オウム
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皆さんは「オウム」という鳥を知っていますか?さまざまな色を持つオウムは、動物園でみたり、実際に飼っている人もいるかもしれません。「インコ」という名前が付いているのに、インコではなくオウムの仲間であることもあるんです。そんなオウムのことを紹介していきます!
オウム 基本情報
項目名 | 内容 |
---|---|
保全状況 | 種により異なる |
綱 | Aves (鳥綱) |
分類地位 | 受理されている |
科 | 複数存在 |
記載 | 鮮やかな羽色と特徴的な強いくちばしを持ち、高い知能と社会性で知られる。 |
生息地 | 熱帯および亜熱帯の森林、サバンナ、草原、山地など多様 |
属 | 複数存在 |
ランク | 目 |
科学名 | Psittaciformes |
門 | Chordata (脊索動物門) |
一般名 | オウム |
界 | Animalia (動物界) |
目 | Psittaciformes (オウム目) |
鳥綱(ちょうこう)オウム目オウム科
体長:30〜60cm
体重:300〜1200g
オウムは自然界での住んでいる場所が限られており、フィリピンやインドネシア諸島、パプアニューギニア、ソロモン諸島、オーストラリアなどのオーストラレーシアにしか住んでいません。
オウムは太く、鳥の中では中型から大型の体をしています。オウムとインコはよく間違えられますが、見た目で大きく違うところがあります。それは冠羽(かんう)と呼ばれる、くちばしの付け根から頭頂部、首の後ろにかけて生えている羽で、その冠羽(かんう)があるのがオウムです。
ペットとして飼われることの多い「オカメインコ」は冠羽(かんう)が付いているので、インコではなくオウムになるんです。勘違いしてしまう名前ですよね。
この冠羽(かんう)は自由に動かすことができ、感情が変化する時に立ち上がります。普段は立ち上がらず寝ている状態なのですが、興奮したり緊張、恐怖、求愛の時などに立ち上がります。
くちばしは大きく長めで、カーブしており先が尖っています。足の指は前と後ろに2本ずつ付いています。足は短いですが鋭く先が曲がった爪を持っています。
なんといってもオウムといえば、その色とりどりの羽です。黒色や灰色、白色が一般的ですが、黄色やピンク色、赤色、青色、緑色、オレンジ色などが、一色やグラデーションになっていたり、まだら模様や一部分がしま模様になっている種類もいるんです。
その中でも「クルマサカオウム」という種類は白色とピンク色でグラデーションされており、「世界一美しいオウム」と言われているそうです。一度でいいから見てみたいですね。
オウム Q&A
オウムの名前の由来は?
オウムは中国語で「鸚鵡」と書きます。この漢字を音読みしたのが「オウム」なんです。
この「鸚鵡(オウム)」を使った言葉が日本にありますよね。「鸚鵡返し(おうむがえし)」です。「鸚鵡返し(おうむがえし)」は「人から言われた言葉をそのまま返すこと」という意味ですが、オウムが人間の言葉を真似するというところからこの言葉ができました。
ただ、実際は全てのオウムが言葉を話せるわけではなく、一部のオウムだけが言葉を話したことで、「オウムは人間の言葉を真似する」と思われたのでしょう。
「鸚鵡返し(おうむがえし)」は元々和歌で使われていた言葉で、他人から送られてきた和歌に対して、少しだけ変えて返事をすることを「鸚鵡返し(おうむがえし)」と言っていました。
今では日常会話の中で使うこともありますし、歌舞伎では、仕草やセリフで笑いを誘う役どころである道化役が、主役の演技やセリフを真似することを「鸚鵡(おうむ)」と言ったりします。
オウムの英語名は、マレー語の呼び名から来ていてマレー語でオウムは「Kakatuwah」「Kakaa Tua」というのですが、「年長の兄弟」という意味があります。そこからオランダに伝わると「Kakatoe」と呼ばれそこから英語名で「Cockatoo」となりました。いろんな国を経て英語名ができたんですね。
オウムはどうしてそこに住んでいるの?
オウムは森林地帯や雨の多い地域の森、低い木の森、山、マングローブなどいろんな環境に住んでいます。標高2,000m以上の高い森林に住んでいる種類もいます。基本的にはずっと同じ森林にいますが、特定の場所を持たずにいろんな場所へお引越しをする種類もいます。
同じ森林にいるのは、食料が安定して取れるからです。ただ、お引越しをする種類はいろんな場所や環境の変化に対応する能力を持っているので、人間が森を壊し開拓して都市や農耕地になっても住むことができるんです。この能力を持っていると生き残れそうですね。
オウムは昼間に活動する昼行性ですが、早起きではありません。朝日が上がり家に日光が入り、その場所が暖かくなると起きて活動していきます。少しお寝坊さんかもしれないですね。オウムは基本的に群れを作って生活しています。
この群れは寝る時も昼間に行動する時もいつも一緒です。食料がたくさんある時期には多くて100羽ほどの小さな群れですが、厳しい時期には数千から数万羽の群れになることがあります。32,000羽の群れが記録に残っているほどです。みんなで肩を寄せ合って頑張っているのかもしれませんね。
オウムは体の割に足が短いので、ヨタヨタと不安定な歩き方をします。枝を上り下りする時にはくちばしも使って安定させながら移動するんです。綺麗でかっこよくてなんでもできそうなオウムが、ヨタヨタと歩く姿は愛おしいですね。
オウムが住んでいる場所には水場が不可欠です。それは水浴びをする必要があるからです。水浴びは人間でいうお風呂のような行為で、川や湖、雨の中でも水浴びしたりします。他にも羽づくろいで綺麗な羽毛を保っています。
羽毛をくちばしで噛んでホコリなどを取り除き、羽を綺麗に並べ直します。それから背中の下側に脂を出す器官があり、そこから頭などにつけて羽全体に広げて綺麗に保ちます。自分では届かない部分は、他のオウムと羽づくろいをすることもあります。みんなで協力して羽の健康を守っているんですね。
オウムは何を食べているの?
オウムは種子や茎、球根、果実、ナッツ、花、昆虫などを食べています。お引越しをする種類としない種類がいるのと同じように、いろんなものを食べる種類と1つのものしか食べない種類がいてエサもそれぞれです。
種子の硬い皮も、鋭く頑丈なくちばしで割り、舌を器用に使って中の種だけを食べています。ナッツや果物はオウムの体重に耐えられないような細い枝の先についていて、そんな時はくちばしで枝を引き寄せ、足で実をとります。器用ですね。
オウムは大食いでたくさん食料を食べるのですが、大きな素嚢(そのう)という、食べ物を貯めておく器官を持っておりこの器官があるおかげで、寝ている間は食事をしなくて済むんです。本当は寝ずに食事をしたいくらい大食いなんですね。
オウムはどうやって増えるの?
オウムは一夫一妻制(いっぷいっさいせい)で、この夫婦関係は長く続きます。群れの中でペアになりますが、1年は繁殖(はんしょく)をしません。ペアになると羽づくろいをしあったり食料をプレゼントしたりするので、夫婦の時間を楽しんでいるのかもしれませんね。
ペアで繁殖(はんしょく)をすることになると巣を作り始めます。基本的には穴に巣を作るのですが、その穴を自分で掘ることはできません。
なので木に空いている穴などを利用するのですが、シロアリなどの昆虫によって開けられた穴や、キツツキが開けた穴などを利用することもあります。ですがこのような穴がたくさん空いているわけではないので、穴を巡って喧嘩をすることもあるようです。
穴の中には木片や葉っぱのついた枝などを使って作ります。卵を温めるのは、メスだけの種類と夫婦で一緒に温める種類と違ってきます。メスだけが温める場合は、オスがメスに食料を持ってくるんです。互いを思い合っているのかもしれませんね。
20〜30日で卵からヒナが産まれ、約5週間〜1年で巣立っていきます。卵からヒナが産まれる期間も巣立ちまでの期間も種類によって変わってきます。
成長の速度が種類によって変わってくるので巣立ちの期間も違ってくるのですが、それぞれ巣立ちを迎える頃にはちゃんと大人と同じ大きさになっているので、親元を離れても生きていけるようになっているんです。
次にまた同じペアが繁殖(はんしょく)するときは、また同じ場所に巣を作るために戻ってきます。同じ場所の方が、要領がわかっているので楽なのかもしれませんね。
オウムはドラマや映画に出演してるって本当?
オウムは知能が高い鳥なで、しつけることもできるので海外ではドラマや映画に、日本でも江戸時代に見せ物小屋などで活躍していたそうです。
日本にオウムがやってきたのは647年ととても古く、その色とりどりの姿から江戸時代には見せ物小屋に出て人々を魅了していました。
海外では1970年代に「刑事バレッタ」というドラマに出演していたり、「セルピコ」というアル・パチーノ主演の映画にもオウムが出演しているんです。あのアル・パチーノと共演しているのは羨ましいですね。
他にもオーストラリアでは、植物と一緒に飾る装飾としてオウムをモチーフにしたものが人気だったり、イギリスの画家ウィリアム・ロバーツは「The Cockatoos」というオウムを題材にした作品を生み出しました。アメリカ人の芸術家ジョゼフ・コーネルは、作品の中に紙で作ったオウムを飾ることで有名でした。
芸術に多く使われているということは、そこからインスピレーションが沸いたり、創作意欲を掻き立てられたり、作品に華が出るとして大切にされていた証拠かもしれませんね。
オウムは音楽が好きなの?
オウムはペットとして人気があり、特に「オカメインコ」は飼いやすいので飼っている人が多いです。音楽をかけるとダンスもするお茶目なところもあるんです。ただ、飼育が許されているオウムの中には飼いにくい種類もいます。
オウムは群れを作るので、1羽だと寂しくなり、それがストレスになってしまいます。群れの中で他のオウムと羽づくろいをしあうのは、体を綺麗にする意味もありますが、コミュニケーションの一環でもあるのです。好奇心も旺盛なのでいろんな遊び道具を用意したり、飼い主自身が遊び相手になってあげる必要があります。
オウムは鳴き声が大きいので、ご近所とトラブルになる可能性もあります。この鳴き声には警戒やコミュニケーションの意味があります。ご近所や家族に理解してもらうか外に聞こえないように対策を取る必要があります。
大変ではありますが、愛情深い鳥なので飼い主によく懐いてくれます。また、先ほどもお話ししたように音楽が好きな動物でもあり、テレビや動画などで見たことのある人もいるかもしれませんが、音楽に合わせてダンスをすることもあり、とても可愛らしいです。
撫でられたり褒められることも大好きで、「褒められると伸びる子」でもあります。喋ることが難しい種類の鳥もいますが、何かを教えたい、覚えさせたい時には褒めると覚えてくれるかもしれませんね。
オウムは長生きする鳥で、種類にも変わってきますが20〜70年生きるそうなんです。シドニーには100歳以上生きたオウムもいるという記録があります。
長く一緒にいられるように、お世話は大変かもしれませんが、家族として大切にしていきたいですね。
オウムは絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)に指定されているの?
オウムは人間によって住んでいる場所が壊されたり、売るために密猟されたり、駆除されてしまうことにより、絶滅(ぜつめつ)の危機にある種類がいます。
畑や農園を荒らすこともあり「害鳥」として嫌われ、駆除されてしまうこともあります。ただ、これは人間がオウムの住む森林をなくし、開発してしまっているので、住む場所や食べるものをなくしたオウムたちは人間のそばに下りてきてしまうのです。
また、オウムはくちばしの鋭さや強さを維持するために、木を噛む習性があります。人が住んでいるところに下りて来てしまったオウムは、木ではなく民家のドアや窓枠などを噛んでしまい、さらに嫌われてしまいます。
オウムは繁殖(はんしょく)をするときに、木の穴の中に巣を作りますが、開発で木がなくなっていくと巣を作れなくなってしまうのです。
さらにペットとして人気のオウムは、売るために捕獲(ほかく)されてしまい数を減らしていきました。いろんな種類のオウムの捕獲(ほかく)が禁止されましたが、まだまだ密猟(みつりょう)が続いています。
密猟(みつりょう)をされたオウムは堂々と輸出することができないので、小さい箱などに入れられ貨物として運ばれてしまうので、運んでいる途中で死んでしまうオウムも続出してしまいました。
1983年から1990年のたった7年間だけで約66,654羽が輸出されていました。どんどん手口が巧妙になり、卵の状態の方が運びやすいとして今でも密輸入が行われています。
絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)に指定されてしまった今、少しずつオウムを守ろうとする人が増えて行くことを願っています。
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