
ハシビロコウといえば、「動かない鳥」として有名です。大きなクチバシにキリッとした鋭い目が特徴的ですね。
性格はキツイ部分もありますが、飼育員さんに甘えるような可愛らしい一面も秘めています。
その見た目とのギャップから、ハシビロコウの虜(とりこ)になってしまう方もいるのです。
ハシビロコウの魅力(みりょく)をより多くの方に知っていただくために、一緒に詳しく探っていきましょう!
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~基本情報~
ペリカン目(コウノトリ目)-ハシビロコウ科-ハシビロコウ属
ハシビロコウ 体長:約110~140㎝ 体重:約4~7kg 翼長:約2m
ハシビロコウはアフリカ大陸の中央部から東部にかけて生息しています。
パルピスなどの植物が茂っている湿地帯(しっちたい)が近くにある草原を好んで暮らしています。
ハシビロコウは基本的に単独行動を好みます。
実際に飼育されているハシビロコウを同じ部屋にいれると、お互いに一定の距離を取るように離れます。
その行動から、他の動物には近寄らず自ら進んで独りでいることが分かりますね。
こんなにも、独りを好む動物なのに繁殖(はんしょく)に影響はないのでしょうか?

ハシビロコウは子育てをするときのみ、協力し合うことができます。
動物の子育てで比較的に多いのは、オスは子育てに参加せずにメスのみで育てる場合が多いように感じます。
しかし、ハシビロコウは巣の中でオスとメスが交代しながら卵を守ります。
オスも子育てに協力的な動物なのですね。
1回の産卵(さんらん)で1~3個の卵が産まれ、約1か月後に卵から孵化(ふか)します。
親鳥は孵化するまで、ただ守っているだけではありません。
アフリカの気温はかなり高いので、卵が暑くなりすぎないようにクチバシに水を汲んできて冷やしてあげることもします。
子供を大切に育てようとしているのが伝わってきますね。
しかし、ハシビロコウの子育ては残酷(ざんこく)な部分があると有名なのです。
残酷な子育てとはどのような状況なのでしょうか。

実はハシビロコウは2羽を産んでも、先に産まれた1羽しか育てません。
エサをあげるにしても1番目に産まれた子を優先します。
2番目以降の子供は、死なない程度にしか面倒を見てもらえません。
なぜ後から生まれた子をすぐに見殺しにはしないのでしょうか。
その理由は、親鳥にとって2番目以降の子は「保険」だからです。
1番目の子供が死んでしまったなど無事に育たない場合もあります。
そんな時には、2番目の子供を代わりに育て始めます。
すぐに見殺しにしてしまうと、もしものときの代えがいなくなってしまうので死なない程度に育てるのです。
そして、1番目の子が無事に成長することができると弱っている兄弟をイジメ始めます。
親鳥は見て見ぬふりをして、1番目の子にのみエサを与えるのです。
兄弟なのに差別(さべつ)されながら育てられるのは辛いですね。
ハシビロコウの子育てが残酷だといわれていることに納得することができます。

ちなみに、ハシビロコウは人工的に繁殖するのは難しい鳥です。
繁殖のタイミングが分かりにくく、タイミングをミスをしてしまうと喧嘩(けんか)をしてしまい怪我をすることもあります。
日本の動物公園だけでなく、ハシビロコウを飼育している海外の動物園も繁殖を試みています。
しかし、今までに成功したのは2例のみです。
ハシビロコウの繁殖は分からないことが多いことと、
単独行動を好む動物だからこそ相性のいいペアを作るのが難しいのかもしれませんね。
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ハシビロコウQ&A
ハシビロコウの名前の由来は?
ハシビロコウの名前は、特徴的なクチバシと頭部のシルエットが由来に関係しています。
和名のハシビロコウという名前は、「クチバシの広いコウノトリ」という言葉から所々を抜き取って合わせた名前です。
英名の「Shoebill」は、「靴のようなクチバシ」という意味から付けられました。
学名の「Balaeniceps rex」は、「クジラの頭のような王様」という意味です。
確かにハシビロコウの横顔のシルエットをよく見ると、靴やクジラといった長細い物に似ていますね。

ハシビロコウはどうしてそこに住んでいるの?
湿地帯の近くで暮らしている理由は、エサとなる魚がいるからです。
ハシビロコウは気に入った場所に留まる習性があるので、エサが取れなくなったなど困った状態にならないと移動しません。

ハシビロコウは何を食べているの?
ハシビロコウの主食は魚です。
魚の中でもハイギョやポリプテルスという、古代魚(こだいぎょ)を好んで食べます。
その他には、カエル・ヘビ・小さい哺乳類なども食べることができるのです。
飼育されているハシビロコウには、鯉(こい)・オイカワ・アジを与えています。
体が大きい鳥なので、大きい魚を食べているのですね。

ハシビロコウはどうして動かないの?
ハシビロコウは「動かない鳥」として有名ですが、なぜ動かないのでしょうか。
その理由は、エサである魚を確実に捕らえるためです。
エサのハイギョは呼吸をするために、水面に上がってきます。
ハシビロコウは、そのタイミングを逃さないように動かずに待っているのです。
かなり粘り強い性格をしているのですね。

ハシビロコウの寿命はどれくらいなの?
ハシビロコウの寿命は、30~40年ほど生きます。
この寿命は、数多く存在する鳥の中でも長生きな種類だといえます。
日本で飼育されていたハシビロコウの中で、世界最高齢を更新した1羽がいました。
その1羽とは、「伊豆シャボテン動物公園」で飼育されていた「ビル」という名前のハシビロコウです。
日本で初めてハシビロコウを展示(てんじ)するために、1973年に来日した1羽です。
ビルが亡くなったのは、2020年8月6日なので推定(すいてい)50歳を超えていました。
平均寿命からプラス10年も多く長生きしていたのは、環境が合っていたのと大切に育てられていたのでしょうね。

ハシビロコウは鳴くことはできるの?
ハシビロコウは、本当に稀(まれ)といっていいほど鳴くことは少ないです。
鳴くことができても音量は大きくありません。
その理由としては、鳴くための機能が退化(たいか)しているからです。
鳴き声の代わりに、コミュニケーションを取りたいときには「クラッタリング」という方法を使います。
このクラッタリングとは、クチバシを開閉してカタカタと音を鳴らします。

ハシビロコウはどうして頭を下げておじぎをするの?
ハシビロコウが「おじぎ」をするのは、求愛や親愛の気持ちを示しています。
飼育員さんのことが好きで、おじぎをするハシビロコウもいます。
実際に静岡県にある「掛川花鳥園」のハシビロコウは、飼育員さんのことが大好きです。
おじぎをよくしたり、頭を撫でてと甘えたりする姿を見ることができます。
キリっとした容姿をしているのに、飼育員さんの前では甘えん坊になるなんて可愛い一面もあるのですね。

ハシビロコウは飛ぶことができるの?
ハシビロコウは飛ぶことはできますが、長距離を飛ぶことはできません。
体が大きい鳥なので飛び続けるのが難しいのかもしれませんね。
飛行が可能な距離は100~500mぐらいだといわれています。
ハシビロコウが飛ぶときは、1分間に約150回の羽ばたきをしています。
この回数は、他の鳥と比較すると少ないです。
ハシビロコウは頻繁(ひんぱん)に飛ぶわけではありません。
エサ場所を変える移動手段として使うので、飛ぶ姿を見かけることはほとんどありません。

ハシビロコウはどうして白目になることがあるの?
ハシビロコウを観察していると、たまに白目になることがあります。
急に白目になるとビックリしてしますよね。
白目になっているのは、眼球(がんきゅう)が動いたわけではなく「瞬膜(しゅんまく)」という薄い膜が覆った状態です。
この瞬膜は、「第三のまぶた」とも呼ばれています。
機能としては、水や埃(ほこり)から目を守ってくれます。
人間にも昔はあった機能ですが、退化(たいか)してしまいました。
また、ハシビロコウの目で注目してもらいたいのは目の色です。
なぜなら、年齢によって目の色が変化するからです。
若いハシビロコウの場合は、目の色が「黄色」をしています。
大人に成長するにつれて、目の色が「青色」に変化します。
ハシビロコウの歳を判断するときには、目を見ると判断しやすいですよ。

ハシビロコウはどこの動物園で見ることができるの?
ハシビロコウを実際に見ることができる動物園は、日本に7か所あります。

【東京都】
・東京都恩賜上野動物園→4羽飼育
【千葉県】
・千葉市動物公園→2羽飼育
【栃木県】
・那須どうぶつ王国→1羽飼育
【静岡県】
・掛川花鳥園→1羽飼育
【兵庫県】
・神戸どうぶつ王国→2羽飼育
【島根県】
・松江フォーゲルパーク→1羽飼育
【高知県】
・高知県立のいち動物公園→2羽飼育
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ハシビロコウ種類
・ハシビロコウ
参考文献
千葉市動物公園「不思議の国のハシビロコウ」
https://www.city.chiba.jp/other/shoebill/shoebill.html
Private Zoo Garden 「ハシビロコウさんのプロフィール」
https://pz-garden.stardust31.com/tori/kounotori-chidori/kounotori/hasibirokou.html
好奇心を創逸するZOO CAN「ハシビロコウ」
http://www.zoocan.jp/zukan/index.cgi?272
ペット総合情報ブログ ペットハイム「ハシビロコウってどんな鳥?日本で見られる動物園も!」
https://petheim.net/shoebill/
東京ズーネット「ハシビロコウ」
https://www.tokyo-zoo.net/encyclopedia/species_detail?code=456#:~:text=