オカピ

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あなたはオカピという、世界三大珍獣(せかいさんだいちんじゅう)の1種を知っていますか?
オカピはシマウマのようなしましま模様を持っていますが、実はキリンの仲間という不思議な動物です。
オカピは発見されてから100年ほどしかたっておらず、まだまだわかっていないことがたくさんある面白い動物でもあります。
この記事でオカピにはどんな特徴や秘密があるのか、こっそりのぞいていきましょう!


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~基本情報~

鯨偶蹄目(くじらぐうていもく)-キリン科-オカピ属

オス 体長1.9~2.5 m 体重220~300kg
メス 体長1.9~2.5 m 体重280~350Kg

オカピの生息地は中央アフリカのコンゴ⺠主共和国、ガボン周辺の熱帯雨林です。うっそうと木々がしげる森を好んで暮らす傾向が強いため、野生におけるオカピの生態は今でもほとんどわかっていません。一般的に体はメスの方が大きく、オスの方が小さい傾向にあります。

オカピは基本的に単独(たんどく)で暮らす動物で、オスもメスも繁殖期や子どもがいる時以外は1頭で生活しています。オカピのメスは繁殖期を迎えるとオシッコのニオイと鳴き声を使って、オスに自分の居場所を知らせます。オカピは14カ月ほどの妊娠期間(にんしんきかん)を経て、1頭の子どもを産みます。

オカピは草食性の動物で地面に生えている植物ではなく、木の葉を主食にしています。長い舌を使って器用に木の葉や枝、若い芽を巻き取り、1日に18〜29キログラムもの植物を食べます。野生では100種類をこえる植物を食べているといわれていますが、木の葉や枝だけでなく果物やキノコを食べることもあるようです。またミネラルを補給するために、川の近くにある泥を食べる姿も目撃されています。


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オカピのQ&A

オカピの名前の由来は何?

オカピは1901年、イギリス人の探検家であるハリー・ジョンストン氏によって正式に発見され、その存在が発表されました。彼は先住民族であるピグミーが「オカピ」と呼ぶ、ウマに似た動物がいるといううわさに興味を引かれて調査を行ったそうです。「オカピ」という単語にはピグミーの言葉で “森のウマ”という意味が込められていて、この動物はそのままオカピと呼ばれるようになったそうです。

なおオカピは英語でも「Okapi」と書き、足の模様が美しいことから別名「森の貴婦人(きふじん)」と呼ばれることもあります。


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オカピはキリンの仲間って本当?

キリンといえばとても長い首がトレードマークですが、オカピの首はキリンほど長くありません。またオカピはキリンのような模様ではなく、どちらかというとシマウマのような模様をしています。そのためオカピは本当にキリンの仲間なのかな?と思う人もいることでしょう。

実際にオカピは発見された当初、キリンではなくシマウマの仲間だと思われていました。しかし良く調べてみるとウマの仲間である「ウマ目」の動物ならひづめが1個であるはずが、オカピにはひづめが2個あったのです。その結果オカピがウマの仲間ではなく、「鯨偶蹄目」というウシに近い仲間であるということがわかったのです。

その後オカピのオスには毛につつまれたツノがあること、長い舌を持つこと、歯の構造が似ていることなどオカピとキリンとの共通点がたくさん見つかり、オカピはキリンの仲間であり、キリンに一番近い動物であることが判明したのです。なおオカピは熱帯雨林に、キリンはサバンナに住んでいるため生息地がかぶることはありません。


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なぜオカピは珍獣(ちんじゅう)といわれているの?

オカピはとても珍しい動物として、「コビトカバ」と「ジャイアントパンダ」とともに“世界三大珍獣”の1つと呼ばれています。ではなぜ、オカピは珍しい動物だといわれているのでしょうか?

その理由としては生息地が非常に限られていること、個体数(こたいすう)が少ないこと、そして大昔からほとんど姿を変えずに今まで生きのびていることがあげられます。またオカピは体重が300Kgにもなる大型の動物であるにもかかわらず、20世紀に入ってからようやく発見されたこと、野生における生活がほとんどわからないことも珍しいといわれる理由といえるでしょう。

なおオカピとキリンの祖先は同じ動物で、その動物はオカピと同じように首は長くなく、森で暮らしていたそうです。そのあと住む場所を森から草原に移動し、より高いところにある木の葉を食べるようになったキリンはどんどん首が伸びて、今のような姿になったと考えられています。

一方オカピは1000万年ほど前からほとんど姿や生活を変えずに森の中で生き残ってきたと考えられていて、「生きた化石」「首が伸びなかったキリン」「森のキリン」という別名で呼ばれることもあります。


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オカピの舌はどうして長いの?

オカピの舌はとても長く、その長さはキリンと同じく40~50cmほどあります。オカピやキリンは高いところにある木の葉を食べるために、舌を長く進化させたのではないかと考えられています。

なおオカピの舌の表面はしっかりと木の葉を巻き取れるようにザラザラしていて、ヤスリのようになっています。そのためオカピになめられるとかなり痛く、しかもなんとも言えないにおいが付いてしまうそうです。

またオカピは長い舌を食事の時だけではなく、さまざまなことに活用しています。自分の体をなめてキレイにしたり、目や鼻に入ったゴミを取ったり、あるいは虫を追い払ったりと、まるで私たちにとっての手や指のように器用な使い方をします。


オカピはどうして口をもぐもぐさせているの?

それはオカピが食べた草を消化・吸収するために、反芻(はんすう)という行動をしているからです。

オカピのように反芻を行う動物は、「反芻動物(はんすうどうぶつ)」と呼ばれています。反芻動物は植物を食べたあと、何度も胃の中身を口に戻して咀嚼(そしゃく)して飲み込むという動きを繰り返します。これが反芻と呼ばれる行動で、食べた植物を細かく砕きながらだ液と混ぜあわせて、食べ物を消化・吸収するために行われています。

反芻動物は胃を4つも持っていて、胃の中でたくさんの微生物を飼っています。そして反芻を行うことによって胃の中にいる微生物に植物を分解してもらい、自分の体に必要な栄養素を作り出しています。そのためオカピやキリンは草だけ食べているにも関わらず、あんなに大きくなれるのです。ちなみに反芻はウシやヤギ、ラクダなどでも見られます。


動物園のオカピはどんなものを食べているの?

動物園のオカピは葉っぱの付いた枝、乾草(牧草)、草食動物用のペレット、バナナなどを食べています。

葉っぱは季節ごとに手に入るさまざまな植物(コナラ、アラカシ、クヌギ、ヤナギ、トウネズミモチ、シラカシなど)を利用しているそうです。オカピは1日に20Kg以上のエサを食べるため、日々の食事を用意するだけでも大変な労力がかかります。


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オカピのしましま模様にはどんな意味があるの?

一見派手に見えるオカピのしましま模様には、実はカモフラージュの役割があるといわれています。

木々がしげる暗い森の中ではオカピの茶色~黒褐色の体色としま模様は保護色となり、天敵の目をごまかせるのです。またオカピの子どもはこのしま模様を見て、自分のお母さんを見分けているのではないかと考えられています。


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オカピはどんな触り心地なの?

オカピの毛は見た目の通り、ベルベット(ビロード)のようなふわふわと柔らかく、なめらかな手触りです。オカピは毛の手入れにこだわりがあるようで、よく長い舌を使って全身をなめてお手入れをしています。

オカピの毛は表面が少し脂っぽく、水をはじくようになっています。これはオカピが住む熱帯雨林が1年を通じて雨が多く、スコールと呼ばれる激しい雨が降るからだと考えられています。

多くの動物は体が雨(水)に濡れると体温が奪われてしまい、体調を崩す可能性が高くなってしまいます。野生動物が体調をくずすと天敵に狙われる可能性が高くなるため、オカピは自分の身を守るために日頃からしっかりと毛の手入れをしているのかもしれません。


オカピはどのくらい生きるの?

オカピの寿命は15~22年ほどだと考えられています。

飼育下で最も長生きしたのはオランダで生まれたオスのオカピで、33歳と6ヵ月まで生きたそうです。ちなみに日本最高齢のオカピは日本(アジア)に初めてやってきたオカピとして知られる、神奈川県の金沢動物園にいるおじいちゃんオカピ「キィァンガ」です。

2020年に24歳になったキィァンガは2019年まで上野動物園にいたメスのオカピ「カセンイ」の国内最高齢記録を抜き、記録を更新中です。もっともっと長生きして、さらに最高齢記録を更新してもらいたいですね。


オカピにはどんな敵がいるの?

野生におけるオカピの天敵は、ネコ科の肉食動物であるヒョウだといわれています。オカピは天敵に出会わないように大きな耳でまわりの音をよく聞き、注意深くあたりの様子を伺っています。

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しかしオカピにとって、一番の敵は私たち人間です。
オカピは1993年に当時のザイール政府によって保護動物に指定され、1996年にはオカピ野生生物保護区という保護区も作られ、さらにレッドリストの絶滅危惧種にも指定されるなど国としても、国際的にも手厚く保護されている動物です。

しかしオカピはもともと生息地が限られていて、その生息地は木がたくさん生えた熱帯雨林です。オカピが住む地域では焼畑農業(やきはたのうぎょう)や森林伐採(しんりんばっさい)が行われていて、どんどんオカピが住める熱帯雨林が減ってしまっています。近年はスマートフォンなどの精密機器(せいみつきき)に使う希少な金属(金やダイヤモンド、コルタンなど)を採取するため、さらに熱帯雨林の開発が進んでしまっているそうです。

さらにオカピの住む地域は紛争(ふんそう)が続いているうえ、オカピの毛皮や肉を狙った密猟(みつりょう)も後を絶ちません。このままではオカピはどんどん数を減らし、いずれ絶滅してしまうのではないかと心配されています。


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参考文献

今泉 吉典(1986年)『動物大百科4 大型草食獣』平凡社

スミソニアン協会(2017年)『驚くべき世界の野生動物生態図鑑』日東書院本社

東京ズーネット「珍獣オカピ」
https://www.tokyo-zoo.net/topics/profile/profile09.shtml

上野動物園[公式]Twitter(@UenoZooGardens )
https://twitter.com/UenoZooGardens/status/1317636215990988801

いしかわ動物園「アニマルあいズ 2013春vol14-1」
http://www.ishikawazoo.jp/eyes/pdf/animaleyes14-1.pdf

金沢自然公園 金沢動物園「キィァンガ お誕生日おめでとう」
http://www.hama-midorinokyokai.or.jp/zoo/kanazawa/details/post-1156.php

SAN DIEGO ZOO「Okapi」
https://animals.sandiegozoo.org/animals/okapi

毎日新聞「アニマル・ワールド オカピ」
https://mainichi.jp/articles/20151219/kei/00s/00s/003000c

ハマトク「”アイドル”オカピに会いに行く」
https://hama-toku.jp/yokokana/sp09/

横浜市緑の協会「オカピは何のなかまかな?」
http://www.hama-midorinokyokai.or.jp/zoo/zoorasia/files/0805work_3.pdf

産経ニュース「生きた化石 首が伸びなかったキリン」
https://www.sankei.com/life/news/160822/lif1608220017-n1.html

旭化成ホームズ「川口先生のペットコラム おもしろ哺乳動物大百科112(偶蹄目(クジラ偶蹄目)キリン科)」
https://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/pet/kenkyu/blog/2015.04-2015.09.shtml/

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