モルモット
モルモット
モルモット
まんまるの体につぶらな瞳を持つかわいいモルモットは、ペットとしても人気の高い動物です。 動物園のふれあいコーナーでさわったり、抱っこしたりしたことがある人もいるのではないでしょうか? 身近な動物であるモルモットですが、実は意外と知られていない歴史や秘密を持っている動物でもあります。 それではモルモットにはどんな特徴や秘密があるのか、一緒にのぞいていきましょう!
モルモット 基本情報
哺乳綱ネズミ目(げっ歯目)-テンジクネズミ科-テンジクネズミ属
体長20~40cm 体重500g~1.5Kg
モルモットは野生のテンジクネズミを家畜化(かちくか)した動物なので、野生には存在しません。またテンジクネズミの仲間は種類が多く、どのテンジクネズミがモルモットの祖先なのか今もはっきりとわかっていません。しかしおそらく「パンパステンジクネズミ」と「ペルーテンジクネズミ」が誕生に関わっているのではないかと考えられています。
野生のテンジクネズミは南アメリカ(南米)のペルー、ボリビア、アルゼンチン、チリなどの草原や森林、岩場などに生息しています。そして天敵から身を守るために地面に巣穴を掘り、5~10頭の群れで草の葉や茎、根などを食べて暮らしています。テンジクネズミは夜行性で夕暮れから夜にかけて行動しますが、人間に飼われているモルモットは飼い主の生活リズムに合わせて昼間活動することが知られています。
かつて南アメリカではモルモットを食べるため、また儀式の生贄(いけにえ)にするために飼っていました。実は今もお肉にするためにたくさんのモルモットが飼われていますが、逃げ出して野生化してしまった個体も少なくないといわれています。
モルモットはペットとしても人気の動物
モルモットはウサギやハムスターと同じように、ペットとしても人気のある動物です。
モルモットは基本的に大人しく、飼いやすい動物です。 ハムスターやデグーなどよりやや体が大きいこと、あまりジャンプ力がないことから脱走の心配が少ないという点もモルモットの飼いやすいポイントだといえるかもしれません。
しかしモルモットは基本的にトイレを覚えないため、毎日ケージを掃除する必要があります。またオシッコの臭いが意外と強い、ということも覚えておくと良いでしょう。
家で飼う時は何をあげたらいいの?
モルモットには牧草(チモシーやイタリアンライグラスなどのイネ科植物)を中心に、モルモット用のペレットと野菜(果物)をあげます。
モルモットは人間と同じで、体の中でビタミンCという栄養素を作ることができません。そのため必ずビタミンCが入ったモルモット専用のフードか、小動物用のビタミンCサプリメントをあげてください。
ほとんどのモルモットは野菜や果物が好きですが、モルモットが元気で暮らすためには牧草をたくさん食べることが大切です。野菜や果物はたくさんあげずに、牧草をなるべくたくさん食べさせる工夫をしてあげてください。
飼育する環境について
モルモットは基本的に、小動物用のケージで飼います。 ケージは金網(かなあみ)タイプの物でも水槽(すいそう)タイプの物でも構いませんが、なるべく広い物を選んであげてください。モルモットはハムスターやシマリスと違って高いところに登らないので、ケージは高さより広さで選ぶことをおすすめします。またモルモットは暑さとじめじめした湿度が苦手なので、ケージは風通しの良いところに置いてあげてください。
先ほども書きましたがモルモットはトイレを覚えないことが多く、また体の大きさの割にオシッコとウンチの量が多めです。ケージには掃除がしやすいように、プラスチック製のすのこを敷いておくとよいでしょう。
なおモルモットは1匹でも飼えますが、もともと群れで暮らす動物であることから複数で飼った方が良いとされています。
その他の注意点
草食動物であるモルモットの歯は人間と違って、生きている間ずっと伸び続けます。 歯は牧草をたくさん食べていれば自然にすり減っていきますが、牧草を食べる量が少ないと上手くすり減らずに伸び続けてしまいます。またケージをかじったり高い所から落ちたりすると歯の根っこに負担がかかってしまい、不正咬合(ふせいこうごう)という状態になってしまうこともあります。
歯が伸びすぎたり不正咬合になったりしてしまうと、モルモットは上手にエサを食べられなくなってしまいます。そうなってしまうと獣医さんに歯を切ってもらわなければならないため、日頃から歯の状態をよく確認するようにしてください。
また爪も意外と伸びるので、定期的に爪切りをしてあげてください。
モルモット Q&A
モルモットの名前の由来って何?
モルモットがなぜモルモットと呼ばれるようになったのか、その名前の由来にはいくつかの説があります。
1つ目は北アメリカやアジア、ヨーロッパに生息するリス科の動物「マーモット」と見た目が似ていたため間違えて名付けられてしまったという説です。2つ目は江戸時代にモルモットがオランダから日本に輸入された時、オランダ人がその動物のことを「マルモット」と呼んでいたのがなまってモルモットになったという説です。
現在のところどちらかの説が正しいのか、あるいはどちらも間違っているのかはっきりとしたことはわかっていません。しかし日本以外の国でモルモットといっても通じないため、モルモットが日本にやってきた時に何かが起きたのかもしれません。
ちなみにモルモットは英語で「ギニアピッグ」(Guinea pig)と呼ばれています。「ギニア」という部分はこの動物がヨーロッパに初めてやってきた時、アフリカ大陸にある国・ギニアから来たと思われたことから付けられたようです。「ピッグ」はブタという意味で、モルモットがブタに似た体型をしていること、お肉が豚肉のような味をしていること、ブタのような鳴き声をすることから“ギニアから来たブタのような動物”ということでこの名前が付けられたといわれています。
モルモットとハムスターにはどんな違いがあるの?
よくペットとして飼われているモルモットとハムスターは同じネズミ目の動物ですが、どんな違いがあるでしょうか?
まずは体の大きさを比べてみましょう。 ハムスターは種類が多く、種類によって体の大きさが異なります。ペットとしてよく飼われているジャンガリアンハムスターの体長は8.5cmほど、ゴールデンハムスターでも体長14.5cmほどなので、体の大きさは基本的にモルモットの方が大きくなります。ただし「クロハラハムスター」というハムスターの最大種は体が大きく、体長が30cmほどになります。
次は足に注目してみましょう。 ハムスターは前足で物をつかむことができますが、モルモットは前足で物をつかむことができません。またハムスターは後ろ足で立ち上がることができますが、モルモットは後ろ足だけで立ち上がることはできません。
またその他の違いとしては、ほお袋があげられます。 ほお袋はほおの内側にある、食べ物を詰めて持ち運ぶための器官(きかん)です。ハムスターにはほお袋がありますが、モルモットにはほお袋がありません。
モルモットはカピバラに近い動物って本当?
本当です。 モルモットはたくさんいるネズミの仲間の中でも、「テンジクネズミ科」というグループに分類される動物です。このテンジクネズミ科の仲間には世界で一番大きなネズミ「カピバラ」や、足が長くてうさぎに似ている「マーラ」などがいます。
体重が50~60Kgにもなるカピバラと、人間のひざに乗るサイズのモルモットが近い動物だと考えると面白いですよね。
モルモットにはなぜしっぽがないの?
意外と知られていませんが、実はモルモットにはしっぽがありません。モルモットにしっぽがない理由は今もはっきりとわかっていませんが、しっぽの役割を考えるとその理由が少しだけ推測(すいそく)できます。
動物のしっぽには高いところを歩く時や早く走る時などにバランスをとる、体に巻き付けて寒さをしのぐ、振り回して虫を追い払うなどいろいろな役目があります。ネズミは高いところに登るため細くて長いしっぽがありますが、モルモット(テンジクネズミ)は地面や地面に掘った穴で暮らして高いところに登ることがありません。
モルモットにとってしっぽは特に必要が無いものだったことから、進化する中でいつの間にか退化してしまったのだと考えられます。
モルモットは前足と後ろ足で指の数が違うって本当?
本当です。 モルモットの指の数は前足が4本で後ろ足が3本で、意外とするどい爪が生えています。 足の裏にはつま先からかかとまで毛が生えていませんが、これは滑り止めの役割を果たしていると考えられています。
モルモットの性別はどうやって見分ければいいの?
モルモットはオスもメスも見た目や体の大きさがほとんど変わりません。ではどうやって性別を見分ければ良いのでしょうか?
性別を見分けたい時はまず生殖器(せいしょくき)に注目してみましょう。よく見るとオスの生殖器には睾丸(こうがん)のふくらみがあり、メスはふくらみがない代わりにY字型の線があります。この違いは子どものうちは特に判別が難しいため、自分で見分けることが難しい時は動物病院の獣医さんに調べてもらうと良いでしょう。
次にウンチの形を見てみましょう。モルモットのウンチは細長い形をしていますが、実はオスとメスでウンチの形が違うことが知られています。オスのウンチはバナナのように少しだけ湾曲(わんきょく)していますが、メスのウンチはまっすぐで俵(たわら)のような形をしています。微妙な違いですが、並べて見ると意外と違いがあることがわかります。
モルモットはあっという間に繁殖して子どもを産んでしまうので、子どもが欲しい時以外はオスとメスを同じケージに入れないように気を付けてくださいね。
動物園のモルモットはどんな物を食べているの?
モルモットは動物園でもよく飼われています。では動物園で飼われているモルモットは、どんな物を食べているのでしょうか?
動物園で暮らしているモルモットはチモシーなどの牧草を中心に、草食動物用のペレットとキャベツやニンジンなどの野菜を食べています。なるべくたくさんの水分を取ってもらうために、野草や生の牧草などをあげている動物園もあります。
動物園の飼育員さんはモルモットが見分けられるの?
多くの動物園では、ふれあいコーナーでたくさんのモルモットを飼っています。モルモットの中には同じような模様や色の個体がたくさんいますが、動物園の飼育員さんはモルモットを見分けられるのでしょうか?
実はモルモットを担当している飼育員さんは、モルモットの顔や模様を見ただけですぐに名前がわかります。もちろん最初はモルモットを見分けることは難しいのですが、毎日お世話をしていくうちに少しずつ見分けられるようになっていきます。
毛が無いモルモットがいるって本当?
本当です。 モルモットにはたくさんの品種がありますが、「スキニーギニアピッグ」という品種のモルモットにはほぼ毛が生えていません。
スキニーギニアピッグは少し変わった見た目をしているモルモットですが、抜け毛が少ないため動物の毛にアレルギーがある人でも飼える可能性があるといわれています。ただし毛がない分寒がりで皮膚も弱いので、飼育の難易度(なんいど)は他のモルモットより高めです。
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モルモット 種類
・イングリッシュ ・テディ ・アビシニアン ・クレステッド ・レックス ・ペルビアン ・シェルティ ・コロネット ・テクセル(テッセル) ・スキニーギニアピッグ など
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モルモット 参考文献
- 霍野 晋吉、横須賀 誠(2019年)『カラーアトラスエキゾチックアニマル 哺乳類編 増補改訂版 ─種類・生態・飼育・疾病─』緑書房
- 日東書院本社(2011年)『小動物の飼い方図鑑 (ワイド版・動物図鑑シリーズ)』河野 朝城
- 市川市動植物園「ちょっとおもしろいはなし」 http://www.city.ichikawa.lg.jp/zoo/0329.html
- Yahoo Japan「クロハラハムスター」 https://kids.yahoo.co.jp/zukan/pet/smallanimal/rat/0019.html
- よこはま動物園ズーラシア「モルモットのうんち」 http://www.hama-midorinokyokai.or.jp/zoo/zoorasia/details/pakapaka6.php
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