イタリアン・グレーハウンド

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あなたはイタリアン・グレーハウンドという犬種を知っていますか?
日本では「イタグレ」と略して呼ぶことも多いですが、姿を思い浮かべることができない方も多いのではないでしょうか。凛とした美しい佇まいをしている高貴なイタリアン・グレーハウンドを見てみましょう!

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〜基本情報〜

原産国 イタリア

大きさ 体高:32〜38cm  体重:5kg以下

イタリアン・グレーハウンドは「視覚ハウンド」という分類の中で一番小さい犬種です。

「視覚ハウンド」というのは、優れた目と足で獲物を追跡し捕獲する犬の分類です。

大きな犬種が多い中、イタリアン・グレーハウンドは小さい体でこの視覚ハウンドに分類されています。

毛があまりなく、薄い皮膚に筋肉質な体はかっこよさを引き立ています。

一方で立ち姿は凛としていて気品があります。

どちらも兼ね備えていて羨ましいですね。

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歩き方も首を伸ばして頭を上げて前足を高く上げて下ろし、子鹿のように綺麗に歩きます。走るときは、両手両足を揃えて飛ぶように走ります。この走り方を想像してみてください。チーターやライオンと同じような走り方をしているんですね。

犬の中で最も速く走ると言われている、「グレイハウンド」という犬種の面影を残しているのが胸です。「深い」と称される胸は、グレイハウンド譲りで心肺機能が発達していると思われます。

耳先が横に折れているのが標準とされていますが、生まれつき立った耳をしている子もいるみたいです。折れている耳も立っている耳も可愛いですね。

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イタリアン・グレーハウンドのQ&A

イタリアン・グレーハウンドっていつの時代からいるの?

イタリアン・グレーハウンドは、先ほども出てきた「グレイハウンド」という犬種を小さくした犬だと言われています。

グレイハウンドは古代エジプト時代の壁画によく似た犬が描かれているなど、昔から私たち人間の近くで生活してきた犬です。壁画を思い出してみると犬が描かれているのをなんとなく思い出せる方もいるのではないでしょうか。

イタリアン・グレーハウンドも古代エジプトのファラオの墓や、ローマ遺跡から出てきた絵画や記録からよく似た犬が確認されているそうです。グレイハウンドも、イタリアン・グレーハウンドも想像もつかないくらい昔から愛されていたんですね。

イタリアン・グレーハウンドはエジプトからトルコ、ギリシャに渡り紀元前5世紀ごろにイタリアに渡っていきました。特にイタリアの王族や貴族に愛され、16世紀〜17世紀ごろ絵画や美術品などに描かれるようになりました。

17世紀にイギリスに渡りましたが、やはりイギリスでも上流階級に愛されていました。寒さに弱いイタリアン・グレーハウンドにはイギリスの気候は合わなかった為に、あまり物資のない一般家庭には飼うことができませんでした。

それでも昔から愛され、人間と一緒に暮らしてきたことがわかると、イタリアン・グレーハウンドを身近に感じてきますね。

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イタリアン・グレーハウンドは一度姿を消したって本当?

18世紀後半、イタリアン・グレーハウンドをさらに小さくするために交配(こうはい)が進んで、弱い身体になっていきました。さらに戦争が始まり、それまで飼っていた上流階級の飼育環境が不安定になっていったこと、そして気候の変化に弱かったこともありイタリアン・グレーハウンドは少しずつ姿を消していきました。

そんな絶滅の危機を救ったのが、アメリカに渡っていたイタリアン・グレーハウンドでした。彼らと、イギリスに残っていた子たちを交配して復活することができたのです!本当によかったです。

人間に愛されたイタリアン・グレーハウンドは、人間の欲で起こした戦争や交配(こうはい)で生きていくことができなくなりました。これは現代でも同じことが言えますが、犬やペットを家族に迎えるときはよく考え、最後まで幸せに暮らせるように工夫していくことが大切ですね。

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イタリアン・グレーハウンドの名前の由来は?

イタリアのグレイハウンドだからという説がありますが、先ほどの歴史を見るとイタリア発祥ではないのであまり有力ではないのかもしれません。

ちなみに先祖であるグレイハウンドの由来もはっきりした記録がありません。

推測の説としては3つあります。

・「graius」「gracillius」:ギリシャ語やラテン語で「スリム」という意味

・「grech」「greg」:古い英語の「ハンター」や「犬」という意味

・「gher-」:インド・ヨーロッパの祖先言語で輝く・素晴らしいという意味

これらから名前がつけられたのではないかと言われていますが、イタリアン・グレーハウンドもグレイハウンドも名前の由来は分かりません。

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イタリアン・グレーハウンドはどんな性格なの?

基本的におっとりしていて気立が良く、一応狩猟犬(しゅりょうけん)ですが内気で繊細な性格をしています。その分穏やかな性格で、攻撃的な部分もほとんどないので家庭で飼うには向いていますね。

愛情深いので家族にはよく懐き甘えん坊なのですが、人見知りなところもあるので知らない人には距離を置いてしまいます。繊細で神経質なので愛情を持って接してあげることが必要です。

遊ぶことも大好きで、無駄吠えも少ないのでお家や外でたくさん遊んであげてストレスを感じさせないようにすることも大切ですね。

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イタリアン・グレーハウンドはオスとメスで性格が違うって本当?

基本的な性格についてお話ししてきましたが、イタリアン・グレーハウンドはオスとメスで性格が少し変わってきます。

オスは縄張り意識が強いため、自分のテリトリーに部外者が入ってくると攻撃することがあります。ですがそれは、家族を守るという意識が強いということです。番犬に向いているのでお家を守ってくれるでしょう。

メスはマイペースな子が多いのですが、度が過ぎると我儘(わがまま)に感じることもあります。普段はおとなしいのですが、急に攻撃的になることもあるので気をつけましょう。

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イタリアン・グレーハウンドのお世話の仕方は?

イタリアン・グレーハウンドは基本的に明るく穏やかなのであまりしつけは難しくありません。子どもや他の犬とも仲良くできますが繊細なあまり、ストレスを溜めてしまうことで病気の原因にもなってしまいます。子どもや他の犬との関わりには気をつけてあげたほうがいいですね。

短毛(たんもう)で抜け毛が少ないので手入れがしやすい犬です。普段は固く絞ったタオルで拭く程度で大丈夫です。お風呂に入れ過ぎてしまうと、皮膚に必要な脂も落ちてしまうので、シャンプーをするなら月1回程度にしましょう。冬以外はドライヤーも使いません。タオルで拭いてあげましょう。乾燥する季節は保湿スプレーやクリームなどで潤いを与えるのもいいですね。

寒さにとても弱いので季節に応じて服を着せてあげなければいけません。ファッションとしても可愛いですが、健康管理の為にも考えて服を選んだほうがいいですね。

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頭が小さく首輪だけだと抜けてしまう可能性があるので、首と胸にかかるタイプのハーネスを使ったほうがいいでしょう。腕だけを通すタイプのハーネスもありますが、胸の幅が狭いのでこれも抜けてしまう可能性があります。ハーネスを買うときはしっかり調べてから買いましょう。

狩猟犬(しゅりょうけん)なので運動量が必要になってきます。毎日1.5km〜2kmぐらいのお散歩をしてあげなければいけません。ですが特に寒い時期や暑い時期は散歩を控えて、空調管理された室内でたっぷり遊んであげましょう。

骨が細いので、太ってしまうと関節に負担がかかり折れてしまう危険もあるので運動はしっかりさせてあげたいですね。

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ご飯は、総合栄養食(そうごうえいようしょく)を食べさせてあげましょう。総合栄養食(そうごうえいようしょく)はフードと水のみで栄養のバランスが取れるようにと作られているものです。パッケージを見て「総合栄養食(そうごうえいようしょく)」と書かれているものの中で、犬の年齢と目的にあったものを選ぶことをおすすめします。例えば「子犬用」「成犬用」「シニア犬用」「体重管理用」など、栄養の質と量を変えてくれています。手作りのフードも何を食べさせているかが分かり、愛情が感じられますが、栄養バランスを保つのが難しいのでサプリメントなども併用するといいでしょう。フードはとても大事なものなので考えて与えたいですね。

イタリアン・グレーハウンドはどんな毛色があるの?

グレー、ブルー(明るい灰色)、フォーン、レッド(赤茶色)、クリーム、ホワイト、ブラックなどの単色があります。胸に白いマーキングが入っている子もいます。

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イタリアン・グレーハウンドの気をつけたい病気は?

家族が病気になってしまうのはとても怖いことです。かかってしまう可能性のある病気を知った上で対策ができるので紹介していきます。

[CDA脱毛症(カラー・ダイリューション・アロペシア)]

毛色がブルー(明るい灰色)のイタリアン・グレーハウンドに見られる脱毛症です。薄毛だったり、まばらに毛が生えてくるなどの症状が出ます。脱毛症によって命の危険があったり、痛みやかゆみなどはないので安心してください。遺伝の病気なので冬だけでなくいつでも服を着せて皮膚を守ってあげましょう。

[パターン脱毛症]

こちらも脱毛症の一種で、脱毛部位が耳、鼻先、首、胸、腹、尾、足の付け根などに見られます。脱毛した部分の皮膚が黒ずむこともありますが、こちらも命の危険があるものではありません。

[骨折]

体重が軽く飛び跳ねるのですが、骨は細いのでちょっとしたことで骨折してしまいます。ベンチから飛び降りただけで骨折してしまった例もあるそうです。足場の良いところで、若いうちからしっかり運動させて骨を守る筋肉をつけてあげましょう。

[膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)]

別名「パテラ」ともいい、後ろ足の膝のお皿がずれてしまう病気です。お散歩を嫌がったり、足を浮かせたまま3本足で歩いたりしたらこの病気を疑ってみてください。遺伝性のものと、怪我などによるものがありますが薬での治療や手術で治していきます。

[緑内障]

高齢のイタリアン・グレーハウンドに見られる病気で、眼球内(がんきゅうない)の眼圧(がんあつ)が高くなることで発症します。予防策はないので早めに気づいてあげて治療を開始するしかありません。気づいた時には失明(しつめい)してしまっている場合もあるので気をつけましょう。

[歯周病]

歯垢(しこう)の中の最近が原因で起こる病気です。歯肉(しにく)だけではなく、歯の周りにある靭帯(じんたい)や骨にまで炎症が起きてしまいます。ひどくなると、細菌が全身に回り臓器にも影響を及ぼします。毎食後の歯ブラシで予防してあげましょう。

[てんかん]

全身の痙攣(けいれん)や意識障害(いしきしょうがい)などが急に起こる病気です。原因によって治療法も変わってくるので、しっかり検査しましょう。てんかんを防ぐことは非常に難しいです。ストレスや強い刺激によって起こる場合もあるので、負担や強い刺激を与えないように生活することが大事ですね。

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イタリアン・グレーハウンドの寿命は?

大体、13歳前後だと言われています。

出典:https://pixabay.com/images/id-6581568/

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参考文献

みんなの犬図鑑
https://www.min-inuzukan.com/italian-greyhound.html

一般社団法人 ジャパン ケネル クラブ
https://www.jkc.or.jp/archives/dog_category/breed_10g

アクサダイレクト
https://www.axa-direct.co.jp/pet/pet_dog/library/italian_greyhound.html

ブリーダーナビ
https://www.breeder-navi.jp/column/dog/italian-greyhound/italian-greyhound-character/

Italiangreyhound Breeder Puppy’s Mama
https://itagure-breeder.com/飼育のポイント・注意点/シャンプー・お手入れの方法/

ハウンドカム通信
https://www.houndcom.com/blog/archives/5455#i-10

みんなの動物病気大百科
https://www.anicom-sompo.co.jp/doubutsu_pedia/

価格.com
https://hoken.kakaku.com/pet/dog_injuries/tooth/shishubyo/

Wanwans
https://wanwans.com/new/faq-greyhound-meaning

そらいろネット
https://sorairo-net.com/aquarium/dog/italiangreyhound001.html

アイキャッチ画像
https://pixabay.com/images/id-4560868/