
グッピーと言えば有名な熱帯魚で、多くの人が知っているのではないでしょうか。さまざまな色を持つ体、大きく広がる美しい尾びれ、グッピーは魅力がたくさん詰まった熱帯魚です。
しかし、生態をよく知らない人も多いはず。そこで今回は、グッピーの秘密を紹介します。ぜひ一緒に見ていきましょう。
Ads
〜基本情報〜
条鰭綱(じょうきこう)カダヤシ目カダヤシ科グッピー属
体長 オス:3-4cm メス:5-6cm
グッピーは外見の美しさから、観賞用の熱帯魚として不動の人気を誇る魚です。丈夫で飼育が比較的容易なため、熱帯魚における入門的な種類と言えます。
日本では外来種にあたり、原産はベネズエラやギアナ、コロンビア、トリニダード・トバゴです。流れが穏やかで、温かい河川や水路に生息してます。また、水質汚染や塩分に対する耐性が高く、下水溝や淡水と海水が混じる汽水域でも見られます。
ただし、日本で外国産として販売されている個体は原産地で採集されたものより、東南アジアなどで繁殖されたものが主流です。日本では帰化(きか)した外来種とされ、沖縄や温泉街の用水路で野生化しています。
グッピーはオスのほうが、色や形が派手です。背びれと尾びれが大きく広がり、特に尾びれは不規則な形の旗のように見えます。
また、胴体の側面と尾びれに斑点(はんてん)模様がでて、一部は光沢を帯びています。この斑点は個体差が大きく、親兄弟とも違うパターンがあるほどです。

体色もブルーやゴールド、アルビノのようにさまざまで、単色や複数色を持つ個体もいます。繁殖した際にどんな稚魚(ちぎょ)が産まれてくるのか、変化を楽しめますね!
なお、グッピーの大きな特徴である尾びれには、さまざまな色や形状があります。形状は、三角形に広がるデルタテールが一般的です。しかし、楕円形(だえんけい)のラウンドテールや尾びれの中央が伸びるピンテールが人気です。ほかにも、尾びれの上下あるいはどちらかが長く伸びるタイプもあります。
尾びれの色は体色と同様に多様で、ソリッドと呼ばれる単色とマルチカラーと呼ばれる多色が見られます。
グッピーを飼育する魅力
グッピーの魅力は、やはり鮮やかな見た目です。綺麗な色づかいや尾びれの形状を眺めるだけではなく、繁殖することで子どもがどのような変化を遂げるか楽しむこともできます。
一方で、狙い通りの色や形状を引き継がせるのは非常に困難。親同士だけではなく、数世代の遺伝的特徴を考慮しなければなりません。
しかし、その困難さも魅力のひとつで、熱帯魚の飼育は「グッピーに始まりグッピーに終わる」と言われるほど奥深いものです。自分の期待していたグッピーが誕生すれば、それまでの苦労もひとしおですね。
グッピーの飼育に適した環境
グッピーは尾びれが大きいため、泳ぎが得意でない場合も多く見られます。したがって、水槽(すいそう)はできるだけ広いほうが好ましく、複数飼育するのであれば60cmほどが良いとされています。
しかし、水槽が大きくても、遊泳できるスペースが確保されていなければ意味がありません。
強い水流はストレスとなる恐れがあるため、フィルターからの排水によって強い流れが発生しないように気を付けましょう。さらに、水草を植える場合は、グッピーの遊泳スペースを確保するのと同時に葉の硬さにも気を付けなければなりません。
葉が硬いと遊泳中に体をこすってしまい、傷つける恐れがあります。
グッピーを飼育する際の注意点
グッピーは、非常に繁殖力の高い魚です。あっという間に繁殖し、気付けば水槽が手狭だったという事態も起こりえます。
しかし、グッピーは要注意外来生物に指定されているため、安易に放流してはいけません。どんな生き物でも変わりませんが、飼育するなら最後まで責任を持たないといけませんね。

Ads
グッピーのQ&A
グッピーの名前の由来は何?
グッピーの名前は、2番目の発見者である植物学者レクメア・グッピー氏にちなんで、名付けられました。
また、グッピーの学名は「ポエキリア・レティキュラータ」といい、これは3番目に発見した魚類学者ヘル・ペテルズ氏が名付けています。
最初に発見したスペインのド・フィリポ氏はグッピーをレビステス・ポエキロイデスと名付けましたが、レビステス属がポエキリア属に編入されたため、「ポエキリア・レティキュラータ」となりました。
ちなみに、和名はニジメダカですが、あまり一般的ではありませんね。

グッピーはどうしてそこに住んでいるの?
グッピーは、低温の水は苦手なので、水温の温かい河川や水路に生息します。もともと温かい地域が原産で、日本でも寒い地方では見られません。
外来種であるものの沖縄や温泉街の一部で野生化しており、水路で見られることもあります。また、水質汚染や塩分に対する耐性が高いため、多少環境が悪くても問題ありません。
見た目の美しさとは裏腹に、強靱なからだを持っているのです。

グッピーは何を食べているの?
グッピーは雑食性なので、なんでもよく食べます。野生であれば藻(も)類や小動物、家庭排水の有機物も捕食します。
飼育環境では、人工飼料を中心に、ブラインシュリンプやアカムシといった生き餌(いきえ)が好物です。
ちょっと怖いのは、出産したての稚魚を親が食べてしまうところ。なかなか衝撃的なシーンですね。

グッピーに繁殖期がないって本当?
現代のグッピーは品種改良が進み、繁殖期と呼ばれる期間は失われました。つまり、通年で繁殖が可能で、オスとメスを飼育していればそれだけで繁殖してしまいます。グッピーの繁殖力が高いと言われる所以(ゆえん)でもありますね。
繁殖の兆候として、メスのお腹が大きくふくらみます。これは卵胎生魚(らんたいせいぎょ)と言われるグッピーの特徴で、お腹の中で卵を育て、ふ化してから出産するからです。
また、オスがメスを追いかけるように泳ぐのも、繁殖の兆候(ちょうこう)と言われています。

グッピーに似ている生物はいるの?
日本になじみの小型魚類であるメダカは、グッピーとやや近い種類と言えそうです。体型がよく似ており、適温も一部共通しているため、水槽での混泳が可能です。
ただし、もちろん異なるところもあります。
ひとつ目は、性別による体型の違いです。グッピーはオスとメスで体型や見た目が変わりますが、メダカのオスとメスに違いはほぼありません。


ふたつ目は、産卵方法の違いです。グッピーはメスのお腹の中で卵を育て、ふ化し、稚魚を「出産」します。一方で、メダカは卵を藻に産み付ける「産卵」をします。
さまざまな品種改良がされている点で共通しており、どちらも愛着が湧きやすい観賞魚と言えますね。
グッピーの繁殖が問題になっているって本当?
グッピーは多少劣悪な環境でも生活できるうえ、繁殖力が高いため、生態系を破壊してしまう例がいくつも見られます。アメリカやオーストラリアでも、グッピーが在来種(ざいらいしゅ)の魚類を駆逐して、生態系を脅かしています。
また、日本も例外ではありません。童謡「めだかの学校」で取り上げられるメダカは、日本中で目にするポピュラーな魚でしたが、現代で見かけることは少なくなりました。
そのひとつの理由として「カダヤシ」と呼ばれる外来種が、メダカの生息域を脅かしたからです。そして、現代ではグッピーがカダヤシに取って代わっています。

環境省によって要注意外来生物に指定されており、自然界へ放流はしないように警告されているほどです。
Ads
グッピーの種類
■外国産
- レッド・モザイク
- グリーン・グラス
- ブラック・タキシード
- フラミンゴ
■日本産
- ドイツイエロー・タキシード
- キングコブラ
- アルビノ・レッドテール(ルチノー)
- オールドファッションファンテール
- ピングー
- レッドモザイク
- ブルーグラス
- イエローグラス
- ウィーンエメラルド
- ネオンタキシード
- アクアマリン(ジャパンブルー)
- RRE.Aアクアマリンネオンタキシード
- ギャラクシーブルーグラス
- レッドグラス
参考文献
Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/グッピー
TOKYO AQUQ GARDERN
https://t-aquagarden.com/column/guppy_breeding
スペクトラム ブランズ ジャパン 株式会社
https://spectrumbrands.jp/article/aqua/guppy01/
株式会社キョーリン
https://www.kyorin-net.co.jp/tropical/tr_about_02.html
国立研究開発法人 国立環境研究所 侵入生物データベース
https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/50240.html
コトバンク
https://kotobank.jp/word/グッピー-55600
アクアぴあ #水槽のある暮らし
https://aquarium.piapia.work/the-guppy-breeders-are-beautiful-stout-tally-friendly-tropical-fishes/
アクアリウム情報サイト トロピカ
https://tropica.jp/2017/09/24/post-6388/
Dear Geneticist
http://dear-geneticist.jp/origin.html