キツネザル
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キツネザル
皆さんは「キツネザル」という動物を知っていますか?「ワオキツネザル」などの名前はよく聞いたことがあるかもしれませんね。キツネザルはキツネザル科を総称した名前なので、たくさんの種類があります。そんなキツネザルのことを紹介していきます!
キツネザル 基本情報
〜基本情報〜
哺乳綱(ほにゅうこう)霊長目(れいちょうもく)キツネザル科 尻尾を含めた全長:30〜120cm 体重:30g〜4kg 最初にお話ししたように、キツネザルはさまざまな種類がいます。そのため、体の大きさも体重も種類によって差があるんです。 そんなキツネザルが住んでいるのは、基本的にマダガスカル島にしかいません。マダガスカル島の周りにある島や、近くのコロモ諸島という場所に住んでいる種類もいます。マダガスカルという島は他の大陸とは繋がっていないので、独自の進化を遂げています。それは動物にも当てはまり、キツネザル類は独特な見た目をしているんです。 キツネザル類は毛が身体中に密集して生えており、グレーや赤色、黒、白などいろんな色の種類がいて、首の周りの毛だけが長かったり、まだら模様、しましま模様のキツネザルもいます。 共通しているのは、目がギョロっと大きく、尻尾が長いことです。尻尾は身体よりも長いんです。鼻の部分が前に出ているので横から見ると犬のような顔をしています。耳はピンっと立っていて、手だけではなく、足も指が長いのでどちらの手でも木などを掴むことができます。 爪にも特徴があります。ほとんどの爪は人間と同じような平たい爪をしていますが、後あしの第2指は鉤爪(かぎづめ)と言って、尖ったような形をしています。キツネザルは毛づくろいをします。動物園などでサルがやっているのを見たことがある方もいるかと思いますが、その毛づくろいをしやすくするために尖った爪を持っているそうです。
キツネザル Q&A
キツネザルの名前の由来は?
キツネザルはその名の通り、鼻が突き出ていて尻尾が長いのでキツネに似ているサルということから「キツネザル」という名前がつけられたそうです。日本人がよく知っているサルとは少し見た目が違うのでギョッとする見た目をしていますが、キツネや犬に似ているなと思ったら愛らしい顔に見えてきますね。 キツネザルは英語で「Limur(リーマー)」と言います。ラテン語が語源となっていて、ローマ神話で「Lemur(レムール)」「Lemures(レムレース)」という言葉は死者の霊、いわゆる幽霊を表す言葉でした。マダガスカルの人たちは昔から、キツネザルを精霊と考えていたことから、リーマーと名前がつけられたと言われています。 キツネザルはどうしてそこに住んでいるの? キツネザルは乾燥した林や森、熱帯雨林に住んでいて、木の上や地上、岩地など種類によって生活する場所もさまざまです。 ほとんどが朝起きて昼に活動し夜に眠る昼行性ですが、その逆の生活リズムである夜行性の種類もいます。昼行性のキツネザルは、家族だったり、オスメス混合で15〜20頭の群れを作って行動しています。反対に夜行性のキツネザルは単独で生活しているので、リズムが変わるとこんなにも生活の仕方が変わってくるんですね。 寝る時もエサを食べる時も、一日のほとんどの時間を木の上で過ごす種類もいます。手でも足でも木をしっかりと掴み、木から木へとスルスル移動します。その時、長いしっぽも使っているんです。身体よりも長い尻尾はバランスを取ることに使われており、不安定な場所でも移動することができるんです。人間も尻尾があったらこけたりしないのかもしれませんね。 キツネザルの多くがマーキングをしています。犬がお散歩の時に決まった場所にしかおしっこをしないように、キツネザルも尿や糞、皮脂腺からの分泌液(ぶんぴつえき)などを木に塗りマーキングしています。自分たちの住み家を守っているんですね。 寒い時期には日光で暖を取ります。冬は人間も太陽の当たる場所に行くと暖かいですよね。キツネザルも同じように太陽の光を浴びて寒い冬を越しているんですね。
キツネザルは何を食べているの?
キツネザルは基本的には雑食ですが、種類によって好きな食べ物も変わってきます。果実や木の葉、木の芽、が好きな種類もいれば、虫やヤスデ、ムカデ、カメレオンなどの昆虫や動物が好きな種類もいます。樹液や土、サボテンを食べる種類もいるんですよ。サボテンは食べる時にトゲが刺さって痛そうですね。 キツネザルが果実を食べることは、森づくりにも役立っているんだそうです。一体どういうことなのでしょうか。 キツネザルは森の中で暮らし、森にある果物を食べ、その森で糞をします。果物の中にある種が消化されずに糞と一緒に出てきて、その種がまた新しい植物となって生えてくるのです。こうしてキツネザルは森を育てているのです。何もわからずにこの行動をしているのかもしれませんが、自分たちのエサを増やすことにも繋がってくるので、大切なことですね。
キツネザルはどうやって増えるの?
キツネザルは繁殖期(はんしょくき)になると、分泌液(ぶんぴつえき)を木にこすりつけて、オス同士の順位を決めてメスにアピールします。一夫多妻制(いっぷたさいせい)なので、オスにはたくさんの奥さんがいることになります。人間で考えるとあまり良い気はしませんが、子孫をより多く残すためには一夫多妻制(いっぷたさいせい)の方が効率が良いかもしれませんね。 妊娠の期間は4〜5ヶ月間です。その間は、オスもメスも花を食べていますが、子どもが生まれておっぱいをあげている期間には、栄養を摂るために花と若い葉っぱを食べるようになります。この期間は虫や動物は食べないんです。 一回の妊娠で1〜2頭の子どもが生まれます。生まれて最初の3週間はお母さんのお腹に抱きついた状態で過ごします。動物園でサルの親子がくっついた状態で過ごしているのと同じですね。次の3週間では背中に移動します。成長とともに場所も変わってくるんですね。その後、まだおっぱいは飲んでいますが、だんだんと木や地上に足をつけることを覚え、他のキツネザルが食べているものに興味を持ち始めます。そうして、おっぱいを飲まなくなり、大人が食べているようなものを食べ出すのです。人間の子どもと似ていますね。 基本的には自分たちが住んでいるところで出産し、子育てをしますが、巣を作るキツネザルもいるんです。「クロシロエリマキキツネザル」という種類は、子どもを巣の中で産みます。巣の中には子どもたちだけで暮らし、親は授乳の時だけ巣に入ります。少し寂しい気もしますが、大人と同じように外で暮らすよりも、巣の中に隠れていた方が安全なのかもしれませんね。 キツネザルはメスの方が強く、オスが取ってきた食べ物や休憩場所を奪い取ったり、オスを脅したりするそうです。これはメスが子どもを育ててくれているから、オスが食べ物を取ってきたり場所を探したりと、メスの負担を軽くしているという説があるそうですが、単純に尻に敷かれているのかもしれないですね。
キツネザルはよく叫ぶの?
キツネザルは大きな声で騒ぐことがあります。きれいな声とは言えないので、人間からするとうるさいと感じてしまうかもしれません。ですがただ騒いでいるわけではなく、きちんとした理由があるんです。 それは自分のなわばりを主張するためや、なわばりに入ってきた動物に対して警戒して鳴いているんです。一頭が警戒で鳴くと、他のキツネザルも鳴き出すので、森の中はとても騒がしくなるでしょうね。 そしてもう一つ理由があります。それはコミュニケーションです。生活の場所が違っても、他のキツネザルの匂いがしたり見かけたりすることもあります。なので、他のキツネザルがどこにいるかなんとなくわかっているんです。ご近所さん同士、最近の出来事などをお話ししているのかもしれませんね。
キツネザルは絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)に指定されているの?
キツネザルは「世界で最も絶滅(ぜつめつ)の危機に瀕した(ひんした)脊椎動物分類群(せきついどうぶつぶんるいぐん)」と言われているほど、ほとんどの種類が絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)に指定されています。キツネザル科だけでなく、仲間である他の科も合わせると約96%が絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)と言われています。その中でも「ハイイロキツネザル」という種類は「世界で最も絶滅(ぜつめつ)の危機に瀕(ひん)している霊長類(れいちょうるい)25選」というものに選ばれているほどです。種類はたくさんいるのにそのほとんどの数が少なくなっているのはとても悲しいですね。 一体何が原因なのでしょうか。 キツネザルはほとんどの種類がマダガスカルだけで暮らしています。そのマダガスカルでは、森林伐採(しんりんばっさい)や鉱山開発など人の手で自然が壊されていたり、巨大なサイクロンや、雨が降らずに乾季が長くなってしまったり、かと思ったら突然激しい雨が降ったりという自然災害で、キツネザルが暮らしている森がバランスを崩してしまっているんです。自然のバランスが崩れると、エサの果物や花、草木が咲かずに子どもを育てるために必要な栄養が取れなくなってしまいます。その花や草にくる虫もいなくなるのでさらに食べ物が減ってしまいます。そうすると子どもがしっかりと育たなくなり、無事に産めたとしても大人になる前に死んでしまったりするのです。 それに加えて、クーデターも影響しているんです。マダガスカルでは2009年の1月から3月にかけてクーデターが起こりました。クーデターが起こると経済が不安定になり、今まで通り暮らしていくことが難しくなります。そうなるとお金を稼ぐ手段も違法になっていき、密猟でキツネザルが乱獲(らんかく)され、売られるということもあったそうです。 さらに世界中がパニックになった新型コロナウイルスも追い打ちをかけています。感染拡大を抑えるために、都市部が封鎖(ふうさ)されました。都市部は人が多いので、人混みを避けるために森の多い地域に移り住む人々が増えました。移り住んできた人たちは、生活のために森の木を切りたおし、農地にしたりその木で木炭を作るようになりました。こうしてキツネザルたちは住む場所が減り、食べるものも無くなっていったのです。 そんなキツネザルの状況を少しでも多くの人に知ってもらおうと、10月の最後の金曜日を「世界キツネザルの日」と定められました。 キツネザルは住んでいる場所はマダガスカルだけと限られてきます。その限られた場所の自然が崩れてしまうと、一気に数が減ってしまうのです。遠い外国の話だとも思うかもしれませんが、地区は繋がっていなくても空は繋がっています。日本の環境が良くなることは他の国の環境に少しでも影響を与えることができると願って自分たちができることをしていきたいですね。
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キツネザル 種類
キツネザルの種類を紹介すると共に、レッドリストでどのレベルの絶滅危惧(ぜつめつきぐ)に指定されているかも紹介していきます。 まずはレベルにどのような意味があるのか説明します。 ・絶滅(ぜつめつ):我が国ではすでに絶滅(ぜつめつ)したと考えられる種 ・野生絶滅:飼育・栽培下、あるいは自然分布域の明らかに外側で野生化した状態でのみ存続している種 ・絶滅危惧(ぜつめつきぐ)Ⅰ類:絶滅(ぜつめつ)の危機に瀕(ひん)している種 ・絶滅危惧(ぜつめつきぐ)ⅠA類:ごく近い将来における野生での絶滅(ぜつめつ)の危険性が極めて高いもの ・絶滅危惧(ぜつめつきぐ)ⅠB類:ⅠAほどではないが、近い将来における野生での絶滅(ぜつめつ)の危険性が高いもの ・絶滅危惧(ぜつめつきぐ)Ⅱ類:絶滅(ぜつめつ)の危険が増大している種 ・準絶滅危惧(じゅんぜつめつきぐ):現時点での絶滅(ぜつめつ)危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧(ぜつめつきぐ)」に移行する可能性のある種 ・情報不足:評価するだけの情報が不足している種 ・絶滅(ぜつめつ)の恐れのある地域個体群:地域的に孤立している個体群で、絶滅の恐れが高いもの このリストを踏まえて、種類とレベルを紹介していきます。 [チャイロキツネザル属] ・シロビタイキツネザル:絶滅危惧(ぜつめつきぐ)ⅠB類 ・ハイイロキツネザル:絶滅危惧(ぜつめつきぐ)ⅠA類 ・アカエリキツネザル:絶滅危惧(ぜつめつきぐ)ⅠB類 ・カンムリキツネザル:絶滅危惧(ぜつめつきぐ)ⅠB類 ・チャイロキツネザル:絶滅危惧(ぜつめつきぐ)Ⅱ類 ・クロキツネザル:絶滅危惧(ぜつめつきぐ)ⅠB類 ・マングースキツネザル:絶滅危惧(ぜつめつきぐ)ⅠA類 ・アカハラキツネザル:絶滅危惧(ぜつめつきぐ)Ⅱ類 ・アカビタイキツネザル:絶滅危惧(ぜつめつきぐ)Ⅱ類 ・サンフォードキツネザル:絶滅危惧(ぜつめつきぐ)ⅠB類 [ジェントルキツネザル属] ・アラオラジャントルキツネザル:絶滅危惧(ぜつめつきぐ)ⅠA類 ・キンイロジェントルキツネザル:絶滅危惧(ぜつめつきぐ)ⅠA類 ・ハイイロジェントルキツネザル:絶滅危惧(ぜつめつきぐ)Ⅱ類 ・ミナミジェントルキツネザル:絶滅危惧(ぜつめつきぐ)Ⅱ類 ・サンビラノジェントルキツネザル:絶滅危惧(ぜつめつきぐ)Ⅱ類 [ワオキツネザル属] ・ワオキツネザル:絶滅危惧(ぜつめつきぐ)ⅠB類 [オオジャントルキツネザル属] ・ヒロバナジェントルキツネザル:絶滅危惧(ぜつめつきぐ)ⅠA類 [エリマキキツネザル属] ・アカエリマキキツネザル:絶滅危惧(ぜつめつきぐ)ⅠA類 ・クロシロエリマキキツネザル:絶滅危惧(ぜつめつきぐ)ⅠA類
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