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フェレット

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あなたはフェレットという、にょろにょろした細長い体やぬいぐるみのような顔がかわいい動物を知っていますか? ペットとしての人気が高いので、実際に飼っている人や飼ってみたいと考えている人も多いかもしれません。 意外と知られていませんが、フェレットは紀元前3000年から人間と一緒に暮らしているとても長い歴史を持つ動物です。 この記事でフェレットにはどんな特徴や秘密があるのか、一緒にのぞいていきましょう!

フェレット 基本情報

哺乳綱(ほにゅうこう)-食肉目-イタチ科

体長 オス38cmほど、メス34cmほど 体重 オス1kg~1.2Kgほど、メス0.6~0.8Kgほど

フェレットは野生のイタチ科動物を家畜化(かちくか)した動物で、野生種は存在しません。祖先はヨーロッパからウラル山脈にかけて生息する「ヨーロッパケナガイタチ」、もしくはヨーロッパから中国にかけて生息する「ステップケナガイタチ」ではないかといわれていますがその祖先や生い立ちについては今もはっきりとわかっていません。

野生のヨーロッパケナガイタチの大きさは体長35~51cm、体重はオスで1.4~1.7Kg・メスが0.7Kgほどです。毛の色は淡い褐色から黒色で、「セーブル」というカラーのフェレットとよく似ています。ヨーロッパケナガイタチは水辺や森林の端、草原などで単独で生活し、ネズミなどのげっ歯類やウサギ、鳥類やは虫類、両生類や昆虫などあらゆる動物を食べています。生後6カ月ほどで性成熟(せいせいじゅく)を迎え、40~43日の妊娠期間(にんしんきかん)を経て1回に5~8頭の子どもを産みます。

ヨーロッパケナガイタチは昔から家禽(かきん)を襲う害獣として嫌われていたことに加え、質の良い毛皮を利用するためにたくさん捕まえられてしまい、一部の地域では絶滅してしまいました。種として絶滅する可能性は低いとされていますが、フェレットの祖先にはそんな歴史があることを知っておきたいものです。

フェレットはペットとしても人気の動物

フェレットはウサギやハムスターと同じように、ペットとしての人気が高い小動物です。

フェレットは基本的に遊び好きで人なつこく、やんちゃな性格をしています。そんなフェレットはペットと仲良くなりたい人や毎日ペットとたっぷり遊びたい人、遊んであげられる人に向く動物だといえます。

家で飼う時は何をあげたらいいの?

フェレットの主食にはフェレット専用のフードを、副食には動物性の食材を与えましょう。おやつはフェレット用のジャーキーやペースト状の栄養補助食品がおすすめです。

フェレットフードにはフェレットが必要とする栄養がしっかり含まれているため、フェレットはフードと水だけでも問題なく成長できます。しかしフード以外に「大好物」といえる物があると、体調不良で食欲が落ちた時や薬を飲ませる時に役立ちます。そのため日頃からしっかりと量を決めて副食やおやつを与えて、フェレットが大好きな物を探しておくと良いでしょう。

フェレットフードにはたくさんの種類がありますが、なるべく添加物(着色料や香料など)が少ない物、原材料に余計な物が入っていない物を選ぶと良いでしょう。副食には加熱した卵、レバー、鳥のささみなどを与えます。生肉には寄生虫や細菌がいる可能性があるため、必ずゆでるか焼いた後にしっかりと冷ましてからあげましょう。

イタチの仲間は消化管が短いため、食べた物をあっという間に消化してしまうという特徴があります。そのためフェレットの祖先であるヨーロッパケナガイタチには獲物を巣穴に持ち帰り、数回に分けて食べる習性があります。フェレットも食べ物を1日に5~10回に分けて食べる習性があるので、いつでもフードを食べられる状況にしておきましょう。

なおフェレット向けに植物性のおやつ(ドライフルーツなど)が販売されていることがありますが、植物性の物はあげない方が良いでしょう。なぜならフェレットは肉食動物であり、植物性の物を上手に消化・吸収できないからです。

飼育する環境について

フェレットは基本的にケージで飼い、飼い主が一緒に居られる時は部屋に放して遊んであげると良いでしょう。

ケージはトイレやエサ入れ、水入れなどのグッズを全て設置しても余裕がある広さの物(フェレット1頭あたり幅60cm×奥行60cm×高さ40cm以上の物)を選びます。ケージはフェレットにとって安全であることが一番大切ですが、掃除しやすい・動かしやすいなど飼い主にとって使いやすいことも同じくらい大切です。数年使い続けることを考えて、丈夫で使いやすい物を選びましょう。

その他の注意点

フェレットを飼う時は「絶対に逃がさない、捨てない」ということを徹底してください。なぜなら逃げ出したり捨てられたりしたフェレットが野生化してしまうと、もともと生息している野生動物の命を脅かす可能性があるからです。フェレットが野生化するとどうなってしまうのか、実際にニュージーランドで起きた事例を見てみましょう。

ニュージーランドにはヨーロッパの人たちが食料やハンティングの獲物にするためにウサギやシカ、ブタなどの動物を野に放ち野生化させたという歴史があります。中でもウサギは特に繁殖力が強く、家畜のヒツジのために植えた牧草をエサにしてあっという間に増え、牧草地を荒らしてしまいました。そしてその被害に困った人たちはウサギを駆除するために、イタチの仲間(フェレット、イイズナ、オコジョ)を野に放ったのです。

その結果残念なことにウサギの被害は変わらず、もともとニュージーランドに住んでいた飛べない鳥やは虫類の数が減ってしまいました。そう、フェレットたちはウサギより捕まえやすい動物を先に食べてしまったのです。その後ニュージーランド政府はもともと住んでいる野生動物を守るために、たくさんの時間とお金をかけて罪のないウサギやフェレットたちを駆除することになってしまいました。

今のところ日本ではフェレットを飼育、繁殖させることに関する制限はありません。しかしフェレットが野生化して増え、日本の野生動物に影響を与えるようになったら、フェレットを飼うことが法律で禁止されてしまうかもしれません。そのためフェレットは絶対に逃がしたり、捨てたりしてはいけません。なお北海道ではフェレットとプレーリードッグが「特定移入動物」に指定されているため、北海道でフェレットを飼育する時は知事へ届け出る必要があります。

フェレット Q&A

フェレット
フェレットの名前の由来は何?

「フェレット」という、少し変わった名前にはどんな由来があるのでしょうか? フェレットは英語でも「Ferret」と表現されますが、その由来はラテン語で“泥棒”という意味がある単語「furo(furonem)」だといわれています。

なおフェレットの学名は「Mustela putorius furo」と表現されます。「Mustela」はイタチ、「putorius」は悪臭・臭い、「furo」は泥棒という意味なので、フェレットの学名には“臭い泥棒イタチ”という意味が込められています。

フェレット
フェレットはいつ頃からペットとして飼われていたの?

フェレットがいつ・どこで・どの種類から家畜化されたのか、その歴史ははっきりとわかっていません。 しかし恐らく紀元前3000年頃、エジプトで家畜化の歴史が始まったのではないかと考えられています。当時の人々は収穫した穀物をネズミに食べられないように野生のイタチを飼いはじめたようで、紀元前1400~1200年頃の穀物保管用の倉の壁画にはフェレットらしい動物が描かれているそうです。

その後フェレットはエジプトからヨーロッパに伝わり、ウサギ狩りに利用されたり、ペットとして飼われたりするようになりました。1900年代になるとフェレットはアメリカに伝わり、それまでの役割に加えて毛皮や実験動物としても利用されるようになりました。

そしてフェレットは1990年代頃になると、日本でも飼育されるようになりました。最初は珍しい動物という位置づけでしたが、大きな声で鳴かないこと、人になつきやすいこと、散歩をする必要がないことなどを理由に主に女性の間で人気が高まったそうです。その後どんどん飼育する人が増え、今や海外から年間数万頭ものフェレットが輸入されています。

フェレット
フェレットは臭いって本当?

フェレットは臭いというイメージを持たれがちですが、本当に臭いのでしょうか? フェレットを始めとしたイタチの仲間には、「臭腺(しゅうせん)」と呼ばれる器官があります。臭腺は正式には「肛門腺」と呼ばれていて、オスもメスも肛門(こうもん・おしりの穴のこと)の両側に1つずつ持っています。

そしてフェレットは敵に襲われると、肛門腺から臭い液体を飛ばして敵を追い払おうとします。この臭いは非常に強烈で洗ってもなかなか落ちないため、多くのフェレットはこの臭腺が取り除かれているのです。この臭いを嗅いだことがある人であれば、「フェレットは臭い」と思ってしまっても仕方がないかもしれません。

とはいえ臭腺の臭いを除けば、フェレットが他の動物と比べて特別臭いということはありません。しかし生き物である以上ある程度の動物臭はあり、また肉食動物であるためウンチとオシッコについては独特の臭いがあります。

フェレットの臭いが気になる時は皮膚の汚れ落としもかねて、月に1~2回シャンプーをすると良いでしょう。フードを変えると体やウンチ、オシッコの臭いが軽減することがあるため、臭いが気になる場合はいろいろなフードを試してみても良いかもしれません。

フェレット
フェレットにはどんな種類がいるの?

日本で流通しているフェレットの大多数は世界各国の「ファーム」と呼ばれる繁殖場で繁殖され、輸入されている個体です。一部国産のフェレットも流通していますが、ほとんどが海外産の個体だと考えて差し支えないでしょう。

フェレットのファーム(種類)にはマーシャル(アメリカ)、カナディアン(カナダ)、パスバレー(アメリカ)、フェー・ファーム(中国)、ミスティック(ニュージーランド)などがあり、ファームによって体の大きさや顔つき、性格に特徴や傾向があるとされています。それぞれの特徴や外見を見比べて、自分がどんなフェレットを飼いたいかじっくり考えてみると良いでしょう。

なお海外ファーム出身のフェレットはほとんどが避妊もしくは去勢手術を受けていて、臭腺と呼ばれる器官も除去されています。このようなフェレットは「スーパーフェレット」と呼ばれていて、飼いやすいことから初心者にもおすすめできます。

逆に避妊もしくは去勢手術、臭腺除去を行っていない、フェレット本来の性質を楽しめるフェレットは「ノーマルフェレット」と呼ばれています。ノーマルフェレットは発情期に気性が荒くなる、臭腺から独特の臭いがする分泌液を飛ばすなど飼いにくい部分があるため、1度スーパーフェレットを飼ってから挑戦した方が良いかもしれません。

フェレット
フェレットにはどんなカラー(毛色)があるの?

フェレットにはとてもたくさんのカラーがあります。種類が多すぎるため全てのカラーは紹介できませんが、いくつかのカラーとその特徴を見てみましょう。なおカラーの名前は世界共通の物ではないため、ファームやショップなどで表現方法が異なる可能性があります。

セーブル フェレットの祖先だと考えられているヨーロッパケナガイタチとそっくりで、もっとも一般的なカラーです。手足と尻尾、目の周りが黒色~濃い茶色でその他は白色~クリーム色です。

アルビノ 全身が白色で模様はなく、目は赤色、鼻はピンク色のカラーです。

バタースコッチ(チョコレート) ミルクチョコレートのような柔らかい茶色~こげ茶色のカラーです。セーブルよりも全体的に淡い色合いで、アメリカではチョコレートと呼ばれています。

ブレイズ 頭のてっぺんから後頭部にかけて白い線が入るカラーです。おなかの模様や色合いは個体差が大きく、さまざまなパターンが楽しめます。

ブラックセルフ フェレットの中には「アンゴラ」という、一般的なフェレットより柔らかくて長い毛を持つ長毛種のフェレットがいます。ブラックセルフは長毛でセーブルカラーのフェレットのことを指します。

その他にもパンダ、シャンパン、マークドホワイト、ホワイトファーブラックアイなど、フェレットのカラーにはたくさんの種類があります。

フェレット
フェレットはどのくらい生きるの?

フェレットの寿命は5~8歳で、4歳くらいからシニアの仲間入りをするといわれています。 10歳まで生きれば十分長生きといえますが、中には15歳まで生きたご長寿フェレットもいたそうです。

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