イングリッシュロップ

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:English_Lop.jpg

ビックリするほど大きく垂れ下がった耳が特徴的なウサギといえば?そう!イングリッシュロップです。
耳も大きいですが体も大きく、歴史上最も古い垂れ耳ウサギといわれています。日本ではあまり見かけることがないので、初めて名前を聞いたという方もいるのではないでしょうか?
垂れ耳小型ウサギの元祖とも呼ばれているイングリッシュロップについて、詳しく探ってみませんか!

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~基本情報~

原産国 イギリス

シニア/オス 8ヶ月以上4.08kg以上

シニア/メス 8ヶ月以上4.54kg以上

インターミディエイト/オス 6ヶ月~8ヶ月4.54kg未満

インターミディエイト/メス 6ヶ月~8ヶ月4.99kg未満

ジュニア/オス・メス 6ヶ月未満 3.18kg未満 最低体重1.59kg
※アメリカウサギ協会(ARBA)基準

イングリッシュロップは、世界で一番古いウサギのひとつで、1700年頃にはすでに誕生していたと考えらえれています。原産国はイギリスですが、自然発生で生まれたウサギなので確実な証拠はありません。

1846年にはイギリスでのラビットショーへ出場した記録も残っており、当時は「キング・オブ・ファンシー」と呼ばれ非常に人気があったようです。

またフレンチロップやホーランドロップなど、現在でも人気のある垂れ耳ウサギの元になっていることで有名な品種です。

ちなみに2003年、耳の長さ79cmのイングリッシュロップが、世界で一番耳の長いウサギとしてギネス登録されています。

出典:https://artgrid.io/clip/54456/rabbit-on-the-grass-at-the-farm
https://artgrid.io/diamondworks-465851

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イングリッシュロップのQ&A

イングリッシュロップの名前の由来は?

はっきりとした詳細は分かっていませんが、恐らく原産国の「イギリス」が「イングリッシュ」と関係しているのではないか?と考えられています。

イングリッシュロップのカラーバリエーションは?

■ボディカラーの種類

・セルフ(全体の色がほぼ単色である)
ブラック、ブルー、チョコレート、ライラック、ブルーアイドホワイト、ルビーアイドホワイト


・シェイテッド(耳、鼻先、しっぽ、足先の色が濃くグラデーションになっている)
セーブルポイント、セーブル、スモークパール、シール、トータスブラック、トータスブルー、トータスチョコレート、トータスライラック、フロスティーブラック、フロスティーブルー、フロスティーチョコレート、フロスティーライラック


・アグーチ(1本の毛が3色以上に分かれている)
チェスナットアグーチ、チョコレートアグーチ、チンチラ、リンクス、オパール


・ブロークン(ベースカラーがホワイトであり、ぶち模様が入っている)
ブロークン、トライカラー

・チックド(体に異なる毛色が混じっている)
スティールブラック、スティールブルー、スティールライラック、スティールチョコレート、シルバーフォックスブラック、スティールセーブル

・ワイドバンド(頭から足の毛が同じ色で、目の周りやお腹などが異なる毛色)
クリーム、フォーン、オレンジ、レッド

■アイカラーの種類

ブラウン、ブルーグレー、ルビーレッド、ブルーがあります。

■毛種

イングリッシュロップは短毛種(たんもうしゅ)のみです。


イングリッシュロップの外見はどんな感じ?

幅のある頭に大きく垂れ下がった耳が最大の特徴です。体型はセミアーチ、被毛はシルクのような手触りのフライバック、大型種なのでがっしりとした肩と脚を持っています。

耳の長さは短めでも最低53cm以上はあり、そして耳の幅も理想値として耳の長さ1/4=耳の幅と決められています。例えば耳の長さが60cmの場合、耳の幅は15cmあるのが望ましいということです。

特にラビットショーにおいての耳の役割は重要で、ここの管理が行き届いていないと原点対象になってしまうこともあります。

そのためイングリッシュロップのブリーダーは、耳と同じくらいウサギの爪管理にも気をつけなければなりません。何故なら赤ちゃんの頃から定期的に爪切りで整えておかないと、自分で耳を傷つけてしまう恐れがあるからです。

出典: https://artgrid.io/clip/54458/brown-haired-rabbit-moving-around-on-the-grass-at-the-farm
https://artgrid.io/diamondworks-465851

イングリッシュロップの耳はなぜ垂れているの?

基本情報でも紹介したとおり、イングリッシュロップは自然発生によって生まれたウサギなので、なぜ垂れ耳になったのかは現在でも分かっていません。

恐らく突然変異(とつぜんへんい)によるものでは?といわれていますが、今後の研究が進むにつれて、垂れ耳ウサギの謎がいつか解き明かされるかも知れませんね!

イングリッシュロップを購入するにはどれくらいかかるの?

およそ8~10万円です。イングリッシュロップの流通量は少ないため、他のウサギと比べると少し高めの値段になります。

また、ラビットショーで入賞できる可能性があるウサギを「ショータイプ」お家で飼う分には何の問題もないウサギを「ペットタイプ」と呼びますが、ショータイプのイングリッシュロップになるともう少し高額になる場合があります。


イングリッシュロップの性格について詳しく知りたい!

穏やかで大人しめ、人懐っこい性格でありながら頭も良く、名前を呼んであげると走ってくるのでイヌのようなウサギと呼ばれています。

垂れ耳ウサギは比較的おっとりしているため、他品種との同居や多頭飼いも可能といえるでしょう。ですが、イングリッシュロップ1羽だけでも広い飼育スペースを要するため、多頭飼いをすることは滅多に無いと思われます。そういう気質がある。ということだけ覚えておくのがベターです。

体が大きいイングリッシュロップにとって小さな頃から始めるしつけは、とても重要になります。何故なら大きくなってからのイタズラや破壊行動、おしっこをあちこちに飛ばしてしまうといった行為は、後片付けが非常に大変だからです。

かわいいからちょっとしたイタズラも許しちゃう!といった風になってしまうと、後々困るのは飼い主さん自身なので、ときには心を鬼にしてルールを覚えさせるのも必要といえるでしょう。

大型種は屋内飼育だけですと、運動不足になりやすく肥満の原因になってしまうことがあります。時々うさんぽ(ウサギの体にリードをつけて外を歩くこと)をさせてあげると肥満予防にもなるので、オススメのひとつです。

イングリッシュロップのかかりやすい病気ってなに?

イングリッシュロップがかかりやすい病気として「ウサギ消化器症候群(うさぎしょうかきしょうこうぐん)RGIS」、「中耳炎(ちゅうじえん)」、「外耳炎(がいじえん)」、「不正咬合(ふせいこうごう)」、「ソアホック(足底皮膚炎)」があります。

①ウサギ消化器症候群

以前は「毛球症(もうきゅうしょう)」と呼ばれていた病気でした。ウサギは毛づくろいの後、誤って抜け毛を飲み込んでしまうことがあります。飲み込んだ毛がうんちと一緒に出てくれば問題ないのですが、大量の毛が消化管につまると食欲不振を引き起こしたり、排便が出来なくなってしまうことがあるのです。

当時は原因が被毛であることから、毛球症といわれ続けてきましたが、最近の研究によると消化管を詰まらせるのは被毛だけではないことが分かり、分かりやすくするため総称してウサギ消化器症候群とよばれるようになりました。

この病気はほとんどのウサギがかかる可能性があるといわれているため、予防法は繊維質のチモシー(牧草)を食べさせる、運動をさせる、水分不足にならないよう、水をしっかりと与える、そして飼い主さんが適度にブラッシングをしてあげることが大切なポイントになります。

②中耳炎

垂れ耳のイングリッシュロップは耳の穴に湿気が溜まりやすく、最近も繁殖しやすいことから、こまめなお手入れが欠かせません。

耳をかゆがったり膿が出ているなどといった症状を見つけたら、早急に病院へ連れて行ってあげるのが望ましいです。

耳の病気なら直接命に関わる訳ではないと思われがちですが、悪化すると神経系まで侵されてしまい、斜頸(しゃけい)といって首が傾いてしまう病につながる場合もあります。

斜頸がきっかけで介護が必要になる可能性もあるため、少しでも違和感を感じたら迷わず動物病院を受診してください。

耳のお手入れ方法が分からなくて自信がない時は、動物病院で耳掃除の仕方を教えてくれることもありますので、一度相談してみるのが良いかも知れませんね。

外耳炎

外見についてのQ&Aでも紹介しましたが、イングリッシュロップは自分の爪で耳を傷つけてしまうことがあり、そこから細菌が入ると外耳炎になってしまうのです。

爪をこまめに切ることで予防出来ますので、ブリーダーではなく一般家庭で飼育する際も爪の管理には注意しましょう。

④不正咬合

ウサギの歯は一生伸び続けるため、通常はかじり木や繊維が豊富なエサを食べることで歯の伸びすぎを予防できますが、何らかの原因で上手く歯が削られなくなり、噛み合わせが悪くなってしまうことがあります。

歯の調子が悪いと食欲不振になったり、鼻涙管狭窄(びるいかんきょうさく)といった病気を引き起こす可能性もあるので、歯のチェックやエサの食べ方で気になることがあれば、動物病院で相談するのもオススメです。

⑤ソアホック(足底皮膚炎)

足裏の皮膚炎と呼ばれ、足に負担がかかる生活を続けていると発症する可能性があります。特にイングリッシュロップのような大型ウサギは、体重が重いためソアホックになりやすいです。

ケージ内にはすのこ、フローリングなどの床にはカーペットやマットなどを敷いてあげると足の負担を軽減出来るので、是非ストレスフリーな環境を作ってあげてくださいね。


イングリッシュロップの寿命は?

5~10年ほどといわれているので、一般的なウサギの平均寿命と同じぐらいです。

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参考文献

うさぎの品種大図鑑 監修:町田修

Lop Rabbit Club of America
http://www.lrca.us/

うさぎ総合辞典
http://www.usagi-jiten.co.jp/

うさぎとの暮らし大百科
https://www.anicom-sompo.co.jp/usagi/

うさぎタイムズ
https://www.ferret-link.com/usagitimes/

もねペットクリニック
http://www.mone-pet.com/

うさぎの丘
https://www.usaoka.com/index.html

アイキャッチ画像
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:English_Lop_Rabbit.jpg