アイスランド・シープドッグ

出典:https://pixabay.com/images/id-1977418/

アイスランド・シープドッグという犬を知っていますか?
名前を聞いたことがない方もいるのではないでしょうか。
日本ではブリーダーがいないのでその姿もほとんど見られません。ですが日本犬に似ているので馴染みがあるような見た目です。
そんなアイスランド・シープドッグを紹介します。

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〜基本情報〜

原産国 アイスランド

別名 アイスランド・ドッグ、フリーアー・ドッグ

中型犬

体高・・・オス:33〜41cm  メス:30〜38cm

体重・・・オス:11〜14kg  メス:9〜11kg

日本犬のような姿をしたアイスランド・シープドッグは、牧畜犬(ぼくちくけん)や狩猟犬(しゅりょうけん)として活躍してきた犬で上毛と下毛のダブルコートの毛をしています。その為防寒性が高く寒さには強い体をしています。ロング・コートとミディアム・コートの犬種がいますがどちらもダブルコートになっています。防水性にも優れていて、特に首回りの毛が他の部分と比べてもとても多くなっています。この厚い毛のおかげでぽっちゃりして見えますが、筋肉質な体つきをしていて機敏(きびん)に動けます。

細長い口に黒やダークブラウンの鼻を持っていて、目はアーモンド型をしています。三角形の耳はぴょんと立ち、周囲の音を聞くためかよく動きます。

爪が丈夫で、氷や雪の上でも滑らないようにスパイクのような爪をしているのも特徴です。

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アイスランド・シープドッグの歴史

874年に、ノルウェーから植民地の人々と共に「ノルウェイジアン・ブーフント」という種類の犬がアイスランドに移住してきました。その犬が改良されてアイスランド・シープドッグが生まれたと言われています。

アイスランド・シープドッグは、主に羊やポニーを誘導する牧畜犬(ぼくちくけん)として、また狩猟犬(しゅりょうけん)として活躍していた歴史があります。また極寒の冬でも活動できる丈夫な体、サイズやルックス、能力はおよそ1000年近く前から変わっていないといわれています。恐らく、犬質が変わらないようしっかりと管理した結果、現在まで体質や能力が受け継がれてきたのでしょう。生き物は環境によって変わる部分があると思うのですが、古くから変わっていないのはそれほど完璧だったということなんでしょうね。

15世紀ごろには、イギリスにも輸出されシェイクスピアの戯曲(ぎきょく)の中に「Iceland Dog」という名前が出てくるほどでした。イギリスでも人気が高かったんですね。

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アイスランド・シープドッグのQ&A

アイスランド・シープドッグの名前の由来は?

名前の由来について詳しく言及されているわけではありませんが、おそらくアイスランドが原産国で、「シープ=羊」を管理する犬だったことから名前が付けられたと思われます。

別名ではアイスランド・ドッグとも言われているのでアイスランドでとても愛されている犬だということがわかりますね。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:My_life_as_a_dog_(6053652632).jpg

アイスランド・シープドッグが絶滅寸前だったって本当?

今でこそ原産国の北欧のみならず、ヨーロッパや欧米などで知名度も高く愛されているアイスランド・シープドッグですが、絶滅の危機に瀕(ひん)していた時代がありました。

当時、作業犬として人気の高かったアイスランド・シープドッグを手に入れる為には、馬や羊と交換しなければいけないほどに希少価値が高くなっていました。

そんな中、アイスランドで「ジステンバーウイルス」という病気が流行しました。ジステンバーウイルスとは空気や飛沫によって感染し、感染から2週間〜数ヶ月で死に至ってしまう病気です。これによりアイスランド・シープドッグの数は激減してしまいました。

原因を調べた結果、アイスランドに輸入された動物がジステンバーウイルスを持ち込んでいたことが分かり、1901年、アイスランド国内への動物の輸入が禁止されました。

ですがこの輸入禁止が更なる危機へと向かっていくのです。

ジステンバーウイルスが流行する前、ノルウェーやスウェーデン、そしてフィンランドなどにアイスランド・シープドッグは輸出されていました。輸出されたアイスランド・シープドッグはジステンバーウイルスにかかっていないので、そこから逆輸入、つまり元気な繁殖用(はんしょくよう)のアイスランド・シープドッグを国内に連れ戻そうと考えたのです。

ですが輸入禁止にしてしまった為に、この作戦はできなくなってしまいました。

どうにかアイスランド・シープドッグを復活できないかと考えたアイスランドの人々は、一時的な処置ではありますが、同じアイスランド原産のそり引き犬種である「ヤッキ・ドッグ」の血を加えて頭数を増やしていきました。ある程度頭数が増えたところで、その後は交配の際、ヤッキ・ドッグの血だけを抜いて特徴をなくしていき、最終的に純粋なアイスランド・シープドッグを復活させることに成功したのです。

もう1人この危機を救った、忘れてはいけない人物がいます。それは英国紳士であり、アイスランド愛好家でもある「マーク・ワトソン」という人物です。

アイスランドの中でも孤立した地域を旅行していたマーク・ワトソンは、生き残っていたアイスランド・シープドッグの群れを偶然見つけるのです。獣医の助けもあり、繁殖(はんしょく)のために一時的に何頭かをアメリカに輸出することにしました。そこで順調に数を増やしたことにより、絶滅の危機を救った1人だと言われています。この栄誉(えいよ)を讃え(たたえ)、彼の誕生日である7月18日が「アイスランド・シープドッグデイ」となったそうです。

数が増え、牧畜犬(ぼくちくけん)としてだけではなく番犬や家庭犬などでも活躍し、アイスランドでは切符のデザインにもなっています。

そして驚くことに、アイスランド・シープドッグはアイスランドにいくつか存在する文化遺産のひとつにも数えられているそうです。アイスランドでどれほど愛されているかがうかがえます。

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アイスランド・シープドッグってどんな性格なの?

とても陽気で優しく、遊ぶことが大好きで他の犬や動物、人間とも仲良くできる性格をしています。小さなお子さんがいるお家や、他の動物を飼っているお家でも安心して迎えることができます。

愛情深く頭もいいですが、好奇心旺盛(こうきしんおうせい)なので周りに危険なものがあると興味本位でいたずらしたり、ちょっかいを出して怪我をしてしまう恐れがあります。気を付けましょう。

その一方、見知らぬ人には警戒心をあらわにし、激しく吠えることもあります。ですがこの行為は家族を守るためなので、例えば飼い主さんの友達など、飼い主さんが仲良くしている人にはすぐに慣れて遊んでくれると思われます。

いろんな動物と仲良くできるのは多頭飼いの方には嬉しいですね。

出典:https://pixabay.com/images/id-1977383/

アイスランド・シープドッグってどうやってお世話するの?

基本的に室内でも室外でも飼うことのできる、お世話しやすい犬種です。

体も丈夫でかかりやすい病気もあまりないですが、暑さにはとても弱いです。普段は室外で飼っていても、夏の暑い時期にはエアコンの効いた室内でお世話するなど、しっかりと暑さ対策をしてあげた方がいいと思われます。

運動量はとても必要な犬種で、遊ぶ他にもきちんとお散歩をしてあげなければいけません。1日およそ2時間程度と言われているので、都会暮らしで仕事や家事が忙しい方よりも、アイスランド・シープドッグと向き合う時間がたっぷりとれる方向きの品種かも知れませんね。

運動量もさることながら、食欲も旺盛(おうせい)で、なんと魚が大好きなのです。ですが大型犬ではないので、過剰にエサを与えてしまうと身体に負担がかかってしまうので気を付けましょう。食べたいと可愛い顔でねだられると、ついあげてしまいそうですが我慢しましょう。

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アイスランド・シープドッグはどうやってしつけるの?

飼い主や家族にはとても従順で頭もいいので、しつけはそれほど難しくありません。

他の犬と同様、室内で飼う場合はトイレやハウスなどを教え込む必要があります。

他の犬と違うのは好奇心が旺盛なので、散歩中に人に飛びついたり、噛み癖がついてしまったりするので小さい時からしつける必要があります。

牧畜犬(ぼくちくけん)の血が入っていて警戒心も強く、激しく吠えたり遠吠えもしたりするので、そのような無駄吠えも癖にならないように小さい頃からしつけましょう。

基本的には褒めながら教えて、気長に愛情を持ってしつけていくことが大切ですね。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Icelandic_Sheepdogs.jpg

アイスランド・シープドッグってどうやってお手入れするの?

毛がとても多い犬種なのでお手入れは少し大変です。

毎日のブラッシングで皮膚を優しく刺激して、皮膚病を防ぎます。毛が密集していて空気の流れが悪く蒸れてしまうので、湿度が高い季節や雨の日などは毛を乾かしてあげることも大切です。

春と秋には換毛期(かんもうき)と言って、毛が生え変わる時期があります。この換毛期(かんもうき)ではいつもより頻繁(ひんぱん)にブラッシングしてあげた方が良いでしょう。

お風呂に入れるのはロング・コートなら週に2回、ミディアム・コートなら週に1回程度です。

トリミングやカットによって毛を減らしてあげるのも暑さ対策の1つなので、必要であれば行った方が犬も楽に過ごせるかもしれませんね。

立派な爪をしていて雪国では役に立ちますが、そうでないところではあまり活躍しません。その為短く切ってしまいそうになりますが、必要限度があるので慣れないうちは病院やサロンで切ってもらう方が良いでしょう。

日々のブラッシングでスキンシップも兼ねて皮膚を清潔に保ってあげたいですね。

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アイスランド・シープドッグの気を付けたい病気は?

遺伝的な病気にはかかりにくいですが、「皮膚病」には気を付けてあげた方が良いと思います。皮膚病を防ぐにはこまめなブラッシングの他に、犬用のシャンプーで肌を清潔に保つことが重要です。

シャンプー後はしっかりと乾かしましょう。生乾きも皮膚病の原因の1つになります。ダブルコートなので乾きにくいですが、しっかりタオルドライをした後にドライヤーで乾かしてあげましょう。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Pierwsza_polska_para_hodowlana_psów_islandzkich..jpg

アイスランド・シープドッグの毛色は?

ブラック、グレー、フォーン・グレー、ブラウン、チョコレート、黄褐色(きかっしょく)などの毛色があり、顔や首周り、足先や尻尾周りに白い斑点が入る子もいます。

出典:https://unsplash.com/photos/H6gCJGUI_NM

アイスランド・シープドッグはどうやったら会えるの?

アイスランドやイギリスなどでも愛されているアイスランド・シープドッグ、家族に迎え入れたくなった方もいるのではないでしょうか。

ですが残念ながら日本でのブリーダーはいないのです。その為、海外のブリーダー、主にヨーロッパのブリーダーを探すと見つかる可能性はあります。通訳を出来る方と共に探すしかありません。大変な道のりになるかもしれませんが、どうしても会いたい方は探してみて下さい。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Szczenię psa islandzkiego (Polska).jpg

アイスランド・シープドッグの寿命は?

アイスランド・シープドッグの寿命は、一般的な中型犬と同じように12歳〜15歳と言われています。中には20歳まで生きたアイスランド・シープドッグもいるようです。愛情を持ってお世話をすることで、天寿(てんじゅ)を全うできる子が多くなるように願います。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Skinna_Snow_Time.jpg

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参考文献

KOjIMA
https://pets-kojima.com/library/zukan_dog/detail/id=24002

mofmo-モフモ-
https://mofmo.jp/article/6121

Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/アイスランド・シープドッグ

子犬のへや
https://www.koinuno-heya.com/syurui/agyou/icelandic-sheepdog.html

ICELAND MARKET
https://iceland-market.com/magazine/travel/アイスランド・シープドッグ/

価格.com
https://hoken.kakaku.com/pet/dog_injuries/infection/distemper/

みんなのどうぶつ病気大百科
https://www.anicom-sompo.co.jp/doubutsu_pedia/node/1295

アイキャッチ画像
https://pixabay.com/images/id-1957821/