タスマニアデビル

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見た目はとってもかわいらしい、オーストラリアで有名なタスマニアデビルです!日本で見ることはあまりないので初めて名前を聞いた!という人もいるかも知れませんね。ですが小さな体には意外&驚きのひみつが隠されているんですよ。このページをきっかけにタスマニアデビルに一度会ってみたくなった!そんな風に思ってもらえたら嬉しいです!

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~基本情報~

哺乳綱-フクロネコ目-フクロネコ科-タスマニアデビル属

体長 51~76cm 体重 4~12kg

主な生息地はタスマニア島ですが、西側よりで暮らしています。

フクロアナグマやフクログマともよばれ、黒い毛でおおわれた小型のクマにも似ているのが特徴的です。胸元にはツキノワグマのような白い模様がついていますが、お尻に淡い色のまだら模様がみられることがあります。比較的前脚より後ろ脚の方が短く、歩き方は少し子ブタのようにも見えます。

世界最大の肉食性有袋類(にくしょくせいゆうたいるい)でもあり、80年以上の歴史があるといわれています。有袋類には他にもカンガルーやコアラ、ウォンバットなどがいます。

ちなみにタスマニアデビルの「育児のう」とよばれる袋は後ろ向きについているのですが、これは穴掘りで巣穴を作る際赤ちゃんに砂がかからないようにするためといわれています。

タスマニアデビルには鋭い歯もあり、噛みつくアゴの力も強力といわれ、体長や体重比で比べた場合その力は世界トップクラスとも考えられています。具体的にどれだけ強いのかというと、金属はもちろん動物の檻(おり)も噛みくだくことができます。

恐らくですが私たち人間がうかつにタスマニアデビルにさわって手を噛まれた場合には、骨ごと食べられてしまうかも知れませんね。

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繁殖期(はんしょくき)は3月~4月ごろといわれていますが、最近では6月ごろまで時期がのびている個体もいるようです。メスの場合、繁殖期にそなえて体に脂肪をたくわえます。普段はあまり鳴かないタスマニアデビルですが、繁殖期のオスは鳴き声を上げることがあるようです。

タスマニアデビルの妊娠(にんしん)期間は約3週間と短いため生まれてくる赤ちゃんも非常に小さく、米つぶほどの大きさしかないので未熟児(みじゅくじ)に近い状態で産まれてきます。さらに驚きなのが1度の出産で20~30匹の子どもを産むといわれています。

寿命は約5年と哺乳類にしては短めですが、飼育されている場合はもう少し長く生きるようです。

※未熟児とは早産などで出生時の体重がとても低い、もしくは生活能力がとても弱い低出生体重児のことです。

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タスマニアデビルは夜行性(やこうせい)です。昼間は自分で作った巣穴の中、もしくはウォンバットが住んでいた跡の巣穴で体を休め、夜になるとエサを探しに出かけます。

主にヘビや鳥、虫や小型の哺乳類を食べています。

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タスマニアデビルのQ&A

タスマニアデビルの名前の由来は?

タスマニアデビルの「タスマニア」は生息地である地名からつけられたといわれていますが、なぜ「デビル」という言葉もくっついるのでしょうか?

これには諸説ありますが、19世紀ごろタスマニア島へ渡ったイギリス人がいました。その時初めてタスマニアデビルの鳴き声を聞き、あまりにも不気味で驚いたものの、さらに暗闇で目や耳が赤く光って見えたため「あれは悪魔にとりつかれた動物」といわれ始めたのがきっかけと考えられています。

それ以外にも獲物を骨まで食べつくしたり、動物の死肉をむさぼって食べているように見えた光景からつけられたともいわれています。

ちなみに英語だと「Tasmanian devil」と書きますが、カタカナだと「タスマニアデビル」になります。この2つの違いは「ン」が入るか入らないかですが、英語だと「n(ン)」をつけてよび、カタカナだと「ン」はつけないことが多いです。どちらでも意味は同じです。

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タスマニアデビルはどんな風に鳴き声を上げるの?

基本情報でも紹介しましたが、タスマニアデビルは普段ほとんど鳴きません。

繁殖期や狩りのとき、メスの奪い合いをするときなど・・・闘争心(とうそうしん)をむき出しにする場合に鳴くことが多いようです。

そんなタスマニアデビルの鳴き声ですが、「ヴゥー!!」「ヴォァー!!」という風に鳴きます。例えるなら「イヌやネコがうなって威嚇(いかく)しているような声」です。

確かにこの声を姿が見えない夜に聞いたら、とても不気味で怖く感じるかも知れませんね。

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タスマニアデビルは自分の赤ちゃんを食べちゃうって本当?

タスマニアデビルの赤ちゃんはとても小さく米つぶほどの大きさしかないと紹介しましたが、無事に産まれたとしてもそこから先、初めての試練(しれん)が待っているって知っていましたか?

タスマニアデビルにはおっぱいが出せる乳首が4しかありません。つまり4匹分しか母乳をあたえることができないのです。

生まれたばかりの赤ちゃんはお母さんの「育児のう」へ自力で移動しなければ死んでしまうので、つまりこれが初めての生存競争(せいぞんきょうそう)となるのです。

そして無事にたどり着いた4匹だけはお母さんのおっぱいを飲めるのですが、たどり着けなかった残りの赤ちゃんはお母さんに食べられてしまう運命となります。

赤ちゃんは4ヶ月ごろまで育児のうで暮らし、大きくなるとお母さんと一緒に外に出て生活します。8ヶ月を過ぎると完全に親離れできるようになります。

同じ有袋類の仲間であるカンガルーやウォンバットは、1度の出産で1頭を産むといわれているためこのような生存競争はないのですが、タスマニアデビルの赤ちゃんが大きくなるまでの過程にはとても厳しいストーリーがあったなんて驚きですね。

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タスマニアデビルが絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)に指定されているって本当?

結論からいうと、本当です。タスマニアデビルは国際自然保護連合 (IUCN)のレッドリストによると「危機」状態とされています。

実はタスマニアデビルの絶滅危機は何度かおとずれていて、主な原因や今現在の状況について紹介します。

その昔、タスマニアデビルはタスマニア島だけではなくオーストラリア全土に生息している時期がありました。しかしアジアから「ディンゴ」というイヌが連れてこられたのをきっかけに、オーストラリアに住むタスマニアデビルは絶滅してしまいました。

恐らくですがディンゴがタスマニアデビルを捕食してしまったのではないかと考えられています。

出典:https://pixabay.com/images/id-285516/

また19世紀ごろになると「タスマニアデビルは家畜を襲う悪い動物だ!」という間違った考えが広まり多くの個体が駆除されてしまいました。確かにタスマニアデビルは肉食性の動物ですが全部が全部、タスマニアデビルのせいではなかったようです。

これに気づいた政府は減らしすぎてしまったタスマニアデビルを今度は増やすため、1941年に保護動物へと指定しました。その結果タスマニアデビルは順調に数を増やすことに成功したのです。

と・・・ここまで見ると主な原因は私たち人間になってしまうのですが、実は近年タスマニアデビルが減少している理由については異なります。

1990年代半ば、突然タスマニアデビルを襲う謎の伝染病(でんせんびょう)が発生してしまいました。一体どんな病気なのかというと、デビル顔面腫瘍性疾患(DFTD)というめずらしい接触伝染性(せっしょくでんせんせい)のガンだったのです。

発病すると頭や口元に大きな「こぶ」が作られ、エサを食べることができなくなってしまうのです。そのため感染すると、餓死(がし)してしまう恐ろしい病気なのです。これによりタスマニアデビルは一時期14万匹から2万匹まで数が減り、絶滅の危機まで追いこまれてしまいました。

ですが最近の調査で、なんとこの病気を克服した個体があらわれ始めたのです。詳しく調べてみるとこのタスマニアデビルの体にはDFTDに対しての抗体(こうたい)が出来ていたというから驚きです。さらにDFTDに感染していても十分長生きしている個体も存在(そんざい)していることが分かりました。

DFTDに感染して死んでしまうタスマニアデビルはまだ数多くいますが、克服している個体もあらわれたことにより、絶滅の危機を食い止めるヒントが今後見つかるのではないかと期待されています。

※抗体とは病原体が体内に入ったとき、それに対して反応する物質の総称。免疫の元とよばれています。

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タスマニアデビルが森の掃除屋さんとよばれているのはどうして?

「森の掃除屋さん」なんてよばれると何だかかわいいイメージをもつかも知れませんが、実際のところはどうなのでしょうか?

他のQ&Aでも紹介したとおり、タスマニアデビルは動物の死肉を平気で食べようとします。とまぁこれだけなら他の動物でもありえそうな話ですが、タスマニアデビルの場合はちょっと違います。

なんとタスマニアデビルは腐った動物の死肉を食べながら寝落ちしてしまうことがあるのです。

たいていの動物はエサはエサで食べた後、どこか別の場所で休憩したり眠ったりすることが多いのですが、タスマニアデビルはそんなことはおかまいなしに動物の死肉のそばでひと眠りしてしまうというから驚きです。

なかなか根性がすわっているというか・・・図太いというか・・・ビックリですね。でもそれが森の掃除屋さんとどう関係あるの?そう思った人も多いはずです。

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死肉のそばでひと眠りし目を覚ました後、タスマニアデビルは再び死肉を食べ始めます。つまり自分がいつも死肉のそばにいれば、わざわざもう一度獲物を探しに行かなくても残さず食べきることができるのです。ある意味合理的なのかも知れませんね。

タスマニアデビルのちょっと奇妙な行動のおかげで、死肉の残骸(ざんがい)が無くなる。つまり残骸にウジ虫がわくこともありません。これにより自然をキレイに保つことができるという訳です。

森の掃除屋さんとよばれている理由にはちょっと不思議な行動が隠れていたのですね。



タスマニアデビルが見られる動物園が少ないって本当?

結論からいうと、本当です。2020年現在、日本でタスマニアデビルを見られるのは「東京都 多摩動物公園」のみとなっています。

また海外だとオーストラリアの動物園で飼育されていることが多いようです。メルボルンの「ヒールズビル自然公園」、シドニーの「タロンガ動物園」、アデレードにある「モナート動物園」などになります。

その他アメリカの「セントルイス動物園」、「サンディエゴ動物園」にもタスマニアデビルはいるようです。

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参考文献

NATIONAL GEOGRAPHIC
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20141218/428858/
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/a/122100054/#:~:text=死の病

ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/タスマニアデビル

タスマニアへようこそ!
https://www.leatherwoodtasmania.com.au/tag/タスマニアデビルの名前の由来

東京ズーネット
https://www.tokyo-zoo.net/cry/index.html

アニコムどうぶつコミュニティー
https://mag.anicom-sompo.co.jp/1006#:~:text=タスマニアデビルAFP BB News

AUSTRALIA
https://www.australia.com/ja-jp/things-to-do/wildlife/tasmanian-devil-facts.html

pepy
https://pepy.xsrv.jp/38358#:~:text=タスマニアデビル

アイキャッチ画像
https://unsplash.com/photos/XMnQnYND9JU