ジャッカル

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あなたはジャッカルという、アフリカやアジアに生息しているイヌ科の野生動物を知っていますか?
テレビ番組や漫画などに登場することがあるため、名前は知っているという人は多いことでしょう。
彼らは古代エジプトの神“アヌビス”のモデルとされ、一生を同じペアと添い遂げる愛情深い面を持った動物です。
しかし「獲物を横取りする意地の悪い動物」や「死肉を食べる嫌な動物」といった、悪いイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
この記事でジャッカルにはどんな特徴や秘密があるのか、一緒に見ていきましょう!

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~基本情報~

哺乳綱食肉目-イヌ科-イヌ属

セグロジャッカル
体長45~90cm 体重7~15kg

ジャッカルはオオカミやコヨーテ、キツネなどに似た外見を持つ小型のイヌ科動物で全4種類に分類されていますが、それぞれが違う生態や習性を持っています。動物学において単に「ジャッカル」というと最も生息域が広い「キンイロジャッカル」を指しますが、多くの人がイメージするのは背中に黒い模様がある「セグロジャッカル」なのではないでしょうか。

ジャッカルは基本的にオスとメスのペア、もしくはペアとその子どもからなる小さな群れで生活しています。彼らは哺乳類の中では珍しく、一度ペアになると一生を同じ相手と添い遂げる一夫一婦制(いっぷいっぷせい)であることが知られています。

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セグロジャッカルのオスは生後20~22カ月(約2歳)、メスは 10~11カ月(約1歳)ほどで性成熟(せいせいじゅく)を迎えて妊娠や繁殖ができるようになります。彼らの繁殖期は1~3月頃で妊娠期間(にんしんきかん)は60~65日ほど、1回の出産で5~6頭(平均4頭)の子どもを産みます。子育てはオスとメスが協力して行いますが、前の年に生まれた子どもが群れにいればヘルパーとして子育てを手伝います。ジャッカルの子どもは生後6ヵ月ほどで狩りができるようになり、生後24か月(2歳)をこえると群れから出て自分の縄張りを持つようになります。


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ジャッカルのQ&A

ジャッカルの名前の由来は何?

ジャッカルという名前の由来ははっきりとしませんが、サンスクリット語でキンイロジャッカルを意味する言葉「シュリガーラ」がなまって「ジャッカル」になったのではないかと考えられています。

なおジャッカルは英語で「Jackal(ジャッカル)」、漢字では「胡狼」と表現します。


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ジャッカルはどうしてそこに住んでいるの?

ジャッカルは全部で4種類いますが、そのうちの3種類・セグロジャッカル、ヨコスジジャッカル、アビシニアジャッカルはアフリカのみに生息しています。残る1種類・キンイロジャッカルだけは生息地が広くアフリカからヨーロッパ、東南アジアにかけた広い範囲に生息しています。

なぜジャッカルがアフリカを中心に生息しているのか、具体的な理由はわかりませんでした。しかしアフリカにはジャッカルの競合となる動物、ハイイロオオカミやキツネが生息していないことと関係があるのかもしれません。


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ジャッカルは何を食べているの?

野生のジャッカルは雑食性でネズミやマングース、トムソンガゼルなどのレイヨウ類や草食動物の子ども、鳥類や卵、さらには虫類(トカゲやヘビ)やカエル、昆虫や果実、死肉(しにく・死んだ動物の肉のこと)など手に入るあらゆるものを食べます。

ジャッカルは体が小さいためネズミなどの小さい獲物は単独で狩りますが、レイヨウなどの大きな獲物は群れで協力して狩ります。通常レイヨウより体が大きい動物には挑みませんが、病気やケガで弱っている場合は挑んで倒してしまうこともあります。

なおアフリカに生息するジャッカルはライオンやブチハイエナなどの後についていき、そのおこぼれを頂戴することもあります。


ジャッカルは意地が悪い動物なの?

ジャッカルは死肉を食べるイメージから意地が悪い嫌な動物だというイメージを持たれがちですが、実際には意地が悪いということはありません。むしろ彼らは生息地の環境を衛生的に保つという、大切な役割を持っています。

ジャッカルが生息する場所にはほとんどの場合、ライオンやトラなどの大型肉食獣が生息しています。ジャッカルはそれらの大型肉食動物が食べ残した獲物や病気やケガで死んでしまった動物の死体を食べ、自然の中で掃除屋のような役目を果たしているのです。


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ジャッカルとオオカミにはどんな違いがあるの?

ジャッカルとオオカミは同じイヌ科イヌ属の動物で見た目も似ていますが、どんな違いがあるのでしょうか?その違いは生息地と体の大きさ、食べ物に見られます。

オオカミはアメリカやカナダ、ロシアやインド、ヨーロッパなど北半球(きたはんきゅう)の北側の広い範囲に生息していますが、4種中3種のジャッカルはアフリカのみに生息しています。(キンイロジャッカルはアフリカからヨーロッパ、東南アジアに生息しているため、一部の生息地がオオカミと被っています。)

また体はオオカミ(ハイイロオオカミ)の方が圧倒的に大きく、オオカミの体長は82~160cmほどで体重は18~80Kgほどですが、ジャッカルは一番体が大きいキンイロジャッカルでも体長が60~106cmほどで体重は7~15Kgほどです。

またほぼ完全な肉食動物であるオオカミの主な獲物はシカやイノシシなどの大型の草食動物ですが、ジャッカルは雑食性で小動物を主な獲物として果実などの植物質も食べます。


ジャッカルとハイエナにはどんな違いがあるの?

ジャッカルとオオカミの違いの次は、ジャッカルとハイエナの違いも見てみましょう。ジャッカルとハイエナはともに死肉を食べる習性があり、環境への適応力が高いという特徴がありますがどんな違いがあるのでしょうか。

まずハイエナはイヌの仲間に似ていますが、実はイヌの仲間ではありません。彼らは「食肉目ハイエナ科」に分類されていて、分類的にはイヌよりもネコ(特に古いタイプのネコであるジャコウネコ)に近い動物とされています。

またジャッカルもハイエナも群れを作って暮らしますが、群れの中の関係性が大きく異なります。ハイエナの群れはメスがリーダーでメンバーの順位がはっきり決まっていて、群れのメンバー全員がリーダーに従わなければならないという決まりがあります。一方のジャッカルの群れはオスとメスのペアを中心にその子どもから構成されていて、群れのメンバー同士が仲良く協力しあって生活しています。

そしてハイエナは強いあごと歯を持っていて、動物の硬い骨までかみ砕いて食べてしまうという特徴があります。ジャッカルは体が小さくそこまで力が強くないため、骨をかみ砕いて食べることはありません。



実はキンイロジャッカルは2種類いるって本当?

本当です。
かつてキンイロジャッカルは全て同じ種類だと考えられていました。しかし遺伝子を解析したところ、実はアフリカに生息しているキンイロジャッカルとユーラシア(ヨーロッパからアジアにかけた大陸のこと)に生息しているキンイロジャッカルは別の種類であることが明らかになりました。

しかも同じ祖先から分かれたという訳ではなく、ユーラシアのキンイロジャッカルとハイイロオオカミが分かれた後に、ハイイロオオカミとアフリカのキンイロジャッカルが分かれたと考えられています。そのためアフリカのキンイロジャッカルを遺伝的に調べてみると、ユーラシアのキンイロジャッカルよりもハイイロオオカミに近いそうです。

なおアフリカに生息しているキンイロジャッカルのことを「アフリカンゴールデンウルフ(African golden wolf)」と呼ぶこともあります。


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ジャッカルはペットとして飼えるの?

ところで日本国内において、個人がペットとしてジャッカルを飼うことはできるのでしょうか?

ジャッカルは4種類とも日本の法律で人の命や財産に危険を及ぼす可能性がある、「特定動物(とくていどうぶつ)」に指定されています。令和2年6月1日以降新たに特定動物を愛玩目的(あいがんもくてき・ペットとして飼うこと)で飼うことは全面的に禁止されたため、日本国内においてジャッカルをペットとして飼うことはできません。


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日本ではジャッカルは見られないの?

日本国内においては2016年まで愛知県の東山動物園、2018年までは山口県の周南市徳山動物園でセグロジャッカルが飼育されていて、かつてはキンイロジャッカルが飼育されていたこともあるようです。しかし令和3年現在、日本国内でジャッカルを飼育している動物園はありません。

野生では広大な縄張りを持ち、獲物を求めて広い範囲を移動するジャッカルを飼育するためには広い敷地が必要です。適切な施設で飼育することが難しいということを考えると、今後日本の動物園でジャッカルが飼育される可能性は低いかもしれません。


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ジャッカルはどのくらい生きるの?

ジャッカルの寿命は種類によって若干異なるようですが、セグロジャッカルの寿命は野生下では最長7年ほどで飼育下では最長14年ほど、ヨコスジジャッカルの寿命は10~12年ほどだといわれています。

キンイロジャッカルの寿命ははっきりしませんでしたが、飼育下では最長18年生きた個体がいるという記録が残っています。


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ジャッカルにはどんな敵がいるの?

野生のジャッカルの天敵はヒョウやハイエナ、ニシキヘビ、猛禽類(もうきんるい)などだといわれています。

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しかしジャッカルにとって、最大の敵は私たち人間です。ジャッカルは家畜(特に子ヒツジ)を襲う動物だと嫌われていて、時に農民との間で衝突(しょうとつ)が起きることがあります。とはいえジャッカルは環境適応力が強いため、セグロジャッカル・ヨコスジジャッカル・キンイロジャッカルについては特に絶滅の心配はないと考えられています。

しかしアビシニアジャッカルだけは家畜を襲う動物だと誤解され、手当たり次第に銃で撃たれてしまったという過去があります。さらに生息地の開発によって獲物が減少したこと、ペットのイヌから狂犬病(きょうけんびょう)が伝染したことによって大幅に数を減らしてしまい、このままでは絶滅してしまうのではないかと心配されています。


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ジャッカルの種類

・セグロジャッカル
・ヨコスジジャッカル
・キンイロジャッカル(別名:ゴールデンジャッカル、ハイイロジャッカル)
・アビシニアジャッカル(別名:エチオピアオオカミ、シメニアジャッカル、シメニアギツネ)


参考文献

今泉 忠明(2007年)『野生イヌの百科』データハウス

ITmedia NEWS「ジャッカルの印象に思いをはせる」
https://www.itmedia.co.jp/dc/articles/1109/22/news086.html

ウィキペディア(Wikipedia)「ジャッカル」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%AB

特定外来生物・特定(危険)動物へのマイクロチップ埋込み技術マニュアル 4比較的大型のイヌ類〈食肉目、イヌ科・ハイエナ科〉
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h1804/06.pdf

Gakkenキッズネット「ハイエナ」
https://kids.gakken.co.jp/jiten/dictionary06100013/

Twitter「東京ズーネット[公式]」
https://twitter.com/tokyozoonet_pr/status/627419342066454528

CNN.co.jp「アフリカのキンイロジャッカル、実は新種のオオカミだった」
https://www.cnn.co.jp/fringe/35068353.html

アイキャッチ画像
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