
ハチドリ
ハチドリ
ハチドリ
皆さんは「ハチドリ」という鳥を知っていますか?とても小さく、キレイな色の鳥で、その名前が映画にも使われています。日本にはいない鳥なので、見たことのある方は少ないのではないでしょうか。そんなハチドリのことを紹介していきます。
ハチドリ 基本情報

項目名 | 内容 |
---|---|
保全状況 | 絶滅のおそれが低い |
綱 | 鳥綱 |
分類地位 | 受理されている |
科 | ハチドリ科 |
生息地 | 北アメリカの東部および中央アメリカで繁殖し、冬はメキシコからパナマで過ごす |
属 | アーキロクス属 |
ランク | 種 |
科学名 | Archilochus colubris |
門 | 脊索動物門 |
一般名 | Ruby-throated Hummingbird, ノドアカハチドリ |
界 | 動物界 |
目 | ハチドリ目 |

鳥綱(ちょうこう)アマツバメ目ハチドリ科
全長:5〜24cm
体重:2〜20g
ハチドリはアメリカやカナダ、アラスカ、アルゼンチン、カリブ諸島、フエゴ島、コロンビア、エクアドル、ペルーなどに約350種類が住んでいます。
鳥の中で1番小さい鳥とされていて、そのハチドリの中でも最小の「マメハチドリ」という種類は、体が2.5cmしかなく、尻尾とくちばしを合わせても5〜6cmほどしかありません。体重も2gほどしかなく、虫と間違えてしまうほどとても小さくて軽い鳥なんです。
そしてなんといっても、その羽の色です。メスは緑色や茶色、灰色、黒色などの色で少し光沢のある羽、といった色ですが、オスはメスの色に加えて、紫色、青色、赤色、オレンジ色など金属光沢のあるいろんな色でおおわれていて、見る角度によってキラキラと色が変化していくのです。さらにオスは、種類によって頭の羽の形が違っていたり、ヒゲや首周りの羽が違ったりと、とてもオシャレさんなんです。
ハチドリはその飛び方も特徴的です。翼が短いのですが、とても速く羽を動かすことができるので、まるで空中で止まっているように見えることもあるんです。羽を動かす速度は、小型種だと1秒間に55〜80回も動かしているんです。スズメは1秒間に約17回なので、とても速く動かしていることがわかりますね。そんなに速く動かしていたら、体だけではなく翼まで止まって見えそうですね。
くちばしも特徴的で、細長く、まっすぐだったり少し下に曲がっていたりします。
最小の鳥ともなると、他の鳥とは体の特徴がずいぶんと変わってきますね。
ハチドリ Q&A

ハチドリの名前の由来は?
ハチドリは翼をとても速く動かすので、「ブンブン」という羽音がします。この羽音といえば虫のハチですよね。そのハチに音が似ていることから「ハチドリ」と名付けられたそうです。1番小さなハチドリともなると大きさも同じぐらいなので、どっちがどっちかわからなくなりそうですよね。
ハチドリは英語で「ハミングバード」と言います。この名前は聞いたことがある人もいるかもしれませんね。日本語の由来と同じで、英語ではハチの羽音を「hum」と表現するので、「Hummingbird(ハミングバード)」という名前になったそうです。
日本語や英語ではハチから名前が付けられていますが、フランス語では違う虫が由来になっています。フランス語でハチドリは「oiseaux-mouche」という名前なのですが、日本語にすると「ハエ・トリ」という意味になるんだそうです。
ハチとハエで、なんとなく印象が変わってくるので、日本語でもハエドリと呼んでいたかもしれないと思うとハチドリでよかったなと思ってしまいますね。

ハチドリはどうしてそこに住んでいるの?
ハチドリは熱帯や亜熱帯の森林に住んでいます。ですがたまに公園や人が住んでいる家の近くにも飛んできたりするようです。エサを求めてきているのかもしれませんね。
ハチドリは起きている間、常に動いて常にエサを食べている鳥です。ただ、夜は昼間の動きが嘘のように一切動かずにただ眠るのです。夜に寝るのは普通だと思われるかもしれませんが、ハチドリが行なっているのは普通の睡眠ではないのです。動物が冬の間に行う深い眠りのことを冬眠というのですが、ハチドリは毎晩、普通の睡眠ではなくとても深い眠りの「冬眠」をしているんです。
エネルギーというのは体の体温が上がると代謝が良くなり、消費されていってしまいます。それを防ぐためにハチドリは眠っている間、体温を40度から18度になるまで下げ、エネルギーが消費されないようにしているんです。
昼と夜でこんなにも慌ただしさが違うんですね。小さい鳥ならではの対策なのかもしれませんね。
動物園でも飼われることがありますが、ミルクに砂糖やハチミツを混ぜたものを与えて飼育していても、野生より早くに亡くなってしまうそうです。
やはり自然が合っているんですね。

ハチドリは何を食べているの?
ハチドリは主に花の蜜を食べています。細長いくちばしは、花の蜜をとるのに適していて、そのくちばしで蜜を吸っているんです。本当に虫のハチのようですね。
花の蜜を食べることがほとんどですが、そこに集まる昆虫や虫も捕まえて食べることがあります。
ハチドリはずっと飛んでいて、足が退化しているので枝に立つことができませんが、どのようにして蜜を吸っているのでしょうか。
そもそもハチドリが蜜を吸うような花には太い枝がないので足があっても止まることはできません。そこでハチドリは「ホバリング」という飛び方をして安定して蜜を吸っているんです。最初にもお話ししましたが、ハチドリは高速に翼を動かすことで空中に止まることができます。この飛び方をホバリングと言います。ヘリコプターを思い浮かべるとわかりやすいかもしれません。空中で止まることで、くちばしを花の中に入れて蜜を吸うことができるのです。しかもこのホバリングは「前に進む・止まる・後ろに下がる」という行動が空中でできるんです。花がたくさん咲いているところだと、小回りのきく動き方だと効率よく蜜を吸えるのかもしれませんが、他の鳥では考えられないですよね。

ハチドリはどうやって増えるの?
ハチドリは種類によって繁殖(はんしょく)の時期が違ってきますが、ほとんどの種類が11月〜5月の間に繁殖期(はんしょくき)になります。
ハチドリはオスがメスにアピールするために求愛行動をとりますが、その求愛行動が種類によって変わってきます。ダンスをしたり、顔の羽をめいっぱい広げたり、顔から触手のようなものを何本か出してアピールしたり、飛んでいるところから急降下して尻尾の羽から音を出してアピールしたりと、少し変わっています。オスの方が色とりどりで光沢が強いのも、この求愛行動のためかもしれませんね。
無事に相手が見つかるとメスが枝の上に直径5〜6cmと、小さな巣を作ります。体が小さいのでこの大きさで十分なんでしょうね。そこにコーヒー豆ほどの卵を2個産むと、14日〜20日ほど温めます。無事に卵からヒナが産まれてくると、メスがエサを運んできて与えていきます。ただ、ここからが大変なんです。
普通の鳥と違って小さいので、天敵がとても多くなります。普通の鳥なら気にしない虫も天敵になってしまうのです。メスは目を離せませんが、エサをとってくるために離れなきゃいけないという毎日を送りながら育てていきます。
さて、お気づきでしょうか。巣作りから巣立っていくまでメスが全て行なっているんです。オスは何をしているのでしょうか。オスはたくさんのメスと繁殖(はんしょく)しているので、繁殖(はんしょく)が終わるとまた相手を探しにいくのです。
少し悲しい気もしますが、数を増やすためには大切なことなのかもしれませんね。

ハチドリはどうしてずっと蜜を吸っているの?
先ほどもお話ししましたが、ハチドリは起きている間、ずっとエサを食べています。小さい体なのにそんなにエサが必要なんでしょうか。
ハチドリは全ての動物の中で1番代謝の良い鳥なんです。心拍数は毎分1260回と言われているそうで、人間だとアスリートでもその10分の1の心拍数なんだそうです。どれだけ凄いのかがわかりますね。
そのために体から熱が逃げやすく、エネルギーを常にとって羽を速く動かして運動しなければ生きていけないのです。
花の蜜は代謝でブドウ糖になります。それがエネルギーになるのですが、この流れを人間に置き換えてみます。人間だと糖分がブドウ糖に変わるまでに少し時間がかかります。そして体に入れた糖分がエネルギーになるのは最大30%ほどなんです。
一方ハチドリは、食べた糖分がすぐにエネルギーに変わり、全ての糖分をエネルギーに変えることができるんです。
ハチドリは飛ぶために花の蜜を吸い、花の蜜を吸うために飛んでいる、ということなんです。なので夜は冬眠してエネルギーを使わなくても良いようにしているんですね。

ハチドリは目が良いって本当?
ハチドリは視力もいいですが、何より視覚が発達しているんです。
自然の中でホバリングの状態を保つために、自分がどの位置で、花がどこにあって、風がどのように吹いていて、敵がどこにいるのか、一瞬でわかってしまうのです。そのために、風が急に吹いたり複雑な風の向きになっても、その度に翼の方向をすぐに変えてホバリングの状態を保つことができるのです。
体が小さいということは敵も多くなるので、自分を守るために発達した能力なのかもしれませんね。

ハチドリは種類によってくちばしの形が違うの?
ハチドリは種類が多いので、いろんな羽の色をしていたり体の大きさが変わってきたりしますが、くちばしの形もそれぞれ違います。それはなぜなのでしょうか。
食べる花の種類が違うからです。ハチドリはそれぞれ、1種類の花の蜜しか食べません。なのでその花の蜜を取りやすいように、くちばしも違ってくるのです。花びらが大きく、蜜のある場所まで遠い花の蜜を食べるハチドリは、とても長いくちばしだったり、花びらから蜜まで90度に曲がった花の蜜を食べるハチドリは、そのくちばしも90度に曲がっているんです。
このように1種類のハチドリが1種類の花の蜜を食べることによって、他の種類のハチドリとケンカしないようにしているんです。ハチドリの数を減らさないためには大事なことですね。
花もただ蜜を吸われているだけではありません。
ハチドリが同じ花の蜜しか吸わないということは、同じ種類の花粉を移動したときに持ってきてくれるということなんです。花も花粉が欲しいので、特定のハチドリを誘うために形や色、においを出したりしてきてもらっているんです。
ハチドリと花はwin-winの関係なんですね。

ハチドリは幸せを呼ぶ鳥なの?
ハチドリは昔から存在していた鳥で、色も鮮やかであることから色々な神話に登場してきます。
ネイティブアメリカンではハチドリに関する神話が特に多く、幸せを呼ぶ鳥として言い伝えられています。森で火事が起きたとき、その森に住んでいたたくさんの動物は逃げましたが、ハチドリだけは川の水をくちばしに含んで火にかけていました。それを見たジャガーは、そんな少しの水でどうにかなるわけないだろと、バカにしていましたがそんなことはお構いなしに必死に水を運んでいました。その姿を見た他の動物も手伝うようになったのです。このお話は例え絶望の中にいたとしても、気持ち次第でいくらでも希望を見つけられる、ということを教えています。
他にも、大きな悲しみの中にいる人がハチドリを見るとそこから抜け出せたり、星に輝きを与えて暗い夜空を明るくしてくれた鳥とも言い伝えられていて、神のような印象になっています。
また、ハチドリは「愛の鳥」とも言われていて、求愛行動が独特なのでそう呼ばれていることもあるのですが、このように愛の深い言い伝えから「愛の鳥」と呼ばれているのかもしれませんね。

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ハチドリ 種類

ハチドリはとても種類が多いので一部紹介していきます。
- シロエリハチドリ
- トパーズハチドリ
- カマハシハチドリ
- カギハシハチドリ
- アゴヒゲハチドリ
- ユミハシハチドリ
- キリハシハチドリ
- アオミミハチドリ
- スミレセンニョハチドリ
- マルオハチドリ
- アオノドマンゴーハチドリ
- オウギハチドリ
- ミドリアシゲハチドリ
- ムナグロワタアシハチドリ
- ニジハチドリ
- ブロンズインカハチドリ
- シロエンビハチドリ
- ヒノマルテリハチドリ
- アメシストテンシハチドリ
- ベニイタダキハチドリ
- カンムリトゲオハチドリ
- ホオカザリハチドリ
- アオフタオハチドリ
- エクアドルヤマハチドリ
- トゲハシハチドリ
- ミドリフタオハチドリ
- ズアカコバシハチドリ
- エメラルドテリオハチドリ
- ノドフサハチドリ
- ルリノドシロメジリハチドリ
- ハリオハチドリ
- アメシストハチドリ
- ノドアカハチドリ
- アンナハチドリ
- フトオハチドリ
- エンビヒメエメラルドハチドリ
- クサビオケンバネハチドリ
- ワタラハチドリ
- メキシコモリハチドリ
- オジロハチドリ
- オジロエメラルドハチドリ
- オウゴンサファイアハチドリ
- ルリノドハチドリ
- アカハシハチドリ
- マメハチドリ
- オオハチドリ など
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