ラブラドール・レトリーバー

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皆さんは「ラブラドール・レトリーバー」と聞いたとき、最初になにを思い浮かべますか?やっぱり盲導犬(もうどうけん)のイヌ!と考えた方も多いはず。
映画だと「クイール」や数々のドラマやバラエティ番組にも出演することもあるので、日本ではとっても有名なイヌのひとつだと思われます。
だけど実際、どうしてラブラドール・レトリーバーといえば盲導犬のイメージが定着したのか?不思議ですよね。
今回はそんな不思議も含めたラブラドール・レトリーバーの世界、このページで覗いてみましょう!

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~基本情報~

原産国 イギリス

体高 オス: 57~62cm メス: 55~60cm

体重 オス: 29~36kg メス: 25~32kg

ラブラドール・レトリーバーには祖先と呼ばれている犬がおり、それがニューファンドランド半島出身の「セント・ジョンズレトリーバー」と考えられています。

その後1800年代に入ると、カナダの漁師や猟師(りょうし)に重宝されている姿を見たイギリス人が「この犬は猟犬(りょうけん)として活躍できるかも知れない!」という素質を見出し、イギリスへセント・ジョンズレトリーバーを持ち帰りました。

帰国後、セント・ジョンズレトリーバーは選択交配と繁殖を重ね、その結果19世紀には現在のラブラドール・レトリーバーにちかいイヌが誕生したといわれています。

そして現代のラブラドール・レトリーバーは、皆さんも既にご存知のとおり、「補助犬(ほじょけん)」をはじめ、「麻薬探知犬(まやくたんちけん)」や「災害救助犬(さいがいきゅうじょけん)」といったさまざまな現場で活躍しています。

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ラブラドール・レトリーバーのQ&A

ラブラドール・レトリーバーの名前の由来は?

カナダのニューファンドランド・ラブラドル州原産のため、ラブラードルと名づけられました。また、ラブラドール・レトリーバーの「レトリーバー(レトリーブ)」には英語で「回収する」という意味があります。鳥猟犬(ちょうりょうけん)、別名ガンドッグとして人間がしとめた獲物(えもの)を回収する役割を担当していたことも、名前の由来になっています。

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ラブラドール・レトリーバーのカラーバリエーションは?

ブラック、チョコレート、イエローがあります。

ラブラドール・レトリーバーは何グループ?

JKC(ジャパンケネルクラブ)やFCI(国際畜犬協会)のルールに従った分け方の場合、「第8グループ」になります。

撃ち落とした獲物を回収するレトリーバー、水の中に落ちた獲物を回収したり水中作業が得意なウォータードッグ、隠れている鳥を追い立てるブラッシング・ドッグが所属しています。

第8グループの犬種は自分で獲物を狩るスタイルではなく、人間の指示に従って行動する性格のため、基本的に人懐っこい子が多いといわれています。

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ラブラドール・レトリーバーの外見はどんな感じ?

ラブラドール・レトリーバーは大きく分けて2種類存在します。

それが「アメリカンタイプのラブラドール・レトリーバー」と「イングリッシュタイプのラブラドール・レトリーバー」です。

■アメリカンタイプ

頭部が細めでマズル(口のまわりから鼻先にかけた部分)が長め、基本的にしなやかな体格をしているのが特徴です。盲導犬といった、人間と一緒に労働して活動できるよう訓練することも多いので、見た目よりも賢さが重視されます。日本でラブラドール・レトリーバーといえば、このアメリカンタイプといえるでしょう。

■イングリッシュタイプ

頭部の横幅が広くマズルは長め、全体的にがっしりとした体格が特徴です。イングリッシュタイプはドッグショーに出場することが多いため、外見を重視される場合が多いです。

ラブラドール・レトリーバーを購入するにはどれくらいかかるの?

ラブラドール・レトリーバーはペットショップだと20万円前後、ブリーダーから購入する場合は30~50万円ほどかかります。購入を検討する際、お気に入りの子が見つかったら、一度見学に行くのが良いでしょう。

さらに、ブリーダーの上段資格である「シリアスブリーダー」から購入する場合、一般ブリーダーよりも高値になることがあります。日本には約2万犬舎があるといわれていますが、そのなかでもシリアスブリーダーはわずか5%にも満たないそうです。そのためシリアスブリーダーの信頼度は非常に高く、付加価値がつくといえるでしょう。高値の理由は、信頼の証という訳です。

シリアスブリーダーと出会うにはいろいろな方法がありますが、「日本ブリーダーガイド(JBC)」という仲介サイトを利用するのがオススメです。利用料は無料なので、ご興味のある方は一度相談してみるのも良いでしょう。

それ以外にも、値段に幅が出てしまう条件について、何点か紹介します。

・家庭用ではなくドッグショー向けとして育てられたこと
・子イヌであること
・血統が優秀であること
・珍しいカラーであること

他に条件はあるものの、特に上記条件に当てはまると高額になるようです。

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ラブラドール・レトリーバーの性格や特徴は?

①穏やかで温和な性格

基本的に優しい性格で平和主義者のイヌです。温和で優しく、他の動物や飼い主さん以外の人でもフレンドリーに接してくれるので、家庭犬にピッタリなのですが、ひとつ注意点があります。落ち着きがあり、穏やかな性格に変わっていくのは生後2歳を超えたころなので、子イヌの時期は成長するまでかなりやんちゃな部分が見られます。

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②遊ぶの大好き!運動大好き!

成犬(せいけん)になると少しずつ落ち着き始めるラブラドール・レトリーバーですが、大人になっても遊ぶことや運動は大好き。ウォータードッグとして活躍していた歴史もあるので、結構活発なのです。

特に2歳までは驚くほどのパワーとやんちゃっぷりを見せてきます。そのため、散歩のみだと遊びたい欲が満たされないこともあるので、時間を見つけてはおもちゃを使って遊んであげましょう。定番のボールやフリスビー遊び以外にも、噛んでも良いぬいぐるみやロープを使って引っ張りっこゲームをするのも良いでしょう。

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③しつけは子イヌのときから行ないましょう!

まずはじめに、イヌには「社会化期(しゃかいかき)」という時期があります。生後3週~12週齢がイヌの社会化期といわれており、この時期に行なうしつけは今後愛犬と楽しく暮らしていくためにも必ず必要なトレーニングといえるでしょう。

温和なラブラドール・レトリーバーでも、最低限のしつけはとても大切です。もともと頭が良いのでしつけがしやすいといわれていますが、ここでは覚えさせたい基本的なしつけについてご紹介します。

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⑴トイレトレーニング

トイレは指定の場所で上手にできたとき、褒めて覚えさせましょう。

⑵甘噛みをやめさせる

子イヌのときは良いのですが、成犬で甘噛みされるとケガのもとになってしまいます。

人の手の代わりに噛んでも良いおもちゃを与え、もし飼い主さんの手を甘噛みしてきたら怒鳴らず低い声で「痛い」と一喝(いっかつ)した方が良いでしょう。

⑶人に触られることに慣れされる

体調不良になったときはどうしても動物病院へ行かなければなりません。そのとき知らない人に体を触られても暴れないよう、普段から飼い主さんがたくさん愛犬とスキンシップをとって、人との触れ合いに慣れさせるのがベストです。

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⑷クレートに入っても怖くないことを覚えさせる

動物病院に行くとき、あるいは災害が起きたときはどうしてもクレートの中へ愛犬に入ってもらう必要があります。ラブラドール・レトリーバーは体が大きいので、自分から入ってくれるようしつけるのが大切です。飼い主さんの指示で上手に入ってくれたら、おやつのご褒美をあげて、クレートの中は怖くないんだ!と認識させるのがコツです。

⑸散歩で外の世界に慣れさせる

散歩はイヌを飼うにあたって、必要不可欠なことです。そのため生後3ヶ月頃までは飼い主さんが抱っこして外に連れ出すことから始めてみましょう。少しずつ外の世界に慣れてきたら、リードを繋いで自分の足で歩いてもらうことを覚えさせます。歩くときもただ引っ張れば良いのではなく、最初は飼い主さんが愛犬の歩調にあわせてあげることからスタートさせるのがベストです。

その他「コマンドトレーニング(お座りや待てといった指示に従わせること)」や「お留守番に慣れてもらう」といったことも大切なのですが、社会化期が過ぎてからでも覚えさせることができますので、子イヌのうちにやるべきことから始めていきましょう。

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盲導犬として一番活躍しているのはラブラドール・レトリーバーって本当?

まず盲導犬とは、補助犬(ほじょけん)と呼ばれるグループのひとつであり、特に日本で活躍している盲導犬の80%以上がラブラドール・レトリーバーといわれています。

しかし実は最も早く盲導犬の育成を始めたのはドイツで、そのときはシェパードが使用されていたそうです。その後イギリスがラブラドール・レトリーバーを盲導犬として育成を始めたのがきっかけで、日本をはじめいろいろな国でラブラドール・レトリーバーが採用されていきました。

ラブラドール・レトリーバーは見た目が優しそうで柔らかい雰囲気がある。というのもひとつの理由ですが、盲導犬の仕事は、目の不自由な人が歩く際の誘導を行ない、飼い主さんの目の代わりになって日常生活を支えるという大切な役目をもっています。

そしてこの仕事はある程度の力が必要になるので、大型犬が向いているのですが、人に慣れやすかったり、温厚な性格、そして賢いことも盲導犬になれるかどうかのポイントになります。

「ラブラドール・レトリーバーの性格や特徴は?」でもご紹介したとおり、ラブラドール・レトリーバーは大型犬で頭も良く、温和な性格の犬種なので盲導犬になれる条件を満たしています。

また、ラブラドール・レトリーバーは短毛種なので被毛のお手入れも簡単に済ますことができます。目の不自由な方にとっては、これも非常に助かるポイントといえるでしょう。そのためラブラドール・レトリーバーは数ある犬種のなかでも、盲導犬として最も活躍することができるのです。

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ラブラドール・レトリーバーには非公認カラーがいるって本当?

「ラブラドール・レトリーバーのカラーバリエーションは?」でもご紹介したとおり、ラブラドール・レトリーバーの公式カラーは、ブラック、イエロー、チョコレートの3色のみです。

でも実は公式には認められてはいないものの、実在するカラーがあります。それが、フォックスレッド、ホワイト、シルバー、チャコール、シャンパンの5色です。

非公認なのに販売しても問題ないの?という疑問が浮かびますが、非公認カラーでも繁殖&販売することは法律違反ではありません。ですが、遺伝子疾患(いでんししっかん)といった病気にかかりやすい可能性が高いので、安易(あんい)に珍しいカラーに飛びつくのはやめましょう。

ラブラドール・レトリーバーに必要な運動量やお手入れ方法は?

イヌは犬種を問わず、散歩を必要とする動物です。犬種によって散歩時間や回数は異なりますが、ラブラドール・レトリーバーは時間を分けて1時間を1回ずつ、合計2時間の散歩が必要です。

ラブラドール・レトリーバーは被毛が短めなので、獣毛(じゅうもう)ブラシを使ったブラッシングのみでOKです。毎日行なうのが理想ですが、週2~3回程度でも問題ありません。シャンプーは月1回の頻度で大丈夫でしょう。

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ラブラドール・レトリーバーのかかりやすい病気ってなに?

ラブラドール・レトリーバーに限らず、ほとんどの犬種でイヌは人間よりも体毛が多く、その分皮膚がデリケートなため「皮膚病(ひふびょう)」になりやすいといわれています。

また顔の作りから眼球が人間よりも前に出ていることも多いため、目を怪我してしまう、もしくは遺伝的な理由が原因で「眼疾患(がんしっかん)」にもなりすいです。

上記の特徴を踏まえた上で、ここではラブラドール・レトリーバーが注意したい病気について詳しく見ていきましょう。

まずラブラドール・レトリーバーは皮膚病である「外耳炎(がいじえん)」、眼疾患である「白内障(はくないしょう)」、そして「甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)」や「股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)」にかかりやすいといわれています。

①外耳炎

耳の耳介や外耳道が赤くなってしまったり、黒い耳垢の発生あるいは悪臭などの症状が見られる病気です。見た目でもはっきりと異常が分かる病気ですが、耳に触れられるのを嫌がったり、頭を振ってかゆみをとろうとする、耳をこすりつけるといった行動が見られるようでしたら外耳炎にかかっている可能性があります。

この病気はアトピー性皮膚炎と併発しやすいため、もし飼っているワンちゃんが外耳炎になってしまったら、アトピー性皮膚炎にもなっていないか皮膚の状態をよくチェックしてあげてください。

②白内障

眼の中には水晶体というものがありますが、この水晶体が白くにごってしまい目が見えにくくなってしまう病気です。白内障になってしまう原因は多く、遺伝性や老化によるもの、糖尿病や怪我による目の損傷によっても引き起こされます。

初期の場合、目薬を使って病気の進行を遅らせることもできますが、場合によっては手術でにごった水晶体を取りのぞくという方法もあります。

白内障になると水晶体が白く見えるので目視でも確認できますが、散歩中や家にいるときなど、前と比べて壁や物にぶつかることが増えた。という状態が見られたら、一度動物病院で検査を、そして白内障にかかっていたら獣医さんとの治療方針相談をオススメします。

③甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンの分泌が低下してしまい、さまざまな身体症状を引き起こす病気です。具体的には1日をとおして元気がない、寝ている時間が増えた、エサが少ない割に体重が増えているなどといった症状が見られます。

皮膚にも脱毛やベタつき、色素沈着(しきそちんちゃく)や肌の乾燥といった異常も出てくる場合があるようです。

具体的な予防方法はまだ見つかっていないものの、治療方法としては甲状腺ホルモンの直接投与や、進行状況によっては外科的治療による方法が行なわれます。

④股関節形成不全

生まれつき股関節がゆるみやすくなってしまう病気で、生後4ヶ月~12ヶ月の子犬期に発症しやすいといわれていますが、なかには2~3歳頃になってから発症するケースもあります。また、セント・バーナードやレトリーバー種に見られることが多いです。

症状は、お尻や腰を振るようにして歩く、後ろ足を一緒にして引きずるようにして走る、高い所や階段の昇り降りなどといった運動を嫌がるなどといったものが見られます。

初期の場合、痛み止めの薬を服薬(ふくやく)、レーザー治療にて痛みを緩和する方法や運動制限などで治療を進めますが、症状が良くならない場合は外科的治療による手術を行ないます。手術方法は数種類あるため、手術後の生活やケア方法なども考えながら獣医さんと相談して決めるのが良いでしょう。

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ラブラドール・レトリーバーの寿命は?

ラブラドール・レトリーバーの寿命は10~12年といわれています。小型犬~大型犬までを含めたイヌ全体の平均寿命はおよそ14年なので、平均より短いといえるでしょう。

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参考文献

よくわかる犬種図鑑ベスト185 動物ジャーナリスト藤原直太朗

まるごとわかる犬種大図鑑 監修 若山動物院院長 若山正之

AMERICAN KENNEL CLUB
https://www.akc.org/dog-breeds/labrador-retriever/

THE KENNEL CLUB
https://www.thekennelclub.org.uk/search/breeds-a-to-z/breeds/gundog/retriever-labrador/

JAPAN KENNEL CLUB
https://www.jkc.or.jp/archives/world_dogs/2006

犬との暮らし大百科
https://www.anicom-sompo.co.jp/inu/

みんなの犬図鑑
https://www.min-inuzukan.com/

Pet Smile news forワンちゃん
https://psnews.jp/dog/

子犬のへや
https://www.koinuno-heya.com/

わんちゃんホンポ
https://wanchan.jp/

アイキャッチ画像
https://unsplash.com/photos/moheDcDslvw