オシキャット

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Ocicat_kanelsilverspotted.jpg

ワイルドな外見はまるで野生ネコのよう。日本で見かける機会があまりないため、その名前を知っている方は少ないかも知れませんね。今回このページでご紹介するのは「オシキャット」です!
草むらや森の中で暮らしていそうな雰囲気を想像させるオシキャットですが、実は意外な性格や秘密が隠れているんですよ。そんなオシキャットの詳しい生態について早速覗いてみましょう!

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~基本情報~

原産国 アメリカ

体重 オス:3.5~6.5kg メス:3~5.5kg

オシキャットはある交配をきっかけに、偶然生まれたネコといわれています。1964年、アメリカ在住のブリーダー、バージニア・デイリーは、アビシニアンのカラーにサイアミーズのポイントを持つネコを作りたいと考え、交配を行ないました。すると産まれてきた赤ちゃんのなかに、1匹だけアイボリーの地にスポット模様という珍しい外見をした子ネコを発見します。

子ネコはいったんトンガと名づけられましたが、デイリーの作りたいネコとイメージが異なっていたため、去勢後ペットとして可愛がってくれる人を見つけ譲ることに。

そして月日は流れ、ある日のことです。クライド・キラーという遺伝子学者が「オセロット」という野性のネコに似たスポット模様を持つネコを作ろうとしている。という試みを耳にします。デイリーはトンガのことを思い出し、何か協力できることはないか?と連絡を取りますが、トンガはすでに去勢済み。

代わりにトンガの両親にあたるネコを再度交配させ、その結果、トンガに似たオスのネコが誕生したのです。このネコはドットソンと名づけられ、ドットソンをベースにアメリカン・ショートヘアやアビシニアン、サイアミーズとも交配を行ない、オシキャットの改良が進んでいきました。

その後オシキャットは1966年に、CFA(アメリカ猫愛好家協会)へ品種登録の申請を提出しますが、このときは予備登録というかたちで保留になったようです。その後、正式な品種登録を目指してデイリーも繁殖を試みますが、家庭の事情により中断しなければならない事態に。ですが、他のブリーダー仲間によって繁殖活動は続けられ、1987年、オシキャットはCFAに公認種としてようやく認められました。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Silver_Ocicat.JPG

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オシキャットのQ&A

オシキャットの名前の由来は?

体の模様が「オセロット」という野性のネコに似ていることから名づけられました。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Ocicat-sitting.jpg


オシキャットのカラーバリエーションは?

■ボディカラーの種類

タウニー(ブラウン)、エボニーシルバー、ブルー(シルバー)、チョコレート(シルバー)、シナモン(シルバー)、ラベンダー(シルバー)、フォーン(シルバー)があります。

■模様や配色の種類

・スポテッドタビー
全体に斑点(はんてん)模様のみです。

■アイカラーの種類

イエロー、ゴールド、オレンジ、カッパー、グリーン、ヘーゼルがあります。

■毛種

オシキャットは短毛種(たんもうしゅ)のみです。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Oreo_and_Shadow_Ocicats.jpg


オシキャットの外見はどんな感じ?

丸みのあるくさび型の頭、アーモンド形のつり上がった目。先端に少しタフトが生えた大きい大きい耳を持ち、体型はセミフォーリン。ボディや脚は筋肉質なので、引き締まった見た目に対し、重量感があります。短毛種ですが、柔らかな手触りの被毛も魅力的です。

そしてなんといっても、オシキャットは野性味あふれるワイルドなヒョウ柄のスポット模様が最大の特徴といえるでしょう。ちなみに、模様が似ているネコにエジプシャンマウという品種もいますが、こちらは自然発生により誕生したネコなので、人間の手で作られたオシキャットのスポット模様とは経緯が異なります。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Topspot_La_Colombina_(Liina)_OCI_c_24_female_kitten_EX1.JPG


オシキャットとベンガルの違いは?

先ほど、体の模様が似ている品種でエジプシャンマウがいるとご紹介しました。実は他にもベンガルというネコがオシキャットと似ているので比べてみましょう。

■体の模様

オシキャットのスポット模様は1種類のみですが、ベンガルのスポテットタビーは大きく分けて3種類あります。なかでも「ロゼット」と呼ばれるパターンは、ベンガルのみに表われる唯一無二の模様といえるでしょう。

■体の大きさ

オシキャットはセミフォーリン、ベンガルはロング&サブスタンシャル体型です。どちらかといえばベンガルの方が重量感のあるがっしり体型ですが、体重に大きな差はありません。

■性格

オシキャットもベンガルも甘えん坊な部分がありますが、オシキャットは人見知りをせず飼い主さんを含め、家族や初対面の人でも仲良くなりやすいです。一方ベンガルはヤマネコの血を引いているせいか、少々気が強く飼い主さんには自分だけを見て欲しいという気持ちもあるので、初対面の人に対してフレンドリーに接してくることはあまり無いといえます。

■飼育のしやすさ

実はオシキャットもベンガルもひとりで長時間のお留守番をするのは苦手なので、1人暮らしで家を留守にすることが多い場合、飼育は難しいです。さらにベンガルの場合は運動量もかなり多いため、広い運動スペースを確保する必要があります。どちらかといえばオシキャットも活動的なネコですが、通常のイエネコと同じように遊ばせてあげれば問題無いでしょう。家庭環境にもよりますが、オシキャットの方が初心者向けの品種といえます。

■ネコアレルギーの有無

オシキャットもベンガルもアレルギーの出にくいネコです。オシキャットは原因物質となる糖たんぱくが少ないため、ベンガルは抜け毛が少ないためネコアレルギーの方でも飼いやすいといわれています。


オシキャットを購入するにはどれくらいかかるの?

オシキャットはペットショップだとほぼ見つからないため、ブリーダーやキャッテリーから購入するのが一般的です。金額は20~40万円ほどかかります。購入を検討する際、お気に入りの子が見つかったら、一度見学に行くのが良いでしょう。

さらに、ブリーダーの上段資格である「キャッテリー」から購入する場合、一般ブリーダーよりも高値になることがあります。キャッテリーは、血統書発行団体である「CAF」、「TICA」の認定が必要なので、この資格を持っているブリーダーは信頼度も高く、付加価値がつくといえるでしょう。高値の理由は、信頼の証という訳です。

それ以外にも、値段に幅が出てしまう条件について、何点か紹介します。

・子ネコであること
・血統が優秀であること
・珍しいカラーや模様を持っていること

他に条件はあるものの、特に上記条件に当てはまると高額になるようです。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Ocicat.JPG


オシキャットの性格や特徴をもっと詳しく知りたい!

①人懐っこくて甘えん坊!

ジャングルが似合う野性的な見た目なので、性格もクールなのでは?と思いきや、実は甘えん坊なネコです。ベンガルのようにヤマネコの血は入っていないので、純粋なイエネコ系統といえるでしょう。そのため、初対面の人でも積極的にすり寄ってくれることが多いです。家族や飼い主さんに対しては、それ以上に甘えん坊な一面を見せてくれるので、そんなネコが好きな方にはピッタリの品種といえるでしょう。

②賢く、まるでイヌのようなネコ?

頭が良いといわれるネコは他にもたくさんいますが、オシキャットはそのなかでもより賢いといわれています。飼い主さんには忠実なのでしつけに困ることもほとんどなく、個体差はあるものの、覚えればイヌのように投げたおもちゃを持ってこい遊びもできちゃいます。

③運動大好き!でも実は寂しがり屋

甘えん坊なオシキャットですが、活発な部分もあるので動き回って遊ぶことは大好きです。上下運動のできるキャットタワーや、高いところを歩けるキャットウォークを用意してあげると良いでしょう。その一方、寂しがり屋な性格でもあります。ですので、ひとりで長時間のお留守番をするのは苦手。一人暮らしの方よりも、家族がいるお家での飼育に向いているかも知れません。

④アレルギーの出にくいネコ

先ほども少しご紹介しましたが、オシキャットは「ネコアレルギー」が出にくい品種といわれています。このようなネコを「ハイポアレジェニック・キャット」と呼びますが、他にも「サイベリアン」や「スフィンクス」などもハイポアレジェニック・キャットの仲間です。オシキャットの場合、アレルギーの原因物質となる糖たんぱく質が少なく、結果アレルギーが出にくいとのこと。

ですが、アレルギー症状が出るかどうかは個人差があるため、絶対に大丈夫!とはいい切れません。あくまでも「他のネコと比べたらアレルギーが出にくい。」といった感じなので、ネコアレルギーの自覚症状がある方は、飼育する前に一度病院で相談することをオススメします。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Test_shot_of_SIGMA_DP1_Merrill_(7994016397).jpg


オシキャットのかかりやすい病気ってなに?

オシキャットのかかりやすい病気は「肥大型心筋症(ひだいがたしんきんしょう)」、「下部尿路疾患(かぶにょうろしっかん)」があります。

① 肥大型心筋症

心臓の筋肉が厚くなり、それによって心臓の収縮が上手くいかなくなってしまう病気です。遺伝が原因で発症することが多いため、具体的な予防法はまだ見つかっていません。

発病後、目立った症状が出ない場合もあるため、気づいた時には血栓症(けっせんしょう)を併発していることもあり、最悪の場合死に至るケースもあります。では、病気を早期発見するためにはどうすれば良いのでしょうか?結論としては定期健康診断を受けるのが重要になります。

肥大型心筋症はまだ画期的な治療法がないので完治は難しいですが、早ければ早いほど対症療法(たいしょうりょうほう)によって病気の進行を遅らせることは可能です。

② 下部尿路疾患

もともとネコは昔からの名残で、水をたくさん飲む習慣がありません。その結果腎臓に負担をかけてしまい、尿路疾患になってしまうことが多いのです。

具体的には、腎臓で作られた結石が尿道などで詰まり、体の組織を傷つけてしまう「尿路結石(にょうろけっせき)」や「膀胱炎(ぼうこうえん)」があります。トイレに行く回数が減っている、もしくは血尿が出る、尿の色がいつも違うといった症状が表れたら、早めに病院を受診してください。

普段の食事や、水をあげる回数に気をつけていれば予防可能ですが、どんなに気をつけていてもかかってしまう場合があるため、できれば定期的に健康診断を受けることをオススメします。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Chocolate-Spotted-Ocicat.jpg


オシキャットの寿命は?

オシキャットの寿命は12~15年といわれています。一般的なネコの寿命は12~16年なので、平均的といえるでしょう。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Ocicat_13.06.07_015.jpg

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参考文献

まるごとわかる猫種大図鑑 監修:CFA公認審査員 早田由貴子

世界中で愛される美しすぎる猫図鑑 監修 今泉忠明

The Cat Fancier’s Association, Inc.
https://cfa.org/ocicat/

猫との暮らし大百科
https://www.anicom-sompo.co.jp/nekonoshiori/

みんなの猫図鑑
https://www.min-nekozukan.com/

Pet Smile news forネコちゃん
http://psnews.jp/cat/

子猫のへや
https://www.konekono-heya.com/sitemap.html

ねこちゃんホンポ
https://nekochan.jp/

公益社団法人 埼玉県獣医師会
https://www.saitama-vma.org/topics/猫の遺伝性疾患について/

アイキャッチ画像
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Moosegrove Ícaro Idílico, JW (Ikaro) OCI n 24 young male EX1 BIV NOM.JPG