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ビーバー

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家を建築したり環境を開発したりできるのは「人間のみ」ができる活動……。実は、人間以外にも、自らの力で環境を変えられる生物がいます。 それがビーバーです。ちょっと間の抜けた顔と、短い手足で愛らしいビーバー。 アニメ映画の題材にもなる人気者ですが、詳しい生態はあまり知られていません。ビーバーがどのように生活しているのか、詳しくみてみましょう!

ビーバー 基本情報

哺乳綱齧歯(げっし)目ビーバー科ビーバー属

体長:74-130cm

尾長:21-50cm(幅15cmほど)

体重11-30kg

ビーバー属に分類されるビーバーは2種類しかいません。ドイツやフランス、ノルウェー、ロシアなどに分布するヨーロッパビーバー。そして、アラスカやカナダ、アメリカに分布するアメリカビーバーです。

それぞれの生態はよく似ており、河川や湖、池などの淡水域とその周囲に生息します。良質な毛皮を求めた乱獲によって絶滅した地域もありますが、現在は保護活動が盛んになり、個体数はむしろ増加傾向です。

続いて、ビーバーの身体的な特徴を確認しましょう。ビーバーは「かじる」能力が高く、そのための歯には鉄分が多く含まれており、非常に硬いです。

その硬さは直径10cmの木も数分で倒せるほどです。また、水棲の齧歯(げっし)類としては、カピバラに次ぐ大きさをもっています。

体色は褐色ですが、個体差があり、生息地によって色が異なります。毛の内側には耐水性に優れる白い毛が生えており、水中の生活を可能にする重要なポイントです。

尻尾は平たく、泳ぐときは上下に動かすことで、推進力を生み出しています。なお、ビーバーは夜行性で、日中に姿を見ることはあまりありません。

普段は家族で生活をしており、夫婦と未成熟の子どもでコミュニティを形成します。人間とよく似ているといえるでしょう。

ビーバーはとても警戒心の強い動物なので、不用意に近づいてはいけません。襲われることも珍しくないからです。

「愛くるしい動物に襲われても大丈夫じゃない?」と思うのは危険で、ビーバーには数分で木をかじり倒す歯があります。人間にケガを負わせることも簡単で、動脈を傷つけられると命にかかわる恐れもあるのです。

ビーバー Q&A

ビーバー
ビーバーの名前の由来は何?

ビーバーは英語で「beaver」と書きます。そもそもbeaverは、古い英語の言葉である「beofor」に由来します。

さらに語源をひもとくと、印欧基語(インド・ヨーロッパの諸言語に共通の祖先として構築された仮説上の言語)の「bhe-bhru-s」に由来。意味は「褐色」です。つまり、beaverはビーバーの体色に由来していることがわかります。

また、和名は海狸(かいり、うみだぬき)と呼びますが、現在はほとんど使われません。ビーバーは海生生物ではなく、誤解を与える恐れがあるからです。

そもそも現代で「海」と言えば「sea」を意味しますが、古くは「大きな湖」も「海」と呼んでいたと考えられ、「海に棲む狸」の漢字が使われたと言われています。

ビーバー
ビーバーはどうしてそこに住んでいるの?

ビーバーは、森林にある川や湖に生息し、おもに水中で生活します。天敵から身を守る必要があり、陸地で活動することはほとんどありません。

岸から近いところで食事をすることはありますが、見かけることはレアといえるでしょう。

ビーバー
ビーバーは何を食べているの?

ビーバーの食性は草食性で、1日に2kgもの木の葉や草、木の皮を食べます。特に、木の葉を好み、葉を食べるために木そのものをかじり倒すことも多いです。

強い歯を持っているからできる芸当といえますね。また、1mに満たない枝であれば、わずか数分ですべて食べ尽くしてしまいます。

両手でエサを持ってガジガジと食べる様子はかわいく見えますが、方法や食事量に驚きを隠せませんね!

ビーバー
ビーバーに似ている生き物はいるの?

ビーバーに似ている生き物としてよく挙がるのは、カピバラとヌートリアです。特に、齧歯(げっし)目ヌートリア科のヌートリアはビーバーによく似ています。

体つきはほぼ同じで、ビーバーと比べると少し小さいです。また、尻尾に大きな違いがあるため、見分けることは難しくありません。

ビーバーの尻尾は平べったく幅があるのに対し、ヌートリアの尻尾はネズミのように細長いです。さらに、生態にも違いが見られます。

ヌートリアもビーバーと同じく、低地の淡水域に生息していますが、例外があります。アンデスでは1000mほどの高地でも見られ、チリでは汽水域や海水域でも姿が確認されました。

ヌートリアは特定外来生物として日本にも生息しており、近畿地方や中国地方で見られます。

ビーバー
ビーバーの天敵は?

ビーバーは、中型の肉食動物を天敵にもちます。具体的には、オオカミやコヨーテ、イタチ、テンなどです。

しかし、これらの天敵の多くは泳ぐのが苦手。おもに水中で生活するビーバーは、天敵の襲撃を避けやすい環境にあると考えられます。

ビーバー
ビーバーはどうしてダムを作るの?

多くの野生動物は、枝や葉などの材料を積んだり組んだりして巣を作り上げます。ビーバーも巣作りの流れは大きく違いませんが、ダムを作って水位を調整するといった驚くべき能力をもっているのです。

ダムを作る行動は本能的で、特に教わらなくてもできると言われています。具体的には、水辺にある木をかじり倒し、泥や枝とともに川を横断するように組み上げていくのです。

ダムによってできた湖の中心に、木を組み上げて個室のような巣を作ります。巣は水面より高く、山状に組まれ、2つ以上の出入り口は水中へと続きます。

空気孔はあるものの天敵が侵入できるものではないため、巣にいれば安全といえるでしょう。ダムは通常20〜30mほどですが、数百メートルに及ぶものもあり、カナダのウッド・バッファロー国立公園では850mにもなる長大なダムが発見されました。

このようにビーバーは、人間以外で「自分の生活のために周囲の環境を作り変えられる唯一の生物」と言われます。

ビーバー
ビーバーは家族仲良しって本当?

ビーバーはわたしたち人間と同様に、夫婦と未成熟の子どもでコミュニティを形成しています。子どもは10日ほどで泳ぎ始めますが、すぐには親元を離れません。

次の年に弟や妹たちが生まれる頃、年齢にして満2歳になる頃にようやく独立し始めます。長く家族で暮らす姿は、仲良しだからこそできることでしょう。

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