ポッサム
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ポッサム
あなたはポッサムという動物を知っていますか? くりくりとした愛らしい大きい目でとても可愛らしい動物なのですが、保護の対象になっている国と、駆除の対象になっている国があるのです。 好かれているのか嫌われているのかわからないポッサム。そんなポッサムを紹介していきます。
ポッサム 基本情報
脊索動物門(せきさくどうぶつもん)脊索動物亜門(せきさくどうぶつあもん)
哺乳綱(ほにゅうこう)獣亜綱(じゅうあこう)後獣下綱(こうじゅうかこう)
有袋上目(ゆうたいじょうもく)双前歯目(そうぜんしもく)クスクス亜目(あもく)
体長:65cm〜95cm 体重:1.5kg〜6.5kg
ポッサムの原産国はオーストラリアですがニュージーランドに輸出されたので、今では主にオーストラリアとニュージーランドに生息しています。
くりくりとした大きな目が特徴的で、鼻が突き出ています。後ろ足の指は対向して生えていて爪も尻尾も長く、木を掴んだり登ったり、ぶら下がったりすることができます。
実は「ポッサム」というのは1匹の動物を表す言葉ではなく、上記の特徴を踏まえている動物の総称なのです。ですので約30種類の中で「ポッサム」という名前の動物はおらず、「〜ポッサム」という名前が付けられています。少しややこしいですね。
ポッサム Q&A
ポッサムの名前の由来は?
ポッサムの名前の由来を説明するには、まず「オポッサム」という動物の名前の由来から説明しなければなりません。
アメリカにオポッサムという別の種類の動物がいますが、ネイティブアメリカンのアルゴンキン語で「白い動物」という意味があります。そのオポッサムに姿形が似ていることから「オ」だけを取って「ポッサム」と名付けられたと言われています。ポッサムの原産国はオーストラリアなので区別をしたかったのかもしれませんが、それにしても簡単に名付けられていますね。
しかもオポッサムとポッサムは見た目が似ているというだけで、生物学上は全く違う動物なのです。
よく間違えられることもあるそうで、なぜこんなややこしい名前にしたのかはわかりませんが、ポッサムという名前がついている動物は多いので、今さら変えられませんね。
他には、後ろ足がクモの巣に見えることからギリシャ語で「クモの巣」という意味の「ポッサム」になったとも言われています。
ポッサムはどうしてそこに住んでいるの?
ポッサムは基本的に巣穴やエサがあるところならどこでも生活することができますが、森林や牧草地が混じり合っている地域に住んでいることが多く、1日のほとんどの時間を木の上で過ごしています。
夜行性なので、昼は木にできている空洞などで隠れたり睡眠をとっています。夜になると活動し出しますが、エサを取るのも極力木の上で行います。木の上が大好きなんですね。
地上に降りることは1日の中でほとんどありませんが、地上のエサを取るために降りることもあるようです。
ポッサムは何を食べているの?
ポッサムは雑食なのでなんでも食べることができます。
葉っぱや花、木の実、フルーツ、植物の芽から、昆虫や鳥の卵までいろんなジャンルのものをエサとしています。
やはり食べるものから見ても、木の上で取れるものばかりですね。これならほとんど地上に降りなくても生活できますね。
ポッサムの赤ちゃんはどうやって過ごしているの?
ポッサムの繁殖期は春と秋の2回あります。繁殖期が多いこともあり、17日〜18日間という短い妊娠期間で出産してしまいます。1回の出産で1匹しか産まれないことがほとんどです。産まれてきた赤ちゃんはお母さんの袋の中で、約70日〜120日の期間を過ごします。これはカンガルーのような袋を持っている動物と同じですね。
ポッサムはつがい、つまり夫婦や家族で行動します。赤ちゃんにとってはお父さんとお母さんがいてくれると安心しますね。
ポッサムは死んだふりをするって本当?
ポッサムは敵に遭遇し自分の身に危険が迫ると、死んだふりをしてその場を凌ぐことがあります。人間みたいですね。
もちろん死んだふりだけで身を守っているわけではありません。うなり声で威嚇したり、胸に分泌腺があるので、そこから臭い匂いを出して敵を遠ざけたりします。
死んだふりをしているポッサムを一度でいいから見てみたいですね。
ポッサムは絶滅の危機にあるって本当?
原産国であるオーストラリアではポッサムの数がどんどん減少し、現在では保護動物とされています。なぜポッサムの数が減少してしまっているのでしょうか。
「ポッサムウール」や「ポッサムダウン」「ポッサムメリノ」という言葉を聞いたことがありますか?
コートなどに使われている最高級の毛皮で、これらはポッサムの毛皮で作られています。中が空洞になっている特殊な毛皮で、その毛皮で作られたコートや手袋はとても暖かく保温性があり、なおかつとても軽いと人気が高いのです。
そのポッサムの毛皮を取るために狩猟の対象となり、数が減少していきました。
理由は狩猟だけではありません。
原産国でありながらオーストラリアはポッサムにとって住みにくい土地でもありました。本来ポッサムが好む土地は木が密集しているような森林なのですが、オーストラリアにはそのような土地はなく、開けた場所が多いため食べ物があまり取れず、身を隠すような場所も少ないために数が増えなかったことも原因と言われています。
山火事も原因の一つで、住む場所も食べるものも無くなっていったのです。
このような理由でオーストラリアではポッサムを保護の対象として、狩猟を禁止しています。
オーストラリアではみんなで見守って、絶滅の危機を回避しようとしているんですね。
ですが別の国に行くと、ポッサムは全く違う扱いをされているのです。
ポッサムが嫌われているって本当?
先ほどの話とは打って変わって、ポッサムが嫌われているという話になります。ポッサムを嫌っているのはニュージーランドです。一体何があったのでしょうか。
1850年代、ポッサムの毛皮を取るために「ブラッシュテールポッサム」という種類のポッサムをヨーロッパからの入植者たちが連れてきました。ニュージーランドの人々は、ポッサムを繁殖させ数を増やしていきました。いえ、増え過ぎてしまったのです。
その約100年後、1950年代ごろになるとニュージーランドの半分もの地域でブラッシュテールポッサムが生息していることがわかってきました。
1980年代、その数はとどまるところを知らず、一時期は7000万匹にも達していました。当時のニュージーランドの人口が約410万人ですから、人間よりもブラッシュテールポッサムの方が多かったことになります。
そして1990年代に自然保護の観点から、ブラッシュテールポッサムを害獣(がいじゅう)として捕獲し射撃などで数を減らすことになりました。
ここまでだと数が増えているというだけでなぜ害獣(がいじゅう)になってしまうのかわかりませんよね。害獣(がいじゅう)と呼ばれるのには理由があるのです。
まずはポッサムの食欲です。
ポッサムは雑食である上にとてつもない量を食べます。木の葉っぱやつぼみ、花や芽を、木が生まれ変われないぐらいの速度と量を食べてしまうのです。その量は1日で数十トンにもなると言われています。その結果木が育たなくなり、緑が失われていってしまったのです。緑がなくなるとどうなるでしょうか。そこに住む昆虫や生物たちも暮らせなくなり、その昆虫たちをエサにしている鳥も生息できなくなるという負の連鎖が起きてしまったのです。
食べる量だけではありません。ポッサムの雑食も原因の一つです。
その名の通りなんでも食べてしまうのですが、そうなると在来種の鳥たちが食べるものを失ってしまいます。その上、その鳥の卵やヒナまでも食べてしまうのです。ニュージーランド固有の絶滅危惧種の鳥や、コウモリがその数を減らしていき、代わりにポッサムの数が増えていくことになってしまいました。
ポッサムが持っている病気も害獣(がいじゅう)と呼ばれる原因となっています。
ポッサムは牛結核(うしけっかく)という牛やヤギ、鹿などの家畜に伝染して死に至らしめてしまう病気を持っています。家畜が飼われているような牧草地はポッサムにとって住みやすい土地で、言ってしまえばポッサムと家畜は、壁も屋根もないお隣さんになります。その為、牛結核(うしけっかく)の伝染を防ぐことはとても難しいのです。それから牧草地の草も食べ尽くしてしまうので、家畜にとっては病気もうつされ、食べるものも住むところも奪う最悪の動物です。
動物だけではなく、人間もポッサムの被害に遭っています。
ポッサムが住むのは森林だけでなく、人間が住む家のガレージや屋根裏にまで住んでいることもあるのです。壁や屋根を壊してしまったり、長い爪を持っているので対峙した時に怪我をする恐れもあります。
自然を大事にしているニュージーランドでは、それを壊す動物=害獣(がいじゅう)となり、自然保護の観点で駆除の対象になりました。年々、ポッサムの数は減少していますがまだ人口よりポッサムの数が多いのが現状です。ニュージーランドでは2050年までにポッサムを根絶(こんぜつ)させるという目標を掲げています。
国が違うとこんなにもポッサムの印象が変わってしまうとは驚きですね。ただ、どちらの問題も人間の欲で生まれてしまったものだと考えると、ポッサムは振り回されているだけなんですよね。こんな悲しい結果はもう繰り返されないように願います。
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ポッサム 種類
ポッサムは有袋上目(ゆうたいじょうもく)双前歯目(そうぜんしもく)クスクス亜目(あもく)から複数の科に分かれていて、約30種類います。その種類を科とともに少し紹介します。
[クスクス科]・・・フクロギツネなど
[リングテイル科]・・・ハイイロリングテイルなど
[ブーラミス科]・・・ブーラミス、フクロヤマネ、チビフクロヤマネなど
[フクロミツスイ科]・・・フクロミツスイなど
[フクロモモンガ科]・・・フクロシマリス、フクロモモンガダマシなど
[チビフクロモモンガ科]・・・ニセフクロモモンガなど
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ポッサム 参考文献
- Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/ポッサム
- BIOME ポッサム・オポッサム問題 https://biome.co.jp/biome_blog_164/
- Waku Waku Tasmania https://wakuwakutas.com/about-possum/
- NZ便利帖 https://nzbenricho.com/possum/
- 生き物宇宙紀行 https://ikimono-matome.com/opossum-possum/
- nzdaisuki.com https://nzdaisuki.com/topic/living/be-careful-of-possums
- KNIT MAGAZINE https://www.knitmag.jp/19373
- ekolss https://ja.ekolss.com/possum
- ニュージーランドにおける1980年代以降の地方自治制度改革〜国の公的部門改革との関連において〜 東北公益文化大学 公益学部 准教授 和田明子 http://www.clair.or.jp/j/forum/series/pdf/h20_05.pdf
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