ヒョウ

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ヒョウは“ヒョウ柄”と呼ばれる、きれいな斑点模様(はんてんもよう)が特徴的なネコ科の動物です。
同じネコ科の動物であるライオンやトラと同じように強くて格好いいヒョウは、動物園でも人気のある動物のひとつです。
ところでヒョウはなぜあんなに派手な模様をしているのでしょうか?
ヒョウにはどんな特徴や秘密があるのか、こっそりのぞいてみよう!


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~基本情報~

哺乳綱食肉目-ネコ科-ヒョウ属

オス:体長91~191cm 体重37~90Kg
メス:体長91~191cm 体重28~60Kg

ヒョウの主な生息地(せいそくち)はアフリカとインド、中国です。
ヒョウは大型のネコ科動物の中で一番生息域が広く、アフリカのサバンナのような乾燥地帯から東南アジアのじめじめとしたジャングル、そしてとても寒いロシアの雪原などさまざまな気温や条件の地域で暮らしています。

ヒョウはライオンと違い、群れを作らずに単独(たんどく・1頭だけという意味)で生活しています。
繁殖期(はんしょくき)になるとオスとメスが一緒に行動しますが、子育てはメスだけで行います。

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ヒョウの狩りは忍び寄り型(しのびよりがた)で、獲物を見つけると忍者のようにこっそりと近づいて一気に仕留めます。ヒョウはとても木登りが得意なので、木の上から獲物に飛び掛かって捕まえることもあるようです。

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ヒョウのQ&A

ヒョウはどうしてヒョウ柄(がら)なの?

ヒョウの体にある「ヒョウ柄」や「ロゼット」と呼ばれる、バラやウメの花のような斑点模様(はんてんもよう)はとても派手に見えます。しかし多くの動物(特に草食動物)は人間のようにたくさんの色を見分けることができないため、深いやぶの中や木の上ではヒョウの模様は保護色(ほごしょく)になって全く目立ちません。そのためヒョウの模様は狩りをする時や敵から逃げる時など、色々な場面でとても役立ちます。

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ヒョウは隠れることや気配を消すことが上手なので、本気で隠れたヒョウを見つけることはとても難しいといわれています。


クロヒョウはどうして黒いの?

全身が真っ黒な「クロヒョウ」は、実は普通のヒョウと全く同じ種類の動物です。クロヒョウは体の色が突然変異(とつぜんへんい)を起こして黒色になっていますが、光の加減によっては普通のヒョウと同じ斑点模様が見えます。このように本来の色と違い、黒色になった動物のことを「黒変種」(こくへんしゅ)と呼びます。

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どの種類のヒョウもクロヒョウになる可能性がありますが、湿度の高い東南アジアではクロヒョウが多く見られることが知られています。なぜ突然変異で体の色が黒くなるのか、黒くなることでどんなメリットがあるのか、その理由は今もはっきりとわかっていません。


野生のヒョウはどんな物を食べているの?

アフリカのヒョウはトムソンガゼルやインパラ、サルの仲間やイボイノシシなどを捕まえて食べています。一方アジアのヒョウは主にシカやウサギなどを食べています。どちらにしても体の大きな動物ではなく、やや小さめの動物を狙って捕まえることが多いようです。

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ちなみに自分で捕まえた獲物以外にも、腐ってウジがわいた肉を見つけて食べることもあります。


動物園のヒョウはどんな物を食べているの?

日本の動物園ではヒョウのエサとして、ウシやウマ、ニワトリなどの肉を与えています。

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しかし人間が食べるために加工された肉は血や内臓が抜かれていて、ヒョウの体を作るために必要な栄養素が足りません。そのため動物園では肉にビタミン剤(サプリメント)をまぶして、栄養のバランスが取れるような工夫をしています。

なお動物園の中には、ヒョウにエサをあげられるイベントを行っているところもあります。もしイベントに参加できたらヒョウがどうやって肉を食べるのか、ヒョウの口の中がどうなっているのか観察してみてください。


木登りが得意って本当?

本当です。
ヒョウは大型のネコ科の中でも一番木登りが上手な動物といわれていて、昼間はよく安全な木の上で休んでいます。そして薄暗い早朝や夕方になると地面に降りて、狩りをするために獲物を探します。

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またヒョウは捕まえた獲物を木の上に運んで、木の上で食べたり保管したりする習性があることでも知られています。獲物を木の上に運ぶことによって、トラやライオン、ハイエナなどに横取りされることなくゆっくりと食べられるという訳です。

なおヒョウは夜に活動する夜行性(やこうせい)ですが、早朝や夕方など周りが薄暗い時にも行動します。


どうしてヒョウの尻尾は太いの?

ヒョウの尻尾はとても太くて長く、その長さは時に1mにもなります。
その太い尻尾は得意の木登りや狩りをする時に、体のバランスを取るために役立っています。木に登る時や獲物に飛び掛かる時、ヒョウは尻尾を使って素早く体勢(たいせい)を整えているのです。


ヒョウとジャガーにはどんな違いがあるの?

ヒョウと似た動物には、同じ大型ネコ科動物の「ジャガー」がいます。
ジャガーは北アメリカから南アメリカにかけて生息している動物で、体にはヒョウと同じような斑点模様があります。ぱっと見た時に見分けがつきにくいヒョウとジャガーですが、見分けたい時は斑点模様に注目してみましょう。

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ジャガーの斑点模様はヒョウより大きめで、よく見ると模様の中に黒い点があります。またジャガーはヒョウよりも頭が大きくて手足がやや短く、全体的にがっしりしています。

動物園に行って実際のヒョウとジャガーを見比べてみると、段々見分けられるようになるかもしれません。


ヒョウにはどんな敵がいるの?

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ヒョウはとても強い動物ですが、たくさんの天敵(てんてき)がいます。
彼らの天敵といわれているのは、ライオンやトラなどの体が大きい動物たちです。ライオンやトラにはせっかく捕まえた獲物を横取りされてしまうことがあるほか、子どもを食べられてしまうこともあります。また群れで生活しているハイエナもヒョウの天敵の1つで、時には獲物を横取りされたり、獲物を巡って(めぐって)争ったりすることもあるようです。
また獲物である草食動物に反撃(はんげき)されて、大けがを負ってしまうこともあります。

しかしヒョウたちの最大の敵は、なんと私たち人間です。
私たちはヒョウのきれいな毛皮を洋服や敷物にするために、たくさんのヒョウを捕まえました。またヒョウが住む森を切り開き、ヒョウが住める場所を減らしてしまいました。

そしてヒョウの中でも特に体が大きく、一番北(ロシアや中国)に生息している「アムールヒョウ」は30~40頭だけになってしまい、絶滅(ぜつめつ)が心配されています。今は世界中の人たちが協力して、アムールヒョウやアムールヒョウが住む森を守ろうと色々な保護活動(ほごかつどう)を行っています。

※絶滅(ぜつめつ)
動物の1つの種類が全て死んでしまい、地球上からいなくなってしまうことを「絶滅」といいます。
日本の動物では、ニホンオオカミやニホンアシカなどが絶滅種(ぜつめつしゅ)として知られています。


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ヒョウの種類

・アムールヒョウ
・キタシナヒョウ
・ジャワヒョウ
・インドヒョウ
・スリランカヒョウ
・アラビアヒョウ
・ペルシャヒョウ
・ザンジバルヒョウ(絶滅種) など
※研究者(けんきゅうしゃ)によって分類が異なるため、一部の種類だけ記載しました。


参考文献

今泉 忠明(2004年)『野生ネコの百科』データハウス

東京ズーネット「どうぶつ図鑑・クロヒョウ」
https://www.tokyo-zoo.net/encyclopedia/species_detail?species_code=34

京都大学野生動物研究センター「糞からわかるヒョウの獲物」
https://www.wrc.kyoto-u.ac.jp/booklet/african_leopard.html

WWFジャパン「極東ロシアでアムールヒョウの個体数増加を確認!」
https://www.wwf.or.jp/activities/activity/1219.html

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