
ライチョウ
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ライチョウは、高山帯に生息する鳥で、日本では特別天然記念物に指定されています。 個体数が少なく、街中で見かけないので、一般的になじみ深くありません。しかし、特徴的な姿は昔から登山者に愛されています。 本記事では、あまり知られていないライチョウの生態や特徴を解説しています。一緒にライチョウの魅力に触れてみましょう。
ライチョウ 基本情報

鳥綱キジ目キジ科ライチョウ属
大きさ:約38cm 体重400-600g
ライチョウは、寒い地域や気候に適応した種です。
ユーラシア大陸と北アメリカの北極海沿岸、ヨーロッパとアジアの一部の高山帯に広く生息しています。さらに、ピレネー山脈とアルプス山脈、日本にも生息しているが、上記の生息圏からは隔離された状態です。
日本にいるライチョウは別名ニホンライチョウと呼ばれ、本州中部の高山帯に生息。新潟県から赤石山脈まで分布し、富山県と長野県、岐阜県では県鳥に指定されています。
北海道にはエゾライチョウという別種が生息していますが、ニホンライチョウが生息していない理由は解明されていません。
日本にライチョウがやってきたのは、氷河期の時代と言われています。当時まだ地続きだったユーラシア大陸と日本ですが、氷河期が終わる頃はすでに日本は分離していました。
温暖になり、多くのライチョウは大陸へ戻りましたが、一部は日本の高山帯に残ったようです。ライチョウの生息域として日本は最南端に位置し、物理的にも隔絶されています。
ライチョウは年に数回、羽が生え換わり、見た目が大きく変わります。これは天敵から身を守るための保護色です。季節によってはオスとメスの見分けがつきづらいですが、オスは目の上に赤い肉冠があります。
また、見た目の特徴として「足」も見逃せません。過酷な環境で生活するためライチョウの足は太く、指の先まで羽毛が生えています。これは他のキジ類には見られない、ライチョウ特有の特徴です。
ライチョウ Q&A

ライチョウの名前の由来は何?
ライチョウの名前の由来ははっきりしていませんが、3つの説があると言われています。
1つ目は、活動の時期です。ライチョウは天敵を避けるため、雷が鳴るような悪天候のとき活発に活動し、「雷の鳥」とされました。
2つ目は、火難、雷難除けの信仰から「雷の鳥」とされた説です。ただし昔はライチョウを「らいの鳥」と呼んでおり、「らい」が雷を指していたかは明らかになっていません。
3つ目は、山中で雷が鳴ると雷獣を食べるという説。
どの説も雷にまつわるもので、古来の日本人が雷や高所を神格化していた様子がわかりますね。
ちなみに、英語に直訳すると「サンダーバード」としたくなりがちですが、英名は「Rock ptarmigan」です。
また、学名は「Logopus muta」といい、「Logopus」はウサギの足を、「muta」は無音を意味します。
したがって日本以外でライチョウと雷を結びつけている地域は、あまりないようですね。

ライチョウはどうしてそこに住んでいるの?
ライチョウは寒い地域の高山帯で生活します。なぜ高山帯を好むかははっきりしていませんが、天敵の少なさが理由の1つと考えられているようです。
環境が厳しく、エサとなる動植物も少ないため、天敵もなかなか現れません。やはり自然界で生きるには、危険度の少なさが重要なのでしょうね。

ライチョウは何を食べているの?
ライチョウの食性は菜食で、花や葉、実を好んで食べます。ただ、特定の植物を好むわけではなく、目についたものを食べるようです。自然環境が厳しい分、えり好みする余裕がないのかもしれませんね。
また、冬はより厳しくなるため、雪の中の植物を探して食べています。それでも見つからない場合は、普段の活動領域より少し下まで下山することもあるようです。

ライチョウと人間の関係は?
ライチョウに対する人間の行動は、地域によって大きく異なります。
ヨーロッパの国や地域では狩猟対象となっており、人間を見かけたら一目散に逃げるほどです。一方で、日本を始めとするいくつかの国では絶滅のおそれがあるとされ、レッドリストに登録されています。
さらに、日本では1995年に特別天然記念物に指定されました。もともと日本では火難、雷難よけの信仰対象でしたが、明治時代に乱獲されて現在に至ります。
ちなみに、日本のライチョウは、人間を見ても慌てて逃げ出すことはありません。ライチョウ自身や住処である高山を神聖視していた、日本文化特有の結果と言えるでしょう。

ライチョウにはどんな天敵がいるの?
ライチョウの天敵は、猛禽類全般やキツネ、オコジョ、テンなどがいます。また、ニホンザルが幼鳥を捕食しているところが目撃されており、高山地帯に住んでいても天敵による脅威はなくなりません。
日本において人間による乱獲はなくなりましたが、天敵の存在がライチョウの数に影響しています。

日本にいるライチョウはどれくらいいるの?
日本に生存しているライチョウは、現在約3,000羽と推測されています。ただ、年々減少しており、ライチョウを県鳥とする富山県は募金をつのるなどの保護活動が盛んです。
保護活動を行っても数が減少しているのは、さまざまな理由が考えられています。
1つ目は、天敵による捕食です。天敵による捕食は昔からありますが、近年ではますます増えていると考えられています。地球温暖化の影響で、天敵の行動範囲が広がり低地からの侵入が増えているようです。
2つ目は、人間による減少です。特別天然記念物に指定されたため、狩猟されることはなくなりました。しかし、人間が山に捨てるゴミやヒト自体が持ち込む菌によって、数の減少が懸念されています。

ライチョウは飛べないの?
実は、ライチョウは鳥なのに飛ぶのが苦手です。普段も飛んでいる姿より、地上を歩いている姿を見かけることが多いでしょう。しかし、飛べないわけではありません。
過去に絶滅地域でライチョウが発見されました。その個体は数十km離れた場所から飛来したと考えられており、稀有な例ではありますが長距離を移動するようです。

ライチョウはおしゃれに気をつかうって本当?
ライチョウの最大の特徴は、季節によって体毛の色が変わることです。
冬はオスもメスも真っ白な体毛で、春はオスが黒、メスが茶色のまだら模様になります。さらに、秋になるとオスもメスも灰色に。
その様子はまるで季節によって服を変えているように見えます。ちなみに、お腹と翼は1年中白いままです。

ライチョウは寒くないの?
ライチョウが寒さをしのげる理由は2つあります
1つ目は、羽毛の作りです。ライチョウの羽毛は軸が2つにわかれています。2つにわかれた軸についた細かい羽毛の密度が高いため、空気をたくさん含められ、蓄えておけるのです。
ライチョウは、この暖まった空気のおかげで身体を冷やすことはありません。人間が使用する羽毛布団は、この原理で暖かさを保っているのです。
2つ目は、ライチョウの変わった行動にあります。ライチョウは吹雪や強い寒さに耐えるため、雪の中に潜って寒さをしのぐのです。潜るといっても全身ではなく首だけ出しているので、かわいく感じる人もいるでしょう。潜ったままフンをしているので、フンの量で潜っていた時間がわかるそうです。

ライチョウはどんな鳴き声?
ライチョウは人が住まない高山帯に生息しており、過去には神聖視されていたイメージもあって、美しい鳴き声を想像している人もいるでしょう。しかし、実際のライチョウの鳴き声は、意外にも美しいとは言えません。「ゲゲゲゲ」とまるでカエルのような鳴き声です。
オスとメス、季節によって鳴き声が少し変わるので、もし遭遇した場合は耳を傾けてもいいかもしれませんね。

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ライチョウ 参考文献
ライチョウ 使用メディア紹介

出典:https://pixabay.com/images/id-4442081/

Alpsdake, CC BY-SA 3.0, ウィキメディア・コモンズ経由で

出典:https://pixabay.com/images/id-3789788/

天敵
出典:https://pixabay.com/images/id-4312983/

天敵
出典:https://pixabay.com/images/id-2811419/

出典:https://pixabay.com/images/id-2417203/

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Lagopus_muta_02.jpg

出典:https://unsplash.com/photos/ZkWbKS10HWU

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