ウツボ

出典:https://unsplash.com/photos/umaCtA_hGH4

ウツボというと、にょろにょろと気持ちが悪く見た目もグロテスクで性格は凶暴だというイメージが強いですよね。
水族館などで群れになっている姿を見てゾッとする人も多いはずです。 
でも、ウツボの生態や特徴についてよく知っているという人は少ないのではないでしょうか?そこでこの記事では、知られざるウツボの生態について詳しく調査しましたのでご紹介します。
なお本記事で取り扱うウツボは、日本でも一般的に見られるウツボ(地方名はトウキダカ、キダカ)です。特別な記載がない限りはこのウツボを指しているのでご了承ください。

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~基本情報~

硬骨魚綱(こうこつぎょこう)ウナギ目ウツボ科ウツボ属

体長:全長20cmから大きいものだと4mまで様々なサイズのものがいるが、だいたい1mぐらいのものが多い

重さ:4kg~7kg

ウツボは、目の後方まで広がる大きな口があり、体は黄褐色で表面には斑模様が密集しているという特徴的な見た目です。

腹びれや胸鰭(むなびれ)はなく、尾びれと背びれは繋がっています。

ウツボは、温暖な地域の浅い海に生息しています。

琉球列島を除く南日本や朝鮮半島、台湾の沿岸岩礁域などで確認されています。

サンゴ礁や岩礁などに生息する種類が多く、マングローブ汽水域や淡水域にいるものもいます。

粘膜を介した皮膚呼吸が可能なので、湿っているところであれば水中でなくても30分程度は活動することができます。

基本的には自分の巣穴からあまり動くことなく獲物を待ち伏せしますが、嗅覚が鋭いので小魚をとるために海底を泳ぎまわったり、潮だまりまで上がってくることもあります。

釣りをしている人間にも噛みつくことがあるので注意が必要ですが、危害を与えなければ襲ってくることはありません。 

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ウツボのQ&A

ウツボの名前の由来は?

ウツボは、細長い形をしています。

その形が、矢を入れる容器の「靫」(うつぼ)に似ていることからウツボと呼ばれるようになりました。

また、関西地方では「空洞」のことを「ウツホラ」と呼ぶことから、ウツボの岩穴に住む習性を表してウツボと呼ばれるようになったとも言われています。

ウツボは、漢字で書くと魚偏に「単」と書きますが、変換をしても出てきません。

しかし、「ごまめ」と変換すると出てくることがありますので参考にしてみて下さいね。

出典:https://pixabay.com/images/id-230017/

ウツボはどうしてそこに住んでいるの?

ウツボは日本では、島根県から九州南部の日本海や東シナ海、千葉県館山から屋久島までの太平洋で姿が見られます。

ウツボは、温暖な海の浅い場所に生息していますが、それだけではなく隠れるための巣穴が必要です。

ウツボというと土管や穴などに隠れて頭だけ出しているという姿が想像できますが、ウツボが穴に潜るのは、夜行性だからという理由があります。

岩礁域やテトラポットなど、複雑に入り組んだ地形を好み、その間に潜り込んで息をひそめて獲物を狙っています。

しかし、夜行性のため、夜になると穴から出てきて泳いでいる姿が見られることもあります。

ウツボは何を食べているの?

ウツボは肉食です。

魚や貝、イカ、仲間のウナギやウツボを食べることもあります。

特に、タコが大好物で、タコもウツボと同じように穴に潜るという習性があるため生息域が同じなので食べられてしまいがちです。

タコにとってはウツボは天敵なのです。

出典:https://pixabay.com/images/id-3262715/

ウツボはウナギの仲間なの?

ウツボはウナギ目ウツボ科ウツボ属に分類されています。

実は、ウツボはウナギの遠い親戚のような存在と言える生き物なんです。

そういわれると、細長くにょろにょろと泳ぐ姿が似ていますよね。

しかし、ウナギとウツボの大きく違うところは、大きな口や鋭い歯があるというところです。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Geometric moray, Gymnothorax griseus, Перечная мурена..DSCF6044WIK.jpg
出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:オオウナギ(沖縄島).jpg

透明なウツボがいるって本当?

はい、といっても正確にはウツボの稚魚(ちぎょ)が透明なんです。ウツボというとグロテスクな見た目が特徴的ですよね。

ウツボなどのウナギ目の魚の稚魚というのは、「レプトケファルス幼生」と呼ばれ、頭に比べて体が幅広く透き通り、葉脈標本のような姿をしています。

流れにのって海の中を漂い、体を大きくくねらせて泳ぎます。

ウツボの赤ちゃんと大人は見た目が大きく変わるって本当?

そうなんです。ウツボなど海の中の生物というのは、稚魚(赤ちゃん)から成魚(せいぎょ・大人)になるにつれて同じ種類とは思えないほど姿を変えるものが多くいます。

このことを「変態」と言います。

ウツボの変態は第3形態まであり、透明な体から茶色くて細長い体へと変わり、最後には太くこげ茶のまだらな縞模様になっていきます。

透明な状態からグロテスクな状態に変化するなんて考えられませんよね。

ウツボは噛み切るのが苦手?

ウツボは「海のギャング」と呼ばれるほど凶暴で色々な海の生き物に襲い掛かって食べてしまいます。

しかし、大きな口とするどい歯、強い顎で噛みつくことはできますが、獲物を嚙み切って食べるというのは苦手なようです。

噛みついたのはいいものの、一口で飲みこめないときには自分の長い体でリボンのような結び目を作り、結び目に頭を引っ込めて獲物をブチっと切って食べるんです。

長い体を上手に使って工夫してエサを食べることができるんですね。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Gymnothorax vicinus with Stenopus hispidus – Sanc2421.jpg

なぜウツボの口は開きっ放しなの?

ウツボはいつも口を開けていますので、いつでも獲物を狙っているのでは?と思われがちです。

しかし、ウツボが口を開けているのは噛みつこうとしているわけではなく、口を開いてたくさんの水を吸い込むことで水の中の酸素を取り込んでいるのです。

こうすることで、ウツボは呼吸をしているんですよ。

出典:https://unsplash.com/photos/yBraeHiDXi8

ウツボは眼が悪いって本当?

ウツボは眼がとても小さいですが、実はあまり眼が見えていません。

科学者の研究によると、ウツボの眼はほとんど光を感じるのみで、ほとんど見えていないんだとか。

獲物を狙うときは、鋭い嗅覚を頼りにしているということですね。

出典:https://unsplash.com/photos/IhiYyFh3Rb0

ウツボには顎が2つあるって本当?

はい、驚くことにウツボは2つの顎を持っています。※2つの口と書かれている資料もありますが、ここでは顎としてご紹介します。

1つは口の前のほうにあり、大きく鋭い歯がついているので、獲物を捕まえることができます。

もう1つはなんと喉から飛び出してきます。

この顎は、食べ物を胃に運ぶ役割をしています。ウツボは2つの顎を同時に使うことができるんです。

出典:https://unsplash.com/photos/RnaLI-GAK9Y

ウツボに噛まれたらどうなるの?

水族館などで見ている分には噛まれる心配はありませんが、釣りなどをしているとウツボが釣れることもあります。

ウツボは噛んで攻撃をしてきます。

海の外にいるカニなどを見つけると、海から飛び出してきて食べることもあります。

海で釣りをしていたら急にウツボが飛び出してくる!なんてこともありえるんです。

さらにウツボは鋭利な刃物のような歯と強い顎を持っているので、噛まれると重傷を負うことがあります。

ウツボを釣り上げてしまったときや、ウツボが飛び出してきた時には噛まれないように注意しなければいけません。

出典:https://www.pexels.com/ja-jp/photo/13085964/

ウツボには毒があるって本当?

ウツボはそのグロテスクな見た目から、毒がありそう!と思うかもしれませんが、全てのウツボに毒があるわけではありません。

毒のあるウツボは「ドクウツボ」という種類で、食べると食中毒を起こします。

沖縄や南西諸島などの海に生息し、エラの穴の周りが黒くなっているという特徴があります。

毒性が強いので、注意が必要です。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Giant_Moray_(Gymnothorax_javanicus)_(8502368813).jpg

ウツボは食材として食べられる?

海の生き物というと、食べられるか食べられないかを気にする人も多いです。

実は、日本にもウツボを食べる地域があります。

調理法も多く、たたき、湯引き、スープ、煮つけ、唐揚げ、どんぶりものなど様々です。

特に、寒い季節のウツボはとても美味しく、皮が厚くてゼラチン質のぷるぷるした食感が特徴的で、身は白身で、身の中には脂がたっぷりで濃厚な味です。

骨が強く、複雑に入り組んでいるため、ハモのように骨切りをして食べる事も多いようですね。

高知県ではウツボのたたきが郷土料理で、皮だけでなく身まで弱火で火を通して作られています。

ウツボをたたきで…?と思うかもしれませんが、主流の食べ方なんだそうです。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Utsubo_Karaage.jpg

ウツボにはどんな栄養があるの?

ウツボは、ただ珍味として食べるだけではなく、栄養が豊富なんです。

たんぱく質やカルシウム、鉄分を豊富に含み、コラーゲンもたっぷりなので美容にも効果的です。

また、眼に効くという説や、母乳が出やすくなるという民間伝承もあります。

ウツボは眼が見えないのに、ウツボを食べると眼にいいなんて面白いですね。

ウツボの天敵は?

「海のギャング」とも呼ばれるほど強くて凶暴なウツボですが、天敵はいるのでしょうか?

ウツボの天敵は、大型の肉食動物です。

ウツボがどれだけ大きくて強くても、そこに成長するまでの間には必ず小さい時期があります。

その時期になると、ウツボより大きいものであれば食べられてしまうこともあるということです。

また、その他には人間が一番の天敵と言えるかもしれません。

ウツボは性転換するって本当?

本当です。

ウツボには色々な種類がいますが、その中の「ハナヒゲウツボ」という種類のものは雄性成熟(ゆうせいせいじゅく)の性転換をすることで知られています。※雄性先熟(ゆうせいせんじゅく)と書かれている資料もあります。

幼魚(ようぎょ)の頃は全身黒い姿をしていますが、成長すると青い体に口先と背びれが黄色のオスになり、その後全身が黄色のメスへと変わっていきます。

黄色まで成長した姿を見かけることはあまりなく、黄色いハナヒゲウツボを見かけたらラッキーと言えるでしょう。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Ribbon_Moray_(Rhinomuraena_quaesita)_(6052858389).jpg
出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Female_Ribbon_eel_(Rhinomuraena_quaesita)_(2).jpg

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ウツボの種類

・トラウツボ

・ワカウツボ

・ハナヒゲウツボ

・ヘリゴイシウツボ

・クモウツボ

・サビウツボ

・ニセゴイシウツボ

・ハナビラウツボ

・モヨウタケウツボ

・ナミダカワウツボ など

参考文献

・さかなクンと中村征夫の海のおさかな大百科④近海のさかな 株式会社新日本出版社 2012年5月10日

・おしえて!さかなクン① 株式会社角川グループホールディングス 2009年11月15日 初版発行

・わたしたち、海でヘンタイするんです。海のいきものびっくり生態図鑑  株式会社世界文化社 2019年12月5日 初版第1版発行

・深海生物大集合 超でっかいウツボとへんてこウナギたち 鈴木出版株式会社 2014年10月30日初版第1版発行

・Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/ウツボ

・八面六臂
https://hachimenroppi.com/wiki/details/utsubo/#:~:text=名前の由来,いることに由来する。

・FISHING JAPAN
https://fishingjapan.jp/fishing/7381#mokuji2

・高知まるごとネット
https://kochi-marugoto.com/goods/cg2/156/

・オリーブオイルをひとまわし
https://www.olive-hitomawashi.com/column/2022/07/post-17174.html

・ウツボ図鑑
https://utsubo.biz/archives/34

・いきふぉめ~しょん
https://ikimall.ikimonopal.jp/blog/post-1404/#ウツボってどんないきもの?

・slow surf style
https://naminorihack.com/archives/9099

・kurashi-no
https://kurashi-no.jp/I0019207#head-5db0d32315d45236a9dd6802ec2d0117

アイキャッチ画像
https://www.pexels.com/ja-jp/photo/10303342/