ナマケモノ
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ナマケモノ
ナマケモノという不名誉な名前を付けられてしまった「ナマケモノ」 でもちょっと(こんなにでふうにグウタラ暮らしてみたいな・・・)って、うらやましく思うことがありませんか? 「ナマケモノ」は世界で一番、動きの遅い哺乳類。のんびりと木にぶら下がっている姿は、思わず笑顔になってしまう愛らしさです。 一日のほとんどを寝て過ごし、起きていてもじっと動かずに過ごすナマケモノ。でもそれは、ただ「怠(なま)けている」わけではありません。深い理由があるのです。さて、その理由とは?
ナマケモノ 基本情報
ナマケモノの概要
哺乳網異節上目有毛目ナマケモノ亜目 (Folivora) の総称。
フタユビナマケモノ科とミユビナマケモノ科の2科6種があり、他にいくつかの絶滅した科がある。
ナマケモノの四肢(前脚・後ろ脚)は長く、全身が茶〜灰褐色の体毛で包まれている。
生涯のほとんどを木の上で過ごし、食事をするときも眠る時も、交尾や出産も木の上で行います。
フタユビナマケモノ科
「フタユビナマケモノ」「ホフマンナマケモノ」の2種。外見はほとんど同じ。
体長:約60~70cm、体重:約8kg
前足指が2本、後足の指が3本。
尾は無いか、わずかな痕跡があるのみ。
<フタユビナマケモノ(Choloepus hoffmanni)>
頸椎が7個。日本で飼育されているのは全て「フタユビナマケモノ」
<ホフマンナマケモノ(Choloepus hoffmanni)>
頸椎がフタユビナマケモノよりも一つ少なく6個。
ミユビナマケモノ科
「ノドチャミユビナマケモノ」「ノドジロミユビナマケモノ」「タテガミナマケモノ」「ピグミーミユビナマケモノ」の4種。
体長:約50cm~60cm、体重:約4k~5㎏
尾長3~7cm
<ノドチャミユビナマケモノ(Bradypus variegatus )>
のどの色が茶色。
目のクマ模様がノドジロミユビナマケモノよりわずかに長い。
<ノドジロミユビナマケモノ(Bradypus tridactylus)>
のどの色が白色。
<タテガミナマケモノ(torquatus)>
他のミユビナマケモノよりも一回り小さい。
体長:約40~50cm、 体重:約4k
頸部から肩にかけての体毛が長く、黒いタテガミ状になる
<ピグミーミユビナマケモノ(Bradypus pygmaeu)>
マングローブ林以外では生息できない。
狩猟やマングローブ伐採により、推定200匹まで減少している絶滅危惧種。
ナマケモノ Q&A
ナマケモノはどこに住んでいるの?
ナマケモノは中央・南アメリカの森林地帯の10mから30mほどの樹木の上で生活しています。
【フタユビナマケモノ科】
・フタユビナマケモノは、コロンビアとベネズエラの北部、スリナムやブラジル北部、ペルーの北部などの密林地帯に生息。
・ホフマンナマケモノはホンジュラスからブラジルにかけての中央アメリカの森林に生息。
【ミユビナマケモノ科】
・ノドジロナマケモノは、ブラジルに生息。
・ノドチャミユビナマケモノは、ブラジル、アルゼンチン、ボリビアに生息。
・タテガミナマケモノは、ブラジル南部に生息。
・ピグミーミユビナマケモノは、中南米パナマ沖の島に生息。
ナマケモノの名の由来は?
木にぶら下がって、じっと動かない様子から「ナマケモノ」という名がつけられました。学名の「Folivora」は「木の葉を食べる者」という意味で、英語名の「Sloth」も「怠惰・ものぐさ」という意味の言葉です。
ナマケモノの脚やツメはどうして長いの?
ナマケモノ長い四肢を持っています。前脚は後ろ脚よりさらに長いので、木の幹に抱きついたり、枝からぶら下がったりして、樹上を移動する生活に適しています。さらにナマケモノはフック状のツメを持っていて、この爪を木に引っ掛けてぶら下がります。
ナマケモノは、いつも木にぶら下がっていて疲れないの?
はい。ナマナケモノの肝臓や胃、腎臓などは肋骨に固定されているので、逆さまになっても横隔膜を圧迫せず、長い間逆さまになっていても大丈夫なのです。ナマケモノはフック状のツメを木にかけてぶら下がりますが、眠ると指が閉じるので木から落ちることはありません。ナマケモノは死んでしまっても木の枝につかまったままでいるほど、しっかりと木にぶら下がれるのです。
ナマケモノは、なぜいつもジッとしているの?
ナマケモノは、一日の15~20時間ほど眠ります。ナマケモノは頭を前脚の間に入れて丸くなって枝に張り付くように眠るか、木にぶら下がって丸くなって眠ります。この状態のナマケモノは、遠目には樹木の一部のように見え、肉食動物から身を守る擬態ともなっています。また、起きている時も、ほとんど動くことなく自分のそばの葉っぱを食べたりしています。あまりにもじっとしているので、ナマケモノの長い毛には藻が生えてしまうほどです。
でも彼らは、ただ怠けてグウタラばかりしているのではありません。実は、ナマケモノの「グウタラ生活」の大きな理由は「省エネ」。少ししか食べなくても、栄養がほんの少ししか取れなくても生きていけるように、エネルギーをできるだけ使わない生き方をしているのです。
ナマケモノは何を食べているの?
ナマケモノの食料は木の葉や自分の体に発生する藻などです。フタユビナマケモノは様々な種類の木の葉や芽、果実などを、ミユビナマケモノはセクロピア属の樹の葉のみ食べます。でも木の葉はカロリーや栄養価が低く、普通に食べていては命を支える栄養が取れません。
同じ葉っぱを食べる動物にキリンがいますが、キリンは1日のうち20分ほどしか眠らず、その他のほとんどの時間は葉っぱを食べています。生きていくために必要な栄養を得るには大量に食べなくてはいけないからです。
ナマケモノはキリンと同じ葉っぱを食べる動物ですが、栄養価の少ない葉っぱを食べて生きるために、キリンとは逆の戦略を選び取りました。葉っぱの栄養が少ないからたくさん食べるのではなく、栄養が少なくても生きられる体に進化していったのです。
ナマケモノは木から降りることはないの?
ナマケモノは、寝る時も、食べる時も、出産するときも、木の上にいます。
木の上でじっとしていると、まわりの木々にまぎれて、肉食動物に見つかりにくいからです。しかし、約1週間から10日に1回ウンチをするときだけ木から下りてきます。ではなぜ、ナマケモノは命の危険を冒してまで、木の下へと下りてくるのでしょう。
実は、これには驚きの理由があるのです。その理由とは、蛾とナマケモノの共生関係です。メイガ科のクリプトセス族の蛾は、ナマケモノの糞の上に卵を産み、生まれた幼虫は糞を食べて成長します。幼虫はやがて蛾になるとナマケモノの毛の中に入り込みます。そしてこの蛾たちがナマケモノの毛の中に棲むと、毛に付着する窒素量が多くなり、毛の中に藻がたくさん発生するのです。そしてナマケモノは、その藻を餌として食べることができる、というわけです。
ナマケモノはどうして少ない栄養でも生きていけるの?
ナマケモノが栄養の少ない食事でも生きていけるのは、なるべくエネルギーを使わずに、温存しているからです。一日の大半を眠って過ごし、後は時々葉っぱを食べたり、ウンチをするぐらいしか動かないので、筋肉も少なく、少しの栄養しか取らなくても生きていけるのです。
またナマケモノは、哺乳類なのに変温動物で、外気温に合わせて体温が25度~35度の間で上下します。そのため発汗や震えを行わなくてもよいのでエネルギーを節約することができます。
ナマケモノは満腹なのに餓死しちゃうことがあるって、ほんと?
はい、本当です。ナマケモノは、おなかいっぱいなのに餓死してしまうことがあるんです!えっ?なぜ?食べてるのに餓死しちゃうの?不思議ですよね。
実はナマケモノは胃の中に腸内細菌が棲んでいて、この腸内細菌が、食べた葉をゆっくり分解し消化してくれます。この「ゆっくり度」がまたビックリで、ある 動物学者によると、なんと1枚の葉を消化するのに最大30日もかかるのだそうです。しかし気温が低い日が続くと、変温動物であるナマケモノは体温が低下し、腸内細菌の活動が鈍くなり、胃の中に餌が充分にあっても消化が間にあわず飢餓してしまうことがあるのです。
ナマケモノはどのくらいの速さで走れるの?
ナマケモノは必死に走っているつもりでも、分速約2~5m。超スローな生活を送っています。ユタユビナマケモノのほうが、ミユビナマケモノよりも早く動くことができます。
ナマケモノは泳げるの?
フタユビナマケモノは水の中に入ると顔が水面から出ないため泳げません。ミツユビナマケモノは、泳ぎが上手で陸上よりも速く移動することができます。これはミツユビナマケモノが生息するアマゾン近辺の環境に適応したものと考えられています。
アマゾンは熱帯雨林気候のせいで乾季と雨季があります。雨季になると生息地が洪水の被害に合ってしまうことも少なくないため、泳ぎが得意でなければ生存する事が出来ないのです。
ナマケモノの歩く速度は時速120mと言われていますが、泳ぐとなるとその2~3倍以上のスピードを出すことが出来るのです。
ナマケモノの赤ちゃんはどうやって育つの?
ナマケモノは6ヶ月から1年の妊娠期間の後に、一頭の赤ちゃんを産みます。ナマケモノの赤ちゃんは、お母さんにずっとはりついています。赤ちゃんはお母さんに抱かれ、おっぱいを飲んで、守られて、数か月過ごします。少し大きくなってご飯を食べる時も、お母さんと一緒です。やがて子どもが独り立ちできるころになると、お母さんは子どもに自分棲んでいた木をゆずり、別の場所に移動します。
ナマケモノの天敵は?どんな動物に狙われるの?
ナマケモノの天敵は地上ではピューマやジャガー、樹の上ではオウギワシなどの肉食の猛禽類などです。ナマケモノが敵を発見しても、できることといえば動きを止めて樹木の中に紛れようとするぐらいです。
ナマケモノは長い爪を持っていますが、それは戦闘するためではありません。見つかったら最後、どう抵抗しても勝つことはできません。それでは、敵に捕らえられたらどうするのでしょう。そのような状況になるとナマケモノは、全く抵抗せずに、全身の力を抜くそうです。そうすることによって痛みが少し和らぐのだとか・・・。
絶滅したナマケモノって、どんなナマケモノだったの?
絶滅したナマケモノには、約200万年前から1万年前にかけての南アメリカに生息していたエレモテリウム、グロッソテリウム、メガテリウム、パタゴニアに生息していたミロドンなどがいます。
特にメガテリウムは体長6-8メートル、体重は約3トンも及ぶ地上最大のナマケモノで、現生するナマケモノとは違い、地上で生活していました。彼らも体は大きいけれど草食性で、二本足で立ちあがり、長いかぎ爪で木を引き寄せ、木の葉を食べていました。彼らは分厚い獣毛に覆われた巨体と巨大な鉤ヅメ、鎧のような厚い皮を持ち、無敵の存在でしたが、南米大陸に進出した人類による狩猟により絶滅したと考えられています。
地上の巨大ナマケモノたちが絶滅した後、ナマケモノは無駄をそぎ落として、弱いけれどエコな生き方へと進化していきました。ナマケモノはノロマで弱いけれど、絶滅せずに生き抜いてきたのです。なんだか強いだけが勝者ではないんだなって、元気が湧いてきませんか。
ナマケモノはペットにできる?
ナマケモノは希少動物を扱うペットショップなので買うことはできます。しかし、高額であるばかりでなく、一般の家庭で飼うにはとても大変です。
ミユビナマケモノはワシントン条約で輸入が禁止されてるため、日本で販売されているのはフタユビナマケモノです。フタユビナマケモノは、ミユビナマケモノよりも気性が荒く、脅威を感じると、鋭い鉤ヅメや葉で身を守ります。また、ナマケモノはとてもデリケートで、日常的に人に触られると、大きなストレスとダメージを受けることもあります。さらに、熱帯雨林に住むナマケモノが健康にすごすには、気温26~30℃、湿度80%の環境を維持しなければなりません。
とても可愛らしく心癒されるナマケモノですが、ナマケモノにとって、またナマケモノ以外でも、家畜化されていない希少動物にとって、生育環境の整っている動物園以外で飼われることが果たして彼らにとって幸せなことか、ぜひ考えてみてください。
全国にはナマケモノをじっくり観察できる動物園が各地にありますので、まず動物園でナマケモノに出会って、ナマケモノのことをたくさん知ってくださいね。
どこに行けばナマケモノと会えるの?
不思議と魅力に満ちたナマケモノ。どこに行ったら会えるでしょうか。
ナマケモノは動物園やサファリパークで会うことができますよ! 2021年2月現在、フタユビナマケモノに会える動物園は以下の通りです。
【北海道】
ノースサファリサッポロ
【関東】
那須どうぶつ王国埼玉こども動物公園
大島公園千葉市動物公園
【中部】
シャボテン動物公園日本平動物園
いしかわ動物園足羽山公園遊園地-動物園
東山動物園
【近畿】
京都動物園
王子動物園みさき公園
アドベンチャーワールド神戸どうぶつ王国
姫路セントラルパーク
【中国】
秋吉台サファリランド
ときわ動物園
【四国】
のいち動物公園
とくしま動物園
【九州】
大牟田動物園平川動物公園
長崎バイオパーク 大分マリーンパレス
ネオパークオキナワ
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ナマケモノ 種類
【フタユビナマケモノ科】
「フタユビナマケモノ」「ホフマンナマケモノ」の2種。外見はほとんど同じ。
体長:約60~70cm、体重:約8kg
前足指が2本、後足の指が3本。
尾は無いか、わずかな痕跡があるのみ。
<フタユビナマケモノ(Choloepus hoffmanni)>
頸椎が7個。日本で飼育されているのは全て「フタユビナマケモノ」
<ホフマンナマケモノ(Choloepus hoffmanni)>
頸椎がフタユビナマケモノよりも一つ少なく6個。
【ミユビナマケモノ科】
「ノドチャミユビナマケモノ」「ノドジロミユビナマケモノ」「タテガミナマケモノ」「ピグミーミユビナマケモノ」の4種。
体長:約50cm~60cm、体重:約4k~5㎏
尾長3~7cm
<ノドチャミユビナマケモノ(Bradypus variegatus )>
のどの色が茶色。
目のクマ模様がノドジロミユビナマケモノよりわずかに長い。
<ノドジロミユビナマケモノ(Bradypus tridactylus)>
のどの色が白色。
<タテガミナマケモノ(torquatus)>
他のミユビナマケモノよりも一回り小さい。
体長:約40~50cm、 体重:約4k
頸部から肩にかけての体毛が長く、黒いタテガミ状になる
<ピグミーミユビナマケモノ(Bradypus pygmaeu)>
マングローブ林以外では生息できない。
狩猟やマングローブ伐採により、推定200匹まで減少している絶滅危惧種。
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ナマケモノ 参考文献
- wikipedia ナマケモノ https://ja.wikipedia.org/wiki/ナマケモノ
- wikipedia メガテリウム https://ja.wikipedia.org/wiki/メガテリウム
- Zoocan いきもの図鑑 http://www.zoocan.jp/zukan/index.cgi?288
- GIZMOOD https://www.gizmodo.jp/2016/08/there-is-a-reasonable-explanation-for-why-this-sloth-won-t-move.html
- 動物完全大百科・キリン https://animalbook.jp/animalia/giraffe/
- ナショナルジオグラフィックNews https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/030200096/?P=1
- 川口先生のペットコラム https://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/pet/kenkyu/blog/2009.01-06.shtml/
- AFP BBニュース「ナマケモノの内臓、逆さにぶら下がるための構造持つ 研究」 https://www.afpbb.com/articles/-/3013373
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