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ジュゴン
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ジュゴンといえば、人魚のモデルとなった生き物として有名ですね。名前を知っている人は多いと思いますが、実際に見たことはありますか? ジュゴンは絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)に含まれていて、飼育も難しい生き物なのです。そのため、日本では鳥羽水族館でしか見ることができません。 ジュゴンはとても穏やかな性格をしており、つぶらな瞳が可愛らしく魅力的(みりょくてき)です。そんなジュゴンの生態については、知らない人の方が多いのではないでしょうか? この機会に、ジュゴンのことを一緒に調べて詳しくなりましょう!
ジュゴン 基本情報
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哺乳綱−ジュゴン目(海牛目)−ジュゴン科 ジュゴン 体長:約2.4〜3m 体重:約250〜450kg ジュゴンは、太平洋とインド洋の海草が育つ浅い海域に生息しています。 ジュゴンの個体数は、およそ10万頭だと言われています。 そのうち、8万頭はオーストラリアの海に生息し、残りの2万頭は幅広い地域に分かれて生息しています。 野生のジュゴンは、日本では沖縄周辺にのみ生息しています。 1865年には300頭ほど存在していましたが、2015年には3頭にまで減少してしまいました。 現在は、沖縄周辺でジュゴンの目撃情報が全くない状態が続いています。 そのため、沖縄のジュゴンは絶滅してしまったとも考えられています。 しかし、ジュゴンの数が減少しているのは日本だけの話ではありません。 ジュゴン全体の数が減っており、絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)に含まれています。 ジュゴンの数を増加させるために、繁殖(はんしょく)はできないのでしょうか? ジュゴンの繁殖について調べてみましょう。
ジュゴンは、9〜10歳ぐらいの年齢で性成熟(せいせいじゅく)します 決まった繁殖期はありません。 メスの妊娠期間は14ヶ月で、1回の出産で1頭を産みます。 生まれてきた子どもの大きさは、体長1mほどで体重30kgもあります。 そんなに大きい子どもであれば、1頭しか産めないのも納得できますね。 子どもは生まれてすぐに海草を食べることができますが、14〜18ヶ月間は母親の母乳も飲んで育ちます。 ちなみに、ジュゴンが人魚のモデルとなった説には授乳(じゅにゅう)が関係しています。 実は、母親のおっぱいが脇(わき)の下にあるので、授乳するときに子どもを腕で抱きながら与えます。 その授乳している姿が、人間と似ていたため勘違いされました。 子どもが独り立ちをするのは、6年ほどが経ってからです。 その時期を迎えるまで、母親は子どもの側に寄り添い続けます。 子供と母親が一緒に過ごす時間が長いので、次の繁殖までに期間がかなり空いてしまいます。 ジュゴンの数を増加させるために、次から次へと繁殖することは難しいのですね。
ジュゴン Q&A
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ジュゴンの名前の由来は?
ジュゴンの名前は、フィリピンで使われているタガログ語が由来となっています。 タガログ語でジュゴンのことを「dugong」と書きます。 この言葉は「海の貴婦人(きふじん)」という意味です。 ジュゴン=人魚のイメージから付けられたのかもしれませんね。 英語では「sea cow」とも言います。 エサを食べている姿が牛に似ていることから呼ばれるようになりました。 ジュゴンは、古くから日本の沖縄の方でも見かけることができます。 そのため、ジュゴンではなく違う呼び方をされていました。 ・ザン ・ザンノイオ ・アカンガイユ ・ヨナタマ ・ヨナイタマ など 上記のように、様々な呼び方をされていました。
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ジュゴンはどうしてそこに住んでいるの?
ジュゴンは、太平洋とインド洋の熱帯や亜熱帯(あねったい)の浅い海域に生息しています。 そこに生息している理由は、エサである海草が豊富だからです。 海草がたくさん生えている場所のことを、海草藻場(かいそうもば)と呼びます。 藻場には、ジュゴンだけでなく様々な生き物が集まります。 どうして藻場に集まってくるのか気になりますね。 藻場は多くの役割を担っていますが、そのうちの5つをご紹介します。 1)水質の浄化(じょうか) 2)多様な生き物の保全(ほぜん) 3)産卵場所を提供 4)子供の保育場所を提供 5)希少生物のエサを提供 藻場に訪れる生き物は、上記の役割を目的に集まって来ているのですね。 ジュゴンの場合は、藻場にエサを提供してもらっています。 周辺に生息している生き物にとって、生活に欠かすことのできない重要な場所だということが分かりました。
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ジュゴンは何を食べているの?
ジュゴンのエサは海草類です。 海草が豊かな藻場(もば)の近くに、ジュゴンは生息しています。 ジュゴンが藻場で食事をすると、特徴的な痕跡(こんせき)が残ります。 どのような痕跡なのかというと、草が刈り取られた後のように線ができるのです。 この痕跡のことを、「食み跡」または「ジュゴントレンチ」と呼びます。 呼び名が付くほど分かりやすい跡なのですね。 水族館で飼育されているジュゴンは、アマモなどの海草とロメインレタスを食べます。 1日に25〜30kgほどのエサを食べるのだそうです。 あまりお腹が膨(ふく)れそうにないエサなので、それぐらいの量を食べないと満たされないのでしょうね。
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ジュゴンはどれくらい速く泳げるの?
ジュゴンの泳ぐ速さは、普段の生活では時速3kmです。 おっとりとしたジュゴンらしいスピードですね。 天敵が近くにいるなど身に危険を感じたときには、時速20〜30kmほどの速さで泳ぐこともできます。 それでも、海の中の肉食動物と比較すると遅いため捕まってしまうのです。 ジュゴンには、得意なことはないのでしょうか? 実は、ジュゴンは長距離を長時間泳ぐことができます。 過去の例では、50時間ほどかけて700kmの距離を移動したこともあります。 想像以上の距離を移動することができるのですね。
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ジュゴンの天敵は?
ジュゴンの天敵は、大型のサメ、シャチ、ワニなどの肉食動物が挙げられます。 ジュゴンは泳ぐスピードが遅く、防御(ぼうぎょ)することもできないので簡単に捕まってしまうのです。 しかし、肉食動物による被害だけでは急激に個体数が減ることはありません。
最もジュゴンに被害を与えているのは、私たち「人間」です。 ジュゴンの生息地を奪い、水を汚染、混獲(こんかく)しています。 この例は、ほんの一部にしか過ぎません。 これらの行為から、ジュゴンの天敵は人間であると考えることもできます。
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ジュゴンとマナティーの違いは?
ジュゴンとマナティーを見分けるポイントは3つあります。 1)顔の形を確認しましょう 正面から顔の形を比較すると、ジュゴンは縦長でマナティーは丸顔です。 顔の形の違いには、食生活が関わっています。 ジュゴンは、海底の海草を食べるので口が下向きに作られているのです。 マナティーは、水面に浮いている水草や植物を食べます。 そのため、顔の形を変える必要はありません。 2)尾ビレの形を確認しましょう ジュゴンの尾ビレの形は、三角のような形でイルカなどの尾ビレに似ています。 マナティーの尾ビレの形は、丸みがあり団扇(うちわ)の形に似ています。 3)生息場所を確認しましょう ジュゴンは、海にしか生息していません。 マナティーは、海水、湖、河川など幅広く生息することができます。 体の特徴は、よく観察してみると違いに気づくことができます。 実際に見比べてみたい方は、鳥羽水族館に行くことをおすすめします。 ジュゴンとマナティーの両方を飼育しているのは、日本で1箇所しかありません。
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ジュゴンはどこで見ることができるの?
ジュゴンを飼育している水族館は、2021年の現在は世界で2箇所しかありません。 過去には、4箇所で5頭のジュゴンが飼育されていました。 しかし、ジュゴンが亡くなってしまったり、水族館自体が閉館してしまったりして半分にまで減少しました。 ・日本:鳥羽水族館 メスの「セレナ」1頭を飼育しています。 フィリピンから友好の印としてプレゼントされ、1987年から飼育されています。
・オーストラリア:シドニー水族館 オスの「Pig」1頭を飼育しています。 2018年までは、メスの「Wuru」もいましたが亡くなってしまいました。 以前にジュゴンの飼育を行っていた水族館です。 ・シンガポール:アンダーウォーターワールド ・インドネシア:シーワールド 水族館以外にジュゴンを見られる方法が1つだけあります。 それは、スキューバーダイビングです。
フィリピンにある「ブスアンガ島」で野生のジュゴンと一緒に泳ぐことができるツアーがあります。 絶滅危惧種であるジュゴンのありのままの姿を見ることができて、一緒に泳ぐことができるなんて貴重な体験ですね。
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ジュゴンの寿命はどれくらいなの?
ジュゴンの寿命は、野生と飼育下では大きく変わります。 野生のジュゴンの寿命は70年ほどです。 水族館で飼育されているジュゴンは、平均にすると10年ほどで亡くなってしまうことが多いです。 その原因は、飼育環境が合わないからです。 ジュゴンは、とても繊細(せんさい)な生き物で音や光に敏感(びんかん)に反応してしまいます。 また、ジュゴンの主食である海草を入手することも難しく、飼育することが大変な生き物だと言われています。 最も水族館で長生きをしているのは、鳥羽水族館の「セレナ」です。 1987年にフィリピンから迎えて、34年が経ち現在も飼育期間を伸ばしています。 ジュゴンに合った飼育環境を整えることが重要なのですね。
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ジュゴンはどうして絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)になってしまったの?
ジュゴンの個体数が減少してしまった原因は、1つだけではありません。 様々な要因が積み重なったことによって、ジュゴンに影響を与えてしまったのです。 その要因の多くは、人間の行為によるものです。 どのような原因があるのか、3つの例を挙げてご説明します。 ・沿岸部の開発工事によって藻場が減少してしまう 藻場はジュゴンにとって、生息地でありエサ場でもあります。 そんな重要な場所を、開発工事によって汚染(おせん)や埋め立てをされて減少しています。 藻場が減少してしまうことは、ジュゴンの住む場所も減少するということです。 ・ゴミの流入によって誤飲(ごいん)してしまう ゴミが海に流入することによって、海草と一緒にゴミを飲み込んでしまいます。 ジュゴンは目が良くないため、ゴミを見分けて食べることはできません。 ゴミを食べてしまうと、お腹の中で消化(しょうか)できず溜まってしまいます。 そのまま溜まり続けると、ジュゴンは死んでしまいます。 実際に、タイで子どものジュゴンがゴミの誤飲によって亡くなっています。 ・乱獲(らんかく)または混獲(こんかく)によって死亡させてしまう ジュゴンを乱獲する目的は、質の良い油やお守りとして牙(きば)を手に入れるためです。 お肉を食べることもでき、意外と美味しいとも言われています。 過去には、「ステラーカイギュウ」というジュゴンに近い生き物が存在していましたが、 人間に乱獲されてしまい絶滅しました。 混獲は故意にしているわけではありません。 しかし、漁をしているときにジュゴンが網にかかってしまい亡くなる事故が多発しました。 ジュゴンは繁殖力が低いため、1頭が亡くなるだけでも大きな影響を与えてしまいます。 人間の生活が豊かになる一方で、生きていくこと自体が厳しくなる生き物がいます。 絶滅してしまうと、二度と取り戻すことはできません。 他人事ではなく、一人でも多くの人が動物のことを考え行動することが大切です。
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ジュゴン 参考文献
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- WWFジャパン「ジュゴンについて」 沖縄県文化環境部自然保護課「ジュゴンのはなし〜沖縄のジュゴン〜」 動物好き集まれ!〜生き物宇宙紀行〜 「ジュゴンの生態、特徴まとめ!沖縄にもいるの?見れる水族館は?」 ホンシェルジュ 「意外と知らないジュゴンの生態!人魚伝説にもなった絶滅危惧種の特徴を紹介」 Private Zoo Garden「ジュゴン プロフィール」 絶滅危惧種リスト「ジュゴンの名前の由来や英語の発音について」 ネット動物園〜生き物全般からペットまで〜 「ジュゴンは日本では沖縄にいたが絶滅?港湾開発が原因?生態など」 全力広報 つづきは三重で 「飼育種類数国内1位の鳥羽水族館には知られざる魅力がいっぱい」 鳥羽水族館ホームページ「Hコーナー 人魚の海」 https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3561.html
- 水産庁「藻場の働きと現状」 https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/tamenteki/kaisetu/moba/moba_genjou
- 書籍「海のどうぶつが可愛すぎて!」(まつおるか:2019.3.28発行)
ジュゴン 使用メディア紹介
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