ワシ

出典:https://unsplash.com/photos/4dhlFpZ0dDw

ワシは人間が強く憧れる動物のひとつ。強くて威風堂々としたたたずまいから、空の王者などと呼ばれることもあります。多くの国や組織からマークとして使われることもあり、まさに強さの象徴です。
日本にも何種類かワシが生息しており、各地で見られます。しかしスズメやカラスと違い、街中で見ることは多くありません。
普段のワシの生態や特徴を見てみましょう。

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〜基本情報〜

鳥綱タカ目タカ科
※タカ科には多くの属があり、その中にオジロワシ属やイヌワシ属などがあります。

ワシにはたくさんの種類があり、大きさは千差万別です。ここでは代表的な3つの種類について、体長や体重を記載します。

オオワシ:体長85-100cm 体重オス4.9-6.0kg メス6.2-9.5kg

イヌワシ:体長66-100cm 体重オス3.6-kg メス3.0-7.0kg

ハクトウワシ:体長86-110cm 体重3.0-7.0kg

ワシのほとんどは大型で、肉食です。生態系の頂点に近い地位に立ち、エサも非常に多様。屍肉を好む種もいれば、生きている獲物を狙う種もいます。獲物として狙われるのは小動物や魚が多いですが、ときには同じ猛禽類(もうきんるい)を狙ったり自分より大きいヤギを狙ったりすることも。

生息域は全世界に及び、南極大陸を除く地域で見られます。世界中に分布しますが、住処は非常に様々。山林を好んだり草原を好んだりする種もいます。

他の動物にあまり見られない特徴として、多くの場合はオスよりメスのほうが体が大きいようです。これはメスが営巣や抱卵、他のオスからの無用な求愛を避けるためと言われています。オスについても小柄のほうが小回りがきき、狩りを有利にするため進化させたそうです。

出典:https://unsplash.com/photos/aIOSrOkywek

またワシは一夫一妻で、生涯を特定の伴侶と過ごします。子育てにおいては必ずどちらかが巣を守り、他の個体と浮気することもありません。固い絆で結ばれているのが特徴で、人間も見習うべきかもしれませんね。

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ワシのQ&A

ワシ、タカ、トビの違いは?

フクロウも含めたワシ、タカ、トビ(とんび)の4種類は、一般的にもよく知られている猛禽類(もうきんるい)です。ただフクロウはともかく、ワシ、タカ、トビの違いはよくわからない人がいると思います。

分類を確認すると3種とも「タカ目タカ科」、つまり生物学的な違いはないことに。どのように区別されているのかというと、ほとんどの場合は大きさです。

基本的に大型の種類をワシ、中型の種類をタカ、小型の種類をトビと呼びます。ただし例外も多く、カンムリワシは体長が約55cmほどでタカよりも小さいワシです。一方でクマタカは体長が70cm以上もあり、かなり大型のタカ。

出典:https://pixabay.com/images/id-4913310/

そうなった理由は諸説ありますが、ほとんどの場合は発見した人や土地の主観に左右されているようです。カンムリワシは、生息している地域でもっとも大きい猛禽類(もうきんるい)だったからワシとなりました。

フクロウとミミズクもそうですが、猛禽類(もうきんるい)の区別ってなんだか曖昧でおもしろいですね。

ワシは身近に生息しているの?

普段の生活の中で、ワシを目にすることはあまりありません。日本人にとってもっとも身近な猛禽類(もうきんるい)といえば、トビが有名です。

ワシをまったく見られないわけではありませんが、かなり難しいでしょう。エサとなる魚がいる川や山林の中など、意識して見に行けば見られるかもしれません。それほど人間とワシの生活圏は異なると言えます。

野生ではありませんが動物園でも飼育されているので、確実に見たいなら動物園に行くのもいいですね。

ワシに天敵はいるの?

成鳥となったワシは、自然界の中でも高次元の捕食者です。生態系の頂点なので、天敵らしい天敵はいません。もちろん何らかの理由で弱っていると、他の動物に襲われることはあります。

しかしもっとも大変なときは弱っているときではなく、ヒナのとき。ヒナであれば当然、他の動物に殺されることもあるでしょう。そして多くの場合はヘビや他の猛禽類(もうきんるい)ではなく、先に産まれた兄弟に殺されます。兄弟を殺してしまう理由はエサを独占するためなど諸説あり、なによりも弱肉強食をヒナの時点でわかっているから驚きです。

生態系の頂点に立つワシをあまり見かけないのは、そもそもヒナの時点で生存率が低く個体数が少ないからかもしれませんね。

出典:https://unsplash.com/photos/ir8t-dLguRE

ワシはどうして空から獲物を見つけられるの?

ワシの狩りは基本的に1羽か、つがいの2羽で行います。

ワシの狩りで重要なのは、目と爪。まずワシは自慢の目で、上空から獲物を探します。

ワシの目は人間の4倍の距離を見通し、視力は5.0ほどのようです。暗視能力も高く、暗視スコープより高性能と言われています。さらに紫外線を見分けることもできるようです。

そして獲物を見つけたあとは、羽をたたんで上空から急降下。獲物の直前で翼と爪を広げ、一撃必殺の威力で獲物を捕獲します。ワシの握力は恐ろしいほど強く、サルの頭蓋骨ごと握りつぶすことも。

出典:https://pixabay.com/images/id-2776081/

ワシはペットとして飼えるの?

以前は自治体の許可を得るなどすれば、愛玩目的の飼育は可能でした。しかし2020年6月に法改正が行われ、特定動物の飼育は禁止に。

特定動物とは環境省が定める動物で、簡単に言えば「人間に危害を加えるおそれのある動物」のことです。ワシの他に、ワニやトラなども含まれています。つまり「危害を加えるおそれ」という点では、ワニやトラと同列ということ。

ペットとは少しずれますが、バードウォッチングなどでも不用意に近づかないように気をつけましょう。

出典:https://pixabay.com/images/id-44243/

ワシはどれくらい頭がいいの?

ペットとして飼うことはできませんが、動物園や研究施設では許可を得ることで飼育可能です。

また海外では、ワシをパートナーとする文化があります。モンゴルではワシを使った狩りが今でも続いており、キツネや野ウサギといった獲物を捕まえているのだそうです。

他にもおもしろい試みとして、オランダ警察が挙げられます。オランダ警察は、警察犬ならぬ警察ワシを育成していました。標的は違法ドローン。

ドローン技術は素晴らしいものですが、悪用された場合に取り締まろうと考えたようです。訓練されたワシは、ドローンのプロペラを避けて取り押さえることもできます。有効と考えられましたが、コストの高さや出動率の低さから最終的に警察ワシの導入は見送られました。

出典:https://pixabay.com/images/id-768193/

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ワシの種類

  • ハクトウワシ
  • イヌワシ
  • オウギワシ
  • オオワシ
  • オジロワシ
  • オナガイヌワシ
  • カザノワシ
  • フィリピンワシ
  • ゴマバラワシ
  • シロハラウミワシ
  • カタシロワシ
  • サンショクウミワシ
  • イベリアカタシロワシ
  • カンムリワシ
  • シロエリハゲワシ
  • ヒゲワシ
  • クロハゲワシ
  • ソウゲンワシ
  • チュウヒワシ
  • エジプトハゲワシ
  • アシナガワシ
  • カラフトワシ
  • アフリカソウゲンワシ
  • コシジロイヌワシ

参考文献

環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/danger.html

AFPBB News
https://www.afpbb.com/articles/-/3155354

Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/鷲
https://ja.wikipedia.org/wiki/タカ目

サライ.jp
https://serai.jp/hobby/225584

鳥海イヌワシみらい館
http://www.raptor-c.com/

カラパイア
http://karapaia.com/archives/52240036.html

Pet Pedia
https://petpedia.net/article/380/golden_eagle#toc-15

アイキャッチ画像
https://unsplash.com/photos/cUaKuubS93M