アカシュモクザメって、どんなサメ？

アカシュモクザメは、シュモクザメの仲間で、その独特なハンマー型の頭部が特徴です。彼らの頭部は、左右に大きく広がっており、その先端には、目と鼻孔(びこう)があります。

このハンマー型の頭部は、「頭鰭(とうき)」と呼ばれ、英語では、「Scalloped Hammerhead Shark（スカラップト・ハンマーヘッド・シャーク）」と呼ばれています。「scalloped」は、「扇形の」という意味で、彼らの頭鰭の前縁が、緩やかに湾曲していることから、この名前が付けられました。世界中の温帯および熱帯の海域に広く分布しており、沿岸部から外洋まで、様々な場所で目撃されていますが、特に、大陸棚や島嶼(とうしょ)棚の周辺を好んで生息しています。日本では、沖縄や小笠原諸島などで、見ることができます。

アカシュモクザメのハンマー型の頭には、どんな役割があるの？

アカシュモクザメの頭鰭(とうき)は、彼らが、海の中で生き抜くために、進化させた、素晴らしい適応の結果です。

・視野の拡大：頭鰭に目がついているため、他のサメよりも、広い範囲を見渡すことができます。これは、獲物を探したり、敵から身を守ったりするのに役立ちます。

・嗅覚の向上：頭鰭は、嗅覚器官としても機能しています。彼らは、頭鰭を左右に振ることで、より広範囲から、餌の匂いを感じ取ることができます。

・電気受容器：頭鰭には、「ロレンチーニ器官」と呼ばれる電気受容器が、たくさん集まっています。この器官は、他の生物が発する微弱な電流を感知することができます。彼らは、この器官を使って、砂の中に隠れている獲物を探したり、敵の位置を把握したりすることができます。

・揚力：頭鰭は、飛行機の翼のように、揚力を発生させる役割も果たしています。そのため、彼らは、少ないエネルギーで、水中を移動することができます。

・方向転換：頭鰭は、舵(かじ)の役割も果たしており、水中での、素早い方向転換を可能にしています。

まさに、多機能なハンマーですね！

アカシュモクザメは何を食べているの？

アカシュモクザメは肉食性で、主に、魚、イカ、タコ、甲殻類などを食べています。彼らは、頭鰭に備わった「ロレンチーニ器官」を使って、砂の中に隠れているエイなどを探します。

そして、エイを見つけると、頭鰭で、エイを海底に押さえつけ、鋭い歯で、噛みついて、仕留めます。特に、アカエイを好んで食べることが知られています。また、彼らは、他の種類の魚や、小型のサメ、そして、時には、海鳥などを食べることもあります。彼らは、貪欲(どんよく)なハンターで、時には、共食いをすることもあるそうです。

【クイズ！】アカシュモクザメは、どんな風に繁殖するの？

アカシュモクザメは、卵胎生(らんたいせい)という方法で、繁殖します。卵胎生とは、母親の体内で卵が孵化し、赤ちゃんが生まれてくる繁殖方法です。

メスは、一度に、15～31匹の赤ちゃんを産みます。赤ちゃんは、生まれた時から、約50～60cmほどの大きさがあり、すぐに泳ぎ始めます。そして、約10年で、大人と同じくらいの大きさに成長します。

【クイズ！】アカシュモクザメは、群れを作る？

アカシュモクザメは、若い個体は、数百匹もの大きな群れを作って、行動することが知られています。

彼らは、群れで、一緒に泳いだり、狩りをしたりします。しかし、大人になると、単独で行動することが多くなります。なぜ、若い個体が群れを作るのかは、まだはっきりと分かっていませんが、外敵から身を守るため、または、効率的に餌を探すためだと考えられています。

【クイズ！】アカシュモクザメは、絶滅の危機に瀕している？

残念ながら、アカシュモクザメは、IUCN（国際自然保護連合）のレッドリストで、「絶滅危惧種(CR)」に指定されています。

彼らの数は、乱獲や、フカヒレ漁、そして、混獲(こんかく)などによって、激減しています。アカシュモクザメを守るためには、漁業の規制や、フカヒレ漁の禁止、そして、混獲を減らすための取り組みが必要です。また、私たち一人ひとりが、サメの保護に関心を持つことが大切です。