
お目目がくりくりのとてもかわいい野生動物エゾナキウサギ!山登り中でも出会えたらラッキーと言われる珍しい動物です。
見た目の特徴や鳴き声など、ウサギらしくない特徴をたくさん持っています。小さい体でとても寒いところで暮らすエゾナキウサギについて紹介します。
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~基本情報~
分類:ウサギ目 ナキウサギ科 小型哺乳類
※ユーラシア大陸北部(シベリアやサハリン、朝鮮半島、モンゴル地方)に生息するキタナキウサギの亜種
生息地:北海道の北見山地、大雪山、夕張山地、日高山脈など
大きさ:体重60~150g 体長10~20cm、尾長1cm、耳長2cm
毛色:夏毛は赤褐色、冬毛は灰褐色(濃い茶色に少し灰色が混じった色)から暗褐色(暗い茶色、濃い茶色)。(年に2回生え変わりをする)
エゾナキウサギ(ナキウサギ)は、今から1万年以上前の氷河期時代に、シベリア地方から北海道に渡ってきたと言われています。しかし、氷河期時代を経て、海の水が増えたことで大陸と北海道が分かれてしまいました。
大陸に帰れなくなったナキウサギは、寒い北海道の高い山の上で生き延びています。標高が1,500〜1,900mの北見山地、大雪山、夕張山地、日高山脈などに現在も生息しています。
雨や風、極寒の地は好まず、日中と夜間は巣の中にいます。早朝と夕方に活発に行動することが多いです。
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エゾナキウサギのQ&A
エゾナキウサギの名前の由来は?
エゾナキウサギのエゾは北海道を意味します。ナキウサギの名前の由来は、鳴き声を多く発することからこの名前がつけられました。
日常的に仲間たちとコミュニケーションをとるために鳴き、繁殖期(はんしょくき)になると鳴き声が大きくなります。
エゾナキウサギはどうしてそこに住んでいるの?
エゾナキウサギは、ガレ場や岩と岩の隙間、エゾマツ、ダケカンバなどの森林地帯に巣を作って生活しています。暑さに弱く、15℃以上になると生き残れないという理由で、これらの場所を選んでいます。
また、湿度が高い場所も苦手であるため、夏でも涼しくて乾燥しているところを好みます。

エゾナキウサギの天敵はどんな動物?
エゾオコジョ、エゾクロテン、キタキツネなどがエゾナキウサギの天敵です。
エゾナキウサギは何を食べているの?
エゾナキウサギは草食動物で、草木の葉や茎、高山植物の花、シダ、コケ、キノコを食べて生活しています。ノウサギや家庭で飼育されるウサギと同様に、エゾナキウサギも自分の糞を食べています。

ウサギは一度に吸収しきれなかった食べ物を盲腸に送ります。盲腸に送って発酵させたものを「盲腸糞(もうちょうふん)」といいます。盲腸糞にはタンパク質などの栄養がたっぷり含まれています。栄養補給のためにウサギは肛門に直接口をつけて食べています。
また、寒い場所に住んでいますが、エゾナキウサギは冬眠しません。秋になると越冬準備として、植物の葉や茎を巣に集めて冬の間の保存食としています。
エゾナキウサギはどんな外見?
エゾナキウサギは、ウサギという名前がついていながら、見た目はどちらかというとネズミのような外見をしています。耳は小さくて短く丸い形をしています。しっぽは短くて、ほとんど毛に覆われているため見えません。
黒々とした丸い目玉が愛らしく、口角が上がっているように見える口元も魅力的です。
エゾナキウサギはどんな鳴き声?
エゾナキウサギは雄と雌で鳴き声が異なります。
■雄の鳴き声の特徴
雄のエゾナキウサギは、「キィッ!」「キチィ!」と鳴きます。
繁殖期(はんしょくき)にはこのような鳴き声を一度に4~16音連続で発声することがあります。それ以外の期間は、1音のみの発声が多いと言われています。
■雌の鳴き声の特徴
雌のエゾナキウサギは「ピュー」「ピィーッ」と、雄より長い音で鳴くことがあります。また、雄よりもかわいらしい印象の「ピィツィ」「ピキィ」といった鳴き声を発します。
雌も雄と同様に、3月から10月にかけての繁殖期(はんしょくき)には、「ピィルルルル」「ピィッピィッピィッ」と、連続で鳴いて雄に居場所を知らせています。
天敵の動物はエゾナキウサギの鳴き声で逃げることはないので、威嚇(いかく)によって鳴くことはありません。
エゾナキウサギは絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)?
エゾナキウサギは2012年から「準絶滅危惧種(じゅんぜつめつきぐしゅ)」とされています。
エゾナキウサギが準絶滅危惧種(じゅんぜつめつきぐしゅ)になった理由は、エゾナキウサギが暮らせる場所が少ない、外敵が多い、繁殖期が短いため、個体数が増えず減っていることなどが挙げられます。
これは日本の環境省が発表しているレッドリストによるものですが、これとは別に、IUCN(国際自然保護連合)レッドリストにおいても「Least Concern(軽度懸念)」とされています。

エゾナキウサギはどこに行けば見られる?
北海道中央部の大雪山系連峰や日高山脈、夕張山地、北見山地を中心に生息しています。北海道の中でも道南には生息しておらず、標高の高いところまで行かないと出会うことができません。
■エゾナキウサギが見られる可能性がある公園
・大雪山(だいせつざん)国立公園
・天塩岳道立(てしおだけどうりつ)自然公園
・富良野芦別道立(ふらのあしべつどうりつ)自然公園
・日高山脈襟裳(ひだかさんみゃくえりも)国定公園
住んでいる場所に訪れたとしても、警戒心が強いので見つけることはとても難しいようです。
北海道で山登りをする際には、耳をすましてエゾナキウサギの「ピチュッ」という甲高い声を頼りに居場所を探してみましょう。

エゾナキウサギのゆるキャラって?
北海道の観光PRキャラクターに、エゾナキウサギが起用されています。「キュンちゃん」の愛称で北海道の人々に慕われています。
キュンちゃんはエゾナキウサギの特徴である、丸い耳とつぶらな瞳、短い手足のゆるキャラです。見るものや、触れるもの全てを「キュン」と感動させるといったコンセプトがあります。
北海道に行ってエゾナキウサギに出会えなかった人は、キュンちゃんグッズをお土産に買って帰るのもよいですね。
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参考文献
GoodDay北海道
https://www.visit-hokkaido.jp/info/detail/125
ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/エゾナキウサギ
登山初心者.com
https://tozan-syoshinsya.com/エゾナキウサギを見るならココ!「北海道」然別/#i-5
MAGAZINE SANYO CHEMICAL
https://www.sanyo-chemical.co.jp/magazine/archives/474
北海道ファンマガジン
https://hokkaidofan.com/nakiusagi/
キュンちゃんの部屋
https://visit-hokkaido.jp/kyuns-room/
アイキャッチ画像
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Pika_in_Nipesotsuyama.jpg