サイチョウ
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あなたはサイチョウという、くちばしの上にツノのようなものが生えている不思議な鳥を知っていますか? サイチョウはタイやマレーシアなどに生息する、大きな体とくちばしの上に生えたツノのような突起が特徴の鳥です。 「カスク」と呼ばれる突起は非常に大きく、一度その姿を見たら忘れられないという人も多いことでしょう。 なんとも不思議な鳥、サイチョウにはどんな特徴や秘密があるのか、この記事で一緒にその暮らしをのぞいていきましょう!
サイチョウ 基本情報
鳥綱サイチョウ目-サイチョウ科
体長90~125cm 体重1~3kg
サイチョウはタイの南部やマレーシア、スマトラ島、ジャワ島、ボルネオ島、カリマンタン島などに生息する大型の鳥です。体の色は黒色で、くちばしとツノ状の突起は黄色~オレンジ色、目の色はオスがオレンジ色でメスは白色です。
サイチョウ最大の特徴はくちばしの上に「カスク」と呼ばれるツノのような突起があることで、このカスクはオスにもメスにも生えています。カスクはくちばしとほぼ同じ色で同じような形をしているため、見方によってはくちばしが3本あるようにも見えるかもしれません。
サイチョウの繁殖期は1月下旬~5月下旬で、繁殖期になると大きな木の洞(うろ)で産卵と子育てを行います。メスは1回の産卵で1個の卵を産み、卵は40日ほど温めるとふ化し、ヒナはふ化後80日ほどで巣立っていきます。なお生まれたてのヒナにはカスクが生えていませんが、体の成長とともにカスクも成長していきます。
サイチョウ Q&A
サイチョウの名前の由来は何?
ところでサイチョウという名前には、どんな由来があるのでしょうか?
サイチョウの名前の由来は頭に生えているツノのような突起(カスク)で、この突起が動物の「サイ」に似ていることから「サイチョウ」という名前が付けられたそうです。
なおサイチョウは英語で「Rhinoceros hornbill」、学名は「Buceros rhinoceros」と表現されますが、英語と学名の「rhinoceros」は「サイ」を意味します。漢字では「犀鳥」と表され、日本では別名「ツノサイチョウ」と呼ばれることもあります。
サイチョウはどうしてそこに住んでいるの?
サイチョウはタイの南部やマレーシア、スマトラ島、ジャワ島、ボルネオ島、カリマンタン島などの熱帯雨林に生息しています。
なぜサイチョウがこれらの地域に生息しているのか、はっきりとした理由はわかりませんでした。しかしこれらの地域には熱帯雨林が多く、サイチョウのエサとなる果物や昆虫なども多いことから、サイチョウにとって住みやすい環境だったのではないかと推測されます。
サイチョウは何を食べているの?
サイチョウは雑食性の動物で、植物質の食べ物(いちじくや木の実など)や動物質の食べ物(昆虫、小動物など)を食べています。
動物園では果物(リンゴ、ブドウ、パイナップル、オレンジなど)、パン、ドックフード、卵黄などを与えています。
サイチョウのカスク(ツノ)にはどんな役目があるの?
サイチョウのカスクはとても重たそうに見えますが、中身はスポンジ状になっているため見た目よりも軽いそうです。ところでそんなサイチョウのカスクには、どんな役目があるのでしょうか?
実は今のところ、サイチョウのカスクにはどんな役割があるのかはっきりとわかっていません。「オス同士がケンカをする時にぶつける」、「オスがメスにアピールする時に使う」、「鳴き声を反響させるスピーカーの役割がある」などさまざまな説がありますが、どれが正しいのか、あるいはどれも正しいのか、はっきりとした回答が出ていないのが現状です。
なお「カスク」は私たちの爪や髪を作っている「ケラチン」と呼ばれるたんぱく質からできているため、軽くて丈夫です。
サイチョウはどんな性格なの?
サイチョウは警戒心(けいかいしん)が強く、臆病(おくびょう)な性格だといわれています。
しかし動物園などで飼育された個体は人に慣れて、飼育員になでて欲しいと甘える、エサをプレゼントするといった行動をすることもあります。
サイチョウはどんな鳴き声なの?
サイチョウは「クワッ」「カカカカカ」といった、けたたましい声で鳴きます。
その鳴き声は非常に大きく、ラッパのようだと例えられることもあります。ペアの場合はオスが鳴くとメスが鳴き返しますが、これはサイチョウが生息する熱帯雨林は非常に視界が悪いため、大きな声で鳴くことでお互いの位置を確認していると考えられています。
なおサイチョウは鳴き声だけではなく、飛ぶ時の音も大きいことが知られています。サイチョウが頭上を飛ぶと、まるで蒸気機関車が走っている時のような音がするそうです。
サイチョウの子育ては変わっているって本当?
本当です。
サイチョウは繁殖期になると、巣穴にこもって巣穴の入り口を泥などでふさぐ「シーリング」と呼ばれる行動をすることが知られています。巣穴の入り口にはくちばしの先だけが入るくらいの小さな穴が開いていて、オスはそこから巣穴の中のメスとヒナに食べ物を渡します。その後ヒナがある程度大きくなるとメスは泥を破って外に出て、オスと一緒にヒナに食べ物を運ぶようになります。
この行動は鳥類の中でもサイチョウの仲間にだけ見られる、不思議で面白い習性として知られています。
サイチョウはペットとして飼えるの?
ところで個人がペットとして、自宅でサイチョウを飼うことはできるのでしょうか?
今回調査を行いましたが、サイチョウをペットとして飼っている人の情報や、サイチョウを販売しているペットショップの情報は得られませんでした。しかしサイチョウの1種「カンムリコサイチョウ」や、サイチョウに近い仲間であるジサイチョウの1種「ミナミジサイチョウ」を販売している(販売していた)ペットショップはあるようです。またサイチョウの仲間は原則ペットとしての飼育が禁じられている、「特定動物」には指定されていませんでした。
このことから考えると、恐らくサイチョウをペットとして飼うことは不可能ではないと考えられます。しかし声も体も大きく、臆病な性格の鳥を個人が飼うのは簡単なことではありません。サイチョウはあくまで野生動物であり、動物園などで観察する鳥だと考えることを強くおすすめします。
サイチョウが見られる動物園はあるの?
サイチョウは静岡県の「静岡市立日本平動物園」と、埼玉県の「埼玉県こども動物自然公園」で飼育されています。
ちなみに同じサイチョウの仲間である、大きなカスクと白黒の色合いが美しい「オオサイチョウ」は埼玉県の「埼玉県こども動物自然公園」と「東武動物公園」などで、大きなのど袋を持つ「シワコブサイチョウ」は埼玉県の「東武動物公園」と福岡県の「福岡市動物園」で飼育されています。
サイチョウとオオサイチョウを見比べてみたい方は、ぜひ「埼玉県こども動物自然公園」と「東武動物公園」に行ってみてください。
サイチョウはどのくらい生きるの?
サイチョウの寿命は、約30年だといわれています。
飼育下でも長生きする傾向にあるものの、繁殖させるのは難しいようです。
サイチョウにはどんな敵がいるの?
今回調査を行いましたが、野生におけるサイチョウの天敵に関する情報は得られませんでした。しかし特にヒナのうちは、木の上でも活動できる肉食動物(大きなヘビや猛禽類、ネコ科動物など)に食べられてしまうこともあるかもしれません。
しかしサイチョウにとって、最大の敵は私たち人間です。なぜならサイチョウが生息する熱帯雨林が開発によって破壊されていて、サイチョウが好んで巣を作る大きな木が減ってしまっているからです。また肉を食べるためやペットとして飼うため、カスクや羽根を装飾品として使うために捕獲されていることも重なって、サイチョウの生息数は年々減少しています。
そんなサイチョウは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは絶滅の危険が増大している種である「危急種(VU)(ききゅうしゅ)」に、ワシントン条約では“必ずしも絶滅のおそれはないが取引を規制しなければ絶滅の恐れがあるもの“として「附属書II(ふぞくしょ)」に分類されています。
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サイチョウ 参考文献
- 静岡市立日本平動物園「サイチョウ」 https://www.nhdzoo.jp/animals/naka.php?animal_uid=379
- 一般財団法人静岡市動物園協会「静岡市日本平動物園ZOOしずおか82」 http://www.szga.jp/wp-content/uploads/2017/01/a42d1db650b29f351f6513193ce5e64c.pdf
- 公益財団法人えどがわ環境財団「自然動物園ぶろぐ サイチョウの『ナナ』が死亡しました」 https://www.edogawa-kankyozaidan.jp/zoo/blog_detail/703/?locale=ja
- どうぶつのくに.net「vol.3サイチョウ」 http://doubutsu-no-kuni.net/special/episode11/p3.html
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