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アビ

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アビという鳥を知っている方はいますか?ある地域ではよく知られている鳥かもしれません。 あるいは他の名前で聞いたことがあるかもしれませんが、知らない方も多いかと思います。 そんなアビはどんな鳥なのかお話ししていきます。

アビ 基本情報

鳥綱(ちょうこう)アビ目アビ科アビ属

全長:53〜69cm

翼開長(よくかいちょう):106〜116cm

アビは基本的には水の上で過ごしている水鳥です。北アメリカ大陸北部や、ユーラシア大陸で暮らしていますが、冬になると、厳しい冬を越すために日本の九州より北側に飛んできます。

日本には冬にしか見られないので冬鳥とされていて、北海道ではその飛んでくる途中に通過するので、旅鳥ともされています。

カラスより大きいアビですが、アビ科の中では1番小さい鳥です。アビ科の鳥が大きいのがわかりますね。

グレーの羽毛で覆われており、まだら模様になっています。この羽毛が夏と冬とで変わってくるのです。

夏は頭がグレー、首の前の部分が赤っぽい色に変わります。

冬になると頭が黒色になり、首からお腹のほうにかけて白色になります。

人間と同じように衣替えをしているんですね。

水鳥なので飛ぶ鳥とは違い、足が体の後ろ側についています。泳いだり、潜ったりできるようになっているんですね。

アビ Q&A

アビ
アビの名前の由来は?

「アビ」という名前はそもそもアビ科の名称として呼ばれています。

江戸時代中期からアビと呼ばれていますが、アビの他の種類である、「オオハム」や「シロエリオオハム」の由来が、水に潜って魚を食む(はむ)、というところから来ている説があり、そこから食み(はみ)が変化してアビになったのではないかと言われています。

他にも、アビは体の後ろ側に足がついていることから「あとあし」「あしひれ」「あしひろ」といろんな名前で呼ばれていたそうです。それが変化していってアビになったのではないかという説もあります。

ちなみに漢字では阿比と書いて、英語でもAviと書きます。読み方は同じアビなので、世界共通の名前ということがわかりますね。

アビ
アビはどうしてそこに住んでいるの?

アビは水鳥なので基本的には沿岸や沖合などで暮らしています。人生のほとんどは海の上なんですね。単独か、夫婦でいることが多いです。ですが、冬になると集まって群れを作ります。みんなで頑張って冬を越しているのかもしれません。

お家、いわゆる巣というものは湖の水際などに、草や海藻を使って作りますが、それは繁殖(はんしょく)の時だけなので、お家のない生活がほとんどです。

湖も、海の近くの湖を選んでいるそうなので、いつでも海の近くにいるということですね。

アビ
アビは何を食べているの?

アビは動物食なので、動物性の生き物をいろいろ食べています。

海の上にいることが多いので、イカナゴ、スズキ、ニシン、ヒラメ、タラなどを食べています。これだけではなく、甲殻類(こうかくるい)のカニや、腹足類(ふくそくるい)と呼ばれる貝なども食べています。

日本に越冬(えっとう)に来た時は、瀬戸内海にいることが多いのですが、その時はイカナゴが好きなのでよく食べているそうです。

海に好きなお魚がいるので、常に海の上にいるのかもしれませんね。

アビ
アビは歩けるの?

アビは体の後側に足がついているので、海の上を泳いだり、潜ったりすることはとても得意です。潜ることは特に得意で、60mも潜ったこともあるようです。鳥ではありますが、泳ぎや潜りがプロなんですね。

一方で歩くことは得意なのでしょうか。

歩くのは苦手なようで、地面にお腹がついてしまって歩きにくいようです。頑張ってやっと前に進めるといった感じでしょうか。歩くのは繁殖(はんしょく)で巣を作った時くらいなので、無理もないですね。スイスイと泳いでいたアビが、地上に上がったとたんなかなか進めなくなるのはなんだか可愛いですね。

ちなみに飛ぶ時は、体を直線にして翼を小刻みに動かして飛びます。海上から5〜10mのところを飛ぶのでそんなに高いところまでは飛びません。

飛ぶのは大丈夫なのですが、飛び立つのがあまり得意ではないようで、陸から飛び立つことはできないのです。海の上を頑張って蹴りながら、助走をつけて飛んで行きます。

こう見ると、やはり海での生活が長いので、海に特化した体になっているんですね。

アビ
アビはどうやって増えるの?

アビの繁殖(はんしょく)は、北アメリカ大陸北部かユーラシア大陸で行われます。時期としては6〜7月ごろで、この時に陸に上がって巣を作っていき、そこに2つほどの卵を産みます。アビは一夫一妻制(いっぷいっさいせい)で、代わる代わる交代で卵を温めます。その間に温めてくれている方の分まで見張りをしたり、ご飯をとってきたりと協力してヒナが卵からかえるのを待っているのかもしれませんね。

26〜28日ほどすると、ヒナが卵からかえります。ヒナを育てるのもお父さんとお母さんで協力していきます。

孵化(ふか)してすぐのヒナは、全身がグレーで綿のような羽をまとっています。ふわふわとした気持ちよさそうな羽でしょうね。

そこからはっきりとした羽に変わっていって成長していきます。

夫婦のみで育てるのが基本ですが、小さな湖の水際に同じように他の夫婦も繁殖(はんしょく)にくるので、その時は群れで繁殖(はんしょく)をすることもあるようです。

みんなで協力してヒナを育てていくんですね。

アビ
アビは羽が生え変わるって本当?

アビは冬を越えるために日本に飛んできて、3月に冬用の羽が抜けて、夏用の羽に変わります。これを換羽(かんう)と言います。先ほどもお話しした衣替えですね。

換羽(かんう)は1年でこの3月だけに行われます。

春や夏に向けて体を守る羽を変えているんですね。

アビ
アビは漁をするって本当?

瀬戸内海の広島県豊島町周辺には「アビ漁」という伝統漁法がありました。

アビが換羽(かんう)をすることが理由になってくるのですが、換羽(かんう)の時期は羽が抜けてしまうので、次の羽が生えるまで一時的に飛ぶことができなくなります。

その間、天敵から身を守れて、さらに飛んでいかなくても近くにエサがある場所で過ごします。その場所が、瀬戸内海に浮かぶ、広島県豊島町周辺でした。そこでは丁度、アビが換羽(かんう)をする時期に、アビの好物であるイカナゴが水面下まで上がってくるのです。

ただイカナゴをエサにしているのはアビだけではなく、タイやスズキもイカナゴを狙っています。

アビがイカナゴを捕まえようとすると、イカナゴは海の底に潜っていきます。そこを下からタイやスズキが狙って水面に上がってくるのです。

そこに漁師は目をつけました。このアビ、イカナゴを利用して水面に上がってくるタイやスズキを捕獲するのです。この方法を「アビ漁」または「イカリ漁」と呼んでいました。

ですが換羽(かんう)の時期は、アビの警戒心はより一層強くなっています。近くを小船が通るだけでも逃げてしまうので、手漕ぎ(てこぎ)の船でゆっくり近づき、船や人間に慣れるまで辛抱強く待ちます。慣れて漁ができるようになっても、アビをおどかさないようにあまり近付かず、タイやスズキも一本釣りで取ります。

アビのおかげなので大切に守っているんですね。

アビ
アビは天然記念物って本当?

正確にはアビが天然記念物に指定されているのではなく、場所そのものが天然記念物に指定されています。

先ほどもお話しした、広島県の豊島町周辺でアビ漁が行われていますがその海域を、1931年、「アビ渡来群遊海面(とらいぐんゆうかいめん)」として国の天然記念物に指定されました。その約30年後の1962年には広島県を代表する鳥として県鳥にも指定されました。

アビを県全体で守って愛してきたんですね。

アビ漁は300年以上前の江戸時代に始まったと言われている歴史ある漁法ですが、今ではあまり使われなくなっていて、豊島周辺の一部地域でしか現在は使われていません。

それはなぜでしょうか。

コンクリートの材料などに使われる海砂(うみすな)を大量に採取したために、海が荒れてしまい生態系にも影響を及ぼしました。そのためにアビのエサであるイカナゴが少なくなってしまいました。さらに、技術が進み大きい船が通るようになるとアビが驚いてしまい、アビもイカナゴも減っていってしまい、1986年、アビ漁はほとんどの地域ができなくなりました。

人間の暮らしを豊かにする影響がこのような形で出てくるのだと思うと、環境への配慮を意識した暮らしをしていきたいですね。

アビ
アビの保護をする活動はあるの?

アビが冬を日本で過ごしてくれる数が減少してしまったのですが、アビを、アビの過ごす環境を守ろうという活動がされています。

アビが渡来してくる12月から4月まで、その地域を「鳥獣保護区特別保護指定区域(ちょうじゅうほごくとくべつほごしていくいき)」に指定し、その期間、船が通ることを禁止しています。

このようにしてアビの生活を地域全体で守っているんですね。

また昔のようにたくさんのアビがこの地域で見られることを願っています。

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