クワガタムシ

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クワガタムシは、夏になるとカブトムシと並んで人気の昆虫です。クワガタムシの特徴と言えば、やっぱり大きくて強い2本のあごです。
カブトムシは日本には4種類しかいませんが、クワガタムシはなんと39種類も生息しているんです。
世界では約1500種類が知られていて、大きさも様々なので収集している人も多いですよね。
今回は、そんなクワガタムシの生態について詳しく見ていきましょう。

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~基本情報~

節足動物門昆虫綱 コウチュウ目クワガタムシ科

体長1cm~12m程度 体重3g ~20g程度

クワガタムシは、全体の3分の2の種類が東南アジアに生息しています。

また、熱帯アフリカや東南アジア周辺のオセアニア、インド方面にも生息しています。

日本では39種類分布しており、黒や赤みがかった黒色をしたものが多いです。

卵から幼虫、さなぎ、成虫という完全変態の昆虫であり、主に森林に生息して樹木や枯死植物体を食べて生きています。 

クワガタムシの最大の特徴は、オスの大きく発達したあごです。

あごといってもハサミの形をしています。

平たい体の形を利用して、木の中や隙間でも生活することができます。

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クワガタムシのQ&A

クワガタムシの名前の由来は?

クワガタムシは、戦国武将の兜の飾りである「鍬形(くわがた)」の形に似ていることからそう呼ばれるようになりました。

クワガタムシは、ハサミのような大あごを持っていて、その甲虫の総称をクワガタムシと呼んでいるのです。

また、英語の呼び方では大あごを「鹿の角」になぞらえて「Cerf-volant」などと呼んでいます。

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クワガタムシはどうしてそこに住んでいるの?

クワガタムシは、雑木林に棲んでいます。

雑木林には、クヌギやコナラなどのあまずっぱい樹液を出す木がたくさん生えています。

クワガタムシは樹液が大好物で、触覚で樹液のにおいを探しながら活動しているのです。

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クワガタムシは何を食べているの?

クワガタムシは、木から出る汁である樹液をエサにしています。

木が傷をふせぐために傷口から流しだすのが樹液です。

夏は、クヌギの木に樹液がたっぷりある季節であり、その樹液をクワガタムシの筆先のような舌で吸い取るようにして飲み込んでいます。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Stag beetles on a tree 20110623 2925.jpg

クワガタムシのあごの力はどのぐらい強いの?

クワガタムシのあごは、ハサミのような形をしていて戦うために必要な武器です。

クワガタムシのあごにはさまれたことがある人は分かるかもしれませんが、結構痛いです。

クワガタムシのあごの力を大人の男性に例えてみると、約8.2tもの力になります。

それだけ強い力で挟まれるのだから、痛いのも納得できます。

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クワガタムシのオスとメスの違いは?

クワガタのオスとメスは、あごの大きさや形が大きく違います。

大きなあごは、戦うために必要なのでオスにしかありません。

大きいので戦うのに役立ちますが、移動するのにはとても邪魔なものです。

メスは戦う必要はないので、あごのサイズは小さいです。

しかし、頑丈なあごを持ち、たまごを産むときに腐った木をかじったり、土を掘る時に使われます。

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クワガタムシは飛べるの?

クワガタムシは飛ぶことができます。

飛ぶときは、かたい前ばねを広げて大きな後ろばねを広げ、勢いよく羽ばたきます。

飛んでいるときは足を伸ばし、体を斜め前に傾けて飛びます。

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クワガタムシはメスをどうやって見分けるの?

カブトムシは、ニオイを使ってメスを見分けていますが、クワガタムシはカブトムシほど強いニオイを発していません。

樹液が出ている場所でメスを待ち、触覚や小あごひげで触ってみて、オスかメスかを見分けているのです。

クワガタムシの幼虫は何を食べているの?

クワガタムシは、幼虫のころは腐ってボロボロになった木を食べて生きています。

卵から生まれたクワガタムシの幼虫は、枯れて腐りかけている木の中にもぐりこみ、その中で成長します。

出典:https://pixabay.com/ja/photos/幼虫-甲虫-虫-寄生虫-6137240/
※クワガタムシの幼虫と特定された画像ではありません。

クワガタムシは何回脱皮するの?

生まれてから2回脱皮したクワガタムシの幼虫は、蛹室(ようしつ)という部屋を作ってその中でさなぎになる準備を始めます。

3週間ほどたつと頭から脱皮し、さなぎに変化します。

クワガタムシは土の中でどれぐらいの間過ごすの?

さなぎから羽化したクワガタムシは、そのまま1年程度蛹室の中でじっとして、次の年の夏になると外に出てきます。

羽化したらすぐに外に出てくるわけではないのです。

クワガタムシはどうやって見つけたらいいの?

クワガタムシは、雑木林の中にある倒れて腐りかけている木をドライバーなどで崩してみると見つかります。

おがくずやフンが詰まった道を見つけたら、その道に沿って掘っていくと、クワガタムシの成虫や幼虫がいる可能性が高いです。

また、雑木林の周りにある明かりのある場所や、木の枝や付け根、木の根元、樹液の出ている木の周りを探すと、見つかりやすいです。

出典:https://pixabay.com/images/id-1147323/

クワガタムシは冬眠するの?

オオクワガタやコクワガタの種類は、成虫になってからも冬眠して冬を越せるものがいます。

クワガタムシは、種類や幼虫のときの環境によっても一生の過ごし方が変わります。

1年で成虫になって冬を越すものもいれば、2年間幼虫で過ごして成虫になるとすぐに外に出てくるパターンのもの。また、2年かけて成虫になってもさらに冬を過ごすものもいます。

冬眠中のクワガタムシは動かなくなってしまいますが、カブトムシが動かなくなるのとは違い死んでいるわけではありません。

爪が引っかかるようであれば、きちんと生きている証拠です。

クワガタムシで冬眠する種類はオオクワガタ、コクワガタ、ヒラタクワガタ、ヒメオオクワガタなどがいます。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:オオクワガタ.JPG

クワガタムシのあごの形は種類によって違うの?

クワガタムシのオスは、種類によって大あごの太さやながら、ギザギザの数や形などが違います。

種類だけでなく、体の大きさによってもあごの形が全く違うこともあり得ます。

大あごの形で種類を見分けることができますが、メスはあごが小さいので、あごの形で見分けることは難しいです。

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クワガタムシの幼虫のオスとメスの見分け方は?

幼虫は、同じような形をしているのでオスとメスを見分けるのは難しいですが、お尻の部分を観察してみると違いが分かります。

幼虫のおしりから3番目の節の背中側に、薄黄色のものが見えたらメスです。

これは、メスの卵巣が透けて見えたものです。

クワガタムシは死んだふりが得意?

クワガタムシは、死んだふりをする習性があります。

手足をひっこめ、触覚まで折りたたんで動かなくなってしまいます。

これは「擬死(ぎし)」といい、防衛反応のひとつなのです。

クワガタムシの天敵にはカラスなどの鳥がいます。

クワガタムシは、鳥が枝に乗ったときに枝の振動を感知し、死んだふりをして地面に落下するのです。

そうすることで、鳥から素早く逃げることができるからです。

枝に止まっているクワガタムシを採りたい場合は、枝をゆすってみると死んだふりをしたクワガタムシが落ちてくるかもしれませんよ。

クワガタムシとカブトムシの違いはなに?

カブトムシもクワガタムシも、夏になると人気の昆虫ですが、カブトムシがコガネムシ科であるのに対し、クワガタムシはクワガタムシ科に属しています。

また、からだの厚みや頭の形もまるで違います。

カブトムシの脚は太くてがっしりしていて毛が生えていますが、クワガタムシの脚はカブトムシよりも細く、毛は生えていないという違いもあります。

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クワガタムシの天敵は?

自然界のクワガタムシは、カラスなどの鳥に食べられてしまうことが多いです。

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また、飼育下で最も多く死んでしまう原因は「ダニ」です。

クワガタムシが生きている環境というのは、ダニにとっても大好物なので、共生することもあります。

しかし、あまりにも多すぎるダニはクワガタムシが死んでしまう原因になりますので、飼育する場合にはダニ除けスプレーなどをして防御してあげましょう。

クワガタムシに与えてはいけないエサは?

クワガタムシは、自然界であれば樹液を食べて生きていますが、飼育下だと昆虫ゼリーをあげたりしますよね。

バナナなどの果物も栄養が豊富なのでエサにむいています。

しかし、水分の多すぎるエサというのはクワガタムシが下痢を起こしやすく、体調不良を引き起こしてしまう可能性もあります。

夏の季節になるとスイカなどを与えてしまいがちですが、頻繁に与えないようにしましょう。

また、人間用のゼリーには糖分が多く、添加物が含まれていることもありますので、クワガタムシに与えるゼリーは昆虫用のものにしましょう。

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クワガタムシが死ぬとひっくり返るのはなぜ?

クワガタムシが死んでしまうと、ひっくり返っている状態のことがほとんどのはずです。

虫は、死ぬと体が固まり、脚が縮こまってしまいます。

いつもは足を下にして体を保っていますが、脚の力がなくなると横向きになったりひっくり返った状態になってしまいます。

また、クワガタムシが死ぬと乾燥して、もともと軽かったものがさらに軽くなります。

風などに吹かれてひっくり返り、胴体が重心にあるのでそのままひっくり返った状態で見つかることが多いというわけです。

世界で一番大きなクワガタムシはどれなの?

世界で一番大きいクワガタムシは、東南アジアに生息するギラファノコギリクワガタや、マンディブラリスフタマタクワガタです。

体長は12cm近くあり、かなりの大迫力です。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Giraffe stag beetle (Prosopocoilus giraffa), Entomica 2.jpg

一番強いクワガタムシはどれなの?

福島県猪苗代町川桁の猪苗代ハーブ園で行われた世界最強のクワガタムシを決定する大会である「K-1グランプリ」では、インドネシアのスマトラ島に生息する「スマトラオオヒラタクワガタ」が優勝したという記録があります。

スマトラオオヒラタクワガタは、体の幅が広く、大きく頑丈なあごを持つクワガタムシです。

オスの性格は攻撃的で、メスと一緒に飼っているとメスを殺してしまうこともあります。 

危険なクワガタムシっているの?

クワガタムシを見つけるとついつい捕まえてしまいますが、触ると水ぶくれなどを引き起こす「ヒラズゲンセイ」という、赤いクワガタのような昆虫がいるので要注意です。

ヒラズゲンセイは、クワガタムシの仲間ではなくツチハンミョウの一種ですが、クワガタムシのような大あごを持ち間違えやすいです。

体の色は赤く、有毒の体液を持ち、触るととても危険です。

新種のクワガタムシと間違えてしまわないように注意しましょう。

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クワガタムシの種類

・ノコギリクワガタ

・オオクワガタ

・コクワガタ

・ミヤマクワガタ

・ヒラタクワガタ

・アカシアクワガタ

・チビクワガタ

・コルリクワガタ

・コガシラクワガタ

・ニジイロクワガタ

・ギラファノコギリクワガタ

・メタリフェルホソアカクワガタ

・モーレンカンブオウゴンオニクワガタ

・セアカフタマタクワガタ

・バラワンオオヒラタクワガタ

・ファブリースノコギリクワガタ

参考文献

・カブトムシ クワガタムシ ゲンゴロウ タガメ ヤゴ 2004年4月第6刷 株式会社ポプラ社

・カブトムシ・クワガタムシ 2016年6月第1刷 株式会社ポプラ社

・クワガタムシ 2004年7月第2刷 株式会社ポプラ社

・クワガタムシ 2005年6月新装版第2刷 株式会社あかね書房

・カブトムシとクワガタ 平成26年7月31日発酵 株式会社主婦の友社

・Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/クワガタムシ

・クワガタ工房虫吉
https://www.mushikichi.com/hpgen/HPB/entries/661.html#:~:text=冬眠中でピクリとも,すると見分けが簡単です。&text=クワガタは、カブトムシと動き,訳では御座いません。

・三春町
https://www.town.miharu.fukushima.jp/soshiki/12/kuwa.html#:~:text=クワガタムシは、甲虫目カブトムシ,ようになりました。

・世界の超危険生物データベース
https://dangerous-creatures.com/kuwagata/#TOP-12

・毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20170812/k00/00e/040/180000c#:~:text=世界最強のクワガタを,の優勝を果たした。

・京都新聞
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/9102

・ネイチャーエンジニアいきものブログ
https://www.nature-engineer.com/entry/2019/05/25/080000

・月夜野きのこ園飼育日記
https://www.tsukiyono.co.jp/stag2/2021/07/09/クワガタムシが動かない(死んだふりを確認する/

アイキャッチ画像
https://pixabay.com/images/id-839586/