シジュウカラ

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Japanese tit in Suita, Osaka, November 2016 – 609.jpg

私たち人間にとってもっとも身近な鳥といえば、何を思い浮かべますか? スズメ? はたまたカラスでしょうか。
しかし、忘れてはいけないのが、シジュウカラ。たしかに、スズメやカラス、ハトなどと比べると知名度は高くないかもしれません。パッと姿を思い出せない人もいるでしょう。
しかし、実はシジュウカラの模様はかなり印象的。一度、「シジュウカラだ!」と判別できるようになれば、きっと街中で見かける増えるはず!
今回はスズメに負けず愛らしいシジュウカラについて、生態やすごい能力を紹介します。街中で見かけたときは、ぜひ思い出してくださいね。

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〜基本情報〜

鳥綱スズメ目シジュウカラ科シジュウカラ属

全長:約14.5cm

体重:約15g

シジュウカラの大きな特徴は、その見た目にあります。基本的にモノクロの配色で構成されていますが、背中は黄緑色です。白いほっぺたと鮮やかな背中がとても愛らしいです。

しかし、もっとも目を引くのは胸元からお腹にかけての黒いライン。まるでネクタイをしているかのように見えます。メスよりオスのほうが太く、ヒナより成鳥のほうが鮮明です。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Parus_minor_making_nest.JPG
出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Watching_(12299022244).jpg

シジュウカラは小柄なので、ピシッとしたスタイルにギャップを感じます。まるで子どもが背伸びをしているようですね。

また、近縁種も含めると、シジュウカラは世界中に分布しています。日本を含む東アジアやロシア東部、ユーラシア大陸の一部、北アフリカなど。

日本では全国的に分布し、4つの亜種が留鳥として生息しています。生息地も幅広く、標高の低い山地や林、湿原、市街地でも多いです。

非繁殖期の秋から冬にかけて、数匹から数十匹の群れを作ります。シジュウカラ科のほかの種類も群れに参加するため、よく見るとシジュウカラではない鳥が見られるかもしれません!

繁殖期にはつがいでナワバリを持ち、樹洞や石の隙間に営巣します。巣箱にも営巣するので、気になるのであれば作ってみるのもおすすめです!

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:13_0609_shijuukara8.jpg

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シジュウカラのQ&A

シジュウカラの名前の由来は何?

シジュウカラは漢字で「四十雀」と書き、名前の由来は諸説あります。

まず、「シジュウカラ1匹でスズメ40匹分の価値があるから」つけられた説。ただし、この説は出所がはっきりとしないうえ、スズメ40匹分の価値というのも何を指しているのかよくわかっていません。

名付けられた当時はともかく、現代の人間にとってはピンときませんね。

続いて、「群れるから」つけられた説。シジュウカラは、非繁殖期の秋季から冬季に大きな群れを作ります。多種も巻き込んで作る群れの規模が大きいから、名付けられたと考えられています。

ときに数十匹の群れを作るため、木にとまっている姿はなかなか印象的。「四十」と名付けたくなる気持ちはわかりますね。

最後は、「鳴き声から」名付けられた説です。シジュウカラはさまざまな鳴き声を出しますが、地鳴きは「ジジジジ」という声。この地鳴きの音が「シジウ」に転じて、シジュウカラと呼ばれるようになったという説もあります。

シジュウカラは鳴き声に特徴があるので、この理由が一番あり得ると考えられます。さえずりも美しいので、見かければぜひ耳を澄ましてみてくださいね!

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Parus_minor_(side).JPG

シジュウカラは何を食べているの?

シジュウカラは雑食性で、さまざまなものを口にします。もっとも多く食べるのは、昆虫などの虫です。その量は、なんと1年で12万5千匹に到達するとか。

12万を超える虫となれば、身の毛もよだつような数字ですが、シジュウカラのおかげで虫の過剰繁殖が抑えられているといわれるほどです。

「なぜそんなに食べるの?」と思いますが、シジュウカラは素早く動くうえ、当然空を飛びます。そのためにたくさんのエネルギーが必要なので、大量の虫を捕食しているのです。虫が苦手な人にとっては、神さまのような鳥と言えるかもしれませんね!

ただし、飛ぶためには軽いからだが必要なので、排泄の頻度も多いです。糞害を考えると、神さまどころか少々困った鳥かも……。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Japanese_Tit_with_food_(26439444124).jpg

なお、冬になると虫が少なくなるため、果実や種子といった植物性のものを食べます。基本的には地表でも樹上でも食べますが、冬には地上で食べることが多いようです。

また、越冬のために食べ物を蓄える習慣はありません。しかし、ほかの鳥が蓄えている食料を奪うところも観測されているのです。

紳士的な姿に見えますが「お前のものはおれのもの」のような精神を持っているのは、おもしろいですね!

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:シジュウカラの背中3.JPG

シジュウカラとゴジュウカラの関係は?

シジュウカラとよく似た名前の鳥に、ゴジュウカラという鳥がいます。漢字にすると「四十雀」と「五十雀」、なんとなくつながりが深そうな印象です。

しかし、両者には結構な違いがあります。

まず見た目。大きさは似ていますが、模様は全然違います。

シジュウカラの顔はモノクロの色合いで、白いほっぺに目がいきます。一方で、ゴジュウカラは頭部が薄い青、そして魅惑的な黒いアイラインが特徴です。

また、シジュウカラの大きな特徴であるネクタイ柄は、ゴジュウカラにありません。ゴジュウカラのお腹は真っ白です。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Japanese tit in Suita, Osaka, November 2016 – 683.jpg
出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Kleiber_Sitta_europaea.jpg

さらに、生息地にも若干の違いが見られます。シジュウカラは街中でもよく見られますが、ゴジュウカラは山地や林で見られます。バードウォッチングでポピュラーですが、一般人にとってはあまり馴染みがありません。

なお、そもそも所属する科が違います。シジュウカラはシジュウカラ科、ゴジュウカラはゴジュウカラ科なので、親戚とは言いがたいのです。

ちなみに、サンジュウカラやロクジュウカラは存在しません。このあたりの日本人の語感は不思議でおもしろいなぁと、いつも感じてしまいます!

シジュウカラが高い言語能力を持っているって本当?

シジュウカラの大きな特徴はネクタイをしているような見た目ですが、研究では高い言語能力を持っていることがわかっています。

ただ鳴いているだけではなく、単語を組み合わせて、文章として仲間へ複雑な情報を伝えているのです。鳴き声の組み合わせを変えたときに、仲間のシジュウカラの反応が異なるため、このような結論に至りました。

たとえば、親鳥がヒナに危険を伝えるとき、違う鳴き声で注意を呼びかけます。ヒナは親鳥の鳴き声に合わせて、天敵に合わせた防衛行動をとるのです。カラスに対しては身を低くして隠れ、ヘビに対しては巣穴から脱出するように。

明らかに「カラスが来たから隠れて!」や「ヘビが迫っているから逃げて!」と言っていますね!

今まで、チンパンジーのような高い知性を持つ動物で、異なる鳴き声をつなげる例はありました。しかし、語順を並び替えて、音声を理解する種類はほかに例がありません。

研究では、20以上の単語を使い、175以上の文章を扱っているとされています。もしかしたら、私たち人間なみの言語能力を持っているかもしれません。

人間が空を飛べるように進化したら、シジュウカラのようになるのかも? というのは少し飛躍しすぎですかね!

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Japanese Tit シジュウカラ (243766495).jpeg

シジュウカラの天敵は?

シジュウカラは強い鳥ではないので、多くの天敵が存在します。ヘビやカラス、ハヤブサなどの猛禽類が代表的です。

成鳥ではなく、ヒナ鳥のときに襲われるケースが多くあります。

高い言語能力で危険を察知している場合もありますが、やはり完全ではありません。成長するまえに捕食されることも多いのです。

厳しい自然界で生き残るためには、それぞれの種が持つ知恵や工夫だけではなく運も必要ということでしょうね。

シジュウカラの寿命は?

シジュウカラの野生での寿命は、1年半ほどと言われています。しかし、この数字はいわゆる老衰ではありません。自然界の厳しい環境の中で、命を落としてしまうから1年半という短い期間なのです。

たとえば、ヘビやカラスなどの天敵の存在。もしくは、氷点下や猛暑、豪雨といった自然環境。もちろん冬になればエサが少なくなり、ほかの種類とも奪い合いになってしまいます。

このような厳しい環境でなければ、種としては7〜10年ほど生きるとされています。自然環境の厳しさがよくわかりますね。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Japanese tit (“Parus minor”) from northern Thailand.jpg

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シジュウカラの種類

シジュウカラ科に属する種類を紹介します。

  • コガラ属
    • ハシブトガラ
    • ミナミハシブトガラ
    • バルカンコガラ
    • コガラ
    • シセンコガラ
    • カロライナコガラ
    • アメリカコガラ
    • マミジロコガラ
    • メキシココガラ
    • マユガラ
    • アカハラガラ
    • シベリアコガラ
    • カナダコガラ
    • クロイロコガラ
    • ヤマガラ
  • ヒガラ属
    • アカエリシジュウガラ
    • カンムリシジュウガラ
    • ヒガラ
    • キバラガラ
    • シラボシガラ
    • パラワンガラ
  • カンムリガラ属
    • カンムリガラ
    • ハイイロカンムリガラ
  • シジュウカラ属
    • ハジロクロガラ
    • ミナミクロガラ
    • シロハラクロガラ
    • セジロクロガラ
    • クロガラ
    • チャムネガラ
    • カオアカガラ
    • ムナグロガラ
    • ソマリハイイロガラ
    • キタハイイロガラ
    • ススイロガラ
    • ハイイロガラ
    • シジュウカラ
    • キバラシジュウカラ
    • ハジロシジュウカラ
    • セボシカンムリガラ
    • タイワンシジュウカラ
    • シロビタイガラ
  • ルリガラ属
    • アオガラ
    • ルリガラ
  • エボシガラ属
    • シロガオエボシガラ
    • ハイエボシガラ
    • エボシガラ
    • クロエボシガラ
  • キマユガラ属
    • キマユガラ
  • サルタンガラ属
    • サルタンガラ

※和名がある種のみ記載。

参考文献

サントリーの愛鳥活動
https://www.suntory.co.jp/eco/birds/encyclopedia/detail/1430.html

Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/シジュウカラ

CANON BIRD BRANCH PROJECT
https://global.canon/ja/environment/bird-branch/photo-gallery/shijukara/index.html

森と水の郷あきた
http://www.forest-akita.jp/data/bird/42-shigyukara/kara.html

鳥ずかん(教育出版)
https://www.kyoiku-shuppan.co.jp/docs/pages/rika/guide/bird/sijukara.html

NATURE LAND NOSE
https://natureland-nose.com/bird/lecture_bird/3539/

野鳥情報.com
https://yacho-joho.com/shijuukara-gojuukara-chigai-miwakekata/

とりのる
https://torinoru.com/blog/life-span/

アイキャッチ画像
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Parus_minor_female.JPG