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ヌー

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あなたはヌーという、アフリカに生息するウシのような見た目の草食動物を知っていますか? ヌーという動物に関して最も有名なことは、毎年行われている「ヌーの大移動」ではないでしょうか。 巨大なヌーの群れがアフリカの大地を駆け抜け、決死の覚悟で川を渡っていく姿をテレビ番組などで見たことがあるという人もいることでしょう。 この記事でヌーにはどんな特徴や秘密があるのか、一緒にその暮らしをのぞいていきましょう!

ヌー 基本情報

哺乳綱(ほにゅうこう)鯨偶蹄目(くじらぐうていもく)-ウシ科-ヌー属

オグロヌー 体長 190~210cm 体重 150~250Kg

ヌーはアフリカに生息する、草食動物の1種です。大きく分けると「オグロヌー」と「オジロヌー」の2種類に分けられますが、この記事では主にオグロヌーについて説明していきます。

オグロヌーはウシ科の動物ですが、ウシよりもオリックスやインパラといった動物に近いレイヨウの仲間に分類されています。前半身と頭が大きいためウシのように見えますが、その一方で後半身が細いため頼りなく、どこか貧弱な体つきに見えてしまいます。しかし体は非常に丈夫で、時速65Kmものスピードで走り、1年の間に1600Kmもの長距離を移動できるだけのスタミナも持ち合わせています。オグロヌーの体の色は濃い青灰色から暗い灰色で、首にはたてがみのような毛が、のどにはヒゲのような毛が、尻尾には黒い毛が生えます。日頃は10~数百頭の群れで暮らしていますが、大移動の時だけは数百万頭におよぶ巨大な群れを作ります。

オグロヌーの妊娠期間は約8カ月で、メスのヌーは2~3月にかけて出産の時期を迎え、1回の出産で通常1頭の赤ちゃんを産みます。オグロヌーの赤ちゃんは生まれてから数分で立ち上がり、30分ほど経つと母親の後ろについて歩きだします。赤ちゃんは生後数日で群れに合流し、生後半年ほどで過酷な大移動に挑戦することになります。

ヌー Q&A

ヌー
ヌーの名前の由来は何?

ヌーという少し変わった名前の由来には、いくつかの説があります。

1つ目は鳴き声が「ヌー」と聞こえることから名前が付けられた、という説です。2つ目はアフリカーンス語の「野獣」を意味する言葉が由来という説、3つ目は原住民の「大きな鼻を鳴らす音」を表す言葉が由来という説です。どの説が正しいのかはっきりとわかりませんでしたが、オグロヌーはしっぽが黒いことから“尾黒ヌー”と、オジロヌーはしっぽが白いことから“尾白ヌー”と名付けられたそうです。

なおオグロヌーの学名は「Connochaetes taurinus」、オジロヌーの学名は「Connochaetes gnou」です。英語ではオグロヌーのことを「Blue wildebeest」「Blinded gnu」、オジロヌーのことを「Black wildebeest」「White tailed gnu」と表現します。

ちなみに日本語ではオグロヌーのことを別名である「ウシカモシカ」「ワイルドビースト」「ウィルドビースト」と呼ぶこともあります。

ヌー
ヌーはどうしてそこに住んでいるの?

オグロヌーは南アフリカ北部からケニアの草原や開けた林に、オジロヌーは南アフリカの草原に生息しています。

ヌーがなぜ南アフリカ周辺に生息しているのか、はっきりとした理由はわかりませんでした。しかしヌーと同じレイヨウの仲間のほとんどがアフリカに生息していることから考えると、レイヨウたちにとってアフリカは十分な食料と土地がある、住みやすい場所なのかもしれません。

ヌー
ヌーは何を食べているの?

ヌーは草食性の動物で、草原やサバンナに生えているあらゆる植物を食べています。

ヌーは特にイネ科の植物を好むといわれていますが、同じ草をシマウマも好んで食べることが知られています。しかしシマウマは草の先端の方を好み、ヌーはその下の方を好むため、同じ場所でも食べ物をめぐってケンカをすることなく暮らせるそうです。そのためアフリカではヌーとシマウマ、さらにインパラやガゼルなどの草食動物が群れを作っている場面がよく見られます。

ヌー
ヌーはどうして大移動をするの?

オグロヌーは毎年、大きな群れを作ってアフリカの大地を大移動することが知られています。ところでオグロヌーはなぜ、わざわざ大きな群れを作ってまで大移動をするのでしょうか?

オグロヌーが大移動をする目的、それは新鮮で栄養豊富な草と水を手に入れるためです。大移動はケニアのマサイマラとタンザニアのセレンゲティの間で行われ、100万頭以上のヌーと20万頭以上のグラントシマウマが入り混じって長い列を作り、1600Kmもの距離をひたすらに突き進みます。オグロヌーたちは4月の後半から5月にかけてセレンゲティ西部を出発して、7月の後半から9月の中旬頃までの間をマサイマラで過ごします。そして10月頃になるとまたセレンゲティ東部を目指しますが、この大移動にはたくさんの危険が付きまといます。

もっとも命を落とすオグロヌーが多いのがケニアとタンザニアの間にある、「マラ川」というとても大きな川です。このマラ川を渡らなければ目的地にたどり着くことはできませんが、川を渡るオグロヌーやシマウマを捕まえようと、たくさんのワニやライオンが待ち構えているのです。また川の途中で力尽きたり骨が折れてしまったりして溺死してしまうヌーも多く、毎年6000頭以上ものヌーがマラ川で命を落とすそうです。溺死したヌーはワニや魚の食べ物になるほか、川の水に溶け込んで川の栄養分になり、アフリカの大地そのものの栄養になっていると考えられています。

ヌー
オグロヌーとオジロヌーにはどんな違いがあるの?

ところでオグロヌーとオジロヌーには、しっぽの色以外の違いはあるのでしょうか。

この2種は非常に近い動物ですが、いくつかの違いがあります。まずオグロヌーは毎年新鮮な草と水を求めて大移動をしますが、オジロヌーが大移動を行うことはありません。

またオグロヌーの方が圧倒的に大きく、オグロヌーの体重が150~250Kgほどに対して、オジロヌーの体重は110~160Kgほどしかありません。

ヌー
ヌーはどんな性格なの?

オグロヌーは多くの肉食動物に狙われる動物であるためか、臆病で神経質な性格だといわれています。

しかしオグロヌーは常に群れを作り、仲間と一緒に生活しています。オグロヌーにはもともと仲間の動きをまねして同じように行動する習性があり、1頭1頭に個性や性格があるというよりも、群れ全体が1つの意思を持っているような状態で暮らしているようです。そのため1頭が天敵を見つけると、あっという間にその情報が群れ中に伝わっていきます。

ヌー
ヌーはペットとして飼えるの?

ところでヌーを日本において、ペットとして飼うことはできるのでしょうか?

ヌーはウシ科の動物であり、飼育にあたって条件がある特定動物(とくていどうぶつ)でも、ワシントン条約に掲載されている動物でもありません。そのため日本国内において、ヌーをペットとして飼育できる可能性はゼロではないと考えられます。

しかしウシ科の動物は口蹄疫(こうていえき)や牛疫(ぎゅうえき)といった伝染病を防ぐため、輸出入をする際の検疫や検査が非常に厳しくなっています。そのため現実的にはペットとして飼うという目的でヌーを輸入、購入することは非常に困難だと考えられます。

なおアフリカにおいては、食用にするためにヌーを飼育することがあるようです。

ヌー
ヌーが見られる動物園はあるの?

日本国内では、オグロヌーが兵庫県の姫路セントラルパークと静岡県の伊豆アニマルキングダムで飼育されています。

オジロヌーはかつていくつかの動物園で飼育されていましたが、2021年5月時点では飼育している施設はないようです。

ヌー
ヌーはどのくらい生きるの?

野生下におけるヌーの寿命は、18~20年ほどだと考えられています。

ただし肉食動物に食べられる、大移動の時に溺死するといった形で死んでしまうことが多く、寿命を全うできる個体は多くないものと考えられます。

ヌー
ヌーにはどんな敵がいるの?

野生におけるヌーの天敵はライオン、チーター、ハイエナなどのあらゆる肉食動物です。

しかしヌーにとって、最大の敵は私たち人間といえるかもしれません。アフリカでは食用にするためやトロフィーハンティング(動物の頭や皮を持ち帰る、娯楽のための狩猟のこと)のために、たくさんのヌーが捕まえられてきました。特にオジロヌーは肉や皮目的以外にも、家畜のウシに病気をうつす可能性がある害獣として乱獲されてしまいました。その結果オジロヌーは一度野生で絶滅してしまいましたが、農場などで飼育されていた個体を野生に導入することに成功し、その数は増加傾向にあります。

現在はオグロヌー、オジロヌーとも絶滅が心配されるような状況ではありません。しかし何かの拍子に生息地や大移動のルートが破壊されてしまうと、彼らの生活に大きな影響を与えてしまうかもしれません。

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・オグロヌー ・オジロヌー

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