オールド・イングリッシュ・シープドッグ

ふわふわの毛並みを携え、まるで大きな毛玉のような犬。愛らしいその姿で人気を集めているのがオールド・イングリッシュ・シープドッグです。
特徴的な姿からドラマや映画でも登場する機会が多く、名前から姿を連想できなくても実際に見ると「あぁ、この犬種か!」となる人も多いのではないでしょうか。
今回はそんな人気の犬種、オールド・イングリッシュ・シープドッグの特徴や形態などを探っていきましょう!

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:OES_bobtail_Nebojsa.jpg

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〜基本情報〜

食肉目(しょくにくもく)イヌ科イヌ属

▼体高

オス:58〜61cmほど

メス:56〜58cmほど

▼体重

オス:38〜41kgほど

メス:35〜38kgほど

まずは、外見の特徴について見ていきましょう!

冒頭でも触れたように、オールド・イングリッシュ・シープドッグ最大の特徴は、巨大なぬいぐるみのようなふわふわとした愛らしさです。大型犬に分類される犬種ですが、ゴールデンレトリーバーやシベリアンハスキーと比較しても毛が長いことがよくわかります。

体格としては、体長と体高がほぼ同じ。肩より腰のほうが高く、足長のフォルムを持っています。上から見るとまるで西洋なしのような形です。また、その外見からは想像しづらいですが、かなりの筋肉質。ふさふさの毛のなかに手をいれて体を触ってみると、意外とがっしりしていることがわかります。

ふわふわの毛はいわゆるダブルコート(二重構造)。防水性に優れたアンダーコートは雨風に強く、寒さをしのぐことに適しています。オーバーコートは普段から見るふわふわの毛。毛量が豊富で意外と硬めの質感です。

子犬の頃は白黒の毛色ですが、大人に成長するにつれて銀色や灰色にかわり、毛質もボサボサしたものに生え換わります。

成犬の胴体色は、おもにグレーやグリズル、ブルーです。頭部や胸部、首、手足などはホワイトが広がり、オールド・イングリッシュ・シープドッグらしいカラーリングといえます。

目は被毛(ひもう)で見えない場合が多いです。この顔つきもオールド・イングリッシュ・シープドッグのかわいさの象徴ですね。耳は常に垂れているため、頭部全体が毛で覆われているような状態です。

一方で、声に特徴があります。外見の愛らしさとは裏腹に太く、よく響きます。低音でもあるため、初めて聞く方はビックリするのではないでしょうか。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Grupp 1, OLD ENGLISH SHEEPDOG, C.I.B. FI JV-11 NO UCH NORD V-13 NORD V-14 SE UCH Azedagi’s My Secret Adventure (23683385953).jpg

ペットとして人気が高い

オールド・イングリッシュ・シープドッグは日本でも人気の犬種で、ペットとして人気があります。

しかし、ペットショップでの取り扱いは比較的少なく、その分費用が高くなりがちです。一般的には20〜50万円ほどで取引されています。

出典:https://pixabay.com/images/id-6025749/

食事について

食事は一般的なドッグフードで問題ありません。ただし、1日複数回にわけて、ゆっくりと食べさせましょう。

一度にたくさん食べたり早食いしたりすると、胃がねじれる「胃捻転(いねんてん)」という病気の発症リスクが高まります。大型犬に発症しやすいと言われているため、特に気をつけなければなりません。

しっかりとした運動が必要

オールド・イングリッシュ・シープドッグは、もともと牧羊犬として活躍していた犬種です。そのため、しっかりと運動させる必要があります。具体的には1日に2回以上の散歩、それぞれ1時間以上が欠かせません。

また、たまにボール遊びをしてあげたり、ドッグランのような広い場所でのびのびと走らせてあげたりすることも重要です。

出典:https://www.pexels.com/ja-jp/ja-jp/photo/12073098/

屋外飼育(しいく)はNG

オールド・イングリッシュ・シープドッグは暑さに弱い犬種なので、エアコンによる温度管理が絶対条件です。大型犬なので屋内飼育に難色を示す人もいるかもしれませんが、必ず守りましょう。また、さみしがりな性格なので、孤独にさせない意味でも屋外飼育はNGです。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Photo_de_bobtail_avec_un_jouet.JPG

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オールド・イングリッシュ・シープドッグのQ&A

オールド・イングリッシュ・シープドッグの名前の由来は何?

オールド・イングリッシュ・シープドッグの名前の由来は、2つの要素から考えられます。「イングリッシュ」はイギリスで「シープドッグ」は羊を追う犬という意味ですね。つまり「イギリス生まれの牛や羊の群れを追う犬」ということです。

ちなみに「オールド」については、判明していません。古い犬種なのかと思いきや、初めて文献で姿を現したのは18世紀後半から19世紀頃。比較的新しい犬種なのです。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Old_English_Sheepdog_(44958725052).jpg

オールド・イングリッシュ・シープドッグにはほかの名前もあるの?

オールド・イングリッシュ・シープドッグには、複数の愛称があります。正式名称が長いため、いろいろと呼ばれてきたのかもしれませんね。

たとえば、名前の最初の部分だけを取って「オールド」や、単語の頭文字を取って「OES」、短い尻尾を意味する「ボブテイル」などです。

出典:https://unsplash.com/photos/-1TGWEUfzbU

オールド・イングリッシュ・シープドッグの尻尾は生まれつき短いの?

オールド・イングリッシュ・シープドッグの尻尾は、生まれつき短いわけではありません。ほとんどが「断尾(だんび)」といって、尻尾を切断されているのです。断尾される犬種の多くは「猟犬(りょうけん)が作業中にケガをしないため」、または「闘犬(とうけん)が相手の犬に食いちぎられないため」に断尾されます。

一方で、オールド・イングリッシュ・シープドッグは、税金対策のために断尾されてきました。19世紀のイギリスでは「犬の飼育は贅沢な行動」とし、税金をかけていたのです。しかし、オールド・イングリッシュ・シープドッグのような仕事に必要な犬はペットとしてみなされず、課税対象になりませんでした。そのため、ペット犬と見分けるために、断尾されてきたのです。

現在は動物愛護(どうぶつあいご)精神の高まりもあって、北欧諸国やヨーロッパ数カ国で断尾が禁止されています。そのため、断尾されていないオールド・イングリッシュ・シープドッグも見かけるようになりました。人間の都合で断尾されるなんて、オールド・イングリッシュ・シープドッグにとっては、うれしくない話ですね。

出典:https://pixabay.com/images/id-6473588/

オールド・イングリッシュ・シープドッグのルーツは?

オールド・イングリッシュ・シープドッグはイギリス原産の犬種ですが、そのルーツにはさまざまな説があり、しっかりと判明していません。

現在は、下記のように複数の犬種が交雑(こうざつ)したと考えられています。

  • ビアデッド・コリーという犬種に対して、イギリスやヨーロッパ、ロシア由来の犬が交雑したという説
  • イギリスのシープドッグに対して、オフチャルカやベルガマスコシェパードドッグが交雑したという説

たしかにペアデット・コリーやオフチャルカは似た部分もあるので、ルーツとしては納得できるところですね。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Photograph of an Old English Sheepdog – NARA – 34929544.jpg

オールド・イングリッシュ・シープドッグはどんな役割の犬種だったの?

オールド・イングリッシュ・シープドッグは牧羊犬です。つまり、牛や羊などの家畜(かちく)を管理するために、牧場主のパートナーとして暮らしていました。

牧羊犬というと、牧場の家畜を建屋に追い立てるシーンをイメージする人が多いと思いますが、オールド・イングリッシュ・シープドッグはおもに牧場から市場へ移動させる役割を担っていたと言われています。

羊の群れのうしろについて追い立てることもあったようですが、おもな仕事は警護だったそうです。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Bobtail otaké chien.jpg

オールド・イングリッシュ・シープドッグはどんな性格?

家畜を警護したり追い立てたりするため、厳しい性格をしているのかと思いきや、オールド・イングリッシュ・シープドッグは温厚で陽気な性格をしています。さらに、社交的で人なつっこく、さみしがりで甘えん坊。番犬には不向きとさえ言われているのです。

家族やほかの犬に対しても友好的なので、小さな子どもやお年寄り、ほかの犬を飼育している家庭でも問題なく溶け込んでくれます。特に、小さな子どもと献身的に遊んでくれるため、アメリカではナニードッグ(子守犬)とも呼ばれているほどです。

とても賢く、飼い主の求めていることを理解したり、飼い主にあわせて行動したりします。一方で、子犬の頃はやんちゃで遊ぶことが大好きです。

また、オスは特に甘えん坊な性格をしています。メスも甘えん坊ですが、オスよりは独立心があります。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Old_English_Sheep_Dog.JPG

オールド・イングリッシュ・シープドッグに似た犬種はいるの?

オールド・イングリッシュ・シープドッグのルーツに関係していると言われる、ビアデッド・コリーによく似ています。

ふさふさの毛を持っており、牧羊犬として活躍した経歴。さらに、陽気で友好的な性格など、あらゆる面でオールド・イングリッシュ・シープドッグとそっくりです。

16世紀頃から存在が確認されているため、オールド・イングリッシュ・シープドッグのルーツといわれている理由がよくわかりますね。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Bearded_Collie.jpg

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参考文献

pepy
https://er-animal.jp/pepy/6966

いぬのきもち
https://dog.benesse.ne.jp/doglist/big/content/?id=13428

みんなの大図鑑
https://www.min-inuzukan.com/old-english-sheepdog.html

Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/オールド・イングリッシュ・シープドッグ

一般社団法人 ジャパン ケネル クラブ
https://www.jkc.or.jp/archives/world_dogs/2828

犬の家&猫の里
https://dognoie.com/blog/dog-picturebook/about_oes/

COO&RIKU
https://www.pet-coo.com/zukan_dog/オールドイングリッシュシープドック/

そらいろネット
https://sorairo-net.com/aquarium/dog/oldenglish001.html

アイキャッチ画像
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Old_English_Sheepdog_(side).jpg