テントウムシ
テントウムシ
テントウムシ
テントウムシというと、春先になると庭先や公園など色々なところで見かける親しみ深い昆虫ですよね。 可愛い見た目のテントウムシですが、黄色い汁を出したりちょっと怖いこともあります。 では、そんなテントウムシの生態について詳しく見ていきましょう。
テントウムシ 基本情報
節足動物門昆虫綱コウチュウ目カブトムシ亜目テントウムシ科
体長 数mm - 1cm程度 重さ0.05g
テントウムシは、世界で約6,000種類にも及ぶと言われています。
日本では、約180種類が確認されていて、生態が不明な種類も多いです。
4月ぐらいの暖かい時期に日当たりのよい草むらや畑、公園などでよく見かけることができます。
とても小型の昆虫で、成虫は半球形の形をしていて体は色鮮やかな色をしています。
種類も豊富で、色々な模様のテントウムシが見られます。
水玉模様の種類が多く、テントウムシの名前は主に斑点の数で名づけられているものも多いです。
テントウムシ Q&A
テントウムシの名前の由来は?
テントウムシは、漢字で「天道虫」と書きます。
太陽に向かって飛んでいくという習性があり、「太陽神の天道」が由来と言われています。
英語では、「Ladybirds」と呼ばれ、聖母マリアの鳥という意味があります。
かなり縁起がよく神々しい由来であることから、幸せを呼ぶ虫とも言われているんです。
また、テントウムシを英訳すると3種類の呼び方があり、「ladybird」の他には「ladybug」、「lady beetle」があります。
英語でも「lady」というのは「聖母マリア」を表していて、英語圏の国ではテントウムシが大事にされているということが分かります。
テントウムシはどうしてそこに住んでいるの?
テントウムシは、明るい草地、樹林の林縁部などに多く生息しています。
えさの多くいるところに多く生息しており、植食性のものはジャガイモなどの農作物を食べるために畑に生息しています。
アブラムシの多い植物を見つけると、テントウムシは何日間もそこにとどまり食べ続けます。
テントウムシは暖かいところを好むので、暖かい地表をはいまわっているものもいます。
基本的には、どの種も食べ物を探すために目的のえさがたくさんいるところに生息していることがわかります。
テントウムシを探したければ、テントウムシのえさであるアブラムシのついている植物を探すのが手っ取り早いでしょう。
テントウムシは何を食べているの?
テントウムシの種類は主に肉食ですが、まれに植食性のものもいます。
テントウムシの主な餌はアブラムシです。
アブラムシのいるノイバラやユキヤナギなどの樹木を探すとテントウムシを見つけることができます。
また、植物の葉を食べるものもいます。
オオニジュウヤホシテントウやニジュウヤホシテントウなどの種類は、ジャガイモやナスなどの植物の葉を食べます。
ナス科の植物の葉を食い荒らすので、畑の害虫とも言われています。
トホシテントウは、幼虫も成虫もアマチャヅルの葉を食べて生きています。
テントウムシの模様はどうして派手なの?
テントウムシはとても色鮮やかな模様をしています。
草の上を歩いているだけでとても目立ってしまいます。
普通、昆虫は敵に見つからないように目立たない色をしているものですが、テントウムシは逆に目立つ色をして鳥に食べられ、苦い汁を出して鳥を苦しめているのです。
何度も繰り返しテントウムシを食べることで、「あの虫はやばい」という印象を植え付け、警戒心が身についたのです。
ですから、テントウムシの派手な色は、天敵を用心させるための作戦なのです。
テントウムシはどうやってアブラムシを食べる?
かわいらしい見た目のテントウムシですが、かなり鋭い牙のような大あごを使ってえさを食べます。
先が二つに分かれていて、するどい大あごでアブラムシにかぶりつき、アブラムシの体の汁を吸って食べるのです。
小さいアブラムシの場合、丸ごと食べてしまうこともあります。
こんなに小さなテントウムシでも、固形物をかじりながら生きているのですね。
テントウムシはどうやって性別を見分けているの?
テントウムシはとても小さいので、人間が肉眼で見てもオスとメスの区別をすることは難しいです。
しかし、テントウムシ同士であれば触覚でにおいをかぎわけ、オスとメスを区別することができるんです。
オス同士であればすぐに離れていき、オスとメスが出会うとすぐに交尾を始めます。
テントウムシは交尾のとき震える?
メスの上にのったオスは、メスの交尾器を探し、メスの体内にオスの交尾器をさしこみます。
オスは体を左右にぷるぷるふるわせながら精子をメスの体内に送っていきます。
休憩を入れながら、何度もぷるぷる運動を行い、交尾が終わるとオスとメスは離れていくのです。
テントウムシは1度に何個の卵を産む?
テントウムシは、1回の産卵で約20〜40個の卵を産みます。
飼育下であれば、毎日20個卵を産むものもいます。
テントウムシの産む卵の量は、アブラムシを食べる量によっても変わります。
テントウムシはどこに卵を産む?
テントウムシは、葉の裏や枝の裏に卵を産みつけます。
卵を共食いするテントウムシから幼虫を守るためとも考えられています。
それ以外にも、太陽の直射日光が当たらないようにするという目的もあります。
卵の殻は透明で、紫外線が当たると成長を促す細胞を殺してしまうからです。
テントウムシの幼虫はグロテスク?
テントウムシの幼虫は、成虫とは似ても似つかない姿をしています。
翅(はね)はなく、腹部が後方へ伸びる姿をしていて、体には突起やとげがあります。
6本の足があるイモムシのような形のものや、鋭い突起をいくつももつタワシのような形のもの、全体がワックス質の綿状分泌物で覆われたものや背面がふくらんだワラジ形のものなど様々です。
テントウムシはどうして茎や葉の上を歩ける?
テントウムシは、葉の表側だけでなく裏側も自由に歩き回ることができ、落ちません。
落ちないのは、足の裏の作りに理由があります。
テントウムシの足には、たくさんの毛のようなものがあり、ラッパ状に広がっていてそこから粘着性のある物質を分泌しているのです。
ですから、テントウムシは葉から落ちずにくっつくようにして歩くことができるというわけです。
テントウムシの幼虫は何を食べる?
テントウムシは、幼虫のうちから成虫と同じようにアブラムシを食べます。
そして、アブラムシをみつけると大きなあごでかじりつき、中身の汁を吸うのです。
アブラムシ以外の昆虫を食べることはありません。
しかし、テントウムシの卵を見ると食べてしまいます。
一番小さい幼虫であれば、1個の卵を食べればかなり成長することができます。
しかも、アブラムシを食べるよりも早く成長するのです。
テントウムシの幼虫が卵を食べてしまう習性は、同じところにテントウムシが増えすぎるのを防ぐための仕組みとも言われています。
テントウムシの模様にはどれぐらい種類があるの?
テントウムシの中にナミテントウという種類のものがいます。
ナナホシテントウは赤い羽に黒い7つの斑点模様が特徴的ですが、どれも同じ模様です。
しかし、ナミテントウは赤や黒の色々な模様のものがいます。
ナミテントウの模様は、細かく分類すると50種類以上あると言われています。
大まかに分類すると4つに分けることができ、黒地に赤の2つの斑点のもの、4つの斑点のもの、12個の斑点のものの3種類と、赤地に黒の点を持つものがあります。
テントウムシの模様は遺伝するの?
オスとメスの模様の違うナミテントウが交尾をして生まれたナミテントウの子供は、二つずつの模様を遺伝します。
例えば、黒地に2つの赤い斑点のあるオスと、赤地に斑点がたくさんあるメスが交尾をして生まれたこどものテントウムシは、黒地に赤い斑点の中に小さな黒い斑点がついているものなどが生まれるのです。
交尾によって色々な模様のテントウムシが生まれるのは面白いですね。
テントウムシは越冬すると色が変わる?
ナミテントウは、冬を越すと斑点模様が赤くなります。
春に生まれたテントウムシの斑点の色はオレンジ色をしているので冬を越したか越してないか区別することができるのです。
テントウムシは夏になるとどうなるの?
ナナホシテントウは、夏になると草のしげみの根もとにもぐりこんで夏眠します。
また、ナミテントウは樹上で過ごすので草のところにはいません。
ナミテントウは森や林の樹木の葉の影で夏の暑さをしのいでいるのです。
テントウムシとアリは仲が悪い?
アリは、アブラムシの排泄する甘い汁を目当てにしています。
そして、甘い汁を集めて巣に運ぶのです。
ですから、アリはアブラムシを食べるテントウムシが嫌いです。
アリは、テントウムシの触覚や足をかじったり、ひりひりする蟻酸(ぎさん)と呼ばれる物質をお尻からふきかけたりして攻撃します。
テントウムシは身を守るだけで攻撃をしません。
アリは、テントウムシにとって厄介な存在なのです。
テントウムシの黄色い汁は毒なの?
テントウムシを指でつまむと、黄色い汁を出します。
この黄色い汁は、実はテントウムシの血液なのです。
テントウムシが危険を察知すると、足の関節の膜を破り血液を出すのです。
なめてみるととても苦い味がするので、テントウムシたちを餌にする鳥はテントウムシを食べることを避けるのです。
また、この黄色い汁にはアリの嫌いな物質も含まれています。
テントウムシは冬を越す?
暖かい時期を好むテントウムシは、冬になると冬越しの準備を始めます。
越冬場所は、岩の隙間や樹の洞穴、民家の壁や天井の隙間にいることもあります。
場所によっては、1万匹を超えるテントウムシがぎっしりかたまって冬眠している場所もあります。
集団でいたほうが暖かく、冬の寒さや乾燥から身を守ることができるからです。
テントウムシは害虫?益虫?
テントウムシは、飛来し、集団で家屋などに集まって越冬する姿が気持ち悪いということで不快害虫として駆除される場合もあります。
テントウムシは色鮮やかでかわいいですが、それが集団になっていると気持ち悪いと感じることもあり、さらに黄色い汁を出すことからも人間に不快感を与えることがあるということです。
しかし、ナナホシテントウなどの肉食系のテントウムシの場合は、農作物などにつくアブラムシを食べてくれるので、野菜を害虫から守ってくれる役割を果たしてくれる益虫であるといえます。
さらに、背中の色がオレンジ色に白い点のあるテントウムシや黄色一色のテントウムシは野菜の葉に多く発生するウドンコ病の菌を食べてくれる「菌食系テントウムシ」なので益虫です。
テントウムシは害虫とみなされることもあれば、益虫である場合もあるんです。
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テントウムシ 種類
・ナナホシテントウ
・ナミテントウ
・カメノコテントウ
・ベニヘリテントウ
・ヒメアカボシテントウ
・ベダリアテントウ
・ヒメカメノコテントウ
・トホシテントウ
・ニジュウヤホシテントウ
・オオニジュウヤホシテントウ
・ウンモテントウ
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テントウムシ 参考文献
- ・テントウムシ観察事典 偕成社 2005年3月4版
- ・Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/テントウムシ
- ・BUNA https://buna.info/article/3826/
- ・文化財虫菌害研究所 https://www.bunchuken.or.jp/management/1469.html/#:~:text=テントウムシは漢字では「天道虫,淑女の虫となる。
- ・野菜の育て方・栽培方法 https://xn--m9jp4402bdtwxkd8n0a.net/qa/tentoumusi#i
- ・ 英語 with Luk https://www.eigowithluke.com/テントウムシ/
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