タコ
タコ
タコ
タコは海に棲息する軟体動物で、うねうねと腕をくねらせる姿が印象的です。あまりに特異なその姿が影響して、ファンタジー作品の怪物として登場することも珍しくありません。 私たち一般の家庭では食用とされることが多く、生きているタコを見ることは少ないでしょう。つまりタコのことをほとんど知らないとも言えます。 タコの特徴として強力な吸盤やスミを吐き出すことは知られていますが、タコを知れば知るほど不思議な生物ということがわかります。 ぜひ多くの人に知ってもらいたいので、一緒にタコの生態を探っていきましょう。
タコ 基本情報
頭足綱-鞘形亜綱-八腕形上目-タコ目
ミズダコ(大型のタコ):体長5m 体重60kg、最大体長9m 272kg マダコ(日本で一般的なタコ):体長0.6m 4kg
タコは海底にいることが多く、岩礁や砂地に棲息しています。海水しか好まず、淡水と海水が混ざる汽水域では姿を確認できません。沿岸部から沖合で見られ、海水浴で捕獲した例もあるようです。
最大の特徴である8本の腕はほとんどが筋肉で、強い力を持っています。吸盤も非常に強力で、人体に吸着すると簡単には剥がせません。
一般的に頭と思われている大きな丸い部分は実際には胴で、本来の頭は腕の基幹部にあります。すなわち頭から足(腕)が生えているので、頭足類と言われるようになりました。
タコの腕はトカゲの尻尾と同じような役割も果たし、自ら切り離せます。腕は再生しますが、切り口次第では2本にわかれて生えることもあるようです。このことから8本以上の腕を持つタコも存在します。ちなみに三重県の志摩マリンランドでは、96本足のタコが標本として展示されています。
分類学で見ると、タコ目の下位にはヒゲダコ亜目とマダコ亜目が存在します。300種類以上のタコがいますが、半数以上は分類が確定していません。今後の研究が期待されます。
タコ Q&A
タコの名前の由来は何?
タコの名前の由来は「多肢(たこ)」だと言われています。「足が多い」という意味で、見た目のインパクトがそのまま名前になったことがわかりますね。
漢字では「蛸」と書きますが、本来この漢字は虫のクモを表します。海に棲むクモという意味で、「海蛸子」と表されていました。現代では省略されて「蛸」となったと言われています。
また英語の「octopus(オクトパス)」は古典ギリシャ語が元とされており、意味は「8本足」だそうです。
どの名前も特異な形状が由来で、生物として異質であることがよくわかります。
ちなみにイギリスでは「デビルフィッシュ」の通称で呼ばれ、忌み嫌われているようです。
なぜ「デビルフィッシュ」と呼ばれているの?
タコが「デビルフィッシュ」と呼ばれてきたのは、宗教上の理由と言われています。タコのような「鱗のない魚(海の生物)」は、食べてはいけないものとされてきました。
神が「食べてはいけない」と言うので、悪魔(デビル)と考えられたようです。もちろん他にも「食べてはいけない」ものもあるので、タコが悪魔と呼ばれた理由には見た目のグロテスクさもあったのでしょう。
さらにタコ=悪魔の印象が広がって、信者以外の人にも不気味な生き物のイメージが定着したのではないでしょうか。
タコはどうして狭い場所を好むの?
タコは種類によって、さまざまな水深に棲息しています。海底にいることの多いタコが好むのは、岩陰のような狭い場所です。この習性はタコが自身の身を守るためだと言われています。
タコは軟体動物で、カニのように硬い殻で体を覆っていません。天敵から身を隠すために、狭くて安全な場所に身を潜めるようです。
ちなみにタコ漁で有名なタコツボ漁は、タコの習性を利用したもの。引き上げる際も逃げるタコはほとんどいません。異変を感じるからこそ、タコツボの中に隠れようとするのでしょうか。少しかわいそうな気もしますね。
タコは何を食べているの?
食物連鎖の順位でみると、タコは概ね中間の捕食者です。
好んで食べるのは甲殻類や二枚貝で、防御にすぐれた種類でもタコの強靱な筋力の前には意味を成しません。甲殻類の殻も簡単に砕き、きつく閉じた二枚貝もこじ開けてしまいます。筋力だけで難しい場合は、神経毒を使って麻痺させることもあるようです。
また、稀な例では大型のタコが、小型のサメを捕食する例もあります。
自分の腕も食べちゃうって本当?
一部のタコでは、自分の腕を食べる行動が確かに確認されています。一見するとホラーテイストで、ちょっと恐ろしいですね。
昔は「タコが空腹に堪えかねて自分の腕を食べる」と考えられていましたが、現状はよくわかっていません。ただし自分の腕を食べ始めたタコは数日以内に死亡することから、何らかの病原体が原因と考えられています。
この行動はことわざの「蛸は身を食う」の語源となりました。意味は「利益がなくなり、蓄えを消費すること」です。
タコとイカは具体的に何が違うの?
タコとよく比較される生物が、同じ軟体動物のイカ。違う種類なので違いはいろいろありますが、ここでは代表的なものを紹介します。
タコとイカの特徴的なフォルムは、やはり腕の多さでしょう。一般的な理解としては「タコが8本、イカが10本」だと思います。ただし結構例外があり、腕が8本のイカもいれば8本以上のタコも珍しくありません。
タコとイカの特徴のひとつとして、スミが挙げられます。危険に陥ったときに同じように吐き出しますが、目的が同じではありません。イカスミは粘性があり、かたまりを「自分」だと思い込ませる「みがわり」の効果を持ちます。一方、タコスミはサラサラしており、まるで広範囲に広がる目くらましです。
タコとイカの吸盤にも違いが見られます。イカの吸盤はかぎ爪で構成されていて、「吸い付く」わけではなく「引っかけて」くっつくのです。一方でタコの吸盤は「吸い付いて」くっつく吸盤で、キッチンやバスルームで使う吸盤と同じ仕組みです。
タコの吸盤は何にでもくっつくの?
タコの吸盤は、ほとんどのものを強い力で吸着できます。切断された腕でも吸盤の能力はしばらく保たれるようです。
興味深い点は、吸盤に認識する能力があること。切断された腕に何かを近づけると、条件反射的に吸着します。しかしタコ本体の部位を近づけても吸着しません。また本体の皮膚を別の何かに巻き付けるとやはり吸着せず、皮膚が巻き付いていないところには吸着します。
つまり吸盤(または腕)自体が、自分の皮膚を判断しているのではないかと考えられています。この原理についてはまだ解明されていません。
頭がいいって本当?
タコは高い知能を持っており、無脊椎動物でもっとも頭がいいと言われることも。「エサが入ったネジ式の瓶を与えると、ネジ式のフタをねじってエサを取り出す」というのは有名なエピソードです。
ほかにもメジロダコは別名ココナッツオクトパスと呼ばれ、ココナッツの殻を防御に使用する賢いタコです。無脊椎動物で道具を使った初めての例として、大きく話題になりました。
タコの天敵は何?
タコの天敵として知られているのは、ウツボやサメ、タイなどです。ただし大型のタコの場合は、逆にサメなどを捕食するものもいます。水族館では、タコが同じ水槽で飼育されていたサメを攻撃して、死亡させた例もあるようです。
また世界中の多くの地域で、タコを捕食する種として人間が挙げられます。多くのタコにとっては脅威となる人間ですが、ヒョウモンダコは強力な毒であるテトロドトキシンを持ち、人間が噛まれると命を落としかねません。
人間とタコの関係は?
人間は昔からタコを食用としてきました。世界の各地で食べられていますが、一部の地域では宗教等の観点から禁止されています。
日本では特にタコの食用が盛んで、刺身や寿司など多くの調理方法で食べられています。また一般的な食べ物として、たこ焼きが有名で家庭でも古くからタコ料理が浸透してきました。
また、デビルフィッシュとして避けられてきたイギリスでも現在では、タコを食べる文化が広がってきました。今後もタコの需要は増え続けそうです。
あなたも『動物完全大百科』の一員になりませんか?
あなたの知識をQAにして、全世界に発信しましょう。 ※掲載は購入後に有効となります。 さあ、私たちと一緒に情報を共有しましょう!
タコ 種類
- ベニツケダコ
- メンダコ
- マメダコ
- センベイダコ
- マダコ
- ミズダコ
- ワモンダコ
- ツノモチダコ
- イイダコ
- コツブイイダコ
- コウモリダコ
- クラゲダコ
- カイダコ
- アミダコ
- カンテンダコ
- ジュウモンジダコ
- ヒョウモンダコ
- オオマルモンダコ
- サメハダテナガダコ
- ミミックオクトパス(ゼブラオクトパス)
- メジロダコ
- ムラサキダコ
- ヘアリーオクトパス
- スナダコ
- ウデボソダコ
- ワンダーパス
- クロダコ
- チヒロダコ
- テナガダコ
- ヤナギダコ
コメントしませんか?
おめでとうございます! あなたが初めてのコメンテーターです!
あなたの“好き”リストを作ろう!
タコ
気になる動物をお気に入りに登録!後からすぐに見返せる、あなただけのリストを作りましょう。
コメントしませんか?
※ご注意:記事内に掲載するコメント権の購入になります。
あなたの好きを見つけよう!
当ショップでは、様々な動物をテーマにしたユニークで魅力的なグッズを取り揃えております。
タコ 参考文献
タコ 使用メディア紹介
食べ物
食べ物
似ている動物
天敵
天敵
動物完全大百科をあなたのメディアで豊かにしよう!
動物完全大百科では、動物の素晴らしい写真や動画を常に募集しています。もしあなたが共有したいメディアがあれば、ぜひご提供ください。あなたの投稿はクレジット付きで動物完全大百科に掲載され、多くの動物愛好家に届けられます。動物の魅力と多様性を一緒に伝えましょう。