グレート・デーン

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別名「優しい巨人」ともいわれ、2022年には世界一背の高いイヌとしてギネス記録になったというイヌ。それが今回ご紹介する「グレート・デーン」です!
ギネス記録に認定されるくらいなので、とにかく体が大きい!という印象で有名なグレート・デーン。
遠目だと小型のウマっぽく見えるため、「なんだか背中に乗れそう!」なんていわれたり、いわれなかったりするそうです。
もちろん危ないので乗ることはできませんが、大きい!大きい!といわれ続けているグレート・デーンには、他にどんな秘密が隠れているのでしょう?
一緒に探ってみましょう!

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~基本情報~

原産国 ドイツ

体高 オス:76~81cm メス:71~76cm

体重 オス:64~79kg メス:50~64kg

グレート・デーンはイングリッシュ・マスティフ、そして今では絶滅(ぜつめつ)してしまったブレンバイザーと、同じく絶滅してしまった何らかのブルドッグ種との交雑(こうざつ)によって誕生したと考えられています。

グレート・デーンは持ち前の大きな体格を活かして、猟犬(りょうけん)や害獣(がいじゅう)対策の番犬として活躍し、自分と同じぐらい、あるいは自分より大きい害獣に対しても怯えることなく立ち向かって行きました。

その大きな体と強くて頼りがいのある性格から、上流階級(じょうりゅうかいきゅう)の人々にも愛され、グレート・デーンを飼うことが一つのステータスにもなっていたそうです。 現在では原産国であるドイツの他、広い庭と家を持つ人が多いアメリカでもグレート・デーンを飼う人が増えているようです。

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グレート・デーンのQ&A

グレート・デーンの名前の由来は?

「グレート」は大きい、「デーン」は直訳するとデンマークという意味になります。しかし原産国はドイツなのに、なぜデンマークの地名が使われているのでしょうか?

一説によるとデンマークを訪れたある学者が、まだ決まった名前がなかったこのイヌをグレート・デーンと紹介したのがきっかけで、この名前が広まったと考えられています。ちなみに原産国のドイツではドイチェン・ドッゲと呼ばれています。

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グレート・デーンのカラーバリエーションは?

ブラック、ブルー、フォーン、ブリンドル、ハールクイン(ホワイトベースの被毛にまだら模様に似た黒色が入っている)があります。

グレート・デーンは何グループ?

JKC(ジャパンケネルクラブ)やFCI(国際畜犬協会)のルールに従った分け方の場合、「第2グループ」になります。

番犬や警察犬、また人間と一緒に作業を行なう「使役犬(しえきけん)」として活躍しているイヌが所属しています。

第2グループの犬種は、番犬としての役割を担うことが多いため、大きくて強靭(きょうじん)、そしてたくましい体をもつ犬が多いのが特徴的です。

基本的に警戒心(けいかいしん)が強く、攻撃性も強い性格の持ち主ですが、自分の家族や飼い主に対しては愛情深く接し、従順で忠誠心(ちゅうせいしん)が高い一面もあります。 そのため飼育の際は、飼い主さんが第一位のリーダーであることを認識させる必要がありますが、しっかりと信頼関係を築ければ、とても頼りがいのあるパートナーになってくれることでしょう。

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グレート・デーンの外見はどんな感じ?

まず第一印象は「とっても大きい体!」といった感じのグレート・デーン。それもそのはずで、まず体高は平均80cmでこれは1歳ぐらいの子どもとほぼ同じ身長であり、体重は平均70kg前後と、成人男性1人分ぐらいに相当します。

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グレート・デーンはただ大きいだけでなく、引き締まった筋肉のボディラインはスタイルの良さを引き立てているため美しくもあり、どことなく感じる優雅(ゆうが)さに目を奪われる人も多いそうです。 顔つきは長頭種(ちょうとうしゅ)なのでマズル(口まわりから鼻先にかけて)が長く、マズルの長いイヌは中頭種(ちゅうとうしゅ)や短頭種(たんとうしゅ)に比べて、臭いの物質を吸着する器官面積が広いため、マズルの長いグレート・デーンは他のイヌよりもより嗅覚(きゅうかく)に優れているそうです。

出典:https://unsplash.com/photos/chRY27CFm5s

グレート・デーンの耳はなぜ2種類あるの?

本来グレート・デーンの赤ちゃんは、全て垂れ耳で生まれてきます。ところが、ピンと耳が立っている「立ち耳」のグレート・デーンも実は存在します。

ではこの違いは一体何なのか?結論からいうと、「断耳(だんじ、耳の先が立つように短く切ること)をしたか、していないか」の違いです。

そもそも断耳を行なう目的は、敵に耳を噛まれてケガをしないようにする、また獲物(えもの)を追いかけるとき耳を踏まれないようにするためといった理由があります。

ところがこれは昔の話で、今は番犬としてだけではなく、ペットとして飼う家庭も増えています。つまり、断耳をする理由が昔より薄れてきているのですが、昔からの名残や見た目がカッコイイから。という理由で現在でもグレート・デーンの断耳は行なわれています。

国によってはこの断耳を禁止していますが、日本での断耳は法律違反になりません。断耳は必ず動物病院で行ないますが、断耳はイヌにとっても苦痛を伴うため、病院よっては動物愛護の観点(かんてん)により断る場合もあるそうです。

本来の目的で断耳をするのではなく、見た目がカッコイイから!といった飼い主さんの都合で本当に断耳をして良いのだろうか?愛犬に痛くて辛い思いをさせてまで断耳をする理由があるのだろうか?

もしグレート・デーンを飼いたいと考えた方は、断耳についてもよく考えてみてください。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Great_Dane_black_laying.jpg

グレート・デーンは特定危険犬種に指定されているって本当?

本当です。日本の法律では定められていませんが、自治体(じちたい)によってグレート・デーンは特定危険犬種に指定されています。実際、日本でもグレート・デーンが噛みついて赤ちゃんが亡くなってしまうという、とても悲しい事故が起きてしまいました。

ですが、特定危険犬種は飼育禁止という訳ではなく、もし飼う場合は決められた県条例にそって飼育してくださいということです。

2022年時点このような県条例を定めているのは、茨城県と佐賀県、札幌市でした。

例を挙げると、

①上下四方(じょうげしほう)で囲んだ高強度のおりで飼うこと

②特定犬と書かれたステッカーを見やすい位置に貼ること

③万が一脱走したときは警察や保健所に連絡すること

④イヌはくさりやワイヤーなど丈夫なもので係留(けいりゅう、つないでおくこと)すること

⑤散歩のとき噛み癖のあるイヌは口輪をかけること

などがあります。自治体によってはルールが他にも存在する可能性があるので、もしグレート・デーンを飼いたい場合はお住まいの自治体へ、あるいはすでに飼っていて別の都道府県に引っ越しする場合、引っ越し先で特定危険犬種の条例があるかどうか確認した方が良いでしょう。

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グレート・デーンを購入するにはどれくらいかかるの?

グレート・デーンをペットショップで見かけることは、ほぼありません。ですので基本的にブリーダーから購入することになりますが、グレート・デーン専門のブリーダーは少ないので、価格も20~45万円ほどです。購入を検討する際、お気に入りの子が見つかったら、一度見学に行くのが良いでしょう。

さらに、ブリーダーには上段資格をもつ「シリアスブリーダー」と呼ばれている方たちがいます。日本には約2万犬舎があるといわれていますが、そのなかでもシリアスブリーダーはわずか5%にも満たないそうです。そのため一般ブリーダーから購入するよりも、シリアスブリーダーから購入する方が高額になります。

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グレート・デーンの性格や特徴は?

①温和で優しい性格!

大きな体にちょっとビックリしてしまうかも知れませんが、基本的に穏やかな性格のグレート・デーン。忠誠心も強く飼い主さんや家族など、信頼している人に対しては優しく接してくれます。ときには甘えん坊な姿を見せてくれる場合もあるようです。初対面の人には一歩引いて様子を伺うこともありますが、心を許してくれれば一緒に遊ぶこともできます。

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②超大型犬なので飼うときは複数人がオススメ

グレート・デーンは生後1ヶ月の子イヌでも、すでに体重が8kgあるといわれています。2~3年かけてゆっくりと成長していきますが、「グレート・デーンの外見はどんな感じ?」のQ&Aでもご紹介したとおり、あらゆる超大型犬のなかでも体高、体重ともにトップクラスの大きさです。

そのため、病院へ連れていくときや災害で避難するときなど有事(ゆうじ)の際に、1人暮らしだと愛犬を運ぶのも一苦労なので、できれば家族といった複数人で飼うことをオススメします。

③しつけは子イヌのときから行ないましょう!

まずはじめに、イヌには「社会化期(しゃかいかき)」という時期があります。生後3週~12週齢がイヌの社会化期といわれており、この時期に行なうしつけは今後愛犬と楽しく暮らしていくためにも必ず必要なトレーニングといえるでしょう。

特にグレート・デーンの場合、飼い主さんのいうことを聞いてくれないと、事故やトラブルに発展する可能性が高いです。また、大きくて力の強いグレート・デーンのしつけはしっかりと愛犬をコントロールできるよう、力のある男性に任せた方が良いでしょう。イヌの力は思っている以上に強いので、女性や子どもだと逆にグレート・デーンに引っ張られてしまうことになり、中途半端なしつけで終わってしまうことがあります。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Great_dane_(495409142).jpg

超大型犬の場合、成犬(せいけん)になってからしつけの再教育をするのはとても大変です。ですので、子イヌのうちにやるべきことから始めていきましょう。ここでは覚えさせたい基本的なしつけについてご紹介します。

⑴トイレトレーニング

トイレは指定の場所で上手にできたとき、褒めて覚えさせましょう。

⑵甘噛みをやめさせる

子イヌのときは良いのですが、成犬で甘噛みされるとケガのもとになってしまいます。人の手の代わりに噛んでも良いおもちゃを与え、もし飼い主さんの手を甘噛みしてきたら怒鳴らず低い声で「痛い」と一喝(いっかつ)した方が良いでしょう。

⑶人に触られることに慣れされる

体調不良になったときはどうしても動物病院へ行かなければなりません。そのとき知らない人に体を触られても暴れないよう、普段から飼い主さんがたくさん愛犬とスキンシップをとって、人との触れ合いに慣れさせるのがベストです。

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⑷クレートに入っても怖くないことを覚えさせる

動物病院に行くとき、あるいは災害が起きたときはどうしてもクレートの中へ愛犬に入ってもらう必要があります。グレート・デーンは体が大きいので、自分から入ってくれるようしつけるのが大切です。飼い主さんの指示で上手に入ってくれたら、おやつのご褒美をあげて、クレートの中は怖くないんだ!と認識させるのがコツです。

⑸散歩で外の世界に慣れさせる

散歩はイヌを飼うにあたって、必要不可欠なことです。そのため生後3ヶ月頃までは飼い主さんが抱っこして外に連れ出すことから始めてみましょう。少しずつ外の世界に慣れてきたら、リードを繋いで自分の足で歩いてもらうことを覚えさせます。歩くときもただ引っ張れば良いのではなく、最初は飼い主さんが愛犬の歩調にあわせてあげることからスタートさせるのがベストです。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Dog niemiecki 6 tygodni- Great Dane – 6 weeks puppy (2176102845).jpg

その他「コマンドトレーニング(お座りや待てといった指示に従わせること)」や「お留守番に慣れてもらう」といったことも大切なのですが、社会化期が過ぎてからでも覚えさせることができますので、子イヌのうちにやるべきことから始めていきましょう。

グレート・デーンに必要な運動量やお手入れ方法は?

イヌは犬種を問わず、散歩を必要とする動物です。犬種によって散歩時間や回数は異なりますが、グレート・デーンは時間を分けて60分を1回ずつ、合計2時間の散歩が必要です。

グレート・デーンの被毛は短いので、獣毛(じゅうもう)ブラシを使ってブラッシングを行ない、固く絞ったタオルで体を拭いてあげましょう。できれば毎日行なうのがベストですが、短毛なので週1回でも大丈夫です。シャンプーは月1~2回の頻度で行ないましょう。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Dog_walker_with_Great_Dane_dogs..jpg

グレート・デーンのかかりやすい病気ってなに?

グレート・デーンに限らず、ほとんどの犬種でイヌは人間よりも体毛が多く、その分皮膚がデリケートなため「皮膚病(ひふびょう)」になりやすいといわれています。

また顔の作りから眼球が人間よりも前に出ていることも多いため、目を怪我してしまう、もしくは遺伝的な理由が原因で「眼疾患(がんしっかん)」にもなりすいです。

上記の特徴を踏まえた上で、ここではグレート・デーンが注意したい病気について詳しく見ていきましょう。

まずグレート・デーンは皮膚病である「甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)」、眼疾患である「白内障(はくないしょう)」、そして「胃捻転(いねんてん)」にかかりやすいといわれています。

①甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンの分泌が低下してしまい、さまざまな身体症状を引き起こす病気です。具体的には1日をとおして元気がない、寝ている時間が増えた、エサが少ない割に体重が増えているなどといった症状が見られます。

皮膚にも脱毛やベタつき、色素沈着(しきそちんちゃく)や肌の乾燥といった異常も出てくる場合があるようです。

具体的な予防方法はまだ見つかっていないものの、治療方法としては甲状腺ホルモンの直接投与や、進行状況によっては外科的治療による方法が行なわれます。

②白内障

眼の中には水晶体(すいしょうたい)というものがありますが、この水晶体が白くにごってしまい目が見えにくくなってしまう病気です。白内障になってしまう原因は多く、遺伝性や老化によるもの、糖尿病や怪我による目の損傷によっても引き起こされます。

初期の場合、目薬を使って病気の進行を遅らせることもできますが、場合によっては手術でにごった水晶体を取りのぞくという方法もあります。

白内障になると水晶体が白く見えるので目視でも確認できますが、散歩中や家にいるときなど、前と比べて壁や物にぶつかることが増えた。という状態が見られたら、一度動物病院で検査を、そして白内障にかかっていたら獣医さんとの治療方針相談をオススメします。

③胃捻転

捻転とは「ねじれて向きが変わる」という意味があります。つまり、胃捻転とは胃がねじれてしまう病気のことです。何らかの原因で胃がねじれてしまうと、食べたエサや空気が腸に送られなくなり、胃がパンパンに膨らんでしまいます。

胃が膨らみ過ぎると周りの臓器や血管などを圧迫(あっぱく)し始め、最悪の場合死んでしまうこともある大変恐ろしい病気です。また、胃捻転は大型犬や、胸が深いイヌに発症することが多いといわれています。(※胸が深いとは、胸の縦幅が横幅よりも大きいことです)

最初にお話しした何らかの原因についてですが、残念ながらはっきりしたことは分かっていません。胃捻転の具体的な予防法は、食後すぐに運動させない、一気にたくさんのエサや水を与えない、など胃に負担がかかる行為を避けるのが重要となります。

お腹が異常に膨らんでいる、吐きたそうなのに上手く吐き出せていない、普段よりもよだれが大量に出ている、といった症状が表われたら急いで動物病院に連れて行きましょう。

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グレート・デーンの寿命は?

グレート・デーンの寿命は7~10年といわれています。小型犬~大型犬までを含めたイヌ全体の平均寿命はおよそ14年なので、平均より短いといえるでしょう。

出典:https://unsplash.com/photos/tcAB9AAEJ4s

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参考文献

よくわかる犬種図鑑ベスト185 動物ジャーナリスト藤原直太朗

まるごとわかる犬種大図鑑 監修 若山動物院院長 若山正之

AMERICAN KENNEL CLUB
https://www.akc.org/dog-breeds/great-dane/

THE KENNEL CLUB
https://www.thekennelclub.org.uk/search/breeds-a-to-z/breeds/working/great-dane/

JAPAN KENNEL CLUB
https://www.jkc.or.jp/archives/world_dogs/2759

犬との暮らし大百科
https://www.anicom-sompo.co.jp/inu/

みんなの犬図鑑
https://www.min-inuzukan.com/

Pet Smile news forワンちゃん
https://psnews.jp/dog/

子犬のへや
https://www.koinuno-heya.com/

わんちゃんホンポ
https://wanchan.jp/

アイキャッチ画像
https://pixabay.com/images/id-3181898/