カ(蚊)
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カ(蚊)
「蚊」というと、夏になるとプーンと嫌な音を立てて飛び回り、刺されるととてもかゆくてイライラさせられてしまう生き物ですよね。 倒そうと思っても跳んで逃げまわり、悔しい思いをしたことがある人も多いと思います。 でも、そんな身近な蚊がどんな特徴をもった生態なのか知っている人は少ないはずです。 今回は、そんな蚊について詳しく紹介していきたいと思います。
カ(蚊) 基本情報
ハエ目(双翅目(そうしもく))糸角亜目カ科
ほとんどが体長15mm以下 体重は2~2.5mg、満腹時は4~7.5mg
蚊と一言にいっても、その種類は約2,500種〜約3000種にものぼります。
そのなかでも日本で見られる蚊は100種類程度です。
私たちが一般的に見かける蚊は、アカイエカやヒトスジシマカがほとんどです。
水のあるところに150〜400個もの卵を産みつけ、ボウフラになり1ヶ月弱で成虫になります。
しかし、気温が高いなどの条件が揃うと10日ほどで成虫になるため、暑い夏などは蚊が爆発的に増えることもあります。
カ(蚊) Q&A
蚊の名前の由来は?
蚊の名前の由来は諸説ありますが、「喧・囂(かま)」といううるさい、やかましいという意味の略語や、「かしましき」という、とてもやかましいという意味を略したものだという説があります。
また、「細(か)」や、「かぶれ」「かゆみ」「噛む」などからきているという説もあります。
とにかく飛ぶ時の音や存在がやかましい、かゆい、噛まれるなど蚊の特徴から名前が来ていると言えるでしょう。
蚊はどうしてそこに住んでいるの?
蚊は、屋外だけでなく屋内に侵入してくることもあるので、至るところに存在しているというイメージが強いですが、卵は水のあるところにしか産みつけられません。
卵から幼虫、蛹(さなぎ)、成虫へと完全変態する生き物で、水面に産み付けられた卵からは産卵誘発フェロモンが放出されているので、蚊の卵があればあるほどそこにどんどん卵を産み付けるために蚊が寄ってくるということになります。
蚊の種類によって、キレイな水のところが好きなものや汚いところが好きなもの、広いところがいいという蚊もいれば、狭い場所がいいという蚊もいたり様々です。
とにかく水をためておくとすかさず蚊が卵を産み付けてしまい、そこからどんどん蚊が量産されてしまうので、家の周りに蚊を寄せ付けたくないという場合には水を溜めておかないようにした方がいいでしょう。
また、家の中に侵入してくるのは、蚊は二酸化炭素に引き寄せられるという性質があるからです。
それだけでなく、洗濯物にまぎれて入ってきたり、玄関やベランダなどで待ち伏せをして人が入るタイミングで一緒に入ってきてしまうこともあります。
蚊は何を食べているの?
蚊は、血を吸って生きているというイメージがありますが、通常は植物の蜜や果汁などの糖分を食べて生きています。
また、血を吸うのはメスだけで、メスは卵を発達させるためのたんぱく質が必要なので吸血すると言われています。
血を吸うことで体内の卵巣の成熟が始まり、卵も発達する仕組みになっているのです。
気温が15度以上になると吸血を開始すると言われていて、最も活発に吸血活動を行うのは26度〜31度ぐらいの気温の時です。
それより高くなったり低くなったりすると活動しなくなり、物陰などに隠れてじっとしていることが多くなります。
蚊はどうして血を吸うの?
食べているもののところで説明した通り、蚊は卵を作るために動物の血液の栄養分が必要なのでメスしか血を吸いません。
しかし、絶対に動物の血でなければならないというわけではないのです。
ヒトスジシマカのメスに高栄養のローヤルゼリーを与えるという実験を行ったところ、血を吸わなくても卵を作れたという結果が出ています。
血と同程度の栄養がとれれば、蚊は卵を作ることができるというわけです。
また、花の密だけで卵を作ることのできる「オオカ」という種類の蚊もいます。
蚊が血を吸うのは、子孫を残すのが目的というわけです。
蚊が何回も刺してくるのはなぜ?
同じ蚊が、一か所だけでなく体の何カ所も刺してくることがあると思います。
どうして一か所だけではなく何カ所も刺してくるの?!と思いませんか?
何度も刺してくるのは、蚊がまだ満腹ではないからです。
充分に血を吸って満腹になったメスの蚊は、卵巣が発達して卵でお腹がいっぱいになるので血を吸わなくなります。
しかし、血が足らず中途半端に卵巣が発達してしまうと満腹にならないので何度も刺してくるのです。
何度も刺されたくないのであれば、一度にたっぷり吸わせてあげるか、もしくは一度で仕留めるしかなさそうです。
蚊に刺されるとかゆくなるのはどうして?
蚊の唾液の中には、麻酔のかわりになる成分が含まれています。
蚊が血を吸う時には、口の先にある針から唾液(だえき)を皮膚の中に出しているんです。
唾液(だえき)には、血を固まらなくしたり針の痛みを軽減するという働きがあります。
時間がたつと蚊の唾液(だえき)の中のたんぱく質に人間の体が反応してアレルギー反応を引き起こし、かゆみが生じてくるという仕組みです。
蚊が飛ぶときはどうして嫌な音がするの?
蚊はブーンと嫌な音を立てて飛びますよね。
人間にとってあの音はかなり不快なものですが、実は蚊にとっては恋人探しにとても重要な音なんです。
蚊は、交尾をする季節になると羽音を調整しながら相手を見つけます。
交尾の準備が整った蚊は、通常よりもメスは3倍音、オスは2倍音のヘルツで羽ばたき、それが合図になるというわけです。
蚊は根に持つ?
周りを飛び回るうっとうしい蚊を叩き潰そうと苦労したことのある人も多いと思います。
アメリカのワシントン大学の研究によると、蚊は自分を叩き潰そうとした人のニオイを覚え、しばらくその人を避けるようになるという結果が出ているんです。
しかも、効果の持続時間は24時間以上もあり、虫よけスプレー並みの効果があるんだとか。
ただし、この効果が確認されたのはヤブカのみなので、他の種類の蚊には通用しないかもしれません。
どんな人が蚊に刺されやすい?
蚊は、二酸化炭素や体温、服の色などに反応して吸血する対象物を探しています。
その吸引源は人によって強さが異なりますが、刺されやすさというのは遺伝的に生まれながらにして決まっているんだそうです。
体から発する吸引源が蚊の好みにピッタリあってしまった場合には刺されやすくなってしまうというわけです。
蚊はどんな色が好き?
蚊は、基本的に濃い色に引き付けられるということが分かっています。
蚊は昆虫ですが、昆虫の眼は複眼(ふくがん)になっていて、個眼というひとつひとつの目玉が集まってできています。
それは人には見えない紫外線が見える構造になっていて、明るい色よりも暗い色のほうが見えやすくなっているようです。
蚊が好きな色は、黒、赤、青、黄、白の順番になっています。
蚊に刺されたくなければ白っぽい服を着るといいかもしれませんね。
蚊は甘いものは別腹?
蚊にもちゃんと胃袋があります。
そして、主食である花の蜜や樹液が入る胃袋、血液が入る胃袋に分けられているんです。
血液が入る胃袋では、血液の栄養分を消化して卵を育てるために使われるので胃によって役割が違うということですね。
蚊のオスとメスの見分け方は?
小さい蚊ですが、オスとメスを見分けるには触覚に注目してみましょう。
触覚がふさふさしているのがオスで、していないのがメスです。
オスの触覚がふさふさしているのは、メスを見つけるために触覚の面積を広げて感覚を研ぎ澄ませているからだと言われています。
蚊の蛹(さなぎ)は動く?
昆虫の蛹(さなぎ)というと、じっとして動かないというイメージがあるはずです。
しかし、蚊の蛹(さなぎ)は、ぴょんぴょんととても活発に動くという特徴があります。
水の中でぴょんぴょんと動く物体があったら、蚊の蛹(さなぎ)かもしれません。
蚊は冬にも出現する?
蚊というと、夏の虫というイメージが強いですよね。
しかし、秋の終わりに生まれた蚊は、そのまま冬を越し、6ヶ月ぐらい生きるものもいるんだとか。
洞穴や土管などの水に浸からない壁面でじっとしながら暖かくなるのを待っているようです。
冬を越すことが確認されているのはアカイエカですが、温暖化が進むことによってもっと色んな種類の蚊が越冬できるようになるかもしれませんね。
蚊は病気を運ぶ?
蚊は、マラリア、フィラリア、デング熱、日本脳炎などの病気や寄生虫を媒介(ばいかい)します。
しかし、全ての蚊が病気を運んでいるというわけではありません。
家の近くにいるような身近な蚊の場合には、病気を運ぶ蚊は3種類ぐらいだと言われています。
蚊は病原体を媒介しますが、自分はその病原体で死ぬことはありません。
ただし、蚊の寿命はだいたい1ヶ月程度と言われていますが、フィラリアを持っている蚊は少し寿命が短くなる傾向にあるようです。
蚊がいなくなったら地球はどうなるか?
蚊は食物連鎖の中でもかなり下位に位置していますので、いなくなってもそこまで影響しなさそうですが、全ての蚊が消滅してしまうと、一部の植物は花粉を媒介してもらえず絶滅してしまったり、マラリアなどの病気の研究材料がなくなってしまったりするという問題もあるようです。
しかし、その影響は一時的なもので、蚊がいなくなっても他の生き物が埋め合わせてくれるようになるので、長い目で見ると蚊はいなくなっても特に問題はなさそうです。
一部の地域では蚊を食用にしているところもあるようで、蚊で作ったハンバーグなんかは牛肉のハンバーグよりもたんぱく質が豊富で栄養満点の料理とされています。
また、蚊は二酸化炭素や体温の高い人や場所を感知したり、毛細血管を探し当てる超音波センサーや、人間のレンズ眼よりも性能のいい360度視野と紫外線を見分ける複眼を持っています。
これらの機能は医療の分野や物理工学など、最先端のミクロテクノロジー技術の開発に貢献しているんだとか。
我々人間が把握できていないところでも、蚊は生態系を維持するために役立っているかもしれませんね。
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カ(蚊) 種類
・シナハマダラカ
・オオツルハマダラカ
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・コガタハマラダカ
・キンイロヤブカ
・シロカタヤブカ
・コガタキンイロヤブカ
・カニアナヤブカ
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・ネッタイシマカ
・ヒトスジシマカ
・ヤマダシマカ
・トウゴウヤブカ
・オオクロヤブカ
・キンイロヌマカ
・イナトミシオカ
・ハマダライエカ
・アカイエカ
・チカイエカ
・コガタアカイエカ
・スジアシイエカ
・アカクシヒゲカ
・ヤマトクシヒゲカ
・フトシマツノフサカ
・アカツノフサカ
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・カラツイエカ
・トラフカクイカ
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・トワダオオカ
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カ(蚊) 参考文献
- ・ますますざんねんないきもの事典 株式会社高橋書店 2021年4月25日発行
- ・きっと誰かに教えたくなる蚊学入門-知って遊んで闘って- 株式会社緑書房 2021年6月30日 第1版発行
- ・あなたは嫌いかもしれないけど、とってもおもしろい蚊の話 株式会社山と渓谷社 2019年9月10 初版1版発行
- ・Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/カ
- ・おしごとはくぶつかん https://oshihaku.jp/nenkan/page/14377023
- ・SHARP https://jp.sharp/kuusei/trivia/
- ・アース製薬 https://www.earth.jp/gaichu/knowledge/ka/
- ・KINCHO https://www.kincho.co.jp/gaichu/seitai/ka.html
- ・語源由来辞典 https://gogen-yurai.jp/ka/#:~:text=蚊の語源・由来,多くの説がある。
- ・Gigazine https://gigazine.net/news/20141001-world-without-mosquitoes/
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