ジャノメドリ

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Eurypyga helias -Smithsonian National Zoological Park, USA-8.jpg

皆さんは「ジャノメドリ」という鳥を知っていますか?
日本では見られない鳥なので知っている人は少ないのではないでしょうか。
とてもカラフルで、少し驚いてしまうような見た目をしていますが、その見た目は名前の由来にもなっているんです。
そんな見た目に特徴のあるジャノメドリを紹介していきます。

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〜基本情報〜

鳥綱(ちょうこう)ジャノメドリ目ジャノメドリ科ジャノメドリ属

全長:42〜48cm

体重:175〜225g

ジャノメドリは、エクアドルやガイアナ、コロンビア、スリナム、ブラジル、フランス、ベネズエラ、ペルー、ボリビア、グアテマラ、コスタリカ、コロンビア、ニカラグア、パナマ、ベネズエラ、ホンジュラス、メキシコといろんな国に住んでいます。メキシコからブラジルの方までにしか住んでいないので、日本では見られることがありませんね。それに渡り鳥ではなく留鳥(りゅうちょう)なので、ずっとこの地に住んでいます。

「ジャノメドリ科ジャノメドリ属」は、なんと今紹介しているジャノメドリしかいないんです。ですから「ジャノメドリ科ジャノメドリ属」というのは、ジャノメドリだけのために作られたジャンルなんですね。孤高の鳥という感じがしてかっこいいですね。

最初にお話しした通り、ジャノメドリはその見た目が特徴的です。頭は黒く、赤い目を持っています。目の上と下には白い線が入っていて、まるでお化粧をしているかのような綺麗な顔をしています。赤い目も合わせて、目が合ってしまったらドキッとしてしまうかもしれませんね。

首や胸は黄色く、そこに黒い模様が細かく入っています。そしてなんといっても翼の色です。翼には灰色や黒色の他に、赤色、白色、黄色、栗色などたくさんの色が入っていて、しましまの模様になっていたり、まだらについていたりととても鮮やかです。尻尾も同じような色味になっていて、全身がカラフルな色に包まれています。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Eurypyga helias -London Zoo, England-8a (1).jpg

その翼を広げてみると、なんと両翼(りょうよく)に目のような模様が出てくるのです。翼を閉じているときにはまだらについているように見える色ですが、こんな模様をしていたんですね。

首や脚、くちばしが長く、上のくちばしは灰色で、下のくちばしはオレンジのような赤色をしています。脚もオレンジのような赤色をしていて、羽だけではなく、他の部分もカラフルな色であることがわかります。

ジャノメドリのように、水のあるところや湿ったところに住んでいる鳥には足の指の間に、水かきがついていることがありますが、ジャノメドリにはついていません。ですが泳ぐのは得意なんですよ。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:London_Zoo_01215.jpg

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ジャノメドリのQ&A

ジャノメドリの名前の由来は?

先ほどもお話ししたように、ジャノメドリの名前の由来はずばり、その翼の模様です。

ジャノメドリを漢字で書くと「蛇の目鳥」と書きます。翼を広げたときに出る模様が、蛇の目のように見えることからこの名前がついたそうです。

英語では「Sunbittern(サンビターン)」というのですが、「Sun(太陽)」という言葉が入っている通り、そのたくさんの色をしている見た目を太陽のようだとしてこの名前にしたのではないかと言われているそうです。

日本と海外では、見た目のとらえ方が違うようですが、そのきれいな姿が目を惹(ひ)き、名前をつけようと思うのは自然な流れなのかもしれませんね。

ちなみに「鳥言葉」というものがあるのを知っていますか?「花言葉」というものがあるように、鳥にも意味が込められているんだそうです。ジャノメドリの鳥言葉は「意外な才能」です。翼を広げたときにしか見えない模様に、この言葉がつけられたのかもしれません。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Eurypyga_helias_1.jpg

ジャノメドリはどうしてそこに住んでいるの?

ジャノメドリは1830m以下の熱帯雨林に住んでいます。富士山の半分くらいの高さですが、それでも高いところに住んでいるんですね。熱帯雨林の中にある川や池、湿った草原などで生活しています。

ジャノメドリは単独で行動するか、カップル、夫婦で行動していますが、家族で過ごしていることもあるようです。大きな群れではないですが、家族水入らずで生活しているんですね。

昼に行動して夜に寝るという生活をしていて、ほとんどが地上にいるか、木の上で過ごしています。先ほどもお話ししたように、泳ぐことも飛ぶことも得意ですが、あまり飛ぼうとはしないようです。鳥のイメージは飛んでるものがほとんどなので意外ですよね。もしかしたら怖がらせてしまうかもしれないと思っているのかもしれませんね。ですが自分に危険が迫ったときには飛んで逃げるので、ここぞというときにとっているのかもしれませんね。

ジャノメドリはあまり鳴きませんが、鳴くときは騒ぎ立てるような鳴き声ではなく、おしとやかに伸びやかに鳴きます。家族で行動していたりするので、アイコンタクトやテレパシーなどで会話しているのかもしれませんね。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Sunbittern (Eurypyga helias) – 48236745686.jpg

ジャノメドリは何を食べているの?

ジャノメドリは、虫やクモ、甲殻類、貝類、魚類、カエル、オタマジャクシなどを食べています。住んでいるところが川や湿った草原なので、幅広くエサを食べているんですね。

ジャノメドリの羽以外の特徴といったら、長い首とくちばし、脚です。長い首は体と平行にするように歩いて、エサを見つけていきます。その長い首で自分の体よりも遠くまで探すことができます。地上を歩いているときは、この体勢で歩いて地面にいるエサを見つけているんです。人間だと腰が痛くなってしまいそうですね。

ときにはくちばしで漁るようにエサを見つけることもあります。長いくちばしを使って、草や泥をかき分けることができるんですね。

そして長い脚も重要です。ジャノメドリは音もなくエサを探すことができます。そのためには慎重に歩くことになり、ゆっくりとした足取りになります。ですが長い脚があるので、ゆっくりでも歩幅を大きくすることができるんです。

首とくちばし、そして脚も使って効率よく探しているんですね。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Zooparc de Beauval – Caurale soleil – 2016 – 002.jpg

ジャノメドリはカラフルで敵に見つかりやすいの?

確かにジャノメドリは翼やくちばし、脚もカラフルで特徴があるので、敵に見つかりやすそうですよね。ですが逆なんです。

皆さんは森の絵や、水辺の絵を描くときに何色を使いますか?単純に緑と青や水色、茶色だけという風にはいかないですよね。森の中や川には影があったり、季節によっては赤い葉っぱがあったり、光がさして白くなっていたり、それを表現するためにはいろんな色を使います。それと同じように、カラフルに見えるジャノメドリも、森の中に入ってしまうとその空間そのものと一体化するんです。

さらに先ほどもお話ししたように、ジャノメドリは歩くときには音を立てません。なので森に溶け込んで逆に敵には見つかりにくいのです。

カラフルだと思っていましたが、森の空間の色を身につけていたんですね。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:2022-05-12 Sonnenralle Mindo Ecuador 02.JPG

ジャノメドリは飛ぶときだけ翼を広げるの?

もちろん、飛ぶときには翼を広げて飛びますが、それ以外にも翼を広げることがあります。

それは威嚇(いかく)と求愛(きゅうあい)のときです。

びっくりさせられたり敵が近づいてきたりすると、翼を広げて模様を見せるようにして威嚇(いかく)します。人間が見ても、なんだこれ!とびっくりしてしまうので、他の動物にも効果があるんですね。

他にはヒナを守るときにも翼を広げて威嚇(いかく)します。その敵よりも大きい鳥に見えるように真似をして怖がらせます。ジャノメドリは体が大きいわけではないので、タカなどの大型鳥類に狙われてしまいます。なので翼を広げて自分を大きく見せているんですね。

求愛(きゅうあい)のときも同じように翼を大きく広げます。翼の柄や大きさで相手を決めているんですね。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Eurypyga helias -London Zoo, England-8a (2).jpg

ジャノメドリはどうやって増えるの?

ジャノメドリは雨の降る季節に繁殖(はんしょく)します。先ほどお話しした求愛(きゅうあい)で無事に相手を見つけたら、水辺の木の上に巣を作ります。オスとメスで一緒に協力しながら、枯れ草やコケ、泥などで巣を作ったら、そこに1〜3個の卵を産みます。卵は薄い黄色に灰色や黒色のまだら模様が付いています。卵のときからもう模様が付いているんですね。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Eurypyga helias – Karlsruhe Zoo.jpg

オスとメスで交代しながら約30日、卵を温めていきます。無事に卵から産まれると、オスとメスで協力してヒナを育てていきます。他の鳥のほとんどが、生まれてすぐはふわふわの産毛なのですが、珍しいことにジャノメドリのヒナは産まれて何日も経たずに、すぐに親と同じような羽に生え変わるんです。羽が変わったとはいっても、まだまだ赤ちゃんなのでいろんな種類のエサを親が取ってきてヒナに食べさせます。

それからどんどん大きくなり、21日〜30日で巣立っていきます。

巣を作るところからヒナが旅立っていくまで、すべての工程をオスとメスは協力して育てていくんですね。

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参考文献

Wikipedia ジャノメドリ
https://ja.wikipedia.org/wiki/ジャノメドリ

Wikipedia 鳥類
https://ja.wikipedia.org/wiki/鳥類

HPHP(Hosaka Personal Home Page) ジャノメドリ(蛇の目鳥)
http://interesting.world.coocan.jp/hphp/b/kbpc/i/i-0592.htm#:~:text=ジャノメドリ(Sunbittern:蛇の目烏),番で生息します。

コトバンク
https://kotobank.jp/word/ジャノメドリ-76150

YAHOO!JAPANきっず
https://kids.yahoo.co.jp/zukan/animal/kind/birds/0057.html

鳥類動画図鑑
http://chouruidouga.web.fc2.com/janomedori.html

Birdist Bee
http://www.birdist-bee.com/worldbirds/2013/05/post-36.html

FIELDING NOTE 鳥屋が生き物についてあれこれと好き勝手に語るブログ。
http://hitaki-ikimono.cocolog-nifty.com/blog/2020/07/post-5dffc1.html

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アイキャッチ画像
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Eurypyga_helias_17zz.jpg