タツノオトシゴ
タツノオトシゴ
タツノオトシゴ
「魚」と聞いて思い浮かべる形は平べったくて、流線型のあの「魚」でしょう。そして、その形状とはまったく違う魚として、タツノオトシゴが存在します。 タツノオトシゴは、名前から竜を連想できるため、子どもから人気がある種類です。 「魚」と言われてもなかなかピンとこないタツノオトシゴの生態を一緒に見ていきましょう。
タツノオトシゴ 基本情報
トゲウオ目ヨウジウオ科タツノオトシゴ属
大きさ:1〜35cm(種類によって大きな差がある)
タツノオトシゴは、熱帯から温帯のあたたかい海の沿岸に生息し、一部の種は海水と淡水が混ざる汽水域に進入します。
タツノオトシゴ属の特徴的な姿は体表の色や突起など一部の形状は種類間、個体間でも差があり、非常に多種多様です。ゴツゴツした体はうろこが変化してできたとされ、硬くデコボコしています。
吻(ふん)と呼ばれる管状の口は前方に突き出ており、タツノオトシゴで最も特徴的と言えるでしょう。
尾ビレがない代わりに尾は長く、先端がくるくると丸まっています。タツノオトシゴのチャームポイントでもある先端は、海藻やサンゴに巻き付けて体を固定するためにとても重要です。海藻やサンゴをしっかりと握って、海中をふよふよと漂う姿はなんとも言えないかわいさですね。
タツノオトシゴ Q&A
タツノオトシゴの名前の由来は何?
和名のタツノオトシゴは漢字表記にすると「竜の落とし子」であり、日本では竜を連想して名付けられました。吻(ふん)が突き出た顔が特徴的で、日本だけではなく海外でもその形状が名前の由来となっています。
英名は「seahorse」で、「海の馬」という意味です。日本では竜となった見た目ですが、海外では馬を連想したようですね。
学名は「hippocampus」で、ギリシャ語のhippos(馬)とcampos(海の怪物)に由来しています。
和名ではタツノオトシゴですが、日本でも各地域で「ウミウマ」や「ウマノコ」など呼び方はさまざま。馬を連想する地域もあるようです。
タツノオトシゴはオスが妊娠するって本当?
厳密にはオスが妊娠するわけではなく、オスは出産するのみに留まります。
どういうことか解説します。
オスは育児嚢(いくじのう)と呼ばれる特殊な器官があり、袋のような器官です。メスは育児嚢に卵を産み付けます。オスは育児嚢で卵をふ化。稚魚になるまで育児嚢で保護するのです。
つまり、産卵はあくまでメスで、卵から稚魚まで守るのがオスの役割と言えるでしょう。
ちなみに卵を産み付けられた育児嚢は大きくなるため、オスのお腹も大きくなります。この姿が「オスが妊娠する」と言われる理由です。
出産された稚魚はすでにタツノオトシゴとしての体ができており、すぐに親と同等の行動を取ります。
タツノオトシゴはダンスの達人?
自然界における動物の求愛行動は特徴的なものが多く、タツノオトシゴも例外ではありません。
卵を受け入れる準備ができたオスは、メスにアピール。カップリングが成立すると、2人でダンスを踊ります。お互いの尾先を絡ませて旋回したり、海底を這うように泳いだりする様子はとても情熱的です。
他にもオスはダンス中に体色を変化させ、長いときは休みながら数日間ダンスすることもあります。ロマンチックで情熱的なタツノオトシゴの求愛は、もしかしたら人間よりも熱烈かもしれませんね。
人間との関係は?
一応タツノオトシゴは食用としても使用されますが、特徴的な見た目から観賞用として流通することがほとんどです。しかし、中国では漢方薬として用いられるため、乱獲が問題視されています。
そのような背景から現在は養殖産業が盛んです。
また、日本では年末年始に干支が話題になりますが、辰年のときは架空の生物である辰(竜)の代わりにタツノオトシゴがフォーカスされることが多いです。
さらに、オスとメスが向かい合った姿をハートマークに見立てて、若者には恋愛成就のシンボルとされることもあります。実際にタツノオトシゴは一夫一妻制なので、あながち間違っていないかもしれません。
タツノオトシゴはどうしてそこに住んでいるの?
タツノオトシゴはおもに岩礁域や藻場、サンゴ礁など、身を隠せる環境に生息しています。
タツノオトシゴは魚ですが泳ぐことが苦手で、スピードも大したことはありません。そのため、天敵から逃げることより、天敵から身を隠すように進化したとされています。
体表の色やゴツゴツした突起が周囲の環境に擬態となり、なかなか見分けられません。また、一部の種は流れる藻と一緒に、外洋を漂います。藻に擬態することで、天敵の目を逃れているのでしょう。
タツノオトシゴは何を食べているの?
タツノオトシゴは肉食性で、魚卵や小魚、甲殻類などの小型プランクトンを食べます。
愛くるしい見た目からは想像しづらいほどの獰猛な捕食者で、吻(ふん)ギリギリの大きさでも積極的に攻撃して捕食します。獲物にゆっくりと近づいて、一瞬で吸い込む様子は小さいながらも迫力満点です。
水族館では生き餌として、小型甲殻類のアミ類が与えられるほか、ペットとして飼育する場合はホワイトシュリンプなども与えられます。
ヨウジウオとの違いは?
タツノオトシゴの近縁種で、ヨウジウオという種類があります。
ヨウジウオは、トゲウオ目ヨウジウオ科ヨウジウオ属で、顔つきはタツノオトシゴとそっくりです。出産形態もタツノオトシゴと同じで、オスが出産します。
タツノオトシゴと違って体が細長いため、間違うことはほぼありませんが、種類によってはよく似ています。
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タツノオトシゴ 種類
- ポットベリード・シーホース H. abdominalis Lesson
- H. alatus Kuiter
- H. algiricus Kaup
- H. barbouri Jordan et Richardson
- ピグミーシーホース H. bargibanti Whitley
- H. biocellatus Kuiter
- H. borboniensis Duméril
- H. breviceps Peters
- H. camelopardalis Bianconi
- H. capensis Boulenger
- H. colemani Kuiter
- H. comes Cantor
- タツノオトシゴ H. coronatus Temminck et Schlegel
- H. curvicuspis Fricke
- H. debelius Gomon et Kuiter
- H. denise Lourie et Randall
- H. erectus Perry
- H. fisheri Jordan et Evermann
- H. fuscus Rüppell
- H. grandiceps Kuiter
- H. guttulatus Cuvier
- H. hendriki Kuiter
- H. hippocampus
- イバラタツ H. histrix Kaup
- H. ingens Girard
- H. jayakari Boulenger
- H. jugumus Kuiter
- オオウミウマ H. kelloggi Jordan et Snyder
- クロウミウマ H. kuda Bleeker
- H. lichtensteinii Kaup
- H. minotaur Gomon
- サンゴタツ H. mohnikei Bleeker
- H. montebelloensis Kuiter
- H. multispinus Kuiter
- H. patagonicus Piacentino et Luzzatto
- H. pontohi Lourie et Kuiter
- H. procerus Kuiter
- H. pusillus Fricke
- H. queenslandicus Horne
- H. reidi Ginsburg
- H. satomiae Lourie et Kuiter
- H. semispinosus Kuiter
- (和名なし)H. severnsi Lourie et Kuiter
- ハナタツ(エンシュウタツ)H. sindonis Jordan et Snyder
- H. spinosissimus Weber
- H. subelongatus Castelnau
- タカクラタツ H. trimaculatus Leach
- H. tyro Randall et Lourie
- H. waleananus Gomon et Kuiter
- H. whitei Bleeker
- H. zebra Whitley
- H. zosterae Jordan et Gilbert
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タツノオトシゴ 参考文献
- Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/タツノオトシゴ
- Seahorse Ways http://www.seahorseways.com/index.html
- National Geographic https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/062900243/
- 毎日新聞 https://mainichi.jp/maisho/articles/20200225/kei/00s/00s/012000c
- Marine Diving Web https://marinediving.com/marine_life/serial_marine_life/seahorse_and_pipefish/
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