ミジンコ
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ミジンコ
ミジンコはとても小さなプランクトンの一種ですが、注目する機会はあまりないのではないでしょうか? しかし、ミジンコはどこにでもいるとても身近な生き物で、小さいながらも面白い生態をしています。水面に小さいたくさんのミジンコが泳いでいる姿を観察すると意外に楽しいものですよ。 今回は、ミジンコの生態や特徴について解説していきましょう。
ミジンコ 基本情報
甲殻類 双殻目(そうかくもく)ミジンコ亜目
中型種 体長1.5-3.5mm、大型 5.0mm
ミジンコは初夏の頃になると、日本各地の田んぼや浅い池、水路などに大量にわいてきます。
淡水生物のエサとして重要な存在であり、ミジンコのおかげで淡水魚の稚魚や両生類の幼生が育つことが出来ると言っても過言ではありません。
体の大きさはとても小さいので、動いている姿は肉眼で見ることができても、細かい部位や内臓などは見えません。
日本には、90種類ほどのミジンコの仲間がいますが、どれもとても小さく、中には海に住んでいるものもいます。
ミジンコ Q&A
ミジンコの名前の由来は?
ミジンコは、とても小さな生き物です。
そのため、ちりやホコリなどのように細かいものの「微塵(みじん)」というところから名前がつけられています。
「微塵(みじん)」に「かわいい」「小さい」という意味を表す「子」をつけて、「微塵子(ミジンコ)」と呼ばれるようになりました。
ミジンコはどうしてそこに住んでいるの?
ミジンコは、大きな湖から小さな水たまりまで淡水域のいたるところに生息しています。
主に細菌や植物プランクトンを食べる動物プランクトンで、水の汚れの原因となる植物プラクトンを食べることで量を抑制するという役割を果たしています。
植物プランクトンは水質汚染の原因になるものですが、ミジンコが植物プランクトンを食べることで水質の悪化を防止し、生態系の保持に役立っているのです。
ミジンコは何を食べているの?
ミジンコは、水の中のプランクトンなどの微生物、ミカヅキモやゾウリムシ、ワムシなどの植物プランクトンを食べています。
ミジンコの種類や成長段階によって口の大きさが異なりますので、それぞれの口のサイズに合ったものを食べているのです。
植物プランクトンを食べる時には、腹側にある胸脚(きょうきゃく)を動かして水の流れを作り、第3胸脚(きょうきゃく)にある毛で流れに運ばれてきた食べ物をろ過して口に運び、食べます。
第3胸脚(きょうきゃく)には、ろ過肢毛(しもう)という細かい毛がたくさん生えていて、さらに1本のろ過肢毛にはさらに細かい毛が生えています。
この細かい毛で、食べ物のつぶをろ過しているのです。
ミジンコは触覚で動く?
ミジンコは、体からはりだした枝のような第2触覚を動かして泳いでいます。
第2触覚は、複眼の後ろから出ていて体の左右に1本ずつある触覚です。
2本に枝分かれしていて、4本と5本の遊泳剛毛(ゆうえいごうもう)という毛があり、これを振って動かすことによって水をとらえ、泳ぎ進むことができるというわけです。
ミジンコはピコピコと動きますが、第2触覚を振るたびに進んでは止まり、進んでは止まるという感じで動いているからなんです。
ミジンコが増えすぎることはないの?
ミジンコは冬を越し、春に生まれてすぐに成長します。
そして、夏にかけてどんどん増えていきます。
しかし、ミジンコはメダカなどの小魚やイモリ、サンショウウオ、エビ、ヤゴなどに食べられます。
また、体の大きなミジンコも小さなミジンコを食べてしまいます。
ですから、水の中でミジンコが増えすぎてしまうということはないのです。
ミジンコは形を変える?
ミジンコはとても小さいので、色々な生き物のエサになります。
しかし、ただ食べられてしまうだけではなく、体の形や殻の厚さを変えるなどして、敵から食べられにくくすることで身を守ることもあります。
ミジンコの中には、天敵のニオイを感じると頭の一部が小さく出っ張ったり、体を厚くして食べられにくい形を作ります。
他にも、口先が反り返ったり、尾を長く伸ばすなど色々な形に体を変化させるのです。
ミジンコは死んだふりをする?
ゾウミジンコは、敵であるケンミジンコに襲われると第2触覚を畳んで殻の中にしまい込み、じっと動かなくなります。
死んだように動かない状態でいると視力の弱いケンミジンコはエサを見失ってしまいます。
そして、ケンミジンコがいなくなるとゾウミジンコは再び泳ぎ始めるのです。
赤いミジンコもいる?
ミジンコは、水の中の酸素が少なくなると赤くなることがあります。
ミジンコが赤くなる原因は、ヘモグロビンです。
ヘモグロビンは酸素と結びついて血液中の酸素を運ぶ働きをするものですが、水の中の酸素が少なくなるとミジンコの体内ではヘモグロビンがたくさん作り出されます。
ヘモグロビンをたくさん作ることによって体の中の酸素を取り込む力を強くし、生き延びようとするんです。
ミジンコの生命力ってすごいですね。
ミジンコは紫外線が苦手?
ミジンコは、複眼と単眼を持ち、明るさを感じることで昼と夜を見分けることができます。
ミジンコにとって太陽の光に含まれる紫外線というのはとても有害物質であり、太陽が出ている間は水面近くにいることを避けています。
夜になって暗くなると水の底や物陰などでじっとして、朝になって太陽が登る前に水面近くに集まり、植物プランクトンなどを食べているんです。
水面近くにいるミジンコを見つけたい場合には、日が登りきる前の明け方がおすすめです。
ミジンコはメスだけで繁殖する?
生き物は普通、オスの精子とメスの卵が受精することで子ができますが、ミジンコはメスが産んだ無精卵(むせいらん)という卵が受精せずに育ち、母親と同じ性質をもつメスの子が生まれるんです。
ミジンコは、体の中に育房(いくぼう)という場所があり、その中で守られて育ちます。
体を覆っている殻は透き通っていて、育房(いくぼう)の中の卵が育って行く様子が外側からでも確認できますよ。
ミジンコの卵は0.1mmほどでとても小さく、一度に数個~数十個産み落とされます。
ミジンコは体の中で孵化(ふか)する?
育房(いくぼう)に産んだ卵は、1日半ほどで成長し、孵化(ふか)します。
しかし、孵化(ふか)しても母親ミジンコの体の中からすぐに出ようとはしません。
泳げるようになるまで半日程度育房(いくぼう)の中で育ち、しっかり泳げるようになると母親が育房(いくぼう)の仕切りを開いて外に出るようになります。
ミジンコは脱皮する?
ミジンコの体は固い殻に包まれていて、大きくなる度に脱皮を行います。
脱皮は、背中の部分の殻が合わさる部分を裂くように開き、後ろに体を引き抜くようにして殻を脱いでいきます。
孵化(ふか)してから卵を産むまで、1日ごとに脱皮を繰り返し、4回脱皮をすると再び卵を産む体制が整います。
脱皮をする間隔は、日を追うごとに少しずつのびていきます。
ミジンコの寿命は?
ミジンコの寿命は、春から秋のはじめぐらいまでの1ヶ月間程度です。
しかし、天敵がいない環境で10度前後の水で飼育すると、半年以上は生き続けるものもいます。
メスは、1匹につき一生で10回~12回産卵します。
卵を産むようになると脱皮をする度に卵を産むようになるので、最初のうちは数個しか産卵できませんが、脱皮を繰り返し体が大きくなってくるとどんどん産卵の数は増えていきます。
最終的に、40個程度卵を産むようになるミジンコもいるようです。
ミジンコのオスはいないの?
ミジンコは、春から夏にかけてたくさん産卵し、孵化(ふか)しますが、秋ごろになってくるとだんだん卵を産まなくなっていきます。
冬が近づいてきて日照時間が短くなってくると、メスは、メスが生まれる卵ではなくオスが生まれる卵を産むようになります。
オスはメスよりも体が小さく、口先がとがっているのが特徴的です。
また、水質が悪い環境下であったり、エサが足りなくなってきたりするとメスはオスが生まれる卵を産むようになります。
ミジンコのオスが生まれる原因は?
ミジンコは、幼若(ようじゃく)ホルモンの影響でオスになる卵を産むようになります。
実は、殺虫剤に含まれる化学物質には、幼若(ようじゃく)ホルモンに似た働きをするという事が分かっています。
ミジンコが生息している水に殺虫剤の成分が溶け込むと、ミジンコはオスになってしまうというわけです。
メスはメスを産むことができますが、オスは産卵できないので、オスばかり増えてしまってはミジンコは増えないので絶えてしまいます。
ミジンコは交尾しない?
メスはオスがいなくても産卵することができるということは、ミジンコは交尾をしないのでは?と思うかもしれません。
しかし、ミジンコのオスが増えてくるとメスは自分で卵を産まなくなってしまいます。
卵を産まなくなったメスがオスに出会うと、オスとメスは交尾をするようになるのです。
大きなメスの腹部に小さなオスがしがみつくように交尾が行われ、受精卵は豆のさやのような形の固い殻に包まれます。
メスだけで生まれる無精卵は産卵するとどんどん育ちますが、受精卵は成長をしないまま休止状態をキープするのです。
ミジンコの受精卵は孵化(ふか)しない?
オスとメスが交尾をして生まれた受精卵は、寒さや乾燥などにとても強い性質を持っています。
水が干上がったり、凍ったりするような過酷な環境下でも卵は耐えることができ、環境状態がよくなるまで成長を止めて休眠体制に入るのです。
休眠した卵は35年後に孵化(ふか)したという例もあり、その時々の状況によって自分を守ることができるんです。
ミジンコの遺伝子は人間よりも多い?
遺伝子というのは、生き物の体を形成する設計図のようなものです。
ミジンコはこんなに小さい生き物なのに、遺伝子の数が31,000個もあります。
人間の遺伝子というのはこれよりも8,000個ほど少なく、ミジンコは生物の中で一番遺伝子が多い生き物だと言われているんです。
ミジンコは飼える?
ミジンコというと、自然界にいて色々な生き物のエサになるというイメージが強いですが、実は飼育することもできるんです。
上手に飼えば、何年も飼い続けることができる場合もあります。
水が冷えすぎてしまわないように注意しながら、冬にはヒーターを入れて水の温度を保ちつつ飼育します。
エサはほうれん草パウダーや青汁パウダーのようなものを与えればOKです。
風通しが良く、日光が直接当たらないところに置いておくようにしましょう。
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ミジンコ 種類
・カブトミジンコ
・オオミジンコ
・シダミジンコ
・オナガミジンコ
・アメミネコゼミジンコ
・オカメミジンコ
・タマミジンコ
・ハリナガミジンコ
・アオムキミジンコ
・ゾウミジンコ
・ノロミジンコ
・フナゾコミジンコ
・シカクミジンコ
・マルミジンコ
・ゴミマルカイミジンコ
・ケンミジンコ
・ヤマトヒゲナカケンミジンコ
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ミジンコ 参考文献
- ・科学のアルバム・かがやくいのち17 ミジンコ 2014年3月1日初版
- ・Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/ミジンコ
- ・みじんこやドットコム https://mijinkoya.com/what-is-mijinko
- ・TOKYO AQUA GARDEN https://t-aquagarden.com/column/daphniapulex_breeding
- ・ミジンコの生態 http://xn--tckj0j7c.com/archives/127
- ・株式会社 エコニクス http://www.econixe.co.jp/econews/detail.php?id=332#:~:text=生息域は大きな湖,で知られています。
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