アカゲラ

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「アカゲラ」という名前の鳥を知っていますか?「キツツキ」と聞くと思い浮かべやすいでしょうか。
そうです。そのキツツキの代表とされる鳥がアカゲラなのです。
一般にキツツキと言われる鳥には「ゲラ」や「ケラ」という名前がついていて、キツツキという鳥はいないのです。
名前の由来も気になるところですが、その生態についても紹介していきます。

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〜基本情報〜

鳥綱(ちょうこう)キツツキ目キツツキ科アカゲラ属

全長:20〜24cm (翼を広げると38〜44cm)

体重:66〜98kg

アカゲラは世界中に住んでおり、ヨーロッパや北アフリカ、ロシアやモンゴル中国にも住んでいます。日本でもとてもよく見られますが、その多くは北海道に暮らしています。本州でも見ることができますが、九州沖縄では見ることができません。

アカゲラの体には赤・白・黒の3色が見られ、その配色は絵画のようでとても美しいです。背中の白い斑点と、肩の背中に逆八の字の白い模様がついているのが特徴です。

この配色は、オスとメスで少し違いがあり、オスは頭が赤く、メスは頭が黒いのですぐに見分けがつきますね。

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不思議なことに、赤ちゃんは生まれた時から性別関係なくどちらも頭が赤く、成長とともにメスの頭だけが黒くなっていくのです。

アカゲラの爪は長く、とても丈夫にできています。

また、尾の見た目は他の羽と同じように柔らかそうな見た目をしていますが、実際はしっかりとしていて固く軸も太いです。

この爪で木を掴み、尾で体を支えて木に垂直に止まることができ、なおかつ木を突くことができるのです。

キツツキとして描かれた絵や、アニメーションを見たことがある方も多いと思いますが、よく、木に垂直に止まり、コンコンと突いている姿が有名ですよね。

あの姿で突くことができるのはこの爪と尾のおかげなんですね。

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アカゲラのQ&A

アカゲラの名前の由来は?

冒頭でもお話しした通り、キツツキの仲間は全て「ゲラ」や「ケラ」という名前が入っています。

キツツキの仲間は、古い木を突いて穴を開けるのですが、古い木造のお寺も突いてしまうことから「テラツツキ」と呼ばれるようになったそうです。そこから「ケラツツキ」と変化していき、「ケラ」または「ゲラ」という名前が全てのキツツキに付けられたそうです。

アカゲラの場合、「アカ」の部分はオスの頭の赤い色から付けられているそうです。きれいな赤色は目を引くのでぴったりな名前ですよね。

出典:https://unsplash.com/photos/OJq8_EQn0eM

アカゲラはどうしてそこに住んでいるの?

アカゲラは一般的には木が多い森林に住んでいますが、北海道に行くと公園などでも見られるほど身近な鳥です。

古い木や、枯れかけている木を突いて穴を掘り、そこを巣にします。直径4cm、深さ30〜45cmもの穴を作るのですが、ここにずっと住み続けるわけではないのです。

なんと毎年新しい巣を作っています。小さな体でこんなに大きな穴を作るのは、とてもきつい作業だと勝手に思ってしまうのですが、天敵から身を守るためには必要なことなのです。

ラッキーなことに敵に見つからなければ1年で新しく作り替え、敵に見つかってしまったり、その危険性があると感じた時にはすぐに新しい場所に巣を作り直します。

自分達や子どもたちの命をこのような工夫で守っているんですね。

そしてその習性は、森に住む他の動物の役にも立っています。

自分では穴を掘れない、シジュウカラやリス、ヤマネやコウモリなどがアカゲラの掘った穴を巣にしてるのです。すぐに引っ越してしまうのに、とても良い穴を作ってくれているアカゲラは森の動物たちにとっては大事な大工さんですね。

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アカゲラは何を食べているの?

巣を作るときだけではなく、ご飯を食べる時にもアカゲラのくちばしは役に立ちます。

くちばしで木の皮を剥ぎそこに住んでいる昆虫や、穴を開けて中に住んでいる昆虫などを舌を使って器用に取ります。

主に木に住んでいるカミキリムシやクモ、その幼虫などを食べますが、地上にいるアリなどを食べることもあるそうです。

虫だけではなく木の実も大好物で、こちらもくちばしを使ってもぎ取り、中の食べられる種子だけを取り除いて食べるそうです。とても器用ですね。

出典:https://unsplash.com/photos/r4lpIzqJuFs

アカゲラは「森の番人」と呼ばれているって本当?

アカゲラだけではなく多くのキツツキ類が森を守ってくれる「森の番人」と呼ばれています。どういうことなのでしょうか。

その理由は、キツツキ類が森に悪い影響を与える「害虫」と呼ばれる虫を食べてくれるからなのです。

その中でもアカゲラは「マツノマダラカミキリ」という虫の幼虫を駆除するのが得意なのですがその虫が与える影響とは一体何なのでしょうか。

日本の代表でもある松の木を枯らしてしまう害虫がいます。その名も「マツノザイセンチュウ」。そのマツノザイセンチュウを運んできてしまう厄介な虫が「マツノマダラカミキリ」なのです。

幼虫の時に駆除してくれると、マツノザイセンチュウを運ぶ成虫もいなくなり、森が守られるということなのです。

実際に松の木が被害に遭っている森に、アカゲラ用の巣箱を設置したところ害虫の90%以上がいなくなったという例もあるそうです。

アカゲラは森の住人や木にとってなくてはならない存在ですね。

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アカゲラはドラミングをするって本当?

アカゲラや他のキツツキ類もドラミングと呼ばれる行為をしますが、まずはドラミングについてお話しします。

ドラミングとは動物が鳴き声以外の方法で音を鳴らす行為で、ゴリラが胸を叩いて威嚇する行動もドラミングと呼ばれています。キツツキ類のドラミングはくちばしで木を突いて出す音のことを言います。

アカゲラがこのドラミングをするときは、つがいになる異性に見つけてもらう時や、縄張り争いで威嚇する時、あとは夫婦が子守りの交代をする時の合図などに使われています。

ドラミングや巣作りなどで多い時には1秒間に20回も木を突くことがあるそうです。

ですがそんなに突いて脳や首への影響が心配になりますが、そこは安心してください。

アカゲラのくちばしと脳を守っている頭蓋骨が繋がっているので、上手く振動が分散されて一部に大きく衝撃が加わることがないようです。くちばしの根元の骨が太く、厚いことも体の内部に衝撃があまり行かない助けになっているようです。

また、舌の筋肉が鼻から頭蓋骨を一周して舌の根元と繋がっていて、筋肉が頭を守ってくれています。

このような体の構造のおかげで、木を突いても体に影響がないんですね。

出典:https://pixabay.com/videos/id-3285/

アカゲラはどうやって赤ちゃんを育てているの?

アカゲラは単独か夫婦で行動する鳥で、産卵の時期は巣穴に卵を4〜6個産み落とします。

お父さんとお母さんは交代で卵を温め、孵化するのを待ちます。2週間ほどで卵が割れ、やっとお父さんとお母さんに会えるのです。

卵からかえって約20日で飛び立つのですが、その間ずっと巣穴の中で暮らしています。ご飯はお母さんとお父さんが取ってきてくれるので、巣穴の中ですくすくと大きくなっていきます。特に飛ぶ練習などはしないまま、急に飛び立っていくそうで、いつ練習しているのか不思議ですね。本能で飛べるようになっているのかもしれません。

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アカゲラに天敵はいるの?

森の番人とまで呼ばれているみんなを守ってくれるアカゲラにも、残念ながら天敵はいます。

同じ鳥類のオオタカや、ハイタカなどの大きくて強い鳥です。同じ鳥を食べてしまうのは悲しいですね。

ただ、最も危険なのは大人のアカゲラより、赤ちゃんのアカゲラです。

オオタカやハイタカはもちろん、カラスやヘビも穴をほじくって襲ってくるのです。赤ちゃんは自分を守る術をまだ持っていないので、抵抗することができず狙われることが多いようです。

アカゲラは人間たちの家に穴を開けてしまうって本当?

アカゲラは森や木を守ってくれる存在ですが、人間にとって困ったこともあるようです。

アカゲラは古い木に穴を開けてしまいますが、木造の家屋などにも穴を開けてしまいます。名前の由来でもお話ししましたが、神社などがその被害を多く受けていて、文化財指定の建物にまで穴を開けてしまっているのです。

ただ、アカゲラは狩猟が禁止されているので今のところの対策としては壁にネットを張ることぐらいしかできません。家の外観も変わってくるので悲しいですが、こちらが自然にお邪魔していると考えて、我慢するしかないのかもしれません。

出典:https://pixabay.com/images/id-2288207/

アカゲラって妖怪なの?

「今昔画図続百鬼」という画集に「寺つつき」という妖怪が登場してきます。

この寺つつきは聖徳太子に敗れた物部守屋(もののべのもりや)が寺つつきに化けて現れ、聖徳太子が建てた四天王寺に穴を空けて壊したと言われているそうです。

その寺つつきこそが、アカゲラだったと言われています。

昔からアカゲラの被害があったのかもしれませんね。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:SekienTeratsutsuki.jpg

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アカゲラの種類

アカゲラと同じように「ゲラ」と付く仲間を紹介していきます。

・コアカゲラ

・オオアカゲラ

・エゾアカゲラ

・エゾオオアカゲラ

・オーストンオオアカゲラ

・ナミエオオアカゲラ

・カオジロアカゲラ

・ハヂロアカゲラ

・チャバラアカゲラ

・コモンアカゲラ

・ムナフアカゲラ

・キバラアカゲラ

・ヒマラヤアカゲラ

・カタヂロアカゲラ

・ヒムネアカゲラ

・ハシブトアカゲラ

・コゲラ

・ハイガシラコゲラ

・マレーコゲラ

・フィリピンコゲラ

・チャガシラコゲラ

・セレベスコゲラ

・エゾコゲラ

・ミヤケコゲラ

・シコクコゲラ

・ツシマコゲラ

・アマミコゲラ

・キュウシュウコゲラ

・リュウキュウコゲラ

・オリイコゲラ

・ノグチゲラ

・ハイビタイゲラ

参考文献

Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/アカゲラ

サントリーの愛鳥活動
https://www.suntory.co.jp/eco/birds/encyclopedia/detail/4521.html

森と水の郷あきた
http://www.forest-akita.jp/data/bird/35-akagera/aka.html

CANON BIRD BRANCH PROJECT
https://global.canon/ja/environment/bird-branch/photo-gallery/akagera/index.html

北海道札幌の自然
http://miyanooka1.sakura.ne.jp/akagera.html

コトバンク
https://kotobank.jp/word/アカゲラ-24282

目に見えるいきもの図鑑
https://orbis-pictus.jp/article/akagera.php#:~:text=アカゲラの生態,つついて餌を探す。

日本の野鳥識別図鑑
https://zukan.com/jbirds/internal15311

キツツキ対策・キツツキ除け
https://bouffier.biz/kitutuki/

丹波新聞
https://tanba.jp/2019/05/神社の壁に無数の穴 忍び寄るキツツキ被害/

上州自然散策3
https://itohnori3.exblog.jp/29554045/

動物JP
http://xn--hhru84e.jp/akagera/

アイキャッチ画像
https://pixabay.com/images/id-915417/