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クラゲ

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海中をふわふわと漂うクラゲは、とても幻想的です。しかし、海水浴でクラゲに刺された人も多いはず。 比較的身近な生物のクラゲ。身近な割に、意外と生態を知らないという人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、クラゲの生態を一緒に観ていきましょう。 なお、本記事で取り扱うクラゲは、日本で一般的なミズクラゲです。特別な記載がない限りは、ミズクラゲを指しているのでご了承ください。

クラゲ 基本情報

刺胞動物門(しほうどうぶつもん)-鉢虫綱(はちむしこう)-旗口(はたぐち)クラゲ目(ミズクラゲ目)-ミズクラゲ科-ミズクラゲ属

傘部分の直径:15-30cm

クラゲと言えば、丸くてふわふわした傘をイメージする人が多いと思います。傘の縁には細い触手(しょくしゅ)が無数にあり、注入される毒で動物プランクトンなどの動きを止め、長い口腕(こうわん)で捕まえます。

上方向から見たときに、真ん中にはクローバーのような模様が確認できるはずです。クローバーのような模様は胃で、中から透けて見えているのです。また、食後はプランクトンの色に染まるので、水族館によってはアピールポイントにしているところもあります。

さらに、ほとんどの個体は胃が4つでクローバーのように見えますが、3つや5つの個体も見られます。特に5つの個体は、花びらのように見えるため、ぜひ自分の目で確認してみてください。

口は傘の下側の中心部にあります。目のような器官が触手の付け根にあり、明るさを感じることができるようです。

魚とは大きく形が異なるクラゲですが、正体はプランクトン。プランクトンと言えば極小の生物というイメージの人も多いと思いますが、定義は少し違います。

「プランクトン」は、ギリシャ語の「planktos(プランクトス)」に由来しており、意味は「漂流者(ひょうりゅうしゃ)」。したがって、「極小の生物」ではなく、「漂っている生物」が正確なのです。

クラゲも自力で泳いでいるわけではなく、水の流れに沿って漂っているだけ。リズミカルに動くことで少し泳げるのですが、実際は体液を循環(じゅんかん)させる目的があるようです。

クラゲの生息域は、世界中に及びます。日本では北海道南部より南側で広く見られ、世界でも各地の温帯海域で確認されています。大量発生する年があり、魚が獲れなかったり施設の取水口(しゅすいこう)がクラゲで詰まったりして、人間の生活に影響を与えることも多いのです。

クラゲは飼育もできる

クラゲは、自宅でも飼育可能です。以前は困難とされていましたが、近年は飼育キットが販売されるほど身近になりました。ただし、飼育方法がしっかりと確立されているわけではないので、熱帯魚ほど広まっているわけではありません。

しかし、自宅の水槽でふわふわと漂う優雅さや、ライトをあてて美しく光る幻想的な様子はクラゲならではの醍醐味(だいごみ)です。水族館で見るような幻想を自宅でも見たい人は、ぜひ挑戦してみてください。

クラゲの飼育環境は?

クラゲを飼育するために必要なものは、海水と水流、エサです。

海水の素が販売されているので、わざわざ海まで行かずとも人工の海水を用意できます。

続いて、水流を発生させるためのエアポンプが必要です。クラゲは基本的に自力で泳げないので、漂ってもらうために水流を発生させなければなりません。

最後に、エサはブラインシュリンプや人工飼料(じんこうしりょう)を与えます。クラゲによっては光合成できますが、ミズクラゲはできないので、こまめにエサをあげましょう。

クラゲを飼育するときの注意点

最大の注意点は、素手で触らないことです。ミズクラゲの毒性は強くありませんが、気を付けるに越したことはありません。水を入れ替えるときなどは、調理器具のおたまやボウルで、水ごとすくってあげましょう。

次に、水温は適温である15〜25度をキープすること。冷たすぎたり温かすぎたりすると、クラゲが弱ってしまうので定期的に確認する必要があります。

さらに、水槽の掃除や水の入れ替えを、こまめにおこないましょう。水が汚れていると、こちらもクラゲの衰弱(すいじゃく)につながる恐れがあります。

続いて、適切な水流を起こしてあげましょう。水流がないとクラゲが漂えず、水底に留まってしまいます。もしかすると、微生物の影響を受けて弱ってしまうかもしれません。

最後に、エアポンプなどから発生する気泡に注意しましょう。胃や傘に気泡が入ると抜けにくいため、穴が開く恐れもあります。

クラゲ Q&A

クラゲ
クラゲの名前の由来は何?

種類全体としてのクラゲについて、名前の由来は諸説あります。

まず、目がないように見えるため、「暗い」と結びつけて「暗気」から来たとされる説。さらに、丸い入れ物の「輪笥(くるげ)」に由来する説です。

また、複数の漢字が用いられ、「海月、水月、水母、蚱、久羅下」などがあります。

海月や水月は読んで字のごとく、海中や水中に浮かぶ月のように見えるからとされています。しかし、水母や蚱、久羅下の由来については詳しくわかっていません。ちなみに、久羅下は古事記において、その名前が登場します。

また、英名では「Moon jellyfish」と呼ばれ、やはり「月」がポイントになっているようですね。

クラゲ
クラゲは最初クラゲじゃないの?

クラゲは、大きく形態を変える生物です。一般的によく知られているクラゲの形態は、成熟した形態なのです。ふ化したての頃や成長過程のクラゲは別の形をしています。

卵からふ化すると、0.2mmほどの「プラヌラ」と呼ばれる幼生として、数日間は海中を漂います。

そして、岩や防波堤などに付着。イソギンチャクのような触手を持つ「ポリプ」と呼ばれる形態へ変化します。ポリプは水温の影響を受けづらく、普通の生物で死んでしまうような環境でも生き残ることが可能です。また、ポリプは付着した場所で無性生殖(むせいせいしょく)によって増殖します。

その後、たくさんのくびれを持つ「ストロビラ」に変化。お皿がたくさん連なるような形状です。

くびれごとに花びらのような形状をした「エフィラ」となり、再び海中に浮遊します。

エフィラが成長すると、私たちがよく知っている「クラゲ」の形状になるのです。

クラゲ
クラゲはどうしてそこに住んでいるの?

クラゲは、おもに陸から近い浅海(せんかい)を住処にし、ふわふわと海中を漂っています。浅海には多くのプランクトンが存在し、クラゲにとっては格好のエサ場となるためと考えられています。

また、クラゲの幼生であるポリプにとってもエサが豊富なため、生涯を通して大きく場所を変えないのでしょうね。

クラゲ
クラゲは何を食べているの?

クラゲは肉食性で、基本的には動物プランクトンをエサとします。ただし、クラゲの種類によっては大きなものもいるため、魚を捕食することもあるそうです。

さらに、他種類のクラゲをエサとする例も観察されています。幼生のときには、共食いする様子も目撃されています。

クラゲ
クラゲの体は何でできているの?

クラゲはふわふわ漂っているうえ、半透明なので何でできているのか不思議ですよね。体はゼラチン質で、約95%は水分でできているのです。ちなみに、お菓子のゼリーも同等の水分比率なので、触った感覚も似ているようです。

英語では「jellyfish」といい、やはりゼリーに似ている印象は共通していますね。

クラゲ
クラゲの天敵は?

クラゲの主成分は水分で栄養価が低い、と言われていたため、捕食されることはあまりないと考えられていました。しかし、鳥類や魚類に捕食されていることがわかりました。

セミエビ科のフィロゾーマは、ジェリーフィッシュライダーという異名を持ちます。クラゲにとりついて、エサ及び移動手段として利用していると考えられています。ミズクラゲだけではなく、多くのクラゲに対して確認されている行動です。

また、他種のクラゲが捕食している例や、幼生であるポリプが共食いする行動も確認されています。

クラゲ
クラゲの毒って強いの?

ミズクラゲの毒性は弱く、敏感な人であれば腫(は)れる程度と言われています。毒の正体はタンパク質毒で、溶血性(ようけつせい)や神経性(しんけいせい)などが複合されています。

クラゲには、脳も心臓もありません。そのため、触手に触れたとき、神経が反応して毒素を注入するのです。

ミズクラゲの毒はあまり強くありませんが、危険なクラゲはたくさんいます。例えば、アカクラゲやカツオノエボシ、アンドンクラゲ、ハブクラゲなどです。

ただし、クラゲの種類を判別して海に入ったり泳いだりするのは、現実的ではありません。さらに、アナフィラキシーショックが起きれば死に至る恐れもあるため、クラゲがいる海には入らないほうが無難ですね。

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クラゲ 種類

ミズクラゲが属するミズクラゲ属の種類を紹介します。

分類によらず、和名を持つクラゲの例です。

  • Aurelia aurita(ミズクラゲ)
  • Aurelia ayla
  • Aurelia cebimarensis
  • Aurelia clausa
  • Aurelia coerulea
  • Aurelia colpota
  • Aurelia columbia
  • Aurelia dubia
  • Aurelia hyalina
  • Aurelia insularia
  • Aurelia labiata
  • Aurelia limbata
  • Aurelia malayensis
  • Aurelia maldivensis
  • Aurelia marginalis
  • Aurelia mianzani
  • Aurelia miyakei
  • Aurelia montyi
  • Aurelia mozambica
  • Aurelia persea
  • Aurelia rara
  • Aurelia relicta
  • Aurelia smithsoniana
  • Aurelia solida
  • Aurelia vitiana
  • オキクラゲ
  • タコクラゲ
  • スナイロクラゲ
  • オワンクラゲ
  • ハナガサクラゲ
  • ミズクラゲ
  • アマクサクラゲ
  • アンドンクラゲ
  • カギノテクラゲ
  • アカクラゲ
  • カツオノエボシ
  • ハブクラゲ

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