トンボ
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トンボ
子どもが大好きなトンボ。お父さんやお母さん、おじいさんやおばあさんも、トンボを追いかけたりつかまえて遊んだことがきっとあるはず。 そんな身近なトンボだけど、じつは知らないこともいっぱい! きみはトンボのこと、どれだけ知っているかな?
トンボ 基本情報
基本情報
昆虫網(こんちゅうもう)、有翅亜網(ゆうしあもう)、旧翅節(きゅうしせつ)、トンボ目には、体長約15mm~約150mmで、世界中に約5000種、日本には約200種のトンボが生息しています。トンボ目の中には、前後の翅(はね)の形が同じ「イトトンボ亜目(均翅亜目・きんしあもく)と、後翅が広い「トンボ亜目(不均翅亜目・ふきんしあもく)」があります。以前は両方の特徴を持つ「ムカシトンボ亜目」がありましたが、近年、ムカシトンボ亜目は「トンボ亜目(不均翅亜目)」に含められることが多くなりました。
イトトンボ亜目(均翅亜目)とトンボ亜目の違い(不均翅亜目)
イトトンボ亜目のトンボは、前後の翅(はね)がほぼ同じ形で、腹部が細長い体をしています。また、イトトンボ亜目のほとんどの種類は、翅を閉じてとまります。それに対し、トンボ亜目のトンボは後翅(後ろの翅一対)が前翅(前の翅一対)よりも、幅広くなっています。イトトンボ亜目のトンボは、その名のように、糸のように細い体を持っています。また、面白いのは顔の違い。トンボ亜目のヤンマなどは、複眼(ふくがん)が大きくて、かっこいい顔をしていますが、イトトンボ亜目のトンボは複眼が小さくて左右に離れているので、なんとなくユーモラスな顔に見えます。
トンボの一生
トンボは種類によって産卵の場所が違います。水の中や、泥の中、水生植物の茎の中、空中から卵を散布するなど、様々な場所に、様々や方法で卵を産み付けます。孵化(ふか)するまでの期間も様々で、早いものでは数日、遅いものでは数か月、また、越冬してから孵化するものもいます。孵化したばかりの幼虫は「前幼虫」といい、小さな海老のような体をしています。水中に産み落とされた卵から孵化した前幼虫の多くは、卵から完全に脱出する前に次の脱皮が起こり、1齢幼虫になります。しかし水の外の植物の中に産卵され孵化した全幼虫は、卵から出て落ちたところに水がなければ、自らはねまわって水辺にたどり着くそうです。
幼虫から成虫へのトンボの羽化
トンボは不完全変態なので、蝶のように蛹にならず、ヤゴから羽化します。羽化の時期が近づくと、ヤゴの下唇の筋肉が退化してエサを食べられなくなり、幼虫時代はエラで呼吸をしているが、羽化が近づくと胸部の気門が開き、胸から上を水面から出すことが多くなります。こうして、ヤゴの体の中で、成虫の体が造られていき、翅芽(しが)が膨らんできて、複眼も透き通って見えるようになると、羽化が近い知らせとなります。
成虫になったトンボ
羽化してトンボになると、生まれた水辺を離れて飛んでいきます。どこへ飛んでいくか、どのくらいの距離を移動するかは、種によって違います。たとえばアキアカネ(赤とんぼ)は、高い山に向かい、ウチワヤンマなどは草地や休耕田などで過ごし、林の下草の中で過ごす種類や、川のそばの雑木林の葉の上で暮らすトンボもいます。
トンボの目
トンボの目は、六角形の目(個眼)が1万個から3万個も集まってできている複眼です。一つ一つの個眼に映像が写りこみ、それが脳に送られ、ひとつの画像となって認識されます。複眼の上部は遠くで焦点が合うので遠くの方がよく見え、下部の複眼は焦点が近くで合うので、近くのものがよく見えます。トンボの目はまた、後部の一部が死角になっているだけで、上下左右前後、ほぼ見えているようです。
トンボ Q&A
トンボの名前の由来は?
日本では昔、トンボは秋津(アキツ、アキヅ)と呼ばれていました。いまでも方言ではトンボのことを、「あきつ・あきず・あけず・あけす・あけーじょ」などと呼ぶ地方もあります。なぜ「トンボ」と呼ばれるようになったかは、諸説ありますが、主なものでは次のようなものがあります。
「飛羽」→トビハ→トンバウ→トンボ。「飛ぶ穂」→トブホ→トンボ。「飛ぶ棒」→トンボウ→トンボ。湿地や沼を意味する「ダンブリ」→ドンブ→タンブ→トンボ。秋津島が東方にあった「トウホウ」→トンボ高いところから落下して宙返りをする「ツブリ」→トブリ→トンボ
トンボはどこにいるの?どうしてそこに暮らしているの?
トンボは、田んぼや池沼、湖、湿原、河川、小川など、水辺が近い場所に住んでいます。それぞれの場所には、その環境に適応した種類のトンボが生息しています。たとえば、赤トンボのアキアカネは、田んぼに水が入ると産卵し、孵化して幼虫(ヤゴ)となり、ミジンコなどを食べて成長します。
やがて成虫になったトンボは、夏になると暑さを避けて高地で過ごします。秋になると再び田んぼに戻ってきて産卵します。秋になるとトンボをたくさん見かけるのは、そういうわけなのです。
トンボは何を食べるの?
トンボは、肉食性で、カ、ハエ、チョウなどの飛んでいる昆虫を、空中でつかまえて食べます。トンボは脚を籠(かご)のように組んで獲物を捕えます。脚にはトゲのような毛がたくさん生えていて、獲物をガッシリつかんで離しません。そして鋭い大あごで、獲物をかじって食べます。自分と同じくらいの大きさの獲物でも、食べてしまうんですよ。
クモに食べられることも多いトンボですが、クモを食べてしまう「ハビロイトトンボ」もいます。ハビロイトトンボは、クモの網を発見すると、クモを正面に見ながら後ろに下がり、今度は高速で飛び出し、脚でクモを捕獲します。また、オニヤンマは、スズメバチやオオカマキリとともに昆虫界最強の呼び声も高く、飛んでいる自分より小さいものは何でも餌にしてしまいます。天敵であるスズメバチも食べてしまうんですよ。でも、時々、捕まえたスズメバチに刺されて死んでしまうことも。
トンボが枝の先や竿の先にとまるのはなぜ?
トンボは変温動物なので、秋になって気温が下がると、太陽の光を浴びて体温を上げようとします。その時に、できるだけ体の広い面積に太陽の光を当てるために、体と陽の光の角度を調整しやすい、枝の先などにとまるのです。
世界で一番大きなトンボは?
世界で一番大きなトンボはトンボ亜目では「コウテイムカシヤンマ」。オーストラリア東北部の熱帯雨林に生息していて、体長は約13センチ、羽を広げると15センチほどになります。
イトトンボ亜目で最も大きなトンボは「ルクテリアハラナガイトトンボ」。体調15センチを超えるものもあります。翅に比べてアンバランスなほど長い腹部は、熱帯雨林のパイナップルの仲間の葉の付け根に産卵するために、そのような形に進化したという説があります。また、日本の中で一番大きなトンボは「オニヤンマ」。噛む力が強く、スズメバチを捕食することもあるんですよ。飛行速度も速く、最大で時速70㎞の速さで飛ぶといわれています。
さらに、今は存在しないけれど地球史上最大のトンボは「メガネウラ」。古生代石炭紀(3億1100万~2億8200万年前)に生息していた原トンボ類の一種です。翅を広げると60~75センチにも達し、幼虫のヤゴの時でも、30センチほどの大きさがあったと言われています。
トンボはどうやって呼吸をするの?
トンボの幼虫ヤゴは、エラで呼吸をしています。トンボ亜目のヤゴのエラは、肛門(こうもん)の内側の直腸(ちょくちょう)にあり、腹部の先端から水を吸って酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出します。また、このシステムを利用して、腹部の先端からジェット噴射のように水を勢いよく噴き出して、素早く泳ぐことができます。
また、イトトンボの亜目の幼虫は、腹部先端の3枚の細いエラ(尾鰓・びさい)で呼吸し、ジェット噴射はできませんが、体を左右にくねらせながら泳ぎます。ヤゴは羽化が近くなると、胸の気門がひらき、そこから呼吸をするようになります。
トンボの気門は中胸と後胸に左右一対ずつあります。昆虫の血液にはヘモグロビンがないため、酸素を運べません。そのため昆虫は気門から空気を入れ、空気を運ぶ気管を体中に張りめぐらせ、気管を流れる空気から、直接酸素を取りこんでいます。
トンボの翅の模様は何のためにあるの?
トンボの翅の模様はステンドグラスのように、美しいですよね。この翅の模様は,翅脈(しみゃく)という筋で、網の目のように張り巡らされています。支脈は翅を骨組みの役割を果たしています。
翅には、「結節」と呼ばれるくびれた部分と、「縁紋」と呼ばれる模様があります。結節は、トンボが飛ぶ時の機敏な動きをするために、大きな役割を果たしています。また縁紋は、高速飛行をする際の不規則な振動を抑える役割を果たしています。
トンボはどのくらい速く飛べるの?
トンボは種類によってはものすごい速さで飛ぶこともできるんです。最も早いと言われているのはギンヤンマ。通常で時速約12.5キロ、最高速度は時速100キロにも及ぶといわれています。オニヤンマの最高速度は時速70キロ。スピードを出した車と同じくらいの速さで飛べるなんて、驚きですよね。
早いだけでなく、いろいろな飛行ができるのもトンボのすごいところ。トンボは真上に上がったり、急降下したり、空中停止したり、急に方向転換したり、トンボ返りしたり、少しの間なら後ろへ飛ぶこともできるんです。
このような飛行ができるのはなぜでしょう。それは、トンボは3つに分かれた胸を持ち、真ん中と後ろの胸が分厚く発達しているために、4枚の羽を別々に動かすことができ、それぞれの翅を自由に使い分けているからです。
海を渡るトンボがいるってほんと?
はい、本当です。ウスバキトンボやハネビロトンボたちは、数千キロも飛行することができ、遠い南の国から海を渡って日本にやってきます。このように長距離を飛ぶことができるのは、あまりはばたくことなく、広い羽根で風をとらえてグライダーのように飛ぶことができるから。
また、オニヤンマのように筋肉質ではなく、とても脆い(もろい)体をしていますが、これは長距離を飛ぶために、体の強度を犠牲にし軽量化したからだと考えられています。
トンボの捕まえ方は?
飛んでいるトンボをつかまえる時は、網を使います。トンボは視野が広いので、正面や横から狙ってもなかなか捕まえられません。しかしトンボを真後ろから狙うと、死角になっているので比較的捕まえやすいです。
素手で捕まえる時は、止まっているトンボを狙います。人差し指と中指でチョキをしながら翅の下からそっと近づいて翅を傷つけないようにつかみます。捕まえたら、トンボの体をよく観察してみましょう。
トンボの首は細く脆い(もろい)ので、網の枠など固いものがトンボの頭にあたったり、強い衝撃が加わったり、トンボの目をグルグルしすぎたりすると、頭が取れてしまうこともありますので、注意してくださいね。
トンボは飼うことができる?
トンボの幼虫(ヤゴ)は、育ててトンボに羽化させることができます。しかしトンボの成虫は、観察をしたら逃がしてあげることをおすすめします。なぜなら、成虫のトンボを飼うのは難しいからです。
トンボは水辺で暮らし、広い空間を飛び回り、飛んでいる虫などを食べるので、その環境を作ってあげなくてはなりません。どうしても飼いたいときには、水辺と止まり木を作ってあげること、トンボが飛び回れる広い空間を作ること、ハエやバッタなどの生きた虫を与えることがポイントになります。
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トンボ 種類
日本には約200種類ものトンボが生息しています。よくみかけるトンボでは、次のようなトンボがいます。
<トンボ亜目> アキアカネ(トンボ科)、オニヤンマ(オニヤンマ科)、オコニヤンマ(サナエトンボ科)、ギンヤンマ(ヤンマ科)、シオカラトンボ(トンボ科)、ショウジョウトンボ(トンボ科)
<ムカシトンボ亜目> ムカシトンボ(ムカシトンボ科)
<イトトンボ亜目> ハグロトンボ(カワトンボ科)、アオイトンボ(アオイトトンボ科)
きれいな色をしているトンボでは次のようなトンボがいます。
<トンボ亜目> ベニトンボ(トンボ科)
<イトトンボ亜目> アオモンイトトンボ(イトトンボ科)、セスジイトトンボ(イトトンボ科)、ホソミオツネントンボ(ホソミオツネントンボ科)、キイトトンボ(イトトンボ科)、モノサシトンボ(モノサシトンボ科)
絶滅が危惧されているトンボでは次のようなトンボがいます。
<トンボ亜目> ベッコウトンボ(トンボ科)、ミヤジマトンボ(トンボ科)、マダラヤンマ(ヤンマ科)、ナニワトンボ(トンボ科)
<イトトンボ亜目> ニホンカワトンボ(カワトンボ科)
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