ナマコ
ナマコ
ナマコ
ナマコと聞くとどんな姿を想像しますか?食用としておつまみなどでも人気のナマコですが、姿や生態など知らないことも多いのではないでしょうか。ナマコは世界に1500種類も生息しています。そんな謎の多いナマコの海での生活をのぞいてみましょう。
ナマコ 基本情報
棘皮動物門-ナマコ綱-マナマコ目-アカオニナマコ属
体長:20〜30cm 太さ:5〜6cm
最大種(クレナイオオイカリナマコ)体長:4.5m 太さ:10cm
浅瀬から深海まで海洋全域(かいようぜんいき)に生息しています。淡水や汽水域(きすいいき)には生息しておらず、全てが海産(かいさん)です。日本周辺ではマナマコという種類が多く、食用とされるものもこのマナマコです。
体が細長く口が水平に向いているという特徴があります。柔軟な体壁(たいへき)で覆われていて、骨格はありませんが細かい骨の欠片が体壁(たいへき)に散りばめられています。この体壁(たいへき)はなんと硬さを自由に変化することができるのです。とても硬くなることも、溶けるほど柔らかくなることもでき、臨機応変に外敵から身を守っています。
また、目や耳などがナマコにはありません。ではどうやって敵や光などを感じ取っているのでしょうか?それはまたしても体壁にあります。体壁(たいへき)には皮膚神経があるのでそれで敵に触られたことや光があることを感じ取っています。
基本的にはあまり動くのが好きではありません。海底をゆっくりと這って動きます。夜に活動的になり、一晩で7、8m動きます。手や足がどこに付いているかわかりますか?ナマコにはイボイボした帯状のものが5本ついています。それは歩帯(ほたい)と言って人間でいう手や足なのです。これを使ってゆっくりと行動しています。
ナマコ Q&A
ナマコの名前の由来は?
ナマコは漢字で「海鼠」と書きますが、昔はこの二つの漢字で「こ」と呼んでいました。茹でて干したナマコを売っていた為に「干海鼠(ほしこ)」と呼ばれていましたが、室町時代に生で売るようになってからは「生海鼠(なまこ)」と呼ぶようになり、生で売ることが一般的になってから「海鼠」という二つの漢字で「ナマコ」と呼ぶようになったそうです。
また「こ」は指示代名詞の「that」で、不思議な姿をしていたことから「あれ」と呼んでいたのではないかという説もあります。
ナマコはどうしてそこに住んでいるの?
ナマコは浅瀬から深海まで広い範囲に住んでいます。ほとんどが海底を這って暮らしているのですが、深海に住むナマコはフワフワと浮遊しながら暮らしている種類もいます。
海にはギャングと呼ばれる魚もいるのにそんなにゆっくり動いたり、浮遊していて大丈夫なのでしょうか?
ナマコには天敵と呼ばれる魚はほとんどいません。なぜならナマコはホロスリンという物質を持っていてこれが魚たちには毒になるからです。人間には無害なので安心してください。
ナマコは何を食べているの?
海中のプランクトン食べますが、そのとき海底の砂や泥ごと食べてしまいます。ナマコ一匹が一年間で食べる砂や泥は約30kgにもなると言われています。ですがいつも餌が見つかるという訳ではありません。そんな時は自分の体をエネルギー源として活動します。あまり動かないナマコにはあまり苦痛ではないのかもしれませんね。
また、ナマコは冬に活発に餌を取ります。なぜならナマコは夏に冬眠ならぬ夏眠をするからです。
ではどのようにしてプランクトンを食べているのでしょうか?
食べ方は種類によって違います。ぺろっと舐めとるように食べるものや、水中に触手(しょくしゅ)を広げて海中に漂っているプランクトンを取るものもいます。みんなそれぞれ住んでいる場所や形で変わってくるのですね。
ナマコはどのように呼吸しているの?
ナマコには呼吸器官がついています。その器官は樹状(じゅじょう)に管が伸びているので「呼吸樹(こきゅうじゅ)」と呼ばれています。また皮膚呼吸もできるので呼吸樹(こきゅうじゅ)を失ってしまっても呼吸ができるのです。
ナマコは自分の内臓を吐き出すって本当?
今まで読んでみると外敵や食糧難(しょくりょうなん)にも対応していて、とてつもない生命力を感じますよね!
しかしそれだけではありません。ナマコは敵に攻撃されるとおしりから白い糸状のものを出して攻撃します。これは「キュビエ器官」と言って攻撃されたとき専用の器官があるのです。キュビエ器官を持っていないナマコは、なんと内臓をおしりや口から吐き出して攻撃してしまいます。自分が敵で内臓を急に吐き出されたら・・・想像すると恐ろしいです。
しかし、身を守る為とはいえ内臓を出してしまって大丈夫なのでしょうか?
ナマコは再生能力が高く、吐き出してしまっても1〜3ヶ月で再生してしまうのです。
ナマコは半分に切れても両方生きてるって本当?
再生能力が高いのは内臓だけではありません。もしも敵に攻撃を受けて半分に切れてしまったとしても、3ヶ月ほどで再生して、なんと2匹になるのです!ナマコの生命力恐るべし!
そんなナマコにも寿命はあり、約5〜10年と言われています。寿命を生き延びるためにたくさんの工夫があるんですね。
ナマコはどうやって産まれるの?
そんな生命力の高いナマコ、どのようにして産まれているのでしょうか?
日本周辺でのナマコの産卵期(さんらんき)は3月から9月で、この期間に1匹のナマコが産卵(さんらん)する数は2000万個と言われています。数え切れないほどの赤ちゃんが産まれてくるんですね。
基本的には海を漂いながら成長していき、大きくなるにつれて海底で生活するようになっていきます。南極海(なんきょくかい)などの厳しい環境では大きくなるまでに親の体内で過ごす種類もいます。海の環境によって育て方が違うんですね。
ナマコはお薬にもなるって本当?
ナマコは漢方薬(かんぽうやく)として、滋養強壮薬(じようきょうそうやく)や皮膚病薬(ひふびょうやく)などにも使われています。強い防カビ作用もあるので、水虫薬(みずむしやく)などにも使われているようです。私たち人間はナマコの生命力を分けてもらっているんですね。
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ナマコ 種類
冒頭でも話した通り、ナマコは世界に約1500種、日本にはそのうち約200種が生息しています。食用になるのが約30種ほどです。その種類を一部紹介していきます!
ナマコの種類は触手(しょくしゅ)の形、歩帯(ほたい)や呼吸樹(こきゅうじゅ)があるかどうか、体壁(たいへき)にある骨の欠片の種類などによって分類されます。
まずは大きく3つに分かれます。
またこの中で2つの種類に分かれていきます。①から順にナマコの名前や種類数も一部紹介していきます。
【無足目(むそくもく)】
・イカリナマコ科(174種)
例)オオイカリナマコ、クレナイオオイカリナマコ
・クルマナマコ科(74種)
例)ムラサキクルマナマコ、イボカギナマコ
・キンモンナマコ科(50種)
例)ミツクリキクモンナマコ
【隠足目(いんそくもく)】
・カウディナ科(37種)
例)シロナマコ
・イマナマコ科(64種)
例)シリブトイモナマコ、コモンイモナマコ
【楯手目(じゅんしゅもく)】
・クロナマコ科(192種)
例)クリイロナマコ、クロエリナマコ、フタスジナマコ、チズナマコ、ジャノメナマコ、クロナマコ、アカミシキリ、チビナマコ、イソナマコ、クロホシアカナマコ、フジナマコ、トラフナマコ、ニセクロナマコ、テツイロナマコ、イシナマコ、ハネジナマコ、エクレアナマコ
・シカクナマコ科(33種)
例)バイカナマコ、マナマコ、アカオニナマコ、シカクナマコ、タマナマコ
・ミツマタナマコ科(120種)
例)ゴマフソナマコ
【板足目(ばんそくもく)】
・カンテンナマコ科(19種)
例)ヒメカンテンナマコ、ハゲナマコ
・クマナマコ科(101種)
例)センジュナマコ、ウシナマコ、ホタテナマコ
・クラゲナマコ科(2種)
例)ユメナマコ、クラゲナマコ
・エボシナマコ科(26種)
例)エボシナマコ、トキンナマコ
・オニナマコ科(13種)
例)ムカデナマコ、オニナマコ、ゲジナマコ
【指手目(ししゅもく)】
・フラスコナマコ科(18種)
・イガグリキンコ科(11種)
例)イガグリキンコ
【樹手目(じゅしゅもく)】
・キンコ科
例)キンコ、グミ
・ジイガセキンコ科(123種)
例)ジイガセキンコ
・グミモドキ科(184種)
例)ハマキナマコ、グミモドキ
・スクレロダクティラ科(93種)
例)イシコ、ムラサキグミモドキ
・ウロコナマコ科(4種)
こんなにもたくさんの種類がいるなんてびっくりですね!中には面白い名前をしているものもいて気になることがまだまだ出てきました。特に熱帯にたくさんの種類がいますが、食用としている国は少ないのです。加工をしたり乾燥させて食べる国はありますが、日本のように生で食べる国はとても珍しいです。
食用とされているナマコは基本的に「マナマコ」という種類です。
マナマコにも種類が3つあります。ここでも細かく分かれているんですね。こちらも紹介していきます。
赤褐色(あかかっしょく)の体をしていて、背中にはまだら模様があります。お腹側は赤一色になっています。外洋性(がいようせい)の磯(いそ)や岩礁(がんしょう)に住んでいます。
黒一色の体をしていて、湾内(わんない)の砂や泥のある海底に住んでいます。ただしこのクロナマコ、注意が必要なのです。「クロナマコ」という同じ名前で別の種類がいるのですが、食用とされているのは「マナマコの中のクロナマコ」です。種類がたくさんあると混乱してしまいますね。
青緑色の体をしていて、クロナマコと同じように湾内(わんない)の砂や泥のある海底に住んでいます。ただし茶褐色(ちゃかっしょく)のアオナマコもいるので見分けるのは難しいでしょう。
食用のナマコを紹介しましたが、毒を持つナマコもいます。
「ニセクロナマコ」というナマコです。その名の通り、先ほど紹介した「マナマコの中のクロナマコ」に似ていて黒一色の体をしています。違うところは体に触ると白いねばねばした粘液のようなものを出すので、そこで見分けることができます。
この「ニセクロナマコ」はホロツリンという毒を持っていて、この毒が体内に入ってしまうと痙攣(けいれん)を起こしたり消化器系にもダメージを起こします。
- 無足亜綱(むそくあこう)
- 楯手亜綱(じゅんしゅあこう)
- 樹手亜綱(じゅしゅあこう)
- 無足亜綱(むそくあこう)
- 楯手亜綱(じゅんしゅあこう)
- 樹手亜綱(じゅしゅあこう)
- アカナマコ
- クロナマコ
- アオナマコ
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ナマコ 参考文献
- ウィキペディア https://ja.wikipedia.org/wiki/ナマコ
- 雲丹専門 小林商店 https://www.akauni.com/namakotoha.htm
- ぼうずコンニャクの市場魚介類図鑑 https://www.zukan-bouz.com/syu/マナマコ
- 岩手県水産技術センターWeb https://www2.suigi.pref.iwate.jp/others/tips_stichopus
- コトバンク https://kotobank.jp/word/ナマコ-770210
- TSURI LABO https://tsuri-labo.jp/column/9439
- 素人が作ったお魚図鑑 http://diving.tank.jp/sports/fish/etc/kyokuhi/menu3.htm
- 水の生き物. Information https://mizunoikimono.info/holothuria-leucospilota/
- 挑戦を誇れる街 青森市 https://www.city.aomori.aomori.jp/suisan//sangyo-koyou/sangyo/nouringyou/shokunomati/04/12.html
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