ウズラ
ウズラ
ウズラ
あなたはよくお弁当や中華丼に入っている、小さい卵を産む鳥の名前を知っていますか? ニワトリの卵に比べるとずいぶんと小さいこの卵を産むのは、キジの仲間である鳥「ウズラ」です。 ウズラの卵は見たことがあるけれどウズラについては良く知らない、見たことがない、という人もいるのではないでしょうか? ウズラにはどんな特徴や秘密があるのか、この記事で一緒にウズラの世界をのぞいていきましょう。
ウズラ 基本情報
鳥綱キジ目-キジ科
体長20cm 体重130~150g
ウズラは世界に広く生息する、キジ目の鳥類です。ウズラは日本にも生息していて、日本に生息するウズラは単に「ウズラ」あるいは「ニホンウズラ」と呼ばれています。色合いはオスもメスも背中側の羽根が茶色、腹側の羽根が淡い黄色ですが、オスは顔から脇腹にかけて赤褐色が、目の上には白い線が入ります。メスは顔に赤褐色が入らず、目の上には黄色っぽい線が入ります。
丸っこくて小さい体のウズラですが、実は渡り鳥であり、キジの仲間の中では長く飛べることが知られています。日本には夏鳥として北海道と本州の中部から北にかけて、あるいは冬鳥として九州と関東から西にかけてやってきます。夏鳥としてやってくるウズラは冬になると中国や朝鮮半島、インドシナまで飛んでいきます。
ウズラは非常に成長が早く、飼育されているウズラは生後40~50日ほどで性成熟(せいせいじゅく)を迎え、繁殖ができるようになります。野生のウズラの繁殖期(はんしょくき)は4~9月で、産卵の時期になるとメスは草むらややぶの中に巣を作り、5~12個の卵を産みます。卵は16~21日ほどでふ化し、ヒナは生後19日ほどで空を飛べるようになります。ウズラの子育てはメスのみが行い、オスは子育てには一切関わりません。
ウズラ Q&A
ウズラの名前の由来は何?
ウズラという名前の由来には、さまざまな説があります。一説には「う」は草むらのこと、「づら」は群がるという意味がある“つら”という言葉であり、この2つの単語を組み合わせてウズラという名前になったのではないかといわれています。
なおウズラは英語では「Quail」、学名は「Coturnix japonica」と表現されます。
ウズラはどうしてそこに住んでいるの?
ウズラは寒冷地を除く、世界の広い範囲(アジア、オーストラリア、アフリカ、オセアニア)に生息しています。
なぜウズラが世界中に生息しているのか、はっきりとした理由はわかりませんでした。しかし雑食性でありさまざまな物を食べられること、丈夫で病気に強いことなどの理由から、世界中に広く生息できているのかもしれません。
ウズラは何を食べているの?
ウズラは雑食性の動物で、野生では草の種子、穀類、昆虫などを食べています。
動物園ではウズラ用の餌や鳥用の配合飼料を中心に、コマツナやチンゲンサイなどの青菜を与えています。
ウズラはどんな性格なの?
ウズラの性格は基本的に臆病だといわれています。
ただしヒナから育てる、手から餌を与えるなど根気強く接していくと、人に慣れることが多いといわれています。よくなついたウズラはなでて欲しい、遊んで欲しいと飼い主に甘えてくることもあるそうです。
ウズラの卵にはなぜ模様がついているの?
ウズラの卵には特徴的な茶色い斑点模様(はんてんもよう)が入っていますが、なぜウズラの卵には模様がついているのでしょうか?
ウズラの卵に模様があるのは、卵を土と同じような色合いにすることで天敵に見つかりにくくするためだと考えられています。実はウズラの卵はもともと真っ白ですが、卵が産まれる1~2時間前になるとメスのウズラの体の中で模様がプリントされ、模様がついた状態で産み落とされます。ウズラの卵の模様は「ポルフィリン」という色素であり、酢につけると模様が落ちて真っ白い卵本来の色が見えます。
なおウズラの卵の模様は個体ごとに決まっていて、メスは生涯ほぼ同じ模様の卵を産み続けます。中には模様が無かったり、ニワトリのように真っ白い卵を産んだりするウズラもいます。ウズラのメスは自分の卵の模様を知っているようで、卵を天敵から守るために卵の模様に似た場所を選んで卵を産む習性があるそうです。
スーパーで売っているウズラの卵がふ化することがあるって本当?
本当です。
食用としてスーパーなどで販売されているウズラの卵の中には、有精卵が混じっていることがあります。食用であることから無事にふ化する確立は低いものの、100個中2~3個くらいの確立でふ化するとされています。ウズラの卵をふ化させる時はふ卵器(ふらんき)を使い、温度や湿度、転卵(てんらん)の管理を機械にやってもらうと良いでしょう。
ただしウズラを飼うために卵からふ化させるのであれば、ウズラの卵の生産者から有精卵を購入することをおすすめします。なぜならその方が無事にふ化する可能性が高いからです。また卵をふ化させること自体を楽しむのは悪いことではありませんが、ふ化させた後のウズラが生き物であることを忘れず、必ず責任を持って飼うようにしてください。
ウズラは食べられるって本当?
本当です。ウズラは卵が食べられるのはもちろんのこと、お肉も食べられます。
ウズラのお肉はニワトリのお肉のように、いつでもスーパーで見かける食材ではありません。しかしフランスでは一般的な食材であり、実は日本でも古くから食べられています。そのお肉はクセが少なくて淡泊な味わいだとされていて、食べ方としてはそのまま丸焼きにするか、骨ごとミンチにした団子を煮物やお吸い物に使うことが多いようです。ウズラの丸焼きや焼き鳥を提供しているお店もあるので、興味がある人は探してみても良いかもしれません。
なおウズラのお肉は私たちが食べる他、ペットの猛禽類(フクロウやタカなど)の餌にされることもあります。
ウズラは日本と縁がある動物って本当?
本当です。
世界にはウシやウマのように家畜と呼ばれる、人間が利用するために野生動物から改良され、飼育されている動物がたくさんいます。ウズラも家畜の1種であり、唯一日本で家畜化された動物だといわれています。
ウズラは室町時代から飼育されはじめ、江戸時代になるとより本格的に飼育されるようになったといわれています。この時代にはウズラは卵や肉を食べる目的ではなく、見て楽しんだり、鳴き声を楽しんだりするための観賞用のペットとして飼われていました。当時は飼っているウズラを持ち寄って鳴き合わせ、どのウズラが一番良い声で長く鳴き続けるか競う、「鶉合(うずらあわせ)」が流行っていたそうです。
その後明治時代の中期になるとウズラは卵を取る目的で飼育されるようになり、今ではウズラ=卵というイメージが強く根付いています。
ウズラはペットとして飼えるの?
日本国内において、ウズラをペットとして飼育することは可能です。ウズラはあまり一般的なペットではありませんが、タイミングが良ければペットショップの店頭に並んでいることもあります。
ペットとしてウズラを飼う時の餌は、愛玩用のウズラ用配合飼料を選ぶと良いでしょう。卵を取るための採卵用ウズラの餌やニワトリやハト用の餌を砕いて与えることもできますが、これらの餌はペットのウズラにとってはカロリーが高すぎて肥満の原因になる可能性があります。
なおウズラはウシやウマなどと同じく、「飼養衛生管理基準が定められた家畜」に該当する動物です。そのためウズラを飼っている間は毎年、家畜伝染病予防法に基づく定期報告をする義務があります。
なんだか難しい話に思えますが、実際にはウズラを何羽飼っているか報告するだけなので、ほとんど手間はかかりません。住んでいる都道府県によって定期報告の書類が異なるため、詳細は最寄りの市役所や家畜保健衛生所に確認してください。
ウズラは意外と鳴き声が大きいって本当?
本当です。
ウズラは小さな体の割に意外と声が大きく、特に早朝に大きな声で鳴く習性があります。
日頃の鳴き声は「ケーケー」「ピーピー」「キュー」といった短い鳴き声ですが、それでも音量は大きめです。さらに大人になったオスは「キュッケー」「キュェェェ」といった非常にけたたましい声で鳴くため、マンションやアパートなどの集合住宅で飼育する場合は防音部屋などを作り、鳴き声対策をしないと近所迷惑になってしまう可能性が高いと考えられます。
なお江戸時代にはウズラの鳴き声は「御吉兆(ゴキッチョウ)」と聞こえるとして、おめでたく、縁起が良い鳥だとされていました。そんなウズラは縁起物として戦国武将の間で流行し、のちに一般市民の間にも広まっていったそうです。
ウズラが見られる動物園はあるの?
ウズラは東京都の上野動物園、長野県の須坂市動物園、広島県の広島市安佐動物公園など多くの動物園で飼育されています。体が小さく色も地味なウズラですが、じっと観察してみると新しい発見があるかもしれません。
なお動物園以外でも、ウズラとのふれあい体験をやっている観光牧場もあるようです。
ウズラはどのくらい生きるの?
ウズラの寿命は飼育状況によって異なりますが、採卵用のメスのウズラの平均寿命は2年未満、最長でも4年と6ヵ月程度だといわれています。
メスのウズラが生涯に産む卵の数は平均342~384個、最高で630個といわれています。メスは卵を産めば産むほど体に蓄えたカルシウムなどの栄養や体力を使ってしまうため、全体的に寿命が短い傾向にあります。
なおペットとして飼育されるウズラの場合、5~8年ほど生きることもあります。
ウズラにはどんな敵がいるの?
野生のウズラには天敵が多く、ワシやタカなどの猛禽類やイタチなどの肉食動物、ネコなどに食べられてしまうことがあります。
実は日本に生息する野生のウズラは年々数が少なくなっていて、環境省の発行するレッドリストでは「絶滅危惧II類(VU)」に分類されています。昔はウズラの鳴き声が聞こえた場所でも今は全く鳴き声が聞こえなくなってしまった。と感じる人も多く、このままでは野生のウズラは絶滅してしまうのではないかと心配されています。
日本に生息する野生のウズラは、主に狩猟圧と生息地の破壊によって数が減ってしまったと考えられています。ウズラはかつて代表的な狩猟鳥獣の1種でしたが、数が大幅に減ってしまったため、2013年には狩猟鳥獣から除外されました。現在は保護の対象となっているため、基本的には狩猟免許を持っている人でも捕まえてはいけないという決まりになっています。
今後ニホンウズラの生息数が増えて、身近な野鳥に戻る日が来ることを願いたいものですね。
あなたも『動物完全大百科』の一員になりませんか?
あなたの知識をQAにして、全世界に発信しましょう。 ※掲載は購入後に有効となります。 さあ、私たちと一緒に情報を共有しましょう!
ウズラ 種類
・ヨーロッパウズラ ・ムナグロウズラ ・ヤクシャウズラ ・オーストラリアウズラ ・ニュージーランドウズラ(絶滅種) など
コメントしませんか?
おめでとうございます! あなたが初めてのコメンテーターです!
あなたの“好き”リストを作ろう!
ウズラ
気になる動物をお気に入りに登録!後からすぐに見返せる、あなただけのリストを作りましょう。
コメントしませんか?
※ご注意:記事内に掲載するコメント権の購入になります。
あなたの好きを見つけよう!
当ショップでは、様々な動物をテーマにしたユニークで魅力的なグッズを取り揃えております。
ウズラ 参考文献
- 公益信託サントリー世界愛鳥基金「トピックス ウズラ」 http://www.koueki-suntory-aityou.jp/topics/1105.html
- ナショナルジオグラフィック「ウズラ、卵の模様ごとに産卵場所を変更」 https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/7424/
- 環境省自然環境局「ウズラ調査マニュアル」 https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs5/docs5-uzura.pdf
- 農林水産省「2章 うずらの生態及び飼養等に関する情報について」 https://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/pdf/airepo-2.pdf
- FNNプライムオンライン「スーパーの“ウズラの卵”を温めて孵化させた!? 投稿者「最後まで責任を負う覚悟を」」 https://www.fnn.jp/articles/-/25227
- 鹿児島大学リポジトリ「雌ウズラの寿命と生涯産卵能力について」 https://core.ac.uk/download/pdf/144561421.pdf
- 京都府レッドデータブック「ウズラ」 https://www.pref.kyoto.jp/kankyo/rdb/bio/db/bird0004.html
- 日本テレビ 知識の宝庫!目がテン!ライブラリー「感動 ウズラ ヒヨコ誕生」 https://www.ntv.co.jp/megaten/archive/library/date/05/08/0821.html
- J-STAGE「シリーズ実験動物紹介 ウズラ」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nl2008jsce/43/162/43_125/_pdf/-char/ja
ウズラ 使用メディア紹介
その他
その他
天敵
天敵
動物完全大百科をあなたのメディアで豊かにしよう!
動物完全大百科では、動物の素晴らしい写真や動画を常に募集しています。もしあなたが共有したいメディアがあれば、ぜひご提供ください。あなたの投稿はクレジット付きで動物完全大百科に掲載され、多くの動物愛好家に届けられます。動物の魅力と多様性を一緒に伝えましょう。