。
動物のしっぽは人間の手のような役割を持っていて、高い所に上る・下りる時や走る時にバランスを取る、寒い時に体に巻き付けて暖を取る、枝などに巻き付けて体を支える・ぶら下がるといったさまざまな使われ方をしています。例えばボブキャットと同じネコ科動物である「チーター」はしっぽを高速で走る時に振ってバランスを取るために、「ユキヒョウ」はしっぽを体に巻き付けて凍てつくような寒さから身を守るために使っています。
しかしこの記事の主役であるボブキャットのしっぽはとても短く、バランスや暖を取るためにはとても使えそうにありません。なぜボブキャットのしっぽが短いのか、その理由がはっきりわかる日が来ることを待ちたいものです。
なおボブキャットと同じオオヤマネコの仲間である「ユーラシアオオヤマネコ」、「スペインオオヤマネコ」、「カナダオオヤマネコ」もしっぽが長くありません。この事から考えると、オオヤマネコにとってはしっぽが短い方が良い理由があるものと思われます。どのオオヤマネコもしっぽをピクピクとよく動かすため、もしかしたら短いしっぽを動かして自分の感情を現したり、仲間に何か伝えたりしているのかもしれません。
ボブキャットは泳ぎが得意って本当?
本当です。 ボブキャットはネコの仲間ですが泳ぎが上手く、生息地では川を泳いで渡っている姿がよく目撃されています。寒くなければ自分から進んで水に入るようで、川に入ってサケやナマズなどの魚を捕まえたり、敵に襲われた時に川を泳いで逃げたりすることもあるようです。
ボブキャットが人を襲うことはあるの?
ボブキャットは警戒心が強い動物であるため、自分から人を襲うことはほぼありません。ただし追い詰められて身の危険を感じたボブキャットが人に襲いかかり、ケガをさせたという事例はあるようです。
また狂犬病にかかってしまったボブキャットについては、無差別に人やペットの動物に襲いかかることが知られています。実際に2018年にはアメリカのジョージア州で、2021年にはノースカロライナ州で突然野生のボブキャットに襲われたという事例があり、どちらもボブキャットが狂犬病にかかっていたことが明らかになっています。万一アメリカでボブキャットに遭遇して襲われてしまった時は狂犬病を疑い、ただちに病院に行ってください。
ボブキャットはペットとして飼えるの?
ところで日本国内において、ボブキャットをペットとして飼うことはできるのでしょうか?
ボブキャットは日本の法律で人の命や財産に危険を及ぼす可能性がある、「特定動物(とくていどうぶつ)」に指定されています。令和2年6月1日以降新たに特定動物を愛玩目的(あいがんもくてき・ペットとして飼うこと)で飼うことは全面的に禁止されたため、日本国内においてボブキャットをペットとして飼うことはできません。
なお1800年代のアメリカでは、ボブキャットを飼いならそうと挑戦した人が何人もいたようです。ボブキャットの慣れやすさは個体差があるのか、人によく慣れてイエネコのように甘えてくる個体がいると思えば、生後2週間ほどで捕獲されても人に全く慣れない個体もいたという記録が残っています。
ボブキャットが見られる動物園はあるの?
ボブキャットは日本国内では唯一、兵庫県の「神戸市立王子動物園」で飼育されています。
かつては鹿児島県の「鹿児島市平川動物公園」、愛知県の「東山動植物園」でも飼育されていたようですが、今は飼育されていません。
ボブキャットはどのくらい生きるの?
ボブキャットの野生下における最長の寿命は23年ですが、通常は10~12年ほどだと考えられています。
飼育下における最長の寿命は32年で、ネコの仲間の中でもかなり長生きできる素質を持っているようです。
ボブキャットにはどんな敵がいるの?
野生におけるボブキャットの天敵は、ピューマやコヨーテ、ハイイロオオカミ、アメリカアリゲーターなどの肉食動物だといわれています。民家の近くでは時に、ペットのイヌに襲われてしまうこともあるようです。
しかしボブキャットにとって、一番の敵は私たち人間です。ボブキャットはペットや家畜(イヌ、ネコ、ニワトリ、ヒツジなど)を襲うことがあり、時に害獣として扱われることがあります。さらに大型ネコ科動物(トラやヒョウなど)の毛皮が取引を規制され、貴重になる中で特に大きな制限を受けていないボブキャットの毛皮は世界中で重宝されています。このような理由から今でも一部の地域ではボブキャットの狩猟が許可されていて、毛皮目的や娯楽目的で年間5万頭以上のボブキャットが捕獲されています。
ボブキャットはこれだけの数が捕獲されているにも関わらず、特に生息数は減っていないようです。今もアメリカだけでも100万頭をこえるボブキャットが生息していて、全体として見るとその生息数は増加傾向にあると考えられています。しかしいくら生息数が多くても、乱獲されてしまえばじわじわと数が減ってしまうかもしれません。そしてかつてアメリカに50億羽いたといわれながらも乱獲された末に絶滅してしまった「リョコウバト」のように、ある一線をこえると一気に絶滅に向かってしまう可能性もゼロとはいえません。人間による環境破壊にも負けずに生きるたくましい動物、ボブキャット。今後も彼らの繁栄が続いていくことを願いたいものです。
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ボブキャット 参考文献
- 今泉 忠明(2004年)『野生ネコの百科』データハウス
- ルーク・ハンター,プリシラ・バレット(2018年)『野生ネコの教科書』エクスナレッジ
- アーネスト・トンプソン シートン(1997年)『シートン動物誌〈2〉オオカミの騎士道』紀伊國屋書店
- 鹿児島市平川動物公園「動物図鑑 ボブキャット」 https://hirakawazoo.jp/zukan/bunrui/mammal/188
- ナショナルジオグラフィック「動物大図鑑 ボブキャット」 https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20141218/428904/
- CNN.co.jp「狂犬病のボブキャット、妻襲う 夫格闘し投げ飛ばす 米」 https://www.cnn.co.jp/fringe/35169790.html
- CNN.co.jp「狂犬病のボブキャットに襲われた女性、素手で撃退 米」 https://www.cnn.co.jp/fringe/35120989.html
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