ミニチュア・シュナウザー
ミニチュア・シュナウザー
ミニチュア・シュナウザー
ふさふさとした眉毛に、立派な口ひげ。その外見はまるで可愛いおじいちゃん。 今回ご紹介するのは、ミニチュア・シュナウザーというイヌです。 名前を聞いても最初はピンとこないかも知れませんが、写真で見たとき「あぁ!あのイヌか!」と思い出す人も多いはず。 実際マルモリダンスで有名になったドラマ、「マルモのおきて」にも出演しています。そしてミニチュア・シュナウザーには独特な外見以外にも、秘密が隠れているのですよ! 早速、一緒に探ってみましょう!
ミニチュア・シュナウザー 基本情報
原産国 ドイツ
体高 30~36cm
体重 5~9kg
まずシュナウザーという名前のイヌは全部で3種類います。ジャイアント・シュナウザー、スタンダード・シュナウザー、そしてミニチュア・シュナウザーです。
ベースとなった中型犬のスタンダード・シュナウザーは主に、家畜の誘導や小さな荷車を引くなど、いわゆる使役犬(しえきえけん)として農場で活躍していました。さらに賢くて頭が良く、忠誠心も高いことからドイツ軍の情報伝達犬として用いられた歴史も残っています。
スタンダード・シュナウザーは使役犬として申し分ない実力があるものの、農家の人たちはネズミなど小動物駆除(くじょ)に対応できて、小回りのきく小型犬がいれば・・・と頭を悩ませていました。
そこで彼らは、スタンダード・シュナウザーにアーフェン・ピンシャーを掛け合わせて新しい小型犬を作ろうと試みます。そのとき誕生したのが、ミニチュア・シュナウザーだと考えられています。
その後アメリカへ渡ることになりますが、他の犬種との交配が進められ、さらに改良された結果、現在のミニチュア・シュナウザーにより近いイヌが完成したといわれています。
アメリカでミニチュア・シュナウザーは爆発的人気を博し、各界の有名人やハリウッドスターなどが愛したイヌとしても有名になりました。香港生まれの大スター、ブルース・リーもミニチュア・シュナウザーを愛した人のひとりです。
ちなみに、日本にミニチュア・シュナウザーが初めてやってきたのは戦後といわれていますが、当時の日本は今ほどイヌのトリミング技術が発達していなかったため、最初はあまり人気がなかったそうです。しかし少しずつ愛玩犬(あいがんけん)として家でイヌを飼う人が増えるにつれ、ミニチュア・シュナウザーの人気はどんどん高まっていきました。現在では国内の人気犬種ランキングで常に上位を獲得しています。
ミニチュア・シュナウザー Q&A
ミニチュア・シュナウザーの名前の由来は?
基本情報でも少しご紹介しましたが、シュナウザーという名前のイヌは全部で3種類います。3種類のもとになったのはスタンダード・シュナウザーといわれており、単純に体の大きさを比べたとき一番小さいことからミニチュア・シュナウザーと名づけられました。
そしてシュナウザーの由来ですが、ドイツ語で「口ひげ」という意味の「シュナウツァー」からきているそうです。最も有名なのは、この口ひげ(シュナウツァー)が由来になっている説ですが、実はもうひとつ隠れた説があります。 1879年にドイツで開催されたショーで「ワイヤー・ヘアード・ピンシャー(現在でいうスタンダード・シュナウザーのこと)」が出場し、優勝しました。この優勝したイヌの名前が「シュナウツァー」だったことから、これをきっかけにシュナウザーという名前が定着したとも考えられています。
ミニチュア・シュナウザーのカラーバリエーションは?
ソルト&ペッパー、ブラック&シルバー、ホワイト、ブラックの4種類です。ちなみに、ウィートンという少しベージュっぽいのもありますが、非公認カラーとなっています。
ミニチュア・シュナウザーは何グループ?
JKC(ジャパンケネルクラブ)やFCI(国際畜犬協会)のルールに従った分け方の場合、「第2グループ」になります。
番犬や警察犬、また人間と一緒に作業を行なう「使役犬(しえきけん)」として活躍しているイヌが所属しています。
第2グループの犬種は、番犬としての役割を担うことが多いため、大きくて強靭(きょうじん)、そしてたくましい体をもつ犬が多いのが特徴的です。
基本的に警戒心(けいかいしん)が強く、攻撃性も強い性格の持ち主ですが、自分の家族や飼い主に対しては愛情深く接し、従順で忠誠心(ちゅうせいしん)が高い一面もあります。
そのため飼育の際は、飼い主さんが第一位のリーダーであることを認識させる必要がありますが、しっかりと信頼関係を築ければ、とても頼りがいのあるパートナーになってくれることでしょう。
ミニチュア・シュナウザーの外見はどんな感じ?
ミニチュア・シュナウザーといえば、まるで人間みたいな眉毛や頬ヒゲ、口ヒゲが顔にふさふさと生えているのが特徴的です。また、被毛はダブルコートになっています。 ※ダブルコートとは、丈夫なオーバーコートとフワフワのアンダーコートの2種類が生えていることをいいます。
小型犬ですが、意外にも骨太のがっしりとした筋肉質の体型で、見た目からは想像もつかないほど首周りは太くなっています。中型犬から小型犬に改良されたとはいえ、ベースとなったスタンダード・シュナウザーの良いところをしっかりと受け継いだ犬種といえるでしょう。
なぜミニチュア・シュナウザーには眉毛や口ヒゲが生えているの?
まるで人間のおじいちゃんを思わせるかのような、立派な眉毛やヒゲ。実はちゃんとした役割があるのです。ミニチュア・シュナウザーは、農場でネズミなどの小動物を捕まえて退治する役割を担っていました。
ネズミを咥えると、咬みつかれて反撃されることもありますが、この眉毛とヒゲが皮膚に切り傷や擦り傷がつかないよう、顔のクッション代わりとして守ってくれていたそうです。
ミニチュア・シュナウザーのしっぽはなぜ短いの?
実は本来、ミニチュア・シュナウザーのしっぽは長いのです。では一体なぜ、写真やネットなどでしっぽの短いミニチュア・シュナウザーを見かけるのかというと、それは産まれてすぐに「断尾(だんび、しっぽを短く切ること)」を行なっているからです。
断尾を行なう理由はいくつかあります。
①牧羊犬(狩猟犬)として働くため
牧羊犬(ぼくようけん)はしっぽが長いままだと、間違って牛に踏まれ転んでケガをする可能性があるのでそれらを防ぐため、また狩猟犬(しゅりょうけん)は森林の中を走る際、枝でしっぽを傷つけないようにするためです。
②節税(税金)対策のため
今では廃止されている制度ですが、昔のイギリスではしっぽのあるイヌに税金がかけられていました。そこでミニチュア・シュナウザーの飼い主は節税対策として、断尾を始めたといわれています。
その他にも狂犬病(きょうけんびょう)予防や犬種標準(スタンダード)にあわせるためといった理由がありますが、近年ミニチュア・シュナウザーは愛玩犬として飼育している家庭が多いので、①と②の理由で断尾している可能性は低いでしょう。そのため現在では犬種標準(スタンダード)にあわせる目的で断尾を行なうケースが多いと考えられます。
しかし最近では動物愛護の精神も高まっていることから、断尾を行なうブリーダーも減少し、しっぽの長いミニチュア・シュナウザーが増えているそうです。
ちなみに断尾のほかにも「断耳(だんじ、耳の先が立つように短く切ること)」を行なうこともあるそうですが、こちらも近年ミニチュア・シュナウザーを愛玩犬として飼育している家庭が増えているため、垂れ耳のミニチュア・シュナウザーが増えているそうです。
ミニチュア・シュナウザーを購入するにはどれくらいかかるの?
ミニチュア・シュナウザーはペットショップだと25万円前後、ブリーダーから購入する場合は30~50万円ほどです。また、毛色や血統によって価格の差が出やすい犬種のひとつでもあります。購入を検討する際、お気に入りの子が見つかったら、一度見学に行くのが良いでしょう。
さらに、ブリーダーには上段資格をもつ「シリアスブリーダー」と呼ばれている方たちがいます。日本には約2万犬舎があるといわれていますが、そのなかでもシリアスブリーダーはわずか5%にも満たないそうです。そのため一般ブリーダーから購入するよりも、シリアスブリーダーから購入する方が高額になります。
ミニチュア・シュナウザーに必要な運動量やお手入れ方法は?
イヌは犬種を問わず、散歩を必要とする動物です。犬種によって散歩時間や回数は異なりますが、ミニチュア・シュナウザーは時間を分けて20分を1回ずつ、合計40分の散歩が必要です。
ミニチュア・シュナウザーは他のダブルコート犬種と比べて抜け毛が少ないのですが、放っておくと毛玉ができてしまうので、できれば毎日、最低でも週1~2の頻度でピンブラシとコームを使いお手入れしてあげるのが良いでしょう。シャンプーは月に1~2回の頻度で大丈夫です。
ミニチュア・シュナウザーの性格や特徴は?
①テリア種だけど温和で穏やかな性格!
そもそもテリア種とは、主にネズミなどの小動物を捕まえるために品種改良されたイヌなので、基本的に性格が荒っぽいイヌが多いです。ですがミニチュア・シュナウザーはそのなかでも比較的穏やかで優しい性格といわれており、飼い主さんや子どもにも優しく接してくれるので、お家で飼う愛玩犬にはピッタリです。
一方テリア種は警戒心が強い部分もあるので、初対面の人には近づいていこうとしないかも知れませんが、信頼関係を築くことができればその後はフレンドリーに接してくれることでしょう。
②曲がったことは嫌いでマイペースな頑固者?
普段は穏やかな性格のミニチュア・シュナウザーですが、礼儀知らずの人やその場の雰囲気を乱すような人や動物に対しては、ストレスが溜まって咬みついてしまうケースもあるようです。ですが社会化期にしっかりとしつけを行なえば、ある程度防ぐことは可能です。
ただし、初めて会う動物や行動予測が難しい小さなお子さんと会わせる場合、必ず飼い主さは目を離さないこと。そして目の届く範囲で遊ばせるよう、十分注意してください。大人が咬みつかれて平気だったとしても、小動物や小さなお子さんでは大ケガに繋がるケースもあるからです。
③しつけは子イヌのときから行ないましょう!
まずイヌには「社会化期(しゃかいかき)」という時期があります。生後3週~12週齢がイヌの社会化期といわれており、この時期に行なうしつけは今後愛犬と楽しく暮らしていくためにも必ず必要なトレーニングといえるでしょう。
⑴トイレトレーニング
トイレは指定の場所で上手にできたとき、褒めて覚えさせましょう。
⑵甘噛みをやめさせる
子イヌのときは良いのですが、成犬で甘噛みされるとケガのもとになってしまいます。人の手の代わりに噛んでも良いおもちゃを与え、もし飼い主さんの手を甘噛みしてきたら怒鳴らず低い声で「痛い」と一喝(いっかつ)した方が良いでしょう。
⑶人に触られることに慣れされる
体調不良になったときはどうしても動物病院へ行かなければなりません。そのとき知らない人に体を触られても暴れないよう、普段から飼い主さんがたくさん愛犬とスキンシップをとって、人との触れ合いに慣れさせるのがベストです。
⑷クレートに入っても怖くないことを覚えさせる
動物病院に行くとき、あるいは災害が起きたときはどうしてもクレートの中へ愛犬に入ってもらう必要があります。ミニチュア・シュナウザーは小型犬なので、飼い主さんが抱っこしつつクレートに入れることも可能ですが、嫌がって噛みつく場合があります。ですので、なるべく自分から入ってくれるようしつけるのが大切です。飼い主さんの指示で上手に入ってくれたら、おやつのご褒美をあげて、クレートの中は怖くないんだ!と認識させるのがコツです。
⑸散歩で外の世界に慣れさせる
散歩はイヌを飼うにあたって、必要不可欠なことです。そのため生後3ヶ月頃までは飼い主さんが抱っこして外に連れ出すことから始めてみましょう。少しずつ外の世界に慣れてきたら、リードを繋いで自分の足で歩いてもらうことを覚えさせます。歩くときもただ引っ張れば良いのではなく、最初は飼い主さんが愛犬の歩調にあわせてあげることからスタートさせるのがベストです。
その他「コマンドトレーニング(お座りや待てといった指示に従わせること)」や「お留守番に慣れてもらう」といったことも大切なのですが、社会化期が過ぎてからでも覚えさせることができますので、子イヌのうちにやるべきことから始めていきましょう。
ミニチュア・シュナウザーのかかりやすい病気ってなに?
ミニチュア・シュナウザーに限らず、ほとんどの犬種でイヌは人間よりも体毛が多く、その分皮膚がデリケートなため「皮膚病(ひふびょう)」になりやすいといわれています。
また顔の作りから眼球が人間よりも前に出ていることも多いため、目を怪我してしまう、もしくは遺伝的な理由が原因で「眼疾患(がんしっかん)」にもなりすいです。
上記の特徴を踏まえた上で、ここではミニチュア・シュナウザーが注意したい病気について詳しく見ていきましょう。 まずミニチュア・シュナウザーは皮膚病である「膿皮症(のうひしょう)」、眼疾患である「白内障(はくないしょう)」、尿路系疾患である「尿路結石症(にょうろけっせきしょう)」にかかりやすいといわれています。
①膿皮症
膿皮症はイヌがかかりやすい皮膚病のひとつです。もともと皮膚には黄色ブトウ球菌という菌が存在していますが、これが皮膚に侵入し細菌感染すると赤い湿疹やかゆみなどが症状として現れます。イヌは人間やネコと比べて皮膚が薄く、また皮脂の分泌腺が発達しているため、イヌが膿皮症になってしまうケースは珍しくありません。治療には殺菌作用のあるシャンプーで体を洗ったり、飲み薬や塗り薬で対処します。
②白内障
眼の中には水晶体(すいしょうたい)というものがありますが、この水晶体が白くにごってしまい目が見えにくくなってしまう病気です。白内障になってしまう原因は多く、遺伝性や老化によるもの、糖尿病や怪我による目の損傷によっても引き起こされます。
初期の場合、目薬を使って病気の進行を遅らせることもできますが、場合によっては手術でにごった水晶体を取りのぞくという方法もあります。
白内障になると水晶体が白く見えるので目視でも確認できますが、散歩中や家にいるときなど、前と比べて壁や物にぶつかることが増えた。という状態が見られたら、一度動物病院で検査を、そして白内障にかかっていたら獣医さんとの治療方針相談をオススメします。
③尿路結石症
ミニチュア・シュナウザーは水を飲む量が少ない犬種のため、腎臓や膀胱に石ができる結石症になりやすいといわれています。結石ができてしまうと頻尿(ひんにょう)や血尿(けつにょう)の症状が出てきます。結石の成分によって溶けやすいもの、溶けにくいものに分かれるため、初期の小さな溶けやすい結石であれば、病院で処方される結石療法食で治るケースもあります。
ところが溶けにくく大きな結石の場合、様子見では命に関わる場合もあるので、摘出手術が必要になります。家庭でできる予防法としては、愛犬に水をしっかり飲んでもらうよう工夫する、また、結石の成分になりやすいといわれるマグネシウムやカルシウム、リンなどのミネラル量を調整したミニチュア・シュナウザー専用のドッグフードを食べさせてあげるのも良いでしょう。
ミニチュア・シュナウザーの寿命は?
ミニチュア・シュナウザーの寿命は12~15年といわれています。小型犬~大型犬までを含めたイヌ全体の平均寿命はおよそ14年なので、平均的な寿命といえるでしょう。
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ミニチュア・シュナウザー 参考文献
- よくわかる犬種図鑑ベスト185 動物ジャーナリスト藤原直太朗
- まるごとわかる犬種大図鑑 監修 若山動物院院長 若山正之
- AMERICAN KENNEL CLUB https://www.akc.org/dog-breeds/miniature-schnauzer/
- THE KENNEL CLUB https://www.thekennelclub.org.uk/search/breeds-a-to-z/breeds/utility/miniature-schnauzer/
- JAPAN KENNEL CLUB https://www.jkc.or.jp/archives/dog_category/breed_02g
- 犬との暮らし大百科 https://www.anicom-sompo.co.jp/inu/
- みんなの犬図鑑 https://www.min-inuzukan.com/
- Pet Smile news forワンちゃん https://psnews.jp/dog/
- 子犬のへや https://www.koinuno-heya.com/
- わんちゃんホンポ https://wanchan.jp/
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