ガラパゴスペンギン
ガラパゴスペンギン
ガラパゴスペンギン
ペンギンといえば、やっぱり寒い場所で暮らしているイメージが強い鳥ですよね。 ですが今回ご紹介するのは赤道直下のガラパゴス諸島という、暖かい場所で暮らしている「ガラパゴスペンギン」です!そしてガラパゴス諸島といえば、独自の進化を遂げた珍しい動物たちがたくさんいる有名な島でもあります。 そんな島で暮らすガラパゴスペンギンは普段どのような生活を送っているのでしょうか? 早速、覗いてみましょう!
ガラパゴスペンギン 基本情報
鳥網-ペンギン目-ペンギン科-ケープペンギン属
53cm
オス:2.5kg メス:2.4kg(換羽前)
オス:2.1kg メス:1.7kg(育離期)
オス:11.8cm メス:11.4cm
オス:5.8cm メス:5.3cm
1,200羽
ガラパゴスペンギンの外見ですが、頭のてっぺんから背中にかけては黒い羽毛におおわれ、お腹側は白の羽毛で構成されており、首のあたりに黒くて細めの帯が2本あるのが特徴的です。 目や顔周りは黒いですが、目頭から首元にかけて白くて細い線のようなものが入っています。くちばしの色は上が黒く、下はピンク色です。足の色は真っ黒です。オスもメスも全く同じ外見をしているため見分けがつきにくいですが、基本的にオスの方がメスよりも体が大きいといわれています。
ちなみに、同属のフンボルトペンギンとも体の模様がよく似ているのですが、ひとつ簡単な見分け方をご紹介します。下くちばしのみピンク色なのがガラパゴスンペンギン、上くちばしと下くちばしの付け根のピンク色部分が多いのがフンボルトペンギンと覚えておくのがオススメです。
ガラパゴスペンギンは1年を通して繁殖を行なうことができます。繁殖期のピークは6~9月と12~3月で、岩の割れ目や溶岩など、暑さをしのげる日陰に巣を作ることが多いです。密度が高いルッカリー(コロニー)は作らず、お互い離れた場所に巣を構えるのもガラパゴスペンギンの特徴といえるでしょう。
つがいの絆は強く、メスは基本的に2個卵を産みます。抱卵合計期間は38~40日間となり、この期間をこえると無事にヒナ誕生です。孵化後、ヒナは約30日間親鳥に抱かれて守られながら生活し、独り立ちするまで親鳥が交替でヒナにエサを与え続けます。またガラパゴスペンギンは他のペンギンとは異なり、ヒナ同士が集まるクレイシ(共同保育所)を作ることはあまりないとのこと。
その後は生まれてから65日ほどで親鳥と同じぐらいの大きさに成長し、巣立ちのときを迎えます。ふわふわの綿毛に覆われていたヒナの体は少しずつ羽が抜け換わり、最終的には大人と同じ姿になりますが、巣立ちを迎えたばかりの若鳥はピンク色のくちばしや体の模様はまだ色濃く出ていません。成熟するにつれて少しずつ立派なガラパゴスペンギンへとなるのです。
ガラパゴスペンギン Q&A
ガラパゴスペンギンの名前の由来は?
ガラパゴス諸島でしか見られない固有種のペンギンのため、この名前がつけられました。ちなみにガラパゴスペンギンの学名は「Spheniscus mendiculus」ですが、mendiculusは日本語に訳すと「物ごい、小さな物ねだり」という意味があります。
これはヒナが親鳥からエサをもらうときの様子を表わしたのでは?と考えられています。他のペンギンもヒナは親にエサのおねだりをするのに、ガラパゴスペンギンだけこの学名がつけられたのはなんとも不思議ですね!
ガラパゴスペンギンはどうしてそこに住んでいるの?
名前のとおりガラパゴス諸島のみで繁殖や子育てを行ないます。ガラパゴス諸島は主に19の島と、他にも小さな島や岩礁(がんしょう)で構成されていますが、主にフェルナンディナ島東部、バルトロメ島やサンチャゴ島、イサベラ島やフロレアナ島で繁殖しているのが確認されています。
また、巣立ちヒナや若鳥はサンチャゴ島、サンタ・クルス島、ラビダ島、フロレアナ島、サン・クリストバル島へ移動することもしばしばあるようです。
このようにガラパゴスペンギンはガラパゴス諸島を中心とする場所を好んでいるようですが、理由を裏づける情報は見つかりませんでした。しかし、可能性として考えらえれる説が2つあります。
①ガラパゴス諸島には南極の方から「フンボルト海流」」西の方角から「クロムウェル深層流」という海流が流れ込む。この二つの寒流は冷たく、さらに栄養分たっぷりの海水も流し込んでくれることでエサに困る可能性が少ないから。
②またイワシやボラといった小魚もガラパゴス諸島周辺に多く生息しているため、繁殖するには都合のいい場所だから。
調査が進むにつれて、生息理由もきっと判明することでしょう。
ガラパゴスペンギンは何を食べているの?
海に潜ってイワシやボラなどの小魚を食べています。ヒナの場合は、親が消化した魚などを口移しでもらっています。
ガラパゴスペンギンはどうして暑い場所でも暮らしていけるの?
ガラパゴス諸島は亜熱帯地帯のため、気温が40℃を超えることもよくあります。ペンギンは基本的に暑いのが苦手なのは、ガラパゴスペンギンも一緒。では一体どうして、このような場所でも暮らしていけるのでしょうか?彼らなりに工夫をしているようなので、早速ご紹介します。
①フンボルト海流(冷たい海流)が流れている海で泳ぎ、体を冷やす。
②犬のような開口呼吸(パンティング)をして体の熱を逃がしている。
③太陽に背を向けてフリッパー(翼)を広げながら風通しをよくして、日陰を作る。
④年に2回の換羽を行なう。
①から③まではなんとなく想像つきますが、④の換羽はどういうことかというと、ガラパゴス諸島での生活は強い紫外線を浴びる毎日です。一方、暑さしのぎのため冷たい海で泳ぐことも多々あります。実はこれを繰り返すと羽が傷みやすくなるため、年に1度の換羽では間に合わないのだそうです。
少しでも快適に過ごすための知恵や努力がこんなに隠されていたんですね。
ガラパゴスペンギンは繁殖時期を見極められるって本当?
本当です。しかしガラパゴス諸島は亜熱帯地帯(あねったいちたい)に属するため海面温度の変化が大きく、産卵のタイミングは24℃という海面温度を基準に決めています。
海面温度が24℃以上になるとエサとなる小魚が海深くに逃げてしまうので、ガラパゴスペンギンの親はヒナに十分なエサを捕って食べさせることができません。そのため海面温度が高い年は繁殖を控えるようです。
反対に海面温度が24℃以下になると小魚も捕りやすい場所で泳いでいるので、ヒナにたくさんのエサを食べさせてあげられるので、この年は積極的な繁殖が見られます。
海面温度によってエサが豊富に捕れるか捕れないか?をガラパゴスペンギンは判断できる、つまり、繁殖時期を見極められるということです。
ガラパゴスペンギンの性格について詳しく知りたい!
残念ながらガラパゴスペンギンの生息数がとても少ないため、具体的な調査があまり進んでいないようです。ですがケープペンギン属は基本的に警戒心が強く、品種によっては攻撃的な部分も兼ね備えているため、恐らくガラパゴスペンギンも似たような性格なのでは?と考えられています。ガラパゴスペンギンの新しい調査結果が待ち遠しいですね!
ガラパゴスペンギンが見られる場所はあるの?
2021年現在、残念ながらガラパゴスペンギンが日本で見られる場所はありません。
ですが、ひとつの手段とガラパゴス諸島周辺を巡るクルーズに参加するという方法があります。旅費は高額になってしまいますが、旅行代理店を通じて申し込むことができます。どうしてもガラパゴスペンギンが見たい!という方は、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
ガラパゴス諸島には他にもたくさんの動物が生息しているので、動物好きにはたまらない旅行になること間違いなしです!
ガラパゴスペンギンには天敵がいるの?
ガラパゴスペンギンの敵は、主にタカなどの猛禽類(もうきんるい)、サメなどです。しかし、ガラパゴスペンギンにとって一番の敵は人間かも知れません。
ガラパゴスペンギンは現在、IUCN(国際自然保護連合)によって絶滅危惧度を「絶滅危惧IB類(ぜつめつきぐいちびーるい)」に指定されています。
「ガラパゴスペンギンは繁殖時期を見極められるって本当?」のQuestion(クエスチョン)でもご紹介しましたが、ガラパゴスペンギンは海面温度が高いと繁殖を控える傾向があります。海面温度が上昇する原因としてエルニーニョ現象という自然現象も関わっていますが、化石燃料の燃焼によって引き起こされる気候変動も影響しているのでは?と考えられています。
また島へ移入する際、人間と一緒にやってきたイヌやネコなどの外来捕食種がガラパゴスペンギンを襲っているのも、生息数減少の原因になっているそうです。その他、漁業による混獲、船舶事故による重油の海洋汚染といったこともガラパゴスペンギンの脅威となっています。
そんな絶滅の危機からガラパゴスペンギンを守るためには、早急な対策が必要です。「対策を考えるなんて、そんな凄いこと思いつかない・・・」とあまり深く考えなくても大丈夫。私たちにまずできることは現在の状況を知ることです。この機会にぜひ、人間とペンギンとのより良い関係作りを一緒に考えてみませんか?
ガラパゴスペンギンの寿命は?
厳しい自然界で生きるガラパゴスペンギンの寿命は、最高で約11年です。
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