レッサーパンダ

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しましまのしっぽに眉毛のような白い毛、まんまるの目など見た目がかわいいことで有名なレッサーパンダ。
そんなレッサーパンダは動物園の中でも人気が高く、ファンが多い動物の1つです。
しかしレッサーパンダの生態やどんな特徴があるのか考えてみると、意外と知らないことも多いのではないでしょうか?
レッサーパンダにはどんな特徴や秘密があるのか、こっそりのぞいていきましょう!


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~基本情報~

哺乳綱食肉目-レッサーパンダ科-レッサーパンダ属

体長50~60cm 体重5~6Kg

レッサーパンダはブータンや中国、ミャンマー、インド、ネパールなどの標高がやや高い場所(標高1500〜4000mほど)の森林に生息しています。レッサーパンダの生息地における夏場の最高気温は25℃程度ですが、冬場は非常に寒く一面が雪で覆われてしまいます。

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レッサーパンダは基本的には単独で生活していて、おしりにある臭腺(しゅうせん)を木や岩、地面にこすりつけてマーキングを行い、なわばりのアピールをします。オスは特になわばり意識が強く、より多くのマーキングを行います。動物園でもレッサーパンダがいろいろな物におしりをこすりつけていることがありますが、おしりがかゆいわけではありません。

野生のレッサーパンダは竹の葉っぱを主食に、タケノコやどんぐり、果実、小動物や鳥の卵、昆虫などいろいろな物を食べています。レッサーパンダは食肉目(しょくにくもく)という獲物を捕まえて食べる動物のグループに分類されていますが、なんと食べ物の80〜90%くらいは竹の葉だといわれています。


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レッサーパンダのQ&A

レッサーパンダの名前の由来は何?

「パンダ」という言葉には、ネパール語で“竹を食べる者”という意味があります。

レッサーパンダは発見された当初(とうしょ)、単に“パンダ“と呼ばれていました。しかしその後ジャイアントパンダが発見されたため、ジャイアントパンダより小さいパンダの仲間ということで「レッサーパンダ」と呼ばれるようになりました。(“レッサー”には“〇〇より小さい”という意味があります。)

なおレッサーパンダはかつてジャイアントパンダと近い動物だと考えられていましたが、現在は「レッサーパンダ科」という独立した種類に分類されています。ジャイアントパンダはレッサーパンダよりクマに近い動物だと考えられていて、「クマ科ジャイアントパンダ属」に分類されています。


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レッサーパンダは木登りが得意って本当?

本当です。レッサーパンダはとても木登りが得意で、野生では1日のほとんどを木の上で過ごしています。

レッサーパンダは顔に似合わずとても鋭い爪を持っているため、すいすいと木に登ることができます。木の上は天敵に狙われにくいため、野生のレッサーパンダは木の上で眠ることが多いようです。


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レッサーパンダはなぜお腹が黒いの?

レッサーパンダの顔や背中は赤茶色ですが、お腹側は真っ黒です。それではなぜ、レッサーパンダのお腹は黒いのでしょうか?

先ほども説明した通り、野生のレッサーパンダは1日のほとんどを木の上で過ごしています。そして木の上にいるレッサーパンダを地面から見上げると、お腹が黒いため木の影や枝の色に紛れて全く目立ちません。そう、実はレッサーパンダのお腹の色は保護色(ほごしょく)になっていて、天敵の肉食動物に見つかりにくくなっているのです。


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レッサーパンダのしっぽはなぜ長いの?なぜしましま模様なの?

レッサーパンダのしっぽはとても長く、その長さは大体28〜40cmほどだといわれています。
この長いしっぽは木の上でバランスをとる時に役立っているほか、寒い時はマフラーや毛布のように体に巻きつけて暖をとることもあるようです。

ちなみにレッサーパンダのしっぽがしましま模様である理由は、今もはっきりとわかっていません。おそらくお腹の色と同じように、保護色となっているのではないかと考えられています。なおレッサーパンダ以外にしましま模様のしっぽを持つ動物には、シマウマやワオキツネザルなどがいます。


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レッサーパンダは寒さに強いの?

レッサーパンダは冬になると、一面が雪で覆われるようなとても寒いところに住んでいます。そのため足の裏までやわらかくてふわふわの毛皮に覆われていてとても寒さに強く、雪の中でも元気に動き回ります。

逆に暑さには弱く、特に日本の夏のようなじめじめした暑さはとても苦手です。そのため日本の動物園では夏になるとレッサーパンダの部屋にエアコンを入れたり、運動場にミストを設置したりと温度を下げるような工夫をしています。


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レッサーパンダはどうして物をつかめるの?

レッサーパンダは前足で物をつかみ、つかんだ物を上手に持ったまま食べられる動物です。しかし実は物をつかめる動物は珍しく、物をつかんで食べるという行動はレッサーパンダのほかにはサルの仲間やワラビーなど一部の動物しか知られていません。

レッサーパンダの前足には5本の指に加え、手首に6本目の指ともいわれる「種子骨」(しゅしこつ)という突起があります。レッサーパンダは5本の指と種子骨の間で物をはさみ、上手に物をつかみます。


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レッサーパンダの威嚇(いかく)はかわいいって本当?

本当です。
レッサーパンダが威嚇をする時は後ろ足で立ち上がり、前足を高く持ち上げるポーズを取ります。このポーズには体を大きく、強く見せる意味があると考えられています。

しかしレッサーパンダとしては一生懸命(いっしょうけんめい)に威嚇していたとしても、私たちから見るとぬいぐるみのようなかわいい姿にしか見えないのが難点(なんてん)といえるかもしれません。


レッサーパンダはなぜ立てるの?

千葉県の千葉市動物公園にいるレッサーパンダ、「風太」くんを知っていますか?
風太くんは“立つレッサーパンダ”として、2005年頃にレッサーパンダブームを引き起こしたことで有名な、オスのレッサーパンダです。

しかしレッサーパンダにとって、立つのは特別なことではありません。どのレッサーパンダもエサがほしい時や周りを見回したい時、威嚇する時などに後ろ足で立ち上がります。

実は動物の歩き方には3つのパターンがあって、サルやクマ、人間のように足の裏全体(つま先からかかとまで)を地面につける歩き方は「蹠行性」(しょこうせい)と呼ばれます。そしてイヌやネコのように指先だけをつける歩き方は「趾行性」(しこうせい)、ウシやウマのようにつま先(蹄・ひづめ)だけをつける歩き方は「蹄行性」(ていこうせい)と呼ばれます。

そしてレッサーパンダの歩き方は私たち人間と同じ蹠行性なので、二本足で安定して立つことができるのです。レッサーパンダと人間の歩き方が同じだと考えると、なんだか面白いですよね。


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動物園のレッサーパンダはどんな物を食べているの?

動物園で暮らしているレッサーパンダは竹の葉っぱを主食に、リーフイーター用(葉っぱを食べる動物のこと)のペレットや果物(リンゴやオレンジ、バナナ、ブドウなど)、煮たサツマイモやニンジンなどを食べています。中でもリンゴが好きなレッサーパンダが多く、リンゴはトレーニングをする時のごほうびとしても使われています。

ちなみにレッサーパンダが食べるのは竹の葉っぱだけで、竹の枝や木の幹にあたる硬い部分は食べません。そのため動物園ではレッサーパンダが食べ残した竹を洗って、ゾウやカピバラのおやつにすることもあります。ゾウやカピバラも竹が大好きで、レッサーパンダが食べない竹の固い部分も喜んで食べてしまいます。


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レッサーパンダはペットとして飼えるの?

動物園でかわいいレッサーパンダを見て、家で飼いたい!と考えたことがある人もいることでしょう。ではレッサーパンダはイヌやネコのようにペットとして飼えるのか、考えてみましょう。

少しだけ難しい話になってしまいますが、レッサーパンダはレッドリストでは「絶滅危惧種」(ぜつめつきぐしゅ)、ワシントン条約では付属書Ⅰ(ふぞくしょ)に分類されている動物です。この2つに分類されている動物は国と国の間で取引をすることが厳しく制限されていて、研究などの特別な目的がない限り取引できません。そのため基本的には、レッサーパンダをペットとして飼うために売ったり買ったりすることはできません。

またレッサーパンダのエサは主に竹の葉であることから、ペットとして飼う場合も毎日新鮮な竹をたくさん用意する必要があります。常に竹を用意し続けることも残った竹を片付けることもとても大変なので、そういった意味でもレッサーパンダはペットに向く動物とはいえません。


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レッサーパンダと似ている動物っているの?

レッサーパンダと似ている動物としては、“あらいぐまラスカル”で有名な「アライグマ」があげられます。

実はアライグマを見てレッサーパンダだと思ってしまう人も、レッサーパンダを見てアライグマだと思ってしまう人も少なくありません。ではどんなところに注目すれば、レッサーパンダとアライグマを見分けられるのでしょうか。

まずは体の色に注目してみましょう。
レッサーパンダは全体的に赤茶色でお腹が黒色、しっぽは茶色と薄い茶色の2色です。一方のアライグマは全体的に灰色でお腹も灰色、しっぽは黒色(灰色)と白色の2色です。

次に顔に注目してみましょう。
レッサーパンダは目の上に眉毛のような白い毛があり、鼻の周りと頬の部分も真っ白です。一方のアライグマは目の下が黒く、タヌキのような模様をしています。顔をアップにした写真を並べてみると、違いがわかりやすいですよ。


レッサーパンダにはどんな敵がいるの?

野生のレッサーパンダの天敵はユキヒョウやテン、タカなどの肉食動物です。



しかし実は、レッサーパンダ最大の天敵は私たち人間だといわれています。レッサーパンダは生息地の開発によって住むところを失っているほか、ペットや毛皮として販売するために密猟(みつりょう)されて、年々生息数を減らしてしまっています。

野生のレッサーパンダは2500〜10000頭しかいないと考えられていて、数十年後には野生のレッサーパンダは絶滅(ぜつめつ)してしまう可能性があるといわれています。

なおレッサーパンダは世界中の動物園で飼育されていますが、日本は世界で一番レッサーパンダの飼育数が多いことで知られています。ちなみにレッサーパンダには「シセンレッサーパンダ」と「ネパールレッサーパンダ」(ニシレッサーパンダ)という2つの亜種がありますが、日本で飼育されているのはほとんどがシセンレッサーパンダです。


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レッサーパンダの種類

・シセンレッサーパンダ
・ネパールレッサーパンダ(ニシレッサーパンダ)


参考文献

レッサーパンダの聖地 静岡市
https://www.nhdzoo.jp/red-panda/index.html

静岡市立日本平動物園「動物紹介 レッサーパンダ」
https://www.nhdzoo.jp/sp/animals/naka.php?animal_uid=113

公益財団法人えどがわ環境財団「自然動物園ぶろぐ レッサーパンダはおしりがかゆいの?」
https://www.edogawa-kankyozaidan.jp/zoo/blog_detail/417/

札幌市円山動物園「動物紹介 シセンレッサーパンダ」
https://www.city.sapporo.jp/zoo/b_f/b_04/db002.html

釧路市動物園「動物紹介 レッサーパンダ」
https://www.city.kushiro.lg.jp/zoo/shoukai/0056.html

東京大学「哺乳類の体重の進化には歩行様式(足の着き方)が関係していた」
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/articles/z0508_00083.html

goo国語辞書「panda(パンダ)の意味」
https://dictionary.goo.ne.jp/word/パンダ/

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