ピューマ
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ピューマ
アメリカ大陸に生息するピューマは、メスのライオンにそっくりな見た目の大型ネコ科動物です。 日本では図鑑や動物園以外ではあまり見かけない動物なので、 もしかしたらはじめて見た!はじめて名前を知った!という人もいるかもしれません。 しかしピューマはすばらしい身体能力を持っていて、とある有名なスポーツ用ブランドの名前の由来にもなっている動物でもあります。この記事でピューマにはどんな特徴や秘密があるのか、一緒にのぞいていきましょう!
ピューマ 基本情報
哺乳綱食肉目-ネコ科-ピューマ属
オス 体長105~180cm 体重67~103kg メス 体長96~151cm 体重36~60Kg
ピューマは南アメリカから北アメリカにかけた広い範囲に生息する、北アメリカ最大のネコ科動物です。ピューマは生息域がとても広く、雪が降る亜高山帯(あこうざんたい)から熱帯雨林(ねったいうりん)、湿地、草原、砂漠などあらゆる環境に生息していることが知られています。
そんなピューマはとても警戒心(けいかんしん)が強く、基本的に単独(1頭)で暮らす動物です。オスもメスも2~3歳で性成熟しますが、メスの方が早く繁殖できるようになることが多いといわれています。決まった繁殖期はなく1年中妊娠と出産ができますが、住んでいる地域によっては子育てに有利な時期に出産が偏ることもあるようです。妊娠期間(にんしんきかん)は約92日で、1回の出産で2~4頭の子どもを産みます。
ピューマの狩りは待ち伏せ型(まちぶせがた)で、獲物を見つけると音もなく近づいて相手が油断するまでじっと様子を伺います。そしてチャンスが来るとすぐに飛びかかり、のどやあご、おなかなどに噛みついてあっという間に倒してしまいます。野生のピューマはオジロジカやミュールジカなどのシカが大好物ですが、オオツノヒツジ、ペッカリー、ビーバー、ノウサギ、ヤマアラシなどの草食動物のほか、時にはコヨーテを食べることもあります。また哺乳類だけでなく、魚を食べることもあるようです。
ピューマ Q&A
ピューマとライオンにはどんな違いがあるの?
ピューマとライオンは見た目がとても似ていますが、どんな違いがあるのでしょうか。
1つ目の違いとしては、住んでいる場所があげられます。 ピューマは南北アメリカ大陸に生息していますが、ライオンはアフリカやアジア大陸に生息しています。ピューマとライオンの生息域がかぶるところはありません。
2つ目の違いとしては、生活の仕方があげられます。 ピューマは基本的に単独で生活していますが、ライオンは「プライド」と呼ばれる10頭前後の群れを作って生活しています。アフリカやアジアではライオンの群れが見られますが、アメリカでピューマの群れを見ることはありません。
なお見た目の違いとしては、しっぽの太さや形があげられます。 ピューマのしっぽは全体的に太く、先の方までほとんど太さが変わりません。一方ライオンのしっぽはピューマに比べると全体的に細く、先にはふさ状の黒~こげ茶色の毛が生えています。
なお体の大きさについては、ややライオンの方が大きいようです。 ピューマの体長はオスで105~180cmほど、メスで96~151cmほどですが、ライオンの体長はオスで170~250cm、メスで140~180cmほどです。
ピューマはジャンプが得意って本当?
本当です。 ピューマはとてもジャンプ力が強く、その場で垂直に4~5mほど飛び上がれます。数字ではイメージしづらいかもしれませんが、ピューマは1階から2階まで(地面から建物の2階までは約3m)軽々とジャンプして登れてしまう…と考えると少しわかりやすいかもしれません。
またピューマは助走(じょそう)をつけずに、12mもの幅を飛ぶこともできます。人間の立ち幅跳びの世界記録は2015年にアメリカ人のアメリカンフットボールの「バイロン・ジョーンズ」選手が出した3m73cmなので、比べてみるとピューマのジャンプ力や脚力(きゃくりょく)がすごいことがわかりますね。
ピューマはどんな声で鳴くの?
メスのライオンにそっくりのピューマですが、実はペットのネコのようなかわいらしい声で鳴きます。
ピューマは喉頭(こうとう・のどぼとけのこと)を自由に上げ下げできないため、ライオンやトラのようにほえることができません。そのため「ニャオー」や「ミィ」など見た目からは想像できないほどかわいい声で鳴くほか、ネコと同じで喉をゴロゴロ鳴らすこともあります。
ピューマにはたくさんの別名があるって本当?
本当です。 生息地が広いピューマは別名が多く、「クーガー」「アメリカライオン」「マウンテンライオン」などさまざまな名前で呼ばれています。英語では「Cougar(クーガー)」、もしくは「Mountain Lion(マウンテンライオン)」と呼ばれることが多いようです。
ピューマは、スポーツ用品ブランド「PUMA」の由来になっているって本当?
本当です。 「PUMA」(プーマ)という有名なスポーツ用品のブランドがありますが、このブランドの名前やロゴの由来は動物のピューマなのだそうです。製品の持つ力強さをピューマで表現しているそうで、ロゴには軽やかに、力強くジャンプするピューマの姿が描かれています。
ピューマも水が嫌いなの?
ネコは水にぬれることやお風呂に入ることが嫌いだ、というイメージを持っている人も多いことでしょう。ではネコの仲間であるピューマも、水が嫌いなのでしょうか?
実はネコの仲間であるピューマも水が嫌いで、雨が降ると体がぬれないように身を隠します。しかしピューマは進んで泳ぐことはないものの、実は泳ぎが上手なことが知られています。とはいえ必要に迫られれば泳ぎますが、基本的には水にぬれることを嫌がることが多いようです。
ちなみにネコが水を嫌う理由は、3つほどあると考えられています。1つ目の理由はペットのネコの祖先が乾燥した砂漠地帯に暮らす野生のネコ「リビアヤマネコ」であり、水にぬれること自体になれていないこと。2つ目の理由は水にぬれると体温や体力が奪われてしまうこと、3つ目の理由としては毛の手入れにとても強いこだわりを持っていることだと考えられています。
ピューマのお母さんは熱心に子育てするって本当?
本当です。 ピューマはメスだけが子育てをする動物です。お母さんピューマは子どもが生まれると10日ほどねぐらで一緒に過ごし、子どもの目が開くまで片時も離れずにたくさんのコミュニケーションを取ります。
その後もお母さんピューマは子どもが大きくなるとあちこちに連れて行き、狩りや岩登りなど生きるために必要なことを1つ1つ熱心に教えていきます。お母さんピューマは子どもが教えたことを思うようにできなくても怒ることはなく、できたら優しく体をなめてあげるそうです。
なお赤ちゃんピューマには、チーターやヒョウのような斑点模様(はんてんもよう)があることが知られています。この模様は成長するにつれて薄くなっていくため、大人のピューマにはほとんど模様がありません。
ピューマはどのくらい生きるの?
ピューマの寿命は野生下(やせいか)で10~15年、飼育下(しいくか)で15~20年ほどだといわれています。
どんな動物でも年を取ると体の動きが鈍くなり、力が弱くなり、また体も弱くなっていきます。そのため多くの動物は自分で獲物を捕る必要があってケガや病気が命取りになる野生下より、毎日確実にエサをもらえてケガや病気の治療をしてもらえる飼育下の方が長生きする傾向にあります。
動物園のピューマはどんな物を食べているの?
日本の動物園ではピューマにウマやニワトリなどの肉と鶏頭(けいとう)、レバーなどを与えています。
しかし人間が食べるために加工された肉は血や内臓が抜かれていて、ピューマの体を作るために必要な栄養素が足りません。 そのため動物園では肉にビタミンやカルシウムの粉をまぶして、栄養のバランスが取れるような工夫をしています。
ピューマが人を襲うことはあるの?
残念なことに、ピューマが人を襲うことはあります。 実際にアメリカやカナダでは年に数件ですが人がピューマに襲われるという事故があり、数年に1回死亡事故が起こっています。
しかしこのような事故は山や森などのピューマが暮らす、自然が多い場所でサイクリングやキャンプをしている時に起こることが多いようです。ピューマが住んでいる場所に行く機会があれば子どものピューマでも人間に大ケガを負わせる力を持っていること、ピューマが足音も立てずに近づいてくること、子どもがいるお母さんピューマはとても気が立っていることを覚えておいた方が良いかもしれません。
ピューマはペットとして飼えるの?
SNSやテレビなどで、ピューマを飼っている人を見たことがある人もいることでしょう。ではピューマはペットとして飼うことができるのでしょうか?
日本の法律「動物愛護管理法(どうぶつあいごかんりほう)」では、ピューマは人の命や財産に害を与える可能性がある動物である「特定動物(とくていどうぶつ)」に指定されています。以前は特定動物も決められた条件を満たせばペットとして飼うことができましたが、令和2年6月1日に法律が改正されて特定動物を新たに愛玩目的(あいがんもくてき・ペットとして飼うこと)で飼うことが全面的に禁止されました。
つまり以前は日本でもピューマをペットとして飼えましたが、現在は飼えないということです。なお野生動物をペットとして飼えるかどうか、という法律や決まりは国によって大幅に異なります。現在も普通にピューマをペットとして飼える国もあるようです。
ピューマにはどんな敵がいるの?
ピューマはとても強い動物ですが、彼らに敵はいるのでしょうか? 野生におけるピューマの敵はクマやオオカミなどで、子どもの内はこれらの動物に食べられてしまうことがあります。またオスのピューマはメスが連れている自分の子どもではない子どもを殺す「子殺し」をすることがあること、なわばりでピューマ同士が出会うと時に命がけの争いになることから、ある意味ピューマもピューマの天敵といえるのかもしれません。
しかしピューマにとって、最大の敵は私たち人間です。 かつてピューマは人や家畜を襲う危険な猛獣である、という理由から懸賞金(けんしょうきん)をかけられて銃やわな、毒などあらゆるものを使って駆除(くじょ)されていました。さらに車が発達するにつれて交通事故で命を落とすピューマも増え、その結果ピューマはどんどん数を減らし多くの地域で絶滅してしまったのです。
その後懸賞金制度は見直され、ピューマを保護しようという動きが少しずつ活発になりました。現在ピューマは法律で保護されていて、少しずつ生息数と生息地を増やしているといわれています。
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ピューマ 参考文献
- 今泉 忠明(2004年)『野生ネコの百科』データハウス
- 東京ズーネット「どうぶつ図鑑 ピューマ」 https://www.tokyo-zoo.net/encyclopedia/species_detail?species_code=79
- ナショナル ジオグラフィック「動物大図鑑 ピューマ」 https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20141218/428886/
- ナショナル ジオグラフィック「復活するピューマ」 https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20131122/374587/
- ナショナル ジオグラフィック「大事なことはすべて母から教わる ピューマ家族の生活」 https://style.nikkei.com/article/DGXMZO37464820X01C18A1000000/
- 大塚デザイン「みんログブログ プーマのロゴ」 https://www.otsuka-design.com/logo/blog/?p=180
- 静岡市「平成30年7月6日 市長定例記者会見 <導入個体情報>」 https://www.city.shizuoka.lg.jp/000788493.pdf
- 盛岡市動物公園「ZOOもりおか 第16号2007」 http://moriokazoo.org/image/event/2007.pdf
- Wikipedia「立ち幅跳び」 https://ja.wikipedia.org/wiki/立ち幅跳び
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